1月, 2017 - 平和外交研究所
2017.01.30
呉勝利から沈金龍に交代していることが1月20日判明した。多維新聞同日付によれば、「沈金龍は南シナ海問題が白熱化した際南海艦隊を率いてデリケートな事件を処理したことと直接関係がある」と論評している。また沈金龍は艦隊司令官から海軍司令官に昇格した初めてのケースである由。
大戦区司令官に海軍から任命
北海艦隊の袁誉柏司令官が五大戦区の一つである南部戦区の司令官に任命された。従来大戦区の司令官は常に陸軍から任命されており、袁誉柏の任命は海軍の地位上昇を象徴している。
兵役拒否
香港の『明報』1月26日付によれば、解放軍報は次のような内容の記事を掲載している。
「中国では兵役を拒否する青年が増加している。以前兵役拒否は経済が発達した豊かな都市だけの現象であったが、それが内陸部にも広がっている。これまで兵役拒否者に対しては内部だけで処理していたが、それが兵役拒否を助長させた。
2015年、山西省で兵役に就くことを拒否してハンストをした青年に対して11.5万元(約200万円)の罰金、すべての機関での雇用拒否、国外への出境・昇学・商業活動の禁止、共青団からの除名などの罰則を加え、さらに公表した。同様の処罰は上海市、浙江省、江蘇省、福建省などでも行われたが、それでも効果は上がらず、山西省では翌年また21人が拒否した。」
(短文)中国人民解放軍に関する話題
海軍司令官の交代呉勝利から沈金龍に交代していることが1月20日判明した。多維新聞同日付によれば、「沈金龍は南シナ海問題が白熱化した際南海艦隊を率いてデリケートな事件を処理したことと直接関係がある」と論評している。また沈金龍は艦隊司令官から海軍司令官に昇格した初めてのケースである由。
大戦区司令官に海軍から任命
北海艦隊の袁誉柏司令官が五大戦区の一つである南部戦区の司令官に任命された。従来大戦区の司令官は常に陸軍から任命されており、袁誉柏の任命は海軍の地位上昇を象徴している。
兵役拒否
香港の『明報』1月26日付によれば、解放軍報は次のような内容の記事を掲載している。
「中国では兵役を拒否する青年が増加している。以前兵役拒否は経済が発達した豊かな都市だけの現象であったが、それが内陸部にも広がっている。これまで兵役拒否者に対しては内部だけで処理していたが、それが兵役拒否を助長させた。
2015年、山西省で兵役に就くことを拒否してハンストをした青年に対して11.5万元(約200万円)の罰金、すべての機関での雇用拒否、国外への出境・昇学・商業活動の禁止、共青団からの除名などの罰則を加え、さらに公表した。同様の処罰は上海市、浙江省、江蘇省、福建省などでも行われたが、それでも効果は上がらず、山西省では翌年また21人が拒否した。」
2017.01.27
しかるに、1月24日、「米議会の承認なしには核の先制使用を禁止する」法案が提出された。提案者は上院のEdward Markey議員と下院のTed Lieu議員である。
これは興味深い提案だ。オバマ大統領が先制不使用宣言を提案した時、核軍縮を進めるために一つの有力な方策だとして賛成する人と、米国が先制不使用を宣言すると危険な行動を繰り返す北朝鮮などに対して核の抑止力に誤解を抱かせる恐れがあるとして反対する人に分かれ、結局オバマ大統領はその提案をあきらめた。現実的な判断だったのだろう。
しかるに、トランプ新政権の下では同じ先制不使用でも意味合いが非常に違ってきている。トランプ氏は大統領に就任以前、ツイッターで「世界の核に関する良識が戻るまで、米国は核能力を大いに強化・拡大(strengthen and expand)する必要がある」とつぶやき、その後でMSNBCテレビのインタビューで「軍拡競争だっていいじゃないか。米国は(敵対する国より)どんな場面でも優位に立つ」と語った。ただし、MSNBCはこの発言を放映しなかったそうだ。
トランプ氏の発言が人を驚かせることは多々あるが、この発言は核問題のデリケートさを理解している人たちでなくてもとんでもないことであり、トランプ氏は核軍縮競争だって辞さない考えだとみなされるだろう。ニューヨークタイムズ紙をはじめ多数の米メディアがいかに問題があるか、詳細に検討した結果を発表しているのは当然だ。
米議会での先制使用禁止法案はメディアとは別だが、トランプ氏による核の管理に非常な危機感を抱いている点では共通していると思われる。米国の核研究者には、核ミサイルの発射ボタンがトランプ氏の身近にあることに心底から恐怖感を抱いている者もいる。米国の大統領にそのような心配をするのは異常であり、失礼千万なことだが、トランプ氏については心配ないと言い切れないのだろう。
トランプ氏が恐れられているのは、何らかの間違いで発射ボタンを押すこと、つまり先制攻撃することであり、そこに制限をかけるのは検討に値することであり、make senseだと思う。この提案は、「核をサッカー場の外に出して蹴れないようにすることだ」とも言われている。
(短文)核の先制使用禁止提案とトランプ大統領
核の先制不使用宣言はオバマ前大統領が任期終了間近になって提案し、日本などが反対して取りやめになった構想である。しかるに、1月24日、「米議会の承認なしには核の先制使用を禁止する」法案が提出された。提案者は上院のEdward Markey議員と下院のTed Lieu議員である。
これは興味深い提案だ。オバマ大統領が先制不使用宣言を提案した時、核軍縮を進めるために一つの有力な方策だとして賛成する人と、米国が先制不使用を宣言すると危険な行動を繰り返す北朝鮮などに対して核の抑止力に誤解を抱かせる恐れがあるとして反対する人に分かれ、結局オバマ大統領はその提案をあきらめた。現実的な判断だったのだろう。
しかるに、トランプ新政権の下では同じ先制不使用でも意味合いが非常に違ってきている。トランプ氏は大統領に就任以前、ツイッターで「世界の核に関する良識が戻るまで、米国は核能力を大いに強化・拡大(strengthen and expand)する必要がある」とつぶやき、その後でMSNBCテレビのインタビューで「軍拡競争だっていいじゃないか。米国は(敵対する国より)どんな場面でも優位に立つ」と語った。ただし、MSNBCはこの発言を放映しなかったそうだ。
トランプ氏の発言が人を驚かせることは多々あるが、この発言は核問題のデリケートさを理解している人たちでなくてもとんでもないことであり、トランプ氏は核軍縮競争だって辞さない考えだとみなされるだろう。ニューヨークタイムズ紙をはじめ多数の米メディアがいかに問題があるか、詳細に検討した結果を発表しているのは当然だ。
米議会での先制使用禁止法案はメディアとは別だが、トランプ氏による核の管理に非常な危機感を抱いている点では共通していると思われる。米国の核研究者には、核ミサイルの発射ボタンがトランプ氏の身近にあることに心底から恐怖感を抱いている者もいる。米国の大統領にそのような心配をするのは異常であり、失礼千万なことだが、トランプ氏については心配ないと言い切れないのだろう。
トランプ氏が恐れられているのは、何らかの間違いで発射ボタンを押すこと、つまり先制攻撃することであり、そこに制限をかけるのは検討に値することであり、make senseだと思う。この提案は、「核をサッカー場の外に出して蹴れないようにすることだ」とも言われている。
2017.01.25
同報道官の記者会見に先立って、国務長官に指名されたティラーソン氏は米議会での審査において同様の問題意識から”The United States would not allow China access to islands it has built in the South China Sea, and upon which it has installed weapons systems and built military-length airstrips.”と述べており、その時は説明がよくなかったものとみなされ、大事にならずにすんでいた。
しかし、スパイサー報道官の発言は同じ趣旨であり、ティラーソン氏の説明が稚拙だったのではなく、ひょっとしたら新政権の姿勢を忠実に説明しているのではないかと記者が色めき立ったのである。
とくに注意をひいたのは、ティラーソンが「アクセスを許さない」とし、スパイサーが「中国が領土を取る(take over)のを防止する(prevent)」と述べたことであり、そんなことはいったい可能かと記者が問題視したのであった。本当にそうしようとすれば、かつてのキューバ危機のように海上封鎖が必要となり、そうなると中国と戦争になる恐れがある。だから「アクセスを許さない」などと軽々にいうべきではないと記者は思ったのであろう。厳密な論理的説明を求める米国人記者の姿勢にあらためて感心するが、ちょっと厳しすぎるのではないかという感じもある。
それはともかく、米国紙が南シナ海の問題についてそこまで深く関心を持つのは印象的なことだ。南シナ海で米中両国がどのような姿勢で臨むかは、尖閣諸島にも強く、直接と言ってもよいが、影響する問題である。
(短文)南シナ海問題に関する米新政権の立場
1月23日、新政権として初の大統領府記者会見でホワイトハウスのスパイサー報道官は、南シナ海問題に関する新政権の姿勢について、「中国がスプラトリー諸島などで国際法に違反して埋め立てや軍事施設建設の工事を行っていることは認められず、米国はしかるべき措置を取って対応する」という趣旨のコメントをしたのだと思うが、その具体的な説明ぶりには問題があり、「スパイサー報道官の説明通りであると紛争はエスカレートする恐れがある。それとも新政権の外交政策の説明ぶりとして不適切なのか」などと厳しく報道されている(ワシントン・ポスト紙1月24日付など)。スパイサー報道官が説明したのは、「米国は南シナ海の国際水域において中国が領土を取る(take over)のを防止する(the United States would prevent China from taking over territory in international waters in the South China Sea.)」ということであった。同報道官の記者会見に先立って、国務長官に指名されたティラーソン氏は米議会での審査において同様の問題意識から”The United States would not allow China access to islands it has built in the South China Sea, and upon which it has installed weapons systems and built military-length airstrips.”と述べており、その時は説明がよくなかったものとみなされ、大事にならずにすんでいた。
しかし、スパイサー報道官の発言は同じ趣旨であり、ティラーソン氏の説明が稚拙だったのではなく、ひょっとしたら新政権の姿勢を忠実に説明しているのではないかと記者が色めき立ったのである。
とくに注意をひいたのは、ティラーソンが「アクセスを許さない」とし、スパイサーが「中国が領土を取る(take over)のを防止する(prevent)」と述べたことであり、そんなことはいったい可能かと記者が問題視したのであった。本当にそうしようとすれば、かつてのキューバ危機のように海上封鎖が必要となり、そうなると中国と戦争になる恐れがある。だから「アクセスを許さない」などと軽々にいうべきではないと記者は思ったのであろう。厳密な論理的説明を求める米国人記者の姿勢にあらためて感心するが、ちょっと厳しすぎるのではないかという感じもある。
それはともかく、米国紙が南シナ海の問題についてそこまで深く関心を持つのは印象的なことだ。南シナ海で米中両国がどのような姿勢で臨むかは、尖閣諸島にも強く、直接と言ってもよいが、影響する問題である。
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