平和外交研究所

中国

2014.09.01

中国雑記 8月31日まで

○8月22日、新華社は国家発展改革委員会財政金融部の張東生前部長が取り調べを受けたことを報道した。この部は企業債の発行を許可する部署である。張東生はその許可の過程で不正を働いた嫌疑をかけられているようである。
本件は反腐敗運動の火が金融部門にまで及びつつあることを示している。反腐敗の元締めである王岐山政治局常務委員は金融界の出身であり、今後その知識を使ってどんな暴露をし、運動を進めていくか注目される(『多維新聞』8月22日)。
○諸方面からの情報によると、北京市は課長級(处级)以上の幹部については、私用での出国は原則として許可しないこととするそうである。特殊な場合には厳格な審査を経て許可を受けることが可能である。さらに多くの単位では、課長級以上の幹部に私用旅券を提出させ、集中管理している。(『北京青年報』8月29日)
○8月29日開催された政治局会議で国営企業の責任者の給与体系を改革し、厳格に管理する方針が採択された。会議を主催したのは習近平主席であった(新華社8月29日)。

2014.08.30

軍内の習近平派

多維新聞8月30日付は、軍内の習近平派について次のようなことを報道している。

○軍内では許其亮、張又侠、房峰輝、劉源および劉亜洲の「五虎将」が習近平に近い人たちである。これらの人はいわゆる「紅二代」として習近平との関係が密接である。
○10月に開催される四中全会(中央委員会第4回全体会議)でこの5人は中央軍事委員会に入り、許其亮、張又侠および劉源は副主席に、劉亜洲は国防部長に、房峰輝は総参謀長に就任する。副主席にはこのほか劉福廉、総政治部長に張揚、総装備部長に蔡英挺などが就任する。
○劉少奇の子、劉源は習近平の盟友であり(ともに太子党)、現在総後勤部の政治委員として軍内の反腐敗運動に参謀的役割を果たした。その功績は非常に大きい。
○現国防大学の政治委員の劉亜洲は、インタビューに応じ、敏感な問題である政治闘争に言及し、中共政権の命運は清朝末期よりも悲惨である、巨大な内部闘争の危機があるなどと論じた。

2014.08.27

イスラム国での中国の評判

約2ヵ月前のブログで、「最近、イスラム教徒の間には中国が敵だという声が強くなっているという指摘もある」と書いたが、この文章は遠慮し過ぎであった。香港の『鳳凰週刊』は8月9日、「ISIS、数年後に新疆ウイグルの占領を計画、中国を『復讐ランキング』首位に」と題した記事を掲載し、それを12日の新華社日本語版が転載している。
ISISは言わずと知れた「イスラム国」であり、イラク政府はもちろん米国にとっても頭の痛い問題となっている。英国出身の戦士が米国人記者を処刑し、その模様をインターネットに流すというおぞましい行為が行なわれているのもイスラム国である。
鳳凰テレビは日本ではフェニックス・テレビとして知られている。香港を拠点としているが、海外で中国の代弁をしっかりやっている。先日中国機が米軍機に異常接近したので米国防省の記者会見で米側が中国機による危険行為を指摘すると、同テレビの記者は逆に、米国は中国に対してスパイ行為をしているではないかと食って掛かったことがあった。前置きが長くなったが、『鳳凰週刊』はつぎのように記している。

「史上初のイスラム国家のテロ組織ではないものの、アフガンにイスラム国を実現させるというタリバンの目標に対し、ISISの目標はもっと壮大で、カリフの伝統を主張している。イスラム世界の歴史において、カリフはムハンマド・イブン=アブドゥッラーフの継承者。全世界のムスリムで首領として崇められている。
ISISは数年後に西アジア、北アフリカ、スペイン、中央アジア、インドから中国・新疆ウイグル自治区までを占領する計画を立てている。「中国、インド、パキスタン、ソマリア、アラビア半島、コーカサス、モロッコ、エジプト、イラク、インドネシア、アフガン、フィリピン、シーア派イラク、パキスタン、チュニジア、リビア、アルジェリア。東洋でも西洋でもムスリムの権利が強制的に剥奪されている。中央アフリカとミャンマーの苦難は氷山の一角。われわれは復讐しなければならない!」と表明、その筆頭に中国を挙げている。
バグダッドでの声明では何度も中国と新疆ウイグル自治区に言及し、中国政府の新疆政策を非難。中国のムスリムに対し、全世界のムスリムのように自分たちに忠誠を尽くすよう呼び掛けている。」

イスラム国は米軍の爆撃に激しく反発しているが、これを見ると、米国だけが突出してイスラム国の敵になっているのではなさそうである。

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