中国
2013.11.08
「最近、統計資料がネットに出回っている。失踪者6528人、海外逃避者8371人、自殺者1252人である。
これに先立って、「央行網」サイトは、90年代中期以来、党政の幹部、公安、司法の幹部、国営企業の幹部などのうち、海外へ逃避した者、失踪者は1万6千人から1万8千人にのぼり、持ち逃げした資金は8千億人民元に上ると報道していた。
「裸官(海外に家族を先に出し、後でそこへ逃避する者)」による持ち逃げについては4千億元という数字もある。また、その人数は1995年から2005年の間で118万人に上ると言われている。
海外へ逃避する者が再び増え始めたのは現政権が腐敗撲滅に力を入れているからであろう。中国民航の消息筋によれば、2012年、北京空港から出国した逃避者は354人であった。」
以上が多維新聞の報道であるが、海外逃避が118万人に上ることは他の文献でもよく引用される(『21世紀の中国 政治・社会篇』203頁など)。
中国の海外逃避者、失踪者の数
幹部の失踪、海外逃避、自殺などの数字に関し、11月2日付の多維新聞は、中央紀律検査委員会の統計数字が中国内のインターネットに出回っていると報道している。真偽のほどは確かではなく、また、説明が必要な数字もあるが、今後の中国ウォッチのために多維新聞の報道のまま記録として残しておこう。「最近、統計資料がネットに出回っている。失踪者6528人、海外逃避者8371人、自殺者1252人である。
これに先立って、「央行網」サイトは、90年代中期以来、党政の幹部、公安、司法の幹部、国営企業の幹部などのうち、海外へ逃避した者、失踪者は1万6千人から1万8千人にのぼり、持ち逃げした資金は8千億人民元に上ると報道していた。
「裸官(海外に家族を先に出し、後でそこへ逃避する者)」による持ち逃げについては4千億元という数字もある。また、その人数は1995年から2005年の間で118万人に上ると言われている。
海外へ逃避する者が再び増え始めたのは現政権が腐敗撲滅に力を入れているからであろう。中国民航の消息筋によれば、2012年、北京空港から出国した逃避者は354人であった。」
以上が多維新聞の報道であるが、海外逃避が118万人に上ることは他の文献でもよく引用される(『21世紀の中国 政治・社会篇』203頁など)。
2013.11.05
中国で起こっていることであり、中国政府の行動に関する出来事であるにもかかわらず、自らの取材結果に基づき報道するのでなく、共同通信、さらにはBBCによりながら伝えていること自体、他の国ではまずありえないが、『大公報』としては、この問題があまりにもデリケートなので2重の保険をかけざるをえなかったのであろう。中国ウォッチャーの間では常識である。
さらに、なぜ朱教授が拘束されたのかについて、共同電では、ある中国人が、朱教授は学術研究目的で中国に来て調査活動を行なっており、中国軍の関係者に面会し、軍事情報に関わることを聞こうとしたので当局から情報収集について疑いをかけられたのであろうと語ったことを報道しているが、これとは異なる可能性があるとして、遠藤誉東京福祉大学教授(幼少時に中国から引き揚げてきた。中国に関する著書多数)の次の談話(これも共同電であり、後に雑誌『Will』に掲載された)を紹介している。
「朱教授が拘束されたのはスパイ行為を疑われたためではない。容疑は50年間公表が禁止されている公文書を社会科学院の研究者から入手し、定期的に送ってもらっている『参考消息』と一緒に郵送し、公開したことである」。
大公報は以上の記事を次のように締めくくっている。これは大公報自身の言葉であり、朱教授に対し、慎重に対処するよう求めた警告かもしれない。
「朱教授が日本へ戻ると、事件の真相について各方面から説明を求められるだろうが、朱教授自身にとっても何が起こったのか謎かもしれない。中国および中国人に対する不信に満ちている日本で、この謎のため、朱は日本での工作と生活環境について永遠に疑いをかけられるかもしれない。」
朱建栄に関する大公報の記事
中国へ行ったまま数ヶ月間消息を絶っている朱建栄教授に関して、11月5日の『大公網』(香港の中国系新聞『大公報』のネット版)は、前日の「共同通信社電」を引用した「BBC中国網」をさらに引用する形で、近日中に同教授が囚われの身から釈放される可能性があると報道している。中国で起こっていることであり、中国政府の行動に関する出来事であるにもかかわらず、自らの取材結果に基づき報道するのでなく、共同通信、さらにはBBCによりながら伝えていること自体、他の国ではまずありえないが、『大公報』としては、この問題があまりにもデリケートなので2重の保険をかけざるをえなかったのであろう。中国ウォッチャーの間では常識である。
さらに、なぜ朱教授が拘束されたのかについて、共同電では、ある中国人が、朱教授は学術研究目的で中国に来て調査活動を行なっており、中国軍の関係者に面会し、軍事情報に関わることを聞こうとしたので当局から情報収集について疑いをかけられたのであろうと語ったことを報道しているが、これとは異なる可能性があるとして、遠藤誉東京福祉大学教授(幼少時に中国から引き揚げてきた。中国に関する著書多数)の次の談話(これも共同電であり、後に雑誌『Will』に掲載された)を紹介している。
「朱教授が拘束されたのはスパイ行為を疑われたためではない。容疑は50年間公表が禁止されている公文書を社会科学院の研究者から入手し、定期的に送ってもらっている『参考消息』と一緒に郵送し、公開したことである」。
大公報は以上の記事を次のように締めくくっている。これは大公報自身の言葉であり、朱教授に対し、慎重に対処するよう求めた警告かもしれない。
「朱教授が日本へ戻ると、事件の真相について各方面から説明を求められるだろうが、朱教授自身にとっても何が起こったのか謎かもしれない。中国および中国人に対する不信に満ちている日本で、この謎のため、朱は日本での工作と生活環境について永遠に疑いをかけられるかもしれない。」
2013.11.01
中国は民衆の声を吸い上げ、その不満に対処するため、「信訪」(手紙による直訴)および「上訪」(上京しての直訴)の制度を設けているが、あまり機能していない。訴えようとする人が北京へ行っても、強制的に連れ戻されるなど、悪辣な役人はあの手この手で妨害しており、権力も金もない民衆は結局泣き寝入りさせられることが多いそうである。
一方、巡視組は中央から行政機関や地方政府へ派遣される。「上訪」などとは逆の方法で民衆の不満を和らげる制度である。2003年に創設され、中央規律検査委員会と中央組織部の監督下に置かれている。我が国の金融検査に類似していると言えば分りやすいかもしれない。しかし、いまだに腐敗の根は絶てないことを見れば、この制度もどのくらい効果的であるが疑問の余地はあるが、上海市長の陳良宇を摘発したのも巡視組だったそうである(中国の百科サイト「百度百科」)。
現在行われているのは巡視組派遣の第2陣であり、いくつかの組に分かれている。そのうちの1つは「中国三峡集団」(三峡ダム建設のため設立された公司)に派遣され、また、商務部にも新華社にもそれぞれ別の巡視組が派遣されている。
第2陣の巡視対象は、山西、吉林、安徽、湖南、広東、雲南の各省、新華社、国土資源部、商務部、三峡集団であり、第1陣とほぼ同数である。期間は2ヵ月。
百度百科は「2013年は密に派遣されている」と解説している。つまり、習近平政権はこれを多用しているのである。
第1陣の巡視組が派遣された貴州省では、省共産党委員会常務委員の廖少華が摘発された。その際調査にあたった巡視組組長は、まだ権力とカネを取引する指導者がいる、と語ったそうである。
「巡視組」の相次ぐ派遣
中国は最近「巡視組」を中央、地方の各機関に派遣している。指導者の不適切なふるまいに関する手紙、電報、訴えなどを受理し、とくに幹部の選抜・任用に関する訴えについて調査し、対応することが主要な任務である。三中全会を控えての事前準備を兼ねていると思われる。中国は民衆の声を吸い上げ、その不満に対処するため、「信訪」(手紙による直訴)および「上訪」(上京しての直訴)の制度を設けているが、あまり機能していない。訴えようとする人が北京へ行っても、強制的に連れ戻されるなど、悪辣な役人はあの手この手で妨害しており、権力も金もない民衆は結局泣き寝入りさせられることが多いそうである。
一方、巡視組は中央から行政機関や地方政府へ派遣される。「上訪」などとは逆の方法で民衆の不満を和らげる制度である。2003年に創設され、中央規律検査委員会と中央組織部の監督下に置かれている。我が国の金融検査に類似していると言えば分りやすいかもしれない。しかし、いまだに腐敗の根は絶てないことを見れば、この制度もどのくらい効果的であるが疑問の余地はあるが、上海市長の陳良宇を摘発したのも巡視組だったそうである(中国の百科サイト「百度百科」)。
現在行われているのは巡視組派遣の第2陣であり、いくつかの組に分かれている。そのうちの1つは「中国三峡集団」(三峡ダム建設のため設立された公司)に派遣され、また、商務部にも新華社にもそれぞれ別の巡視組が派遣されている。
第2陣の巡視対象は、山西、吉林、安徽、湖南、広東、雲南の各省、新華社、国土資源部、商務部、三峡集団であり、第1陣とほぼ同数である。期間は2ヵ月。
百度百科は「2013年は密に派遣されている」と解説している。つまり、習近平政権はこれを多用しているのである。
第1陣の巡視組が派遣された貴州省では、省共産党委員会常務委員の廖少華が摘発された。その際調査にあたった巡視組組長は、まだ権力とカネを取引する指導者がいる、と語ったそうである。
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