平和外交研究所

中国

2013.12.09

中国雑記11月初め~12月9日

○最近,人民日报出版社が『从红小鬼到总书记——胡耀邦』を出版。12月初め報道。
○12月3日、政治局会議で2014年経済工作を「分析研究」、全国土地調査結果を聴取。
○改革計画策定のための会議が12月9日の週に開催。非公開。12月7日、人民網
○11月末から12月初めにかけ、法輪功関連サイトは周永康と家族(特に息子)の逮捕が近いことを報道。台湾の聯合報、多維新聞も。
○中央組織部、『关于进一步规范党政领导干部在企业兼职(任职)问题的意见』を通知。新华网10月30日。
○「最近、国防大学、総政治部保衛部、総参謀三部、社会科学院、中国現代関係研究所が合同で推薦していた反米ビデオ「較量無声」は国内ですでにアクセスできなくなった」「同ビデオはソ連の解体の過程において米国は鍵となる役割を果たした」「このビデオは米国による反中国姿勢を表している」11月1日、多维新闻。 

2013.12.08

習近平の政治姿勢

最近、習近平の政治傾向を論じる評論が散見される。12月3日の多維新聞、6日の何清漣論文(『文摘』への寄稿)などもその例である。
何清漣は、「習近平政権は成立して1年を超えた。その政治的傾向はしだいに明確になっており、中国の政治に幻想を抱く外国の人たちはそのことを直視しなければならない」という書き出しで、「習近平は強圧的な人物(強勢人物)である」「国内ではお世辞が多く、実際には使われないが、「専制、独裁」が鍵であり、すべての評論はこの二語をめぐって組み立てられており、習近平を毛沢東および鄧小平と対比している」「諸外国では、先入観から離れられずに中国も政治改革、民主化に向かう、問題はいつ実現するかに過ぎないと思っているが、習近平には政治改革を実行する意思など少しもない」「習近平は権力基盤が安定するのを待ち障害を除去した後政治改革に取り掛かるという見方が中国の内外にあるが、そのような見方は減少する一方である。習近平は、中国共産党はあくまで中国の特色ある社会主義の道を歩むということを世界に示している。前任の江沢民や胡錦涛に比べ習近平が態度で示したことはより大きな自信であり、政治手腕はより強勢的である」などと論じている。
多維新聞などは、習近平を祭り上げようとする傾向に注目し、「習近平を擁護し、信じ、支持することが必要とし、共産党の指導を失えば天下は大乱となる(注 習近平自身の言葉)ことなどを強調しており、「習近平を信ずれば、これからも大丈夫(得永生)」といっている感がある」「「祖国が亡くなれば何もかもダメになる(没有了祖国你将什么都不是)」と言うが、これは海外にいる子弟が偉大な祖国を思う言葉に過ぎない」「新華社電のみならず、国内の諸メディアがそのような安っぽい文章を頻々と流しているのを見ると、心配になる。中共内部でまた新しい「造神運動」でもあるまいし(难道中共党内又开始了新一波“造神运动)」。
この他、中国では「天命論」「公僕論」と呼ばれる議論もあるそうだ。前者は社会主義中国を天命とし、後者は官僚は公僕であることを強調するもので、いずれも習近平あるいはその取り巻きが重視することを揶揄っているようにも解される。

2013.12.04

「東海防空識別区」に関する中国国防部の説明

「東海防空識別区」に関して、12月3日、中国国防部のスポークスマンが発表した談話の意味を考えてみた。

防空識別区域と飛行禁止区域は別物であり、前者は、航空機が「国際法により認められている飛行の自由に影響を与えない」ことを強調している。
「東海防空識別区」を中国としてどのように管理するかについては、「通常の状況では、飛行計画の通報とレーダーの応答による識別を行なう。必要があれば、軍機をスクランブル発進させ識別(注 原文は「識別査証」)を行なう。具体的にいずれの方法を取るかは、飛行する航空機が軍用か民用か、その問題性(原文は「威嚇」)の程度および距離などの諸要素を勘案して確定する。対象の航空機が脅威でないと判断されればスクランブル発進は必要でなくなるが、必要に応じ監視は継続する。一定程度脅威であることが判明すれば、軍機を適時にスクランブル発進させることになる」。
以上が説明で強調されたことであり、内容的には当たり前のことを述べているが、当初の居丈高なトーンでないことが特徴的である。
一方、民間の航空機が飛行計画を提出することについては、それがどこの国の防空識別区域でも行なわれていることであり、飛行の自由を制限するものでないことを強調しつつ、「ある国の政府だけは、民間の航空会社に対して飛行計画を中国側に提出しないよう圧力をかけている」「中国が通過する航空機に対して飛行計画と関連の情報の提供を求めているのは飛行の安全を保証し、有害な飛行と誤解されることを回避するためである」「ある国の政府が通報しないという立場にこだわるのは無益であり、一種無責任な態度である」と述べている。これはもちろん日本政府の批判であるが、日本だけが問題であるという印象を強調していることが特徴的である。
では、日本であれ、その他の第三国であれ、その航空機が中国側に通報することなく「東海防空識別区」内を飛行した場合中国側としてどう対応するかについては、「必要に応じた措置を取る」という上記の方針以外明確でない。中国当局が民間航空機の通常の飛行であると判断すれば監視だけであろうが、もし、中国にとって危険な飛行であると誤解すれば、軍機のスクランブル発進を含め強い措置が取られる可能性がある。
以上のことは「東海防空識別区」だけに特有のことではないという中国側の主張は国際的に理解されうるものである。しかし、それが尖閣諸島の上空を含んでいることについては、日本側のみならず国際的にも認められるものでない。今回の措置が通常の国際慣行にしたがっているというのは部分的には正しいが、他国の領土の上空を含めているのは説明不可能であろうし、中国側の説明は事実その点には何らふれていない。今回の一見物分かりのよい対外説明のキーポイントはその点にある。

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