平和外交研究所

中国

2014.05.09

女性ジャーナリストの逮捕

中国の女性ジャーナリスト高瑜が4月24日に拘束された(新華社は5月8日に発表)。高瑜は機密文書をあるサイトを通じて海外へ流した嫌疑をかけられ、また、そのことを自白したそうである。

多維新聞(5月8日付)や明報(9日付)などによると、意識形態(思想)面での防衛戦は必要であるが、当局の発表には不明確な点が多々ある。表面的には当局の行動は合理的に見えるが、その裏では政治的な問題が隠れている。
薛蛮子のペンネームで知られる実業家、薛必群が買春の疑いで逮捕されたのが例であり、同人は社会問題に関心を持ち、微博で児童誘拐防止を呼び掛け、投資家、芸能人にも賛同するよう働きかけたことが当局の不興を買った。薛蛮子や高瑜のように社会的影響力の大きい人物は「大V」と呼ばれ、当局はそれを標的にして言論の統制強化を図っている。
高瑜が流したのは中共中央の「第9号文件」であり、言論の自由を厳しく取り締まった「七不講(7つの話題にしてはならないこと)」、すなわち普遍的価値、新聞の自由、公民社会、公民の権利、中国共産党の歴史の過ち、権貴資産階級、司法の独立を口にすることを禁止した文献である。この文献はニューヨークタイムズや香港の『明鏡月刊』、明報などですでに報道されており、高瑜が逮捕されるよりはるかに前からかんかんがくがく議論されていた。

2014.05.08

北京市インターネット安全情報化小組の設置

2月27日に中央インターネット安全情報化指導小組が成立して以来、江西、陝西に続いて北京市も同様の小組を設置した(大公報 5月8日)。
おそらくその他の省自治区でも今後このような組織を設置していくのであろう。これはインターネットをコントロールするための組織であり、習近平政権言論統制強化の一環である。

2014.05.05

五四運動記念日の習近平の北京大学訪問

5月4日は約百年前の有名な五・四運動の記念日であり、習近平主席は運動の起点となった北京大学を訪問した。しかし、しかし、大学は完全に封鎖され、学生証や身分証明書を所持したものでなければ入校を禁止された(多維新聞4月5日)。
ちょうど1か月後の6月4日は天安門事件が起こった記念日であり、最近その再評価、とくに学生デモを「動乱」とした評価を改める声が高まっており、民主化運動に発展する可能性がある。習近平主席の北京大学訪問は、1919年の抗日・反帝国主義の大衆運動は、本当は大々的に記念したいが、天安門事件の再評価から民主化運動が再発することについては警戒せざるをえない。つまり、同じ学生でもデモ五四運動はよいが、天安門事件はよくないのである。習近平主席の北京大学訪問はそのような微妙な状況を反映している。

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