平和外交研究所

中国

2013.11.23

中国のフィリピン支援

11月8日、台風30号の直撃で被災したフィリピンに対し、中国は当初、政府と赤十字がそれぞれ10万ドルの支援金を送ることにしたが、米国の2千万ドル、日本の1千万ドルとくらべ100分の1、あるいは50分の1であり、世界第2位の経済大国としてあまりに少なすぎると海外のメディアから批判され、中国は1千万元(約160万ドル)相当の物資を追加支援することを14日、表明した。
さらに中国は、すでに派遣していた病院船に加え、大型のドック型揚陸艦も派遣することにした。これは22日明らかになったことである。
これらのことは、中国が諸外国の中国に対する見方に敏感であることを示す好例である。しかも、支援の追加とほぼ同時期に、中国の人気サイト「騰訊網」がネット上で行なったアンケート結果が発表されたところ、「援助すべきでない」との反対意見が回答者全体の84%と圧倒的多数を占めた。中国人のこのような厳しい姿勢は、両国が南シナ海の領有権問題で対立していることが背景にあると共同電はコメントしている。まったくその通りだと思う。
中国の国民が不親切だからではなく、また、海外の声に無頓着なためでない。彼らは東日本大震災の時にいろいろと支援してくれたし、緊急援助隊を派遣してくれた。また、中国人は、外国が中国についてどのように語るか、日本人以上に気を使う。
フィリピンの被災に対する中国の態度から読み取れることの一つは、フィリピンに関して中国人が得る情報があまりに偏っており、領土紛争を起こしているのはフィリピンであると一方的に教えられてきたため、中国としてフィリピンを助けようという気持ちにならず、中国政府がフィリピンに支援の手を差し伸べようとすることが理解できないことである。情報操作によりフィリピンを悪者にしたのは中国にとって都合がよかったのかもしれないが、その結果がブーメランのように跳ね返ってきて、中国政府の方針と齟齬をきたすようになったのである。
もう一つ重要なことは、諸外国が中国について抱くイメージが中国を動かした、つまり、政治力でも、軍事力でも、経済力でもないソフトパワーが中国政府を突き動かしたことである。
おりしも、11月14日の米尔网(軍関係の情報が詳しい)は、18期3中全会を終えてあらためて軍の在り方を説く一文を掲載しており、そのなかで、中国が尖閣諸島問題に関して孤立する恐れが述べられている。尖閣諸島については、中国は強引な態度を取っているという印象が強いが、その実、外国の出方を強く気にしているのである。ソフトパワーが外交において重要になりつつあるのは中国も例外でない。

2013.11.16

雑記 10月以降

三中全会改革決定の起草グループの組長は習近平、副組長は宣伝担当の劉雲山と張高麗で李克強は入っていなかった。
江沢民の2人の子の紹介
王岐山 規律検査委員会で実権を掌握(多維1102)
軍内でも整風(多維20131018)
李鵬の娘、李小琳の保険公司との関係の内幕(多維20131019)
季建業は誰に引き立てられたのか(新華網20131019)大虎は誰だ(ツイッター)
胡錦涛が初めて「科学発展観」理論を打ち出したのは2003年の16期三中全会だ(多維2013517)。
毛沢東生誕120周年に集まったのは暇人ばかり(明報20131021)
毛を懐かしんだ(大公報20131021)
民主生活会、民主集中制に関する記事多い(大公報1019 共識網1005など)
チンキの子、陳小魯 文革の反省(明報 1028)
本文摘自《快乐老人报》2013年10月24日第16版 作者:佚名 原题为:新中国成立后邓小平遭遇7次暗杀
香港のバレー団とドイツのバレー団共催のプログラム中に文革に触れた部分があったことで紛糾(明報1030)
左右派再辩“毛泽东独裁”论(多維1028)

2013.11.08

中国の海外逃避者、失踪者の数

幹部の失踪、海外逃避、自殺などの数字に関し、11月2日付の多維新聞は、中央紀律検査委員会の統計数字が中国内のインターネットに出回っていると報道している。真偽のほどは確かではなく、また、説明が必要な数字もあるが、今後の中国ウォッチのために多維新聞の報道のまま記録として残しておこう。

「最近、統計資料がネットに出回っている。失踪者6528人、海外逃避者8371人、自殺者1252人である。
これに先立って、「央行網」サイトは、90年代中期以来、党政の幹部、公安、司法の幹部、国営企業の幹部などのうち、海外へ逃避した者、失踪者は1万6千人から1万8千人にのぼり、持ち逃げした資金は8千億人民元に上ると報道していた。
「裸官(海外に家族を先に出し、後でそこへ逃避する者)」による持ち逃げについては4千億元という数字もある。また、その人数は1995年から2005年の間で118万人に上ると言われている。
海外へ逃避する者が再び増え始めたのは現政権が腐敗撲滅に力を入れているからであろう。中国民航の消息筋によれば、2012年、北京空港から出国した逃避者は354人であった。」

以上が多維新聞の報道であるが、海外逃避が118万人に上ることは他の文献でもよく引用される(『21世紀の中国 政治・社会篇』203頁など)。

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