平和外交研究所

ブログ

朝鮮半島 > 韓国対外関係

2025.08.28

米韓首脳会談と核問題

 トランプ大統領と李在明大統領は2025年8月25日(現地時間)、ワシントンで会談した。この会談は実現が容易でなかったらしい。

 首脳会談が決定される前、トランプ氏は自身のSNSに「韓国で何が起こっているのか? まるで粛清か革命のようだ。このような状況でビジネスはできない」とまで書き込んでいた。トランプ氏は尹錫悦前大統領と良好な関係にあったが、尹錫悦氏が昨年12月に非常戒厳を出した後、刑事裁判で訴追され、2025年4月4日に大統領職を罷免され、6月4日に李在明新大統領が就任したことなどを懸念していたのである。

 韓国側はトランプ政権関係者に事実関係を急ぎ説明し、首脳会談は何とか流れることなく開催にこぎつけたという。

 李在明大統領自身、トランプ氏を何度も持ち上げた。「様々な場所での戦争が、今やトランプ大統領の役割で休戦し、平和が訪れてきている。米国は再び偉大に変化している」などとも述べたという。

 そのかいあって、李在明氏が持ち上げるにつれてトランプ氏の顔つきが和らいでいった。李在明大統領は最初の首脳会談を成功させたのである。

 両大統領は関税や安全保障などを話し合ったが、本稿では北朝鮮との関係と核問題に注目したい。

 トランプ氏は第1期目の2018年、シンガポールで初の米朝首脳会談を行い、会談後の共同声明において「北朝鮮は朝鮮半島における完全非核化に向けて努力すると約束」した。この時点において北朝鮮はすでに核兵器の開発を進めていたが、このような約束を行ったのであり、これは画期的な合意であった。だが、米朝両国はその後対立関係に後戻りし、この合意は履行されなかった。

 ワシントンでの今次会談において、トランプ氏と金正恩氏の会談再開が話題となり、トランプ氏は第1期目に築いた北朝鮮の金正恩氏との良好な関係を誇示しつつ、直接会談に意欲を示し、「今年、会いたい」と述べたという。また、韓国・慶州で10月末から開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて会談を模索する可能性も示唆した。

 これに対し、李在明氏は「トランプ大統領が金正恩総書記に会い、世界史的なピースメーカーとしての役割を果たしてくれることを期待する」、「私はペースメーカーとして懸命に支援する」と述べたそうだ。米国にとって核問題は北朝鮮と直接交渉する問題であり、韓国の参加は期待しないというのが従来の立場であった。しかし、文在寅政権は米国が「北との関係」について交渉するのに無関係ではいられないとして強く米国に働きかけ、一定の成果がえられた。李在明大統領の、韓国は「ぺースメーカーとして懸命に支援する」とは、文在寅政権と同じ立場であることを示している。

 李在明政権は、尹錫悦政権と違って北朝鮮との友好関係樹立(回復?)に熱心なようだが、文在寅政権と同程度の役割を果たせるか不明である。北朝鮮はあいかわらず「韓国など相手にしない」とそっけない。

 北朝鮮は、ウクライナをめぐってロシアを支援し、自信をつけており、2018年よりかなり変わっている。
 
 非核化について北朝鮮は2018年と同じ立場をとるか疑問である。北朝鮮が非核化を拒否すれば、米朝関係は後退する。そうするとトランプ氏は批判されるだろう。
 
2025.08.22

李在明韓国大統領の来日

 2025年6月、韓国の新大統領に就任した李在明(イ・ジェミョン)氏は、8月23-24日韓国大統領として来日し、石破茂首相と会談する。

 李在明氏は大統領に就任する以前、「共に民主党」の代表として反日的言動で知られており、日本との関係を重視する尹錫悦前とは非常に異なる立場を取っていた。しかるに李在明氏は大統領に就任後日本など対外関係を重視する姿勢を取り、日本の『読売新聞』とのインタビュー(8月19日)で、以下の注目すべき発言を行った。

 「日本はとても重要な存在だ。韓国も日本にとって有益な存在になれると思う。双方にとって利益になる道を発掘して、協力できる分野を広げていかなければならない」。

 日韓対立の原因となってきた慰安婦や元徴用工などの歴史問題に関しては、「なるべく現実を認め、お互いに理解しようと努力し、対立的にならないようにしながら解決していけばいい」。「韓国国民としては非常に受け入れ難い前政権による合意ではあるが、国家としての約束であるので、覆すことは望ましくない」。

 信頼を積み重ねるため、日韓の首脳が頻繁に相互訪問する「シャトル外交」が有用である。

 日本の小渕政権と韓国の 金大中(キムデジュン)政権が1998年に発表した「日韓共同宣言は韓日関係に新しい区切りをつけた。宣言を引き継ぎ、それを超える新しい共同宣言を発表することができればと思う」。

 李在明大統領は日韓関係にとって積極な船出を行った。

アーカイブ

検索

このページのトップへ

Copyright©平和外交研究所 All Rights Reserved.