平和外交研究所

中国

2014.03.17

習近平の軍制改革小組組長への就任

中央軍事委員会の深化国防・軍隊改革指導小組が設置され、その組長に就任した習近平によって、3月15日、第1回全体会議が開かれた。この小組の成立により、「深化改革」は政治、経済、文化、社会、環境(生態文明)の他、「党建改革(注 党建設改革という意味であろう)」と「国防・軍隊改革」に分けて行われることとなった。これを5+1+1の改革体制(改革架構)と呼んでいる(大公網、3月16日)。

習近平は総書記、国家主席、中央軍事委員会主席の他に、すでに「全面深化改革小組」、「国家安全委員会」、「インターネットの安全・情報化小組」の長に就任していたが、それに加え「国防・軍隊改革小組」の長をも兼ねることとなり、権力集中の傾向がさらに強くなった。

2014.03.15

習近平の権力闘争?

習近平主席が、年初以来、中央政法工作会議、中央規律検査委員会全体会議、中央農村工作会議のすべての会議で「党の政法工作に対する指導」を重要中の重要事と位置付け、「旗幟鮮明に党の指導を堅持し、思想上、政治上、行動上自覚して党中央と高度の一致を保持しなければならない。中国の特色ある社会主義のもっとも本質的な特徴は中国共産党の指導である」と述べ、また、その際厳粛な言葉で「党の政法工作に対する指導を堅持することをめぐって、我々は深刻(厳粛)な政治闘争に直面している」と述べたことが注目されている。
中国のハイレベルに近い人が多維新聞の記者に語ったそうである(多維新聞は米国に本部がある中立的な新聞で報道は3月14日)。

直訳調で読みにくいかもしれないが、要するに、党政軍の権力を掌握し、さらに「全面深化改革小組」「国家安全委員会」「インターネットの安全および情報化小組」すべての主任になるなど権力を一身に集中させている習近平が、なぜ「共産党の指導」を繰り返し強調し、「政治闘争」に直面しているなどと大げさなことを言っているのかということがポイントであろう。
習近平が言っているのは何のことか。あえて推測すれば、前政治局常務委員の周永康の処分はすでに決着がついているというのが多数の見方であるが、その背後にある江沢民や曾慶紅の抵抗が強くて最後の結末をつけるのに難儀しているいということかと思われる。これだけでは材料が乏しすぎるのでいたずらに想像をたくましくすべきでないか。

2014.03.09

習近平の新疆情勢に対する見方

習近平政権の対辺境政策とテロ対策に関する一問題

習近平主席は新疆ウイグル自治区の張春賢書記の仕事ぶりに不満であると噂されており、しかもそれはますます募っている。その背景には同自治区の安定をいかに維持していくかということと、テロをいかに防ぐかという二つの背景があるそうである(『多維新聞』3月5日付)。

張春賢については、処分の発表が近く行なわれると見られている周永康前政治局常務委員の下で仕事したことがあり、また、夫人が周永康と同じく中央テレビ局の司会者であったので周永康に近く、そのために習近平に疎んぜられているとする見方があるが、それは正しくない。次のような事情がある。
○張春賢の新疆ウイグル自治区書記就任は政治局の決定によることであり、習近平自身が同人をウルムチへ連れて行った。周永康によって引き立てられたのではない。
○中央は新疆を重視しており、王楽泉前書記が失敗したので張春賢が情勢を立て直してくれるよう強い期待を抱いていた。
○習近平は、2013年後半に開かれた中央新疆工作会議で新疆工作を批判し、現地で解決することを原則とするという重要提案を行なった。しかし、最近の北京と昆明での連続テロ事件は、新疆での工作が効果を上げられず、また、現地で問題を解決できず、外へ問題が流れ出していることを示していた。習近平はこのような状況に不満である。
○春節前、中央は指導者が春節期間中にどこを訪問するか、予定を立てるなかで、習近平にはどこか辺境地域に行ってもらうことを提案した。新疆に行くことも一案であったが、そうすると新疆での工作について積極的に見ている意味合いが出てくるので、習近平は内蒙古を訪問した。

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