平和外交研究所

8月, 2025 - 平和外交研究所

2025.08.22

李在明韓国大統領の来日

 2025年6月、韓国の新大統領に就任した李在明(イ・ジェミョン)氏は、8月23-24日韓国大統領として来日し、石破茂首相と会談する。

 李在明氏は大統領に就任する以前、「共に民主党」の代表として反日的言動で知られており、日本との関係を重視する尹錫悦前とは非常に異なる立場を取っていた。しかるに李在明氏は大統領に就任後日本など対外関係を重視する姿勢を取り、日本の『読売新聞』とのインタビュー(8月19日)で、以下の注目すべき発言を行った。

 「日本はとても重要な存在だ。韓国も日本にとって有益な存在になれると思う。双方にとって利益になる道を発掘して、協力できる分野を広げていかなければならない」。

 日韓対立の原因となってきた慰安婦や元徴用工などの歴史問題に関しては、「なるべく現実を認め、お互いに理解しようと努力し、対立的にならないようにしながら解決していけばいい」。「韓国国民としては非常に受け入れ難い前政権による合意ではあるが、国家としての約束であるので、覆すことは望ましくない」。

 信頼を積み重ねるため、日韓の首脳が頻繁に相互訪問する「シャトル外交」が有用である。

 日本の小渕政権と韓国の 金大中(キムデジュン)政権が1998年に発表した「日韓共同宣言は韓日関係に新しい区切りをつけた。宣言を引き継ぎ、それを超える新しい共同宣言を発表することができればと思う」。

 李在明大統領は日韓関係にとって積極な船出を行った。
2025.08.22

ウクライナに対する安全の保証

 2025年8月15日、アラスカで米ロ首脳会談が行われた。引き続いて18日、ゼレンスキー・ウクライナ大統領は米ワシントンを訪問してトランプ大統領と会談。その後、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、フィンランド、EU(欧州連合)、NATOの首脳を交えて会談が行われた。

 米ロ会談では、注目されていた停戦の合意は実現せず、トランプ氏は「和平合意を目指す」べきだという考えを示すにとどまった。欧米メディアは「ロシアに同調する劇的な方針転換だ」などと伝えた。また、トランプ氏は会談前、ロシアを標的とした「2次関税」の発動を示唆していたが、記者会見では触れず、結局この賦課は行われない、あるいは延期されることになった。プーチン大統領は何も失わずにかねてからの主張を述べ立てただけであり、会談はロシア側の一方的な成功であったといわれた。

 しかし、米・ウクライナ・欧州会談で、ゼレンスキー氏は上機嫌であった。特に重要であったのは、領土問題と安全の保証であり、領土問題ではトランプ氏とプーチン氏は地図を前において協議したようだが、どんな話し合いを行ったのか、明らかになっていない。

 ウクライナの安全の保証については、ウクライナと米欧諸国は合意に達した。これはウクライナにとってかなり満足できる内容であったようだ。ウクライナとしてはロシアが侵攻してきて以来、NATOへの加盟を最優先目的としてきたが、なかなか実現しなかった。しかし、今回の会談でそれが実現するならば、ウクライナはNATOに未加盟であるが、実質的には加盟したのと同じ保証をえることになる。NATOは全加盟国32か国が全会一致で決めなければならないので一部の国はウクライナの加盟に反対する可能性がある。この困難に比べれば、今回のような安全の保証はNATOへの加盟より実際的かもしれない。

ただし、事態はまだそこまで行っていない。米国は地上部隊を派遣せず、空軍を派遣するにとどまるそうである。また、欧州各国が派遣する兵力の規模はどうなるか。軍は常駐かなど保証の中身については不明な点がいくつか残っている。

 米欧だけでも少なからぬ困難が待ち受けているのだが、ラブロフ露外相は、「ロシア抜きで解決しようとしていることには同意できない」などと述べ米欧を牽制した。ロシアが加わってウクライナの安全が保証されることはありえない。ロシアはウクライナに武力侵攻し、膨大な数の民間人を犠牲にした当事国である。

アーカイブ

検索

このページのトップへ

Copyright©平和外交研究所 All Rights Reserved.