平和外交研究所

中国

2014.09.20

中国の利益集団

「利益集团:全面深化改革の最大の利益集团:全面深化改革の最大の障害」と題する記事が9月18日、共識網の中国欄に掲載されたが、すぐに削除された。それを高橋博氏が「胡耀邦史料信息網」に転載されているのを発見した。削除されるだけの内容である。

○11期3中全会(改革開放政策を決定した)以来、中国は「天地を覆すほどの(翻天覆地的)」変化を遂げたが、改革開放によって人が利益をむさぼる問題も発生した。今日、改革に抵抗しようとするさまざまな利益集団が現れたこのこともその一つである。
○中国の政治体制の下では人民が主であり、経済制度においては公有制の社会主義国家と人民の根本利益は一致するはずであるが、利益集団が跋扈しており、そのような理想とはかけ離れた状況になっている。
○三大利益集団がある。腐敗官僚を代表とする「権貴利益集団」、腐敗官僚が掌握する国家独占企業を代表とする「独占利益集団」および不動産業や資源関係の企業を代表とする「不動産・資源利益集団」である。主体別にみると、七大利益集団がある。強力な政府の官僚、地方政府の官僚、国有企業のハイレベル管理者、多国籍企業とその代理人、不動産開発業者、民営企業と民営資本家および利益集団に依存している学者・専門家である。
○中国の全面的深化改革を妨げる最大の障害は利益集団である。改革は利益の再調整に他ならない。利益集団の固有の領域に介入するので強力な抵抗に遭う。必死になって改革に抵抗する利益集団は手段を択ばない。
○現在異なる分野の利益集団が連合して改革に抵抗している。その実態は一般人の予想をはるかに越えている。利益集団が一つだけならば怖くないが、連合して抵抗するので怖い。
○現在、全面的深化改革の円滑な実施が妨げられているだけでなく、30年間の改革の成果をもほとんど破壊しそうになっている。

2014.09.03

中国の権力派閥

『多維新聞』9月1日付は、中国の権力派閥について次のように論じている。

今日の中国では、習近平を始めとする「太子党」と李克強をかしらとする共産主義青年団の系統(共青団派)が中央と地方の権力を握っている。経験豊富な官僚が再び重視され、過去二十年間政界で重きをなしていた石油系統の者、地方閥の官吏は、反腐敗運動のなかで、あるいは年齢が理由で続々と失脚している。地方閥の者が政治勢力を形成する傾向は中国の政治が現代化に向かって進む中で姿を消しつつある。毛沢東が「団結派」であったならば、習近平は「派閥破壊派」であり、中国は「無党無派」時代に入りつつある。

1989年から2012年の共産党第18回全国代表大会までは、中国の政界は「太子党」「共青団派」および「上海閥」の3大派閥によって動かされてきた。同大会はそのような観点の分析が最高潮に達した時であり、9人から7人に減少した政治局常務委員についてもそのような分析が行なわれた。習近平はもとより、張徳江(人民代表大会委員長)は建国の功労者であった高級軍人張志毅の子、兪正声の父母はともに建国の功労者、王岐山は姚依林元副総理の女婿であり、党大会の頃、「太子党」は中央を牛耳り、「共青団派」は地方を支配した、などと言われた。

しかし、「太子党」を政治結社のように考えるのは妥当でない。統一された政治綱領も主張もない。いずれも出身がよいということだけであるが、これらの人は政治権力の安定を支えている。彼らを結び付けるのは、共産党の赤い国の色が変色しない保証であり、彼らこそが中国を建設し、親の世代からの功績を引き継ぐことができる。

「共青団派」は党内の幹部が若年化していることを表している。第18回党大会以降を見れば、李克強は首相に、元党組織部長の李源朝は国家副主席に、湖南省委員会書記の周強成は最高検察院院長に、広東省委員会の書記であった汪洋は国務院副総理になるなど「共青団派」が枢要な地位についているのは事実であり、そのため胡錦濤以下の「共青団派」が巻き返したなどと言われた。中央の幹部が若返っているのは時代のせいであるが、李克強が彼らを率いて習近平に忠誠を誓えば、習近平もそれに応えるであろうし、そうなると「太子党」と「共青団派」が協力してどのように中国を動かすかということが中国政治の注目点となろう。

一方、「上海閥」「山東閥」「山西閥」という言い方は現在も存在している。しかし、現在山西には反腐敗の大々的取り締まりが始まっている。上海、山東、河北の出身者はまだ多いが、習近平政権の下でこれら「地方閥」が生き残る空間は次第に縮小している。

2014.09.01

中国雑記 8月31日まで

○8月22日、新華社は国家発展改革委員会財政金融部の張東生前部長が取り調べを受けたことを報道した。この部は企業債の発行を許可する部署である。張東生はその許可の過程で不正を働いた嫌疑をかけられているようである。
本件は反腐敗運動の火が金融部門にまで及びつつあることを示している。反腐敗の元締めである王岐山政治局常務委員は金融界の出身であり、今後その知識を使ってどんな暴露をし、運動を進めていくか注目される(『多維新聞』8月22日)。
○諸方面からの情報によると、北京市は課長級(处级)以上の幹部については、私用での出国は原則として許可しないこととするそうである。特殊な場合には厳格な審査を経て許可を受けることが可能である。さらに多くの単位では、課長級以上の幹部に私用旅券を提出させ、集中管理している。(『北京青年報』8月29日)
○8月29日開催された政治局会議で国営企業の責任者の給与体系を改革し、厳格に管理する方針が採択された。会議を主催したのは習近平主席であった(新華社8月29日)。

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