中国
2014.04.17
習近平主席が政治の安全をこのように高く位置づけたことは、広範な世論の注意を引いた。その場には習近平主席の他、李克強総理、張徳江全人代委員長と党、政、全人代のトップがそろって出席したこともあり、最近比較的平穏であった中国の政壇にちょっとした波乱が巻き起こった。15日の習近平講話を仔細に分析すれば、同人の国家安全観がはっきりするのではないかという人も居る。なお、習近平は副主席であった2012年7月、「世界和平論壇」の開幕式ですでに国家安全観を示唆していた(『多維新聞』4月15日)
習近平国家安全委員会主席の講話
4月15日、国家安全委員会の第1回会合が開催され、同委員会の習近平主席は、「国家の安全にかかわる情勢変化の特徴と趨勢を正確に把握し、国家の安全全体観を堅持し、中国の特色ある国家安全の道を歩まなければならない」「国家安全委員会の重要な使命は政治の安全を根本とし、経済の安定を基礎とし、軍事、文化、社会の安全を保障とすることである」と語った。習近平主席が政治の安全をこのように高く位置づけたことは、広範な世論の注意を引いた。その場には習近平主席の他、李克強総理、張徳江全人代委員長と党、政、全人代のトップがそろって出席したこともあり、最近比較的平穏であった中国の政壇にちょっとした波乱が巻き起こった。15日の習近平講話を仔細に分析すれば、同人の国家安全観がはっきりするのではないかという人も居る。なお、習近平は副主席であった2012年7月、「世界和平論壇」の開幕式ですでに国家安全観を示唆していた(『多維新聞』4月15日)
2014.04.11
かつて米中間では友好的な話し合いができたが、今は率直な歯話し合いをしている。9日に習近平がヘーゲルと会った際機微な問題は話さなかったが、中央軍事委員会の范長龍副主席が前日あった際には、ヘーゲル長官に対し面と向かって、米側は中国側の神経を逆なでし、「中国の人民は不満である」と批判した。世論は、中国軍が初めて東シナ海および南シナ海の争いの矛先を米国に向けたと驚いた。
しかし、だれもが知っているように、東シナ海と南シナ海の問題解決のカギを握っているのは米国であり、中国は、米国があれこれと介入してくることに不満であり、中米両国は東シナ海および南シナ海の問題について争ってきた。キャンベル国務次官補は昨年6月、カリフォルニアでのオバマ・習近平会談において習近平が日本を批判するのをオバマが差し止めたことを明らかにしたことがあった。したがって、今回の范長龍によるヘーゲル批判については、内容でなく、中国側がヘーゲルにかみついたこと(狼話)を大々的に公表したことが新しい点であった。
習近平は「中国の夢」を実現しようとしており、世界の大国となることが目標であるが、まずは地域の大国となることを目指している。しかるに、米国はアジア太平洋地域においてあれこれと介入し、中国の利益をかなり損なっている。
習近平は政権成立以来、大胆に脱米国化を進め、米国でなく周辺諸国との関係調整を外交の中心に据えてきた。国際政治においては、米国に対し、ノーと言い、中国流で行動している(展現中国方案)。経済においては、人民元の国際化を進め、IMFと世界銀行の投票権拡大に努めている。現在軍事面で強硬な姿勢を取っているのは、中国軍が脱米国化の大方針と自己の役割定義を緻密に求めることを調和させる(配合)ためである。
ヘーゲル長官の訪中
ヘーゲル米国防長官の訪中に関し、4月10日付の『多維新聞』は次のように論評している。かつて米中間では友好的な話し合いができたが、今は率直な歯話し合いをしている。9日に習近平がヘーゲルと会った際機微な問題は話さなかったが、中央軍事委員会の范長龍副主席が前日あった際には、ヘーゲル長官に対し面と向かって、米側は中国側の神経を逆なでし、「中国の人民は不満である」と批判した。世論は、中国軍が初めて東シナ海および南シナ海の争いの矛先を米国に向けたと驚いた。
しかし、だれもが知っているように、東シナ海と南シナ海の問題解決のカギを握っているのは米国であり、中国は、米国があれこれと介入してくることに不満であり、中米両国は東シナ海および南シナ海の問題について争ってきた。キャンベル国務次官補は昨年6月、カリフォルニアでのオバマ・習近平会談において習近平が日本を批判するのをオバマが差し止めたことを明らかにしたことがあった。したがって、今回の范長龍によるヘーゲル批判については、内容でなく、中国側がヘーゲルにかみついたこと(狼話)を大々的に公表したことが新しい点であった。
習近平は「中国の夢」を実現しようとしており、世界の大国となることが目標であるが、まずは地域の大国となることを目指している。しかるに、米国はアジア太平洋地域においてあれこれと介入し、中国の利益をかなり損なっている。
習近平は政権成立以来、大胆に脱米国化を進め、米国でなく周辺諸国との関係調整を外交の中心に据えてきた。国際政治においては、米国に対し、ノーと言い、中国流で行動している(展現中国方案)。経済においては、人民元の国際化を進め、IMFと世界銀行の投票権拡大に努めている。現在軍事面で強硬な姿勢を取っているのは、中国軍が脱米国化の大方針と自己の役割定義を緻密に求めることを調和させる(配合)ためである。
2014.04.05
○全人代・政治協商会議の閉幕に際して李克強首相が行なった記者会見で、周永康に関する質問は行われなかった。
○記者会見に先立って、参加する外国記者はその質問をしないよう警告されていた。もしその警告を無視すれば、ブラックリストに載せられ、以後質問できなくなると聞かされていたのである。また、当局によれば、経済に関する問題や改革について質問すれば、指名される機会が大きくなるということであった。
実際には15の質問が取り上げられたが、ほとんどすべてが対外関係と経済改革に関するものであった。
○周永康に関して李克強首相が記者会見で説明するというのは異例である。しかしながら、2年前には全く同じ状況の記者会見で、温家宝首相が薄熙来に関して異例の率直な攻撃を行なった。その翌日、薄熙来は政治局から追放され、その後裁判で終身刑を受けた。
多維新聞が約3週間もたってからSouth China Morning Postの記事を報道したのはなぜか。一つの可能性は、多維新聞として独自の情報源に確かめ、さらに一歩進んだ記事を書こうとしたが、それはうまくいかなかったということである。この多維新聞記事は、記者が事前に警告されていたことについて実質的には肯定に近いことを述べつつ、確認できないと一言追加している。
最近、周永康に対する追及が進んでいることが注目されている一方、あらたに李鵬前総理の身辺にも汚職追及の手が及んでいるという見方があり、多維新聞はそのことにも注目していた。今回の記事においても「油のトラ(周永康のこと)に関する風波がまだ収まらないうちに、電気のトラ(李鵬のこと)について波乱が起こっている」と述べている。
多維新聞は、習近平政権が李鵬に対する追及を始める可能性があることをかねてから示唆する報道を繰り返し行ってきたが、李鵬に問題があることを直接的に述べる一歩手前で止め、その娘などの言動に焦点を当てるだけにしているのは、李鵬があまりにも大物であることと、また、長老が、とくにトップレベルの摘発については、習近平政権にブレーキをかけている可能性があることの反映かもしれない。
周永康追及にブレーキか
前政治局常務委員の周永康に対する追及に関し、4月3日付の多維新聞(米国に本部がある中国語の新聞。中国の内政によく通じている)は3月13日付の香港紙South China Morning Postの記事を流している。この記事の要点は次のとおりである。○全人代・政治協商会議の閉幕に際して李克強首相が行なった記者会見で、周永康に関する質問は行われなかった。
○記者会見に先立って、参加する外国記者はその質問をしないよう警告されていた。もしその警告を無視すれば、ブラックリストに載せられ、以後質問できなくなると聞かされていたのである。また、当局によれば、経済に関する問題や改革について質問すれば、指名される機会が大きくなるということであった。
実際には15の質問が取り上げられたが、ほとんどすべてが対外関係と経済改革に関するものであった。
○周永康に関して李克強首相が記者会見で説明するというのは異例である。しかしながら、2年前には全く同じ状況の記者会見で、温家宝首相が薄熙来に関して異例の率直な攻撃を行なった。その翌日、薄熙来は政治局から追放され、その後裁判で終身刑を受けた。
多維新聞が約3週間もたってからSouth China Morning Postの記事を報道したのはなぜか。一つの可能性は、多維新聞として独自の情報源に確かめ、さらに一歩進んだ記事を書こうとしたが、それはうまくいかなかったということである。この多維新聞記事は、記者が事前に警告されていたことについて実質的には肯定に近いことを述べつつ、確認できないと一言追加している。
最近、周永康に対する追及が進んでいることが注目されている一方、あらたに李鵬前総理の身辺にも汚職追及の手が及んでいるという見方があり、多維新聞はそのことにも注目していた。今回の記事においても「油のトラ(周永康のこと)に関する風波がまだ収まらないうちに、電気のトラ(李鵬のこと)について波乱が起こっている」と述べている。
多維新聞は、習近平政権が李鵬に対する追及を始める可能性があることをかねてから示唆する報道を繰り返し行ってきたが、李鵬に問題があることを直接的に述べる一歩手前で止め、その娘などの言動に焦点を当てるだけにしているのは、李鵬があまりにも大物であることと、また、長老が、とくにトップレベルの摘発については、習近平政権にブレーキをかけている可能性があることの反映かもしれない。
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