オピニオン
2016.09.06
中国は国家の威信にかけ盛大なイベントに仕立て上げた。立派な会議場を新築したのもその表れだが、とくに開会式は素晴らしいものとした。杭州は昔から有名な景勝の地であり、開会式の舞台としてうってつけであるが、きれいなところばかりでない。大気汚染は深刻だし、周辺にはみすぼらしい民家もある。そこで、中国政府は付近の工場の操業を一時的に停止させ、大気をきれいにした。北京で国際会議が開催される場合に行われている対処方法だ。また、みすぼらしい住宅は強制的に撤去した。西湖を舞台にした開会式を演出したのは、北京オリンピックの演出で有名な映画監督、張芸謀であり、中国は世界の賓客にその力を見せつけるのに成功したようだ。
もともと、G20は1999年、財務大臣・中央銀行総裁会議から始まった。1997年にアジアの金融危機が起こり、各国が共同して対処する必要があったためだ。2008年にはリーマンショックがきっかけとなり、G20の首脳会議が開催されるようになり、以後毎年開かれている。1年に2回開催されたこともある。今回の杭州サミットは第11回目だった。
日本はサミットも財務大臣・中央銀行総裁会議もホストしたことがない。なぜそうなったか。詳しい事情をすべて承知しているわけではないが、日本はG7などの一員であることが影響しているかもしれない。
実は、2008年、日本はG7(当時はG8)の議長国であり、それと関連付けてG20サミットを開催しようと試みたが、これは成立せず、結局米国が第1回のサミットを開催した。
当時、もう一つの注目すべき状況があった。G20サミットは実務的に開催するのがよい、大々的な歓迎式典は必要でないと思われていたのだ。麻生首相(当時)は成田空港で開催すればよいという考えであったと後に国会で答弁している。
この時の雰囲気と比べると、中国の杭州サミットは実に派手な演出となり、国家の威信にかけて開催するという性格が強くなった。G20サミットは今後どうなるか。杭州サミット式に盛大な演出をするのか、それとももっと実務的なものに戻すのか。ホスト国の考え次第だが、中国以上に派手なサミットはどの国もできないのではないかと思う。
日本がこれまでサミットも、財務大臣・中央銀行総裁会議もホストしたことがないのは経緯のあることで、問題だと考える必要はないが、G7のメンバー国でG20サミットを開催したことがない国は、日本のほかドイツとイタリアしかいない。しかし、ドイツは2017年のG20サミットをホストすることとなった(その次はアルゼンチン)ので、残るはイタリアと日本だけとなる。
会議でどのような議論が行われるか、各国は世界的な問題についてどのような貢献をするか、などは会議のホストとは関係ないことだが、今後日本として検討すべきことの一つだろう。
(短評)G20杭州サミット
9月4~5日、中国の杭州市でG20首脳会議が開催された。参加国の数は多い。また、この会議の前後に、あるいは並行して2国間の会議が開かれるので全体の状況はかなり複雑だが、一つ印象に残ったことを記しておく。中国は国家の威信にかけ盛大なイベントに仕立て上げた。立派な会議場を新築したのもその表れだが、とくに開会式は素晴らしいものとした。杭州は昔から有名な景勝の地であり、開会式の舞台としてうってつけであるが、きれいなところばかりでない。大気汚染は深刻だし、周辺にはみすぼらしい民家もある。そこで、中国政府は付近の工場の操業を一時的に停止させ、大気をきれいにした。北京で国際会議が開催される場合に行われている対処方法だ。また、みすぼらしい住宅は強制的に撤去した。西湖を舞台にした開会式を演出したのは、北京オリンピックの演出で有名な映画監督、張芸謀であり、中国は世界の賓客にその力を見せつけるのに成功したようだ。
もともと、G20は1999年、財務大臣・中央銀行総裁会議から始まった。1997年にアジアの金融危機が起こり、各国が共同して対処する必要があったためだ。2008年にはリーマンショックがきっかけとなり、G20の首脳会議が開催されるようになり、以後毎年開かれている。1年に2回開催されたこともある。今回の杭州サミットは第11回目だった。
日本はサミットも財務大臣・中央銀行総裁会議もホストしたことがない。なぜそうなったか。詳しい事情をすべて承知しているわけではないが、日本はG7などの一員であることが影響しているかもしれない。
実は、2008年、日本はG7(当時はG8)の議長国であり、それと関連付けてG20サミットを開催しようと試みたが、これは成立せず、結局米国が第1回のサミットを開催した。
当時、もう一つの注目すべき状況があった。G20サミットは実務的に開催するのがよい、大々的な歓迎式典は必要でないと思われていたのだ。麻生首相(当時)は成田空港で開催すればよいという考えであったと後に国会で答弁している。
この時の雰囲気と比べると、中国の杭州サミットは実に派手な演出となり、国家の威信にかけて開催するという性格が強くなった。G20サミットは今後どうなるか。杭州サミット式に盛大な演出をするのか、それとももっと実務的なものに戻すのか。ホスト国の考え次第だが、中国以上に派手なサミットはどの国もできないのではないかと思う。
日本がこれまでサミットも、財務大臣・中央銀行総裁会議もホストしたことがないのは経緯のあることで、問題だと考える必要はないが、G7のメンバー国でG20サミットを開催したことがない国は、日本のほかドイツとイタリアしかいない。しかし、ドイツは2017年のG20サミットをホストすることとなった(その次はアルゼンチン)ので、残るはイタリアと日本だけとなる。
会議でどのような議論が行われるか、各国は世界的な問題についてどのような貢献をするか、などは会議のホストとは関係ないことだが、今後日本として検討すべきことの一つだろう。
2016.09.01
詳しくは、次に問い合わせください。
「大野木昇司 onogi@jcesc.com、onogish@yahoo.co.jp
日中環境協力支援センター有限会社 取締役
北京大野木環境コンサルティング有限公司 社長」
(記事内容)
現在中国内での製造業環境管理関係者の注目点は、2015年1月1日の改定版
環境保護法とそれに伴う罰則強化、2016年1月1日の改定版とそれに伴うVOC
(揮発性有機化合物)廃ガス規制強化、土壌汚染防止行動計画(通称、土十
条)による土壌汚染防止法の制定(2018年頃の見込み)、CO2排出規制など
であろう。これらも当然重要であり、10月セミナーでも解説する予定である
が、しかしこれだけではウォッチは不充分である。中国環境規制は、日本で
は報じられていない大きな変革の流れがいくつもあり、今後その対応が必要
になってくる。
・規制緩和と規制強化
国務院は現在、経済刺激策の一環として、また経済構造転換のため、規制
緩和を進めている。具体的には審査を廃止して届出制にしたり、中央審査を
地方審査にしたり、管理制度そのものをなくしたりしている。標準分野では
「強制標準の整理・統合・簡素化」、「企業標準の自己宣言公開制度化」が
進んでいる。環境分野でもこの流れにあり、例えば企業上場前環境審査を廃
止し、中国版PRTRとも称される危険化学品環境管理登記弁法を廃止した。
その一方で、汚染排出規制については大幅に強化している。排出基準値は
今や日本より厳しく、排出量に対して課金する汚染排出費制度、個別工場向
け総量規制の導入といった制度面のみならず、今までは甘かった環境制度運
用の厳格化、立入検査等取締り強化、日数罰金等処罰強化なども進めている。
・環境アセス制度の改革
環境汚染を有効に改善できない要因の一つに環境アセス制度の不徹底が挙
げられていた。環境汚職の温床ともなっていたが、環境大臣交代により停滞
していた環境アセス制度改革が加速した。具体的には、環境アセス有資格事
業者の行政組織からの分離、計画環境アセス強化、小影響事業の審査制から
届出制への変更による大中影響事業へのリソース集中、環境アセス報告書の
情報公開等が挙げられる。
・環境諸制度を排出許可証主体の環境管理制度に統合
これまでバラバラにできていた環境アセス、排出申告、排出許可証、総量
規制、濃度規制、排出費、排出権取引などの環境諸制度を、「排出許可証」
を軸とした環境管理制度に統合する方向性を、環境保護省が打ち出した。こ
れまで以上に総量規制が強調されることになり、汚染型産業はゼロエミッシ
ョン対策をせざるを得なくなっている。総量規制を理由に工場の新設・拡張
が許可されない事例が増えているのもこの流れを受けたものである。
・全包囲網的な環境監視
最近の環境規制は行政による強制力の強化のみならず、経済界や住民の力
を活用した環境監視強化などの全包囲網的な環境監視に特徴がある。
行政系の強制力には立入検査等取締り、公安機関との連携、司法機関との
連携、オンラインモニタリング強化(ビッグデータ、IoT等の影響で大きく
強化される見込み)等がある。
経済界を活用した環境監視には環境責任保険(保険会社による環境リスク
の査定あり)、企業環境信用制度、グリーンサプライチェーン制度等がある。
住民の力を活用した環境監視には環境情報公開、住民通報、市民参加、公
益訴訟等がある。
・グリーン製造工場
国務院「中国製造2025」の一環として「グリーン製造工場」の方針が打ち
出された。これは、単なる排出規制ではなく、製造工程そのもののエコ化・
グリーン化を指す。具体的には原材料・エネルギー・水の使用効率向上、汚
染排出とCO2排出原単位の改善、環境・省エネ・リビルド産業の振興、有毒
有害物質の代替、エネルギーや産業廃棄物のリサイクル推進、エコデザイン
・拡大生産者責任制、LCA徹底化、クリーンエネルギーへの転換、工業団地
単位でのエコ化などである。
排出規制は環境保護省の専権事項であるが、製造工程での環境対策や省エ
ネはむしろ工業・情報化省や国家発展改革委員会の担当となっており、中国
の環境行政だけを見て環境管理していれば見落とすことになる。
・多種の環境ラベルを大統合へ
中国には現在、環境ラベル認証制度が乱立している。代表的なものだけで
エネルギー効率ラベル、環境ラベル、環境ラベル低炭素認証、省エネ(節
水)製品ラベル、低炭素製品認証、リサイクルラベル、中国RoHS、トップラ
ンナー制度、エネ効率スターラベル等がある。さらにカーボンフットプリン
ト、製品エコデザイン制度も検討されている。省庁ごとの利権もあって乱立
状態となったが、今では行政側も業務重複による浪費となり、メーカー側も
それぞれ認証を取得すればコストがかさみ、一般消費者も選ぶのに苦労する
ことになるなど弊害が目立つようになった。2014年にようやくこれらのラベ
ル・認証制度を大統合する方針が示された。現在、環境ラベル大統合に向け
た検討が進められている。
中国の環境規制緩和と規制強化
日中環境協力支援センター有限会社の『中国環境・化学品・エネルギーレポート』 2016年8月31日付号外に中国の環境政策について参考になる記事が掲載されているので同社の許可を得て下記のとおり転載します。詳しくは、次に問い合わせください。
「大野木昇司 onogi@jcesc.com、onogish@yahoo.co.jp
日中環境協力支援センター有限会社 取締役
北京大野木環境コンサルティング有限公司 社長」
(記事内容)
現在中国内での製造業環境管理関係者の注目点は、2015年1月1日の改定版
環境保護法とそれに伴う罰則強化、2016年1月1日の改定版とそれに伴うVOC
(揮発性有機化合物)廃ガス規制強化、土壌汚染防止行動計画(通称、土十
条)による土壌汚染防止法の制定(2018年頃の見込み)、CO2排出規制など
であろう。これらも当然重要であり、10月セミナーでも解説する予定である
が、しかしこれだけではウォッチは不充分である。中国環境規制は、日本で
は報じられていない大きな変革の流れがいくつもあり、今後その対応が必要
になってくる。
・規制緩和と規制強化
国務院は現在、経済刺激策の一環として、また経済構造転換のため、規制
緩和を進めている。具体的には審査を廃止して届出制にしたり、中央審査を
地方審査にしたり、管理制度そのものをなくしたりしている。標準分野では
「強制標準の整理・統合・簡素化」、「企業標準の自己宣言公開制度化」が
進んでいる。環境分野でもこの流れにあり、例えば企業上場前環境審査を廃
止し、中国版PRTRとも称される危険化学品環境管理登記弁法を廃止した。
その一方で、汚染排出規制については大幅に強化している。排出基準値は
今や日本より厳しく、排出量に対して課金する汚染排出費制度、個別工場向
け総量規制の導入といった制度面のみならず、今までは甘かった環境制度運
用の厳格化、立入検査等取締り強化、日数罰金等処罰強化なども進めている。
・環境アセス制度の改革
環境汚染を有効に改善できない要因の一つに環境アセス制度の不徹底が挙
げられていた。環境汚職の温床ともなっていたが、環境大臣交代により停滞
していた環境アセス制度改革が加速した。具体的には、環境アセス有資格事
業者の行政組織からの分離、計画環境アセス強化、小影響事業の審査制から
届出制への変更による大中影響事業へのリソース集中、環境アセス報告書の
情報公開等が挙げられる。
・環境諸制度を排出許可証主体の環境管理制度に統合
これまでバラバラにできていた環境アセス、排出申告、排出許可証、総量
規制、濃度規制、排出費、排出権取引などの環境諸制度を、「排出許可証」
を軸とした環境管理制度に統合する方向性を、環境保護省が打ち出した。こ
れまで以上に総量規制が強調されることになり、汚染型産業はゼロエミッシ
ョン対策をせざるを得なくなっている。総量規制を理由に工場の新設・拡張
が許可されない事例が増えているのもこの流れを受けたものである。
・全包囲網的な環境監視
最近の環境規制は行政による強制力の強化のみならず、経済界や住民の力
を活用した環境監視強化などの全包囲網的な環境監視に特徴がある。
行政系の強制力には立入検査等取締り、公安機関との連携、司法機関との
連携、オンラインモニタリング強化(ビッグデータ、IoT等の影響で大きく
強化される見込み)等がある。
経済界を活用した環境監視には環境責任保険(保険会社による環境リスク
の査定あり)、企業環境信用制度、グリーンサプライチェーン制度等がある。
住民の力を活用した環境監視には環境情報公開、住民通報、市民参加、公
益訴訟等がある。
・グリーン製造工場
国務院「中国製造2025」の一環として「グリーン製造工場」の方針が打ち
出された。これは、単なる排出規制ではなく、製造工程そのもののエコ化・
グリーン化を指す。具体的には原材料・エネルギー・水の使用効率向上、汚
染排出とCO2排出原単位の改善、環境・省エネ・リビルド産業の振興、有毒
有害物質の代替、エネルギーや産業廃棄物のリサイクル推進、エコデザイン
・拡大生産者責任制、LCA徹底化、クリーンエネルギーへの転換、工業団地
単位でのエコ化などである。
排出規制は環境保護省の専権事項であるが、製造工程での環境対策や省エ
ネはむしろ工業・情報化省や国家発展改革委員会の担当となっており、中国
の環境行政だけを見て環境管理していれば見落とすことになる。
・多種の環境ラベルを大統合へ
中国には現在、環境ラベル認証制度が乱立している。代表的なものだけで
エネルギー効率ラベル、環境ラベル、環境ラベル低炭素認証、省エネ(節
水)製品ラベル、低炭素製品認証、リサイクルラベル、中国RoHS、トップラ
ンナー制度、エネ効率スターラベル等がある。さらにカーボンフットプリン
ト、製品エコデザイン制度も検討されている。省庁ごとの利権もあって乱立
状態となったが、今では行政側も業務重複による浪費となり、メーカー側も
それぞれ認証を取得すればコストがかさみ、一般消費者も選ぶのに苦労する
ことになるなど弊害が目立つようになった。2014年にようやくこれらのラベ
ル・認証制度を大統合する方針が示された。現在、環境ラベル大統合に向け
た検討が進められている。
2016.08.29
ドゥテルテ大統領は果たしてどのように中国との関係を処理するか。中国の持っている切り札は経済援助だが、新政権下で経済状況はどうなっているか。
米国に本拠地がある中国語の多維新聞8月27日付は次のような趣旨の論評を行っている。同新聞は中国政府の監督下にないが、中国がドゥテルテ大統領をどのように見ているかを知る参考になる。
「フィリピンにおける最近の世論調査ではドゥテルテ大統領の支持率は91%に達している。
ドゥテルテは大統領になってからも極端な発言を続けており、対外面では米国や国連にも、また中国にも厳しいことを口にしている。中国とは「最も強硬に対応するため準備している」などと言うこともあるが、実際には中国と対話する方針であり、中国側をいたずらに刺激しないように努めている。「中国と互恵の関係を築くことが最重要だ」とも述べている。
フィリピンの経済界のドゥテルテに対する評価は180度変わった。世界の主要紙はこの点に注目していない。
選挙期間中ドゥテルテは経済政策について語らなかったので、経済界の人たちは憂慮していた。しかし、経済面でのドゥテルテ大統領の行動は穏健で秩序だったものである。インフラ建設を重視し、国民生活重視の政策を進め、各地を回り投資の誘致に努めている。法人税を軽減した。教育への支出を増加した。
ドゥテルテは攻撃的言論のせいで騒ぎを起こすこともあるが、積極的な効果を上げている。移動電話業者に対してサービス価格を下げるよう要請し、従わなければ外資に対する制限を撤廃すると警告した。その効果は顕著に表れている。
治安は大幅に改善した。ドゥテルテ政権成立以来フィリピンでは1800人余りの人が麻薬取引の関係で死んだ。そのうち712例は警察の職務執行の結果であった。経済界はドゥテルテが人権を軽視していると思っているが、今後さらなる経済発展のための条件ができつつあり、民間投資も増加していることは認識しており、ドゥテルテ政権に対する期待は大きくなっている。今や経済界はドゥテルテ大統領を認めたと言えるだろう。」
(短文)ドゥテルテ・フィリピン大統領に対する中国系新聞の評価
南シナ海や東シナ海問題で各国と対立する中国は東南アジア諸国の支持を増やそうと躍起になっている。なかでもフィリピンのドゥテルテ大統領は中国との対話を重視する姿勢を見せていたため、6月末に発足した新政権に対する働きかけを強め、仲裁裁判の判決が出る前、裁判の取り下げをフィリピン政府に要求したこともあった。ドゥテルテ大統領は果たしてどのように中国との関係を処理するか。中国の持っている切り札は経済援助だが、新政権下で経済状況はどうなっているか。
米国に本拠地がある中国語の多維新聞8月27日付は次のような趣旨の論評を行っている。同新聞は中国政府の監督下にないが、中国がドゥテルテ大統領をどのように見ているかを知る参考になる。
「フィリピンにおける最近の世論調査ではドゥテルテ大統領の支持率は91%に達している。
ドゥテルテは大統領になってからも極端な発言を続けており、対外面では米国や国連にも、また中国にも厳しいことを口にしている。中国とは「最も強硬に対応するため準備している」などと言うこともあるが、実際には中国と対話する方針であり、中国側をいたずらに刺激しないように努めている。「中国と互恵の関係を築くことが最重要だ」とも述べている。
フィリピンの経済界のドゥテルテに対する評価は180度変わった。世界の主要紙はこの点に注目していない。
選挙期間中ドゥテルテは経済政策について語らなかったので、経済界の人たちは憂慮していた。しかし、経済面でのドゥテルテ大統領の行動は穏健で秩序だったものである。インフラ建設を重視し、国民生活重視の政策を進め、各地を回り投資の誘致に努めている。法人税を軽減した。教育への支出を増加した。
ドゥテルテは攻撃的言論のせいで騒ぎを起こすこともあるが、積極的な効果を上げている。移動電話業者に対してサービス価格を下げるよう要請し、従わなければ外資に対する制限を撤廃すると警告した。その効果は顕著に表れている。
治安は大幅に改善した。ドゥテルテ政権成立以来フィリピンでは1800人余りの人が麻薬取引の関係で死んだ。そのうち712例は警察の職務執行の結果であった。経済界はドゥテルテが人権を軽視していると思っているが、今後さらなる経済発展のための条件ができつつあり、民間投資も増加していることは認識しており、ドゥテルテ政権に対する期待は大きくなっている。今や経済界はドゥテルテ大統領を認めたと言えるだろう。」
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