オピニオン
2016.02.01
米国はその行動を批判した。そのことについて台湾の国民党系新聞には、2008年に陳水扁総統が太平島に上陸した際米国はあまり強く反発しなかったのに、今回はどうしてそのような批判をするのかといぶかるとともに、米国は態度を変えたなどと論評しているものがある。
この論評はおかしい。米国から見れば、中国が南沙諸島で埋め立てと建設工事を強行し、米国をはじめ各国と対立している状況の中で、馬英九の行動は中国に味方することになるので問題なのだ。米国は批判の中で「タイミングが悪い」と言っているではないか。
台湾の与党系新聞は、馬英九総統の行動の持つ意味について、とくに国際的な環境の中でどのような意味を持つかよく考えるべきだ。単純に陳水扁の時と比較し、米国が変わったと批評するのはナンセンスだ。
、陳水扁の行動がよかったというのではない。陳水扁が太平島に上陸したのも人気取りのためであり、馬英九と同じことだった。違っていたのは、当時(2008年)はそうしても中国に味方することにならなかったことである。
中国は馬英九の行動を歓迎した。中国政府の報道官は、「共にひとつの中国なので、共同で国家主権と領土の完全性を維持する責任がある」と述べている。
この中国の反応を聞かなくても、米国がどう思うか分からなければならない。そのような国際的観点から物事を見られないのでは、国民党の前途は多難だ。
国民党は米国との矛盾が大きくなっていることに気付かずにますます中国との同化/統合の方向に向かっているだろうか。
国民党は台湾人の願望から離れてしまった。少なくとも今回の総統と立法院の選挙ではそのような結果となった。国民党が勢力を回復するには、台湾人からも、米国からも支持を得なければならない。台湾人の中には、総統による太平島上陸を称賛するナショナリステイックな面があるのは事実だが、台湾と米国との関係、ひいては台湾の安全保障にとって太平島上陸は役に立たないどころか妨げになることを台湾人も理解し始めるのではないか。
(短評)馬英九総統の太平島上陸
馬英九総統が1月28日、南沙諸島の太平島に上陸した。同諸島で台湾が実効支配している唯一の島だ。米国はその行動を批判した。そのことについて台湾の国民党系新聞には、2008年に陳水扁総統が太平島に上陸した際米国はあまり強く反発しなかったのに、今回はどうしてそのような批判をするのかといぶかるとともに、米国は態度を変えたなどと論評しているものがある。
この論評はおかしい。米国から見れば、中国が南沙諸島で埋め立てと建設工事を強行し、米国をはじめ各国と対立している状況の中で、馬英九の行動は中国に味方することになるので問題なのだ。米国は批判の中で「タイミングが悪い」と言っているではないか。
台湾の与党系新聞は、馬英九総統の行動の持つ意味について、とくに国際的な環境の中でどのような意味を持つかよく考えるべきだ。単純に陳水扁の時と比較し、米国が変わったと批評するのはナンセンスだ。
、陳水扁の行動がよかったというのではない。陳水扁が太平島に上陸したのも人気取りのためであり、馬英九と同じことだった。違っていたのは、当時(2008年)はそうしても中国に味方することにならなかったことである。
中国は馬英九の行動を歓迎した。中国政府の報道官は、「共にひとつの中国なので、共同で国家主権と領土の完全性を維持する責任がある」と述べている。
この中国の反応を聞かなくても、米国がどう思うか分からなければならない。そのような国際的観点から物事を見られないのでは、国民党の前途は多難だ。
国民党は米国との矛盾が大きくなっていることに気付かずにますます中国との同化/統合の方向に向かっているだろうか。
国民党は台湾人の願望から離れてしまった。少なくとも今回の総統と立法院の選挙ではそのような結果となった。国民党が勢力を回復するには、台湾人からも、米国からも支持を得なければならない。台湾人の中には、総統による太平島上陸を称賛するナショナリステイックな面があるのは事実だが、台湾と米国との関係、ひいては台湾の安全保障にとって太平島上陸は役に立たないどころか妨げになることを台湾人も理解し始めるのではないか。
2016.01.28
(資源外交から「一帯一路」)
中国の中東への進出は資源獲得の目的から始まった。石油天然ガス集団など中国の企業は採掘権を獲得、巨額の投資(採掘や精製、関連のインフラ建設など)、石油の引き取りなどを行う。
産油国には万の台の中国人労働者が送り込まれる。リビアの内乱の際は3万人あまりの中国人が避難した。
最近はこの他原発輸出が目立ってきた。
中東諸国への援助供与も増大しており、その関係で、中国はアラブ諸国と協力フォーラム、「中国-アラブ諸国協力フォーラム(China-Arab States Cooperation Forum)」を2004年に設置して意思疎通を図っている。
今は、資源獲得の看板を下ろしたわけではないが、「一帯一路」構想を語り、中東諸国の参加を求めている。この構想は対象地域や対象事業など明確になっていない部分があるが、資源の開発・取引も含むのだろう。
習近平主席は今回の歴訪中行く先々でこの構想について力説した。
アフガニスタンは産油国でないが、中国からイスラム世界に通じる拠点であり、「一帯一路」の重要な一角だ。パキスタンのグワダル港から陸路で新疆自治区へ通じるルートはアフガニスタンのタリバーンの脅威にさらされており、このルートの安全には中国とパキスタン両政府に加えてアフガニスタン政府との協力が不可欠だ。
アフガニスタンと中国については当研究所HP2015年2月23日の「中国の「海上シルクロード」続き3」を参照願いたい(これを検索するには、「中国の「海上シルクロード」続き3」と「平和外交研究所」をキーワードにする)。
(中国とイスラム過激派)
中国の中東外交においてイスラム、とくに過激派との関係が問題であり、手を焼いているようだ。
新疆自治区の過激派(?)がISで軍事訓練を受け、戦闘に参加していると、中国の呉思科・中東問題特使が発言したこともある。
ISはテロの脅威の一種であり、テロ対策を強化する必要があるという点では各国と利害は一致している。
中国とイスラムについては、当研究所HP2014年8月27日付の「イスラム国での中国の評判」を参照願いたい。
(中国と米国-矛盾か、協力か)
中国の中東への進出を米国は歓迎するか。これにも両面がある。
米国はイラクやアフガニスタンで戦争し、いずれの地でも数千人に上る死者を出した。しかし、中国はこれらの戦争に参加しないまま両国との経済関係を深め、イラクでも、アフガニスタンでも主要な貿易相手国となっており、イラクでは最重要パートナーだと言われることもある。米国にとって中国は「ただのり」だとオバマ大統領が言った。
中東諸国の側でも、米国との従来からの友好関係は維持しつつ、中国の進出を歓迎する傾向がある。習近平主席が訪問したサウジとエジプトはいずれも米国の伝統的中東外交の柱であり、巨額の軍事援助を行ってきた。しかし、サウジはISに対する空爆には参加しつつも、イランと和解する傾向を示す米国には不満を抱いている。その背景には、イランの核問題が解決して国際社会に受け入れられるようになるに伴い、スンニ派の代表格であるサウジとシーア派の代表格であるイランとの対立が生じ、サウジ内でのシーア派の指導者ニムル師の刑執行をきっかけに断交にまで発展したという問題がある。
一方、米国と中国の間で利害が一致することもある。
イスラム過激派およびテロの問題だ。米国が過激派組織ISに対する空爆をイラクで開始したのが2014年8月。翌9月にシリアへも攻撃を開始するのだが、その間にオバマ大統領のライス補佐官が訪中し、オバマ米大統領が構築を目指している有志連合を支持するよう中国に要請した。
これに対して、中国はテロとの戦いを強化することは重要だと理解を示しつつ、中国が関わることについては、「興味を示した」とも伝えられたが、慎重な姿勢を崩さなかった。テロとの戦いについても一般論であり、米国の空爆を支持したのではなかった。
中国の立場は過激派組織ISとの関係では米国やその他各国とも類似しているが、他国の領域内で軍事行動をすることについては非常に慎重であり、旧ユーゴ、イラク、リビアなどでの米欧諸国の行動には、安保理で反対、あるいは棄権してきた。イラクとシリアの場合も同じ姿勢なのだろう。
2016年1月11日、アフガニスタンにおける和平実現のためにアフガニスタン、パキスタン、米国、中国の協議が行われ、共同声明も発出された。
アフガニスタンでは、タリバーンとアフガニスタン政府の話し合いが2015年7月から中断しており、タリバーンと政府軍および米軍との戦いは一進一退、あるいはタリバーンの攻勢が強くなっている面もある。10月には北部の主要都市クンドゥズが、一時的であったがタリバーンに占領され政府側は強い衝撃を受けた。
アフガニスタン政府を支援していた米軍など各国軍はすでに撤退済みか、残っていても数は大幅に減少している一方、アフガニスタン政府の軍・警察は腐敗のため十分機能しておらず、状況は厳しい。
このような状況の中で中国がより積極的な役割を果たすことは米国としても望むところだ。
中東における米国と中国の関係は今後も、対立と協調の両面から注意していく必要があろう。
なお、当研究所HP2014年9月8日付の「米・中・イスラム国関係」を参照願いたい。
(イスラエルとパレスチナ)
中国は中東和平にも積極的に取り組む姿勢を見せており、2014年にはパレスチナとイスラエルに呉思科特使を3回派遣し、また、王毅外相は同年8月初め、エジプトを訪問した。
同地で王毅外相が発表した中東和平5項目提案では、イスラエルとパレスチナによる即時停戦、イスラエルによるガザ地区の封鎖解除、拘留パレスチナ人の解放、イスラエルの安全への懸念重視、パレスチナ人の独立と建国への正当な要求と合法的権利の支持など、イスラエルとパレスチナ双方の立場に配慮していた。
イスラエルとパレスチナの問題は相次ぐ紛争に見舞われている中東でも最大の難問であり、国連は別として、これまで和平問題に関与できるのは米国と、欧州諸国がそれに時折加わる程度であった。
この問題に中国は本腰を入れて取り組もうとしているのか。和平提案だけで判断することはできない。今後の展開を見守る必要がある。
この問題に関するHPの論考としては次がある。
2014年月8月5日「中国の中東和平5項目提案」
2015年9月25日「中国とイスラエルの関係」
中東へ進出する中国
習近平中国主席が1月19日からのサウジアラビア、エジプト、イランを歴訪し、巨額の借款供与や原発輸出を発表して注目を浴びた。中国の最近の対中東積極外交の主要点を取りまとめてみた。(資源外交から「一帯一路」)
中国の中東への進出は資源獲得の目的から始まった。石油天然ガス集団など中国の企業は採掘権を獲得、巨額の投資(採掘や精製、関連のインフラ建設など)、石油の引き取りなどを行う。
産油国には万の台の中国人労働者が送り込まれる。リビアの内乱の際は3万人あまりの中国人が避難した。
最近はこの他原発輸出が目立ってきた。
中東諸国への援助供与も増大しており、その関係で、中国はアラブ諸国と協力フォーラム、「中国-アラブ諸国協力フォーラム(China-Arab States Cooperation Forum)」を2004年に設置して意思疎通を図っている。
今は、資源獲得の看板を下ろしたわけではないが、「一帯一路」構想を語り、中東諸国の参加を求めている。この構想は対象地域や対象事業など明確になっていない部分があるが、資源の開発・取引も含むのだろう。
習近平主席は今回の歴訪中行く先々でこの構想について力説した。
アフガニスタンは産油国でないが、中国からイスラム世界に通じる拠点であり、「一帯一路」の重要な一角だ。パキスタンのグワダル港から陸路で新疆自治区へ通じるルートはアフガニスタンのタリバーンの脅威にさらされており、このルートの安全には中国とパキスタン両政府に加えてアフガニスタン政府との協力が不可欠だ。
アフガニスタンと中国については当研究所HP2015年2月23日の「中国の「海上シルクロード」続き3」を参照願いたい(これを検索するには、「中国の「海上シルクロード」続き3」と「平和外交研究所」をキーワードにする)。
(中国とイスラム過激派)
中国の中東外交においてイスラム、とくに過激派との関係が問題であり、手を焼いているようだ。
新疆自治区の過激派(?)がISで軍事訓練を受け、戦闘に参加していると、中国の呉思科・中東問題特使が発言したこともある。
ISはテロの脅威の一種であり、テロ対策を強化する必要があるという点では各国と利害は一致している。
中国とイスラムについては、当研究所HP2014年8月27日付の「イスラム国での中国の評判」を参照願いたい。
(中国と米国-矛盾か、協力か)
中国の中東への進出を米国は歓迎するか。これにも両面がある。
米国はイラクやアフガニスタンで戦争し、いずれの地でも数千人に上る死者を出した。しかし、中国はこれらの戦争に参加しないまま両国との経済関係を深め、イラクでも、アフガニスタンでも主要な貿易相手国となっており、イラクでは最重要パートナーだと言われることもある。米国にとって中国は「ただのり」だとオバマ大統領が言った。
中東諸国の側でも、米国との従来からの友好関係は維持しつつ、中国の進出を歓迎する傾向がある。習近平主席が訪問したサウジとエジプトはいずれも米国の伝統的中東外交の柱であり、巨額の軍事援助を行ってきた。しかし、サウジはISに対する空爆には参加しつつも、イランと和解する傾向を示す米国には不満を抱いている。その背景には、イランの核問題が解決して国際社会に受け入れられるようになるに伴い、スンニ派の代表格であるサウジとシーア派の代表格であるイランとの対立が生じ、サウジ内でのシーア派の指導者ニムル師の刑執行をきっかけに断交にまで発展したという問題がある。
一方、米国と中国の間で利害が一致することもある。
イスラム過激派およびテロの問題だ。米国が過激派組織ISに対する空爆をイラクで開始したのが2014年8月。翌9月にシリアへも攻撃を開始するのだが、その間にオバマ大統領のライス補佐官が訪中し、オバマ米大統領が構築を目指している有志連合を支持するよう中国に要請した。
これに対して、中国はテロとの戦いを強化することは重要だと理解を示しつつ、中国が関わることについては、「興味を示した」とも伝えられたが、慎重な姿勢を崩さなかった。テロとの戦いについても一般論であり、米国の空爆を支持したのではなかった。
中国の立場は過激派組織ISとの関係では米国やその他各国とも類似しているが、他国の領域内で軍事行動をすることについては非常に慎重であり、旧ユーゴ、イラク、リビアなどでの米欧諸国の行動には、安保理で反対、あるいは棄権してきた。イラクとシリアの場合も同じ姿勢なのだろう。
2016年1月11日、アフガニスタンにおける和平実現のためにアフガニスタン、パキスタン、米国、中国の協議が行われ、共同声明も発出された。
アフガニスタンでは、タリバーンとアフガニスタン政府の話し合いが2015年7月から中断しており、タリバーンと政府軍および米軍との戦いは一進一退、あるいはタリバーンの攻勢が強くなっている面もある。10月には北部の主要都市クンドゥズが、一時的であったがタリバーンに占領され政府側は強い衝撃を受けた。
アフガニスタン政府を支援していた米軍など各国軍はすでに撤退済みか、残っていても数は大幅に減少している一方、アフガニスタン政府の軍・警察は腐敗のため十分機能しておらず、状況は厳しい。
このような状況の中で中国がより積極的な役割を果たすことは米国としても望むところだ。
中東における米国と中国の関係は今後も、対立と協調の両面から注意していく必要があろう。
なお、当研究所HP2014年9月8日付の「米・中・イスラム国関係」を参照願いたい。
(イスラエルとパレスチナ)
中国は中東和平にも積極的に取り組む姿勢を見せており、2014年にはパレスチナとイスラエルに呉思科特使を3回派遣し、また、王毅外相は同年8月初め、エジプトを訪問した。
同地で王毅外相が発表した中東和平5項目提案では、イスラエルとパレスチナによる即時停戦、イスラエルによるガザ地区の封鎖解除、拘留パレスチナ人の解放、イスラエルの安全への懸念重視、パレスチナ人の独立と建国への正当な要求と合法的権利の支持など、イスラエルとパレスチナ双方の立場に配慮していた。
イスラエルとパレスチナの問題は相次ぐ紛争に見舞われている中東でも最大の難問であり、国連は別として、これまで和平問題に関与できるのは米国と、欧州諸国がそれに時折加わる程度であった。
この問題に中国は本腰を入れて取り組もうとしているのか。和平提案だけで判断することはできない。今後の展開を見守る必要がある。
この問題に関するHPの論考としては次がある。
2014年月8月5日「中国の中東和平5項目提案」
2015年9月25日「中国とイスラエルの関係」
2016.01.25
総統選から3日後の1月19日、中国の国務院台湾事務弁公室(国台弁)の龔清概副主任が規律検査を受けたことが発表された。規律検査は、習近平主席が持つ2本の鞭の1本である。
龔清概は習近平が福建省の省長であった2000年から2002年、同省内の晉江市長を務め、習近平に知られるようになり、2013年、国台弁の副主任に抜擢された。習近平に近い人物と見られていた。
台湾の総統選の直後の発表だったので、同人が台湾情勢を読み誤った責めを問われたのかと思われたが、香港の『明報』紙は、昨年10月の「中央巡視組」が国台弁を調査した時に同人はすでに調査の対象であったという噂が漏れ出ていたと報道している。本当のことは分からない。
龔清概台湾語を話し、台湾の商人と関係が深かった。2014年にはお忍びで台湾を訪問した。
晉江市は民営企業が活発であり、政府との関係が密であると言われている。
中国に胡舒立という有名なジャーナリストがいる。「財新網」などの主筆であるが、王岐山とならんで習近平の側近の一人であり、汚職追及の報道などで「中国で最も危険な女性」と呼ばれている。米国での活動歴もある。
次は、「財新網」1月18日に掲載された胡舒立の論文の要約だ。
「今回の選挙は両岸関係を最終的に解決する始まりだ。台湾政策の目標を具体的に明確にする必要がある。
台湾内部では問題が山積しており、矛盾は大きい。
民進党の両岸関係についての態度は以前より慎重になっている。今回の総統選でも国民党の両岸政策の攻撃に重点を置かなかった。
今回の総統選の結果は中国の指導者にとって読みのうちで、対策があるはずだ。
中国は台湾の新総統と両岸の往来の政治的基礎を再確認すべきだ。調整期間中、両岸の接触と協力は減少するかもしれない。守るところも攻めていくところもあってよい。
台湾の青年の心情と主張は今後の台湾の行く方向に関係してくる。」
この論文で一番注目されるのは、国民党との関係について完全に沈黙していることである。その代わりというわけでもないが、台湾の青年の考えを重視すべきだと示唆している。
台湾の総統選と中国
台湾の総統と立法院の選挙において民進党が圧勝した結果、中国の台湾政策は変化するか。中国はこれまで民進党を警戒し、国民党を支持してきたが、今後も国民党の復権を期待して支持を続けるのか。そうすると中国の台湾に対する影響力が弱まるのではないか。これらの問題を含め中国としてはこの際台湾に対する政策の見直しを進めているのではないかと思われる。総統選から3日後の1月19日、中国の国務院台湾事務弁公室(国台弁)の龔清概副主任が規律検査を受けたことが発表された。規律検査は、習近平主席が持つ2本の鞭の1本である。
龔清概は習近平が福建省の省長であった2000年から2002年、同省内の晉江市長を務め、習近平に知られるようになり、2013年、国台弁の副主任に抜擢された。習近平に近い人物と見られていた。
台湾の総統選の直後の発表だったので、同人が台湾情勢を読み誤った責めを問われたのかと思われたが、香港の『明報』紙は、昨年10月の「中央巡視組」が国台弁を調査した時に同人はすでに調査の対象であったという噂が漏れ出ていたと報道している。本当のことは分からない。
龔清概台湾語を話し、台湾の商人と関係が深かった。2014年にはお忍びで台湾を訪問した。
晉江市は民営企業が活発であり、政府との関係が密であると言われている。
中国に胡舒立という有名なジャーナリストがいる。「財新網」などの主筆であるが、王岐山とならんで習近平の側近の一人であり、汚職追及の報道などで「中国で最も危険な女性」と呼ばれている。米国での活動歴もある。
次は、「財新網」1月18日に掲載された胡舒立の論文の要約だ。
「今回の選挙は両岸関係を最終的に解決する始まりだ。台湾政策の目標を具体的に明確にする必要がある。
台湾内部では問題が山積しており、矛盾は大きい。
民進党の両岸関係についての態度は以前より慎重になっている。今回の総統選でも国民党の両岸政策の攻撃に重点を置かなかった。
今回の総統選の結果は中国の指導者にとって読みのうちで、対策があるはずだ。
中国は台湾の新総統と両岸の往来の政治的基礎を再確認すべきだ。調整期間中、両岸の接触と協力は減少するかもしれない。守るところも攻めていくところもあってよい。
台湾の青年の心情と主張は今後の台湾の行く方向に関係してくる。」
この論文で一番注目されるのは、国民党との関係について完全に沈黙していることである。その代わりというわけでもないが、台湾の青年の考えを重視すべきだと示唆している。
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