中国
2014.01.11
○2013年の中国の貿易総額は米国を抜いて世界第1位になったことが、2014年1月10日発表された中国貿易統計から明らかとなった。前年比7.6%増で、4兆1603億ドルになったということである。米国の統計は未発表であるが、増加傾向から判断して中国に追い抜かれたのはほぼ確実だそうである。中国の貿易総額が日本を抜いたのが約10年前、中国がWTOに加盟した2001年の時点では、貿易総額は約5千億ドルで米国の4分の1であった。
○安倍首相は1月9日日本を出発し、オマーン、コートジボワール、モザンビーク、エチオピアの4カ国を歴訪中である(11日現在)。これに外国のメディアが注目しており、そのなかに中国の影響力との比較が出てくる。もちろん東アジア情勢を考慮しての評論家らしいコメントであるが、中国はすでにアフリカ諸国に進出してそのプレゼンスは巨大なものとなっており、日本の首相が歴訪しても効果は上がらないのではないかというようなことを言っている。
効果があるかどうかはもっと広い観点から見なければならず、首相の中東・アフリカ訪問は有意義であると思うが、中国の存在が日本や欧米諸国と比較にならないくらい大きくなっているのは事実である。たとえば、アフリカでは万の台の中国人が居留している国が多いが、日本はそれより二けた少ない百の台であり、旧宗主国の仏英などは日本より多少多いかもしれないが大した差ではない。これは居留民の数であるが、一事が万事。アフリカ諸国では、各国の大使がよるとさわると中国のことが話題になるそうである。
○済州島に移住した外国人は、2013年9436人から1万1935人と、26.5%増加した。済州島の人口は約55万人だから、まだ2%程度であるが、伸び率は高いので目につく。こうなったのは、済州島が2010年から投資目的の移民を受け入れるようになり、5億ウォン(約4600万円)以上の不動産を済州島で購入し、5年間売却しなければ永久居民権が得られるようになったからである。
なかでも中国人の移住者は急増しており、2013年の増加率は46.1%で4968人となった。ダントツである。当然中国人のプレゼンスが目立つようになり、島のあちこちに中国語の文字が現れている。
これに対して、環境破壊の観点からと、済州島固有の文化が影響され、消えてしまうのではないかという懸念からの反対が起こり、政府に対して投資移民受け入れ政策を再考するよう求める声が出ているが、政府当局は中国資本による経済効果は大きいと反論している。
○中国の人と資本による大規模な進出は他の地域でも起こっており、太平洋諸島などにも、またアイスランドにも中国パワーが押し寄せている。ほっておくと飲み込まれてしまうので、アイスランドは土地の売却を拒否した。
シベリアと中国の東北部が接する沿海地方では中国人が国境を越えてロシア領に入り、農業などに従事している。資本進出はまだ多くないようだが、いずれ増加してくるであろう。この一帯ではロシア側では人口希薄、中国側では労働力が豊富なるので、そのような傾向が出てくるのは合理的でもあるが、モスクワでは中国脅威論が高まっている。
土地を知的サービスに置き換えてみても、同様の傾向がうかがわれる。たとえばハーバード大学で多数の中国人留学生が学んでおり、「まるで中国共産党幹部養成の分校になっている」と揶揄されることもある。
医療サービスの面では、米国への出産ツアーが注目される。裕福な中国人女性が医療設備のよい米国の病院で出産すれば、米国籍も獲得できるので二重のメリットがあるということだ。まだ絶対数は小さいが、やはり急増しているようである。
中国の巨大さ
中国が大国であることをあらためて見せつける事実が最近立て続けに起こっている。○2013年の中国の貿易総額は米国を抜いて世界第1位になったことが、2014年1月10日発表された中国貿易統計から明らかとなった。前年比7.6%増で、4兆1603億ドルになったということである。米国の統計は未発表であるが、増加傾向から判断して中国に追い抜かれたのはほぼ確実だそうである。中国の貿易総額が日本を抜いたのが約10年前、中国がWTOに加盟した2001年の時点では、貿易総額は約5千億ドルで米国の4分の1であった。
○安倍首相は1月9日日本を出発し、オマーン、コートジボワール、モザンビーク、エチオピアの4カ国を歴訪中である(11日現在)。これに外国のメディアが注目しており、そのなかに中国の影響力との比較が出てくる。もちろん東アジア情勢を考慮しての評論家らしいコメントであるが、中国はすでにアフリカ諸国に進出してそのプレゼンスは巨大なものとなっており、日本の首相が歴訪しても効果は上がらないのではないかというようなことを言っている。
効果があるかどうかはもっと広い観点から見なければならず、首相の中東・アフリカ訪問は有意義であると思うが、中国の存在が日本や欧米諸国と比較にならないくらい大きくなっているのは事実である。たとえば、アフリカでは万の台の中国人が居留している国が多いが、日本はそれより二けた少ない百の台であり、旧宗主国の仏英などは日本より多少多いかもしれないが大した差ではない。これは居留民の数であるが、一事が万事。アフリカ諸国では、各国の大使がよるとさわると中国のことが話題になるそうである。
○済州島に移住した外国人は、2013年9436人から1万1935人と、26.5%増加した。済州島の人口は約55万人だから、まだ2%程度であるが、伸び率は高いので目につく。こうなったのは、済州島が2010年から投資目的の移民を受け入れるようになり、5億ウォン(約4600万円)以上の不動産を済州島で購入し、5年間売却しなければ永久居民権が得られるようになったからである。
なかでも中国人の移住者は急増しており、2013年の増加率は46.1%で4968人となった。ダントツである。当然中国人のプレゼンスが目立つようになり、島のあちこちに中国語の文字が現れている。
これに対して、環境破壊の観点からと、済州島固有の文化が影響され、消えてしまうのではないかという懸念からの反対が起こり、政府に対して投資移民受け入れ政策を再考するよう求める声が出ているが、政府当局は中国資本による経済効果は大きいと反論している。
○中国の人と資本による大規模な進出は他の地域でも起こっており、太平洋諸島などにも、またアイスランドにも中国パワーが押し寄せている。ほっておくと飲み込まれてしまうので、アイスランドは土地の売却を拒否した。
シベリアと中国の東北部が接する沿海地方では中国人が国境を越えてロシア領に入り、農業などに従事している。資本進出はまだ多くないようだが、いずれ増加してくるであろう。この一帯ではロシア側では人口希薄、中国側では労働力が豊富なるので、そのような傾向が出てくるのは合理的でもあるが、モスクワでは中国脅威論が高まっている。
土地を知的サービスに置き換えてみても、同様の傾向がうかがわれる。たとえばハーバード大学で多数の中国人留学生が学んでおり、「まるで中国共産党幹部養成の分校になっている」と揶揄されることもある。
医療サービスの面では、米国への出産ツアーが注目される。裕福な中国人女性が医療設備のよい米国の病院で出産すれば、米国籍も獲得できるので二重のメリットがあるということだ。まだ絶対数は小さいが、やはり急増しているようである。
2014.01.09
○『21世紀経済報道』紙(比較的独立傾向の「財新」グループの1つ)が1月2日、李克強首相でなく劉雲山(政治局常務委員、宣伝工作が長かった)が「深化改革小組」の第1副組長になることを示唆する報道。これだけで李国強に問題が発生していると断定するのは早すぎるが、見過ごすべきでない一事実。
○大公報(12月24日)など各紙、1人っ子政策を修正する三中全会での決定にしたがい、「单独两孩政策(夫婦のどちらかが1人っ子の場合、2人までの子供を持つことが認められる)」が検討されていることを報道。
○12月29日、広東省警察は武装警察と協力し、麻薬製造の一大拠点となっている陸豊市博社村を急襲。18の麻薬販売組織を摘発、容疑者182人を逮捕し、覚せい剤3トン弱、原料23トンを押収した(各紙)。この村は悪名高い麻薬関係組織で、過去何回か政府は取締りに失敗したと言われている。
○昨年の9月30日に徐才厚(総政治部主任、中国共産党中央政治局委員、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席を歴任。最終階級は上将)が1年ぶりに姿を現したという報道を2014年1月2日の大公報が報道した。何の意味があるのか?
○新華網1月2日、四川省政治協商会議主席の李崇禧が汚職容疑で職務を解任されたことを報道。汚職摘発に関しては多数の事件が報道されている。これは比較的ハイレベル。
中国雑記 2014年1月9日まで
○2013年12月26日は毛沢東生誕120周年記念日。「ネット上で毛支持派と否定派が激しく論争している。今年の記念日は異常である。外国のメディアが「毛誕節(中国語でクリスマスは「聖誕節」これをもじった言葉)」と呼んだことについても両派は賛否両論を戦わしている」(環球網12月23日)。言うまでもないが、最近の毛思想見直しの傾向を反映している。○『21世紀経済報道』紙(比較的独立傾向の「財新」グループの1つ)が1月2日、李克強首相でなく劉雲山(政治局常務委員、宣伝工作が長かった)が「深化改革小組」の第1副組長になることを示唆する報道。これだけで李国強に問題が発生していると断定するのは早すぎるが、見過ごすべきでない一事実。
○大公報(12月24日)など各紙、1人っ子政策を修正する三中全会での決定にしたがい、「单独两孩政策(夫婦のどちらかが1人っ子の場合、2人までの子供を持つことが認められる)」が検討されていることを報道。
○12月29日、広東省警察は武装警察と協力し、麻薬製造の一大拠点となっている陸豊市博社村を急襲。18の麻薬販売組織を摘発、容疑者182人を逮捕し、覚せい剤3トン弱、原料23トンを押収した(各紙)。この村は悪名高い麻薬関係組織で、過去何回か政府は取締りに失敗したと言われている。
○昨年の9月30日に徐才厚(総政治部主任、中国共産党中央政治局委員、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席を歴任。最終階級は上将)が1年ぶりに姿を現したという報道を2014年1月2日の大公報が報道した。何の意味があるのか?
○新華網1月2日、四川省政治協商会議主席の李崇禧が汚職容疑で職務を解任されたことを報道。汚職摘発に関しては多数の事件が報道されている。これは比較的ハイレベル。
2014.01.07
しかるに三中全会から日も浅い時点で、一部の新聞が、国防部は「統一作戦司令部」の設置を決めたと断定的に報道したのに対し、国防部のスポークスマンは11月28日の定例記者会見でそれを否定した経緯があった。
その後一部の新聞が「国防部は連合作戦司令部を将来の適当な時期に設立することにしており、その準備を始めている」と、今度は設立の時期をぼかした報道をしたのに対し、年が明けて早々の5日、国防部はそれも「根拠のない報道である」と完全否定した。
事実関係はそれだけのことであるが、国防部の非常に神経質な反応は、軍内でこの決定がまだ行われていないだけでなく、陸軍などが承服せず微妙な問題になっていることをうかがわせるものである。
人民解放軍の統一司令部設立問題
昨年秋の三中全会いらい人民解放軍の指揮系統を統一する問題が注目されている。人民解放軍は歴史的経緯から陸海空の三軍がバラバラであり、そのなかでは陸軍の力が圧倒的に強く、中枢機能である総政治部、総参謀部、総後勤部および総装備部も陸軍に置かれてきたが、近年海空両軍の重要性が飛躍的に高まり、統一的に軍を運用することが必要になったのにともない、3軍を統一指揮のもとに置き、総参謀部なども陸軍ではなく3軍の上に置くことが課題となっている。しかるに三中全会から日も浅い時点で、一部の新聞が、国防部は「統一作戦司令部」の設置を決めたと断定的に報道したのに対し、国防部のスポークスマンは11月28日の定例記者会見でそれを否定した経緯があった。
その後一部の新聞が「国防部は連合作戦司令部を将来の適当な時期に設立することにしており、その準備を始めている」と、今度は設立の時期をぼかした報道をしたのに対し、年が明けて早々の5日、国防部はそれも「根拠のない報道である」と完全否定した。
事実関係はそれだけのことであるが、国防部の非常に神経質な反応は、軍内でこの決定がまだ行われていないだけでなく、陸軍などが承服せず微妙な問題になっていることをうかがわせるものである。
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