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2015.09.11

(短文)破壊されたシリアの原子炉の後始末

 2007年9月、イスラエルによって破壊されたシリアのAl Kibar原子炉の跡地は2012年から13年にかけ「自由シリア軍」の支配地域に入ったが、2014年夏からイスラム過激派組織ISが占領した。現在、ISはそこを掘り返しており、何のために、何をしようとしているのか注目されている。
 ISIS imagery Brief, “Syria’s Unresolved Nuclear Issues Reemerge in Wake of ISIL Advance and Ongoing Civil War “ by David Albright, Serena Kelleher-Vergantini, and Sarah Burkhard, June 30, 2015は、「シリアが爆撃以前に使っていたウラニウムや関連施設が現在どうなったか不明であり、北朝鮮に渡った可能性がある。まだシリアにあるとしても闇市場に出回ることもあり、そうなるとISが入手するかもしれない。このほか、ダマスカスから東9マイルの距離にMarj as Sulţān siteという、かつてウラン濃縮が行われていた場所で、反政府軍の支配下に入り、政府軍が爆撃して破壊した施設跡があるが、2014年6月のグーグル地図では変化はなかった」と論じている。
2015.09.05

(案内)抗日戦争記念式典にかける習近平の大国化戦略

9月5日、東洋経済ONLINEに「中国「抗日勝利70年式典」、覆い隠せぬ矛盾」が掲載されました。
2015.07.28

(短評)ベトナムの対外姿勢

 ベトナムはフィリピンと並んで、中国による南シナ海での拡張的行動の影響を直接受けている。2014年の5月から7月にかけ、中国は西沙(パラセル)諸島沖で大型石油掘削装置を投入し、抗議するベトナム船と中国船が衝突を繰り返した。また、ベトナム国内でも中国に抗議するデモが一部暴徒化して死者が出るなど、両国は鋭く対立した。
 ベトナムにとって最大の対外問題は中国との関係であり、軍事的には劣勢にあるが、中国に対して弱みは見せない。かつて米国と戦っても負けることなく、ついには南ベトナムと米軍をインドシナ半島から追い払った敢闘精神は中国との関係でも衰えていない。 
 しかし、ベトナムは中国の隣国。歴史的に関係が深く、経済面でも中国と密接な関係にあり、ベトナムとしては中国と対立・衝突しても関係を破壊してはならないことをよく承知しているようである。
 最近、ベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長の活発な外交活動が注目された。
 2015年4月、同書記長は中国を訪問し、大歓迎を受けた。
 それから3カ月後の7月には米国を訪問した。政府の肩書はなく、共産党の書記長として米国に受け入れられたのであり、オバマ大統領はホワイトハウスの執務室、オーバル・ルームで同書記長と会見するなど厚遇した。
 ベトナムは近年経済改革(ドイモイ)を進め、日本などの投資先として注目されているが、現在でも共産党しか合法政党はなく、完全な一党独裁国である。しかし、グエン・フー・チョン書記長が米国から大歓迎を受けたことは、体制の違いは両国間でもはや決定的な障害でなくなったことを象徴している。
 米国は40年来継続してきたベトナムに対する武器禁輸を2014年に解除し、軍事援助を大幅に増加させている。グエン・フー・チョン書記長の訪米に先立つ6月には、カーター国防長官がハノイを訪問し、米越両国は防衛協力を強化すると宣言した。南シナ海における中国の行動は、米国とベトナムを接近させ、軍事協力も行なわせているのである。
 一方、ベトナムはしたたかである。ベトナムは「三つのノー」を外交の基本政策としている。「軍事関係を結ばないこと」「外国の軍事基地を認めないこと」「いかなる国とも同盟しないこと」である。この大きな枠組みの中で、中国とは対立しながらも良好な関係を維持し、米国からはかなりの軍事協力を引き出している。
 東南アジアでのプレゼンスを強化したいロシアとの間では、武器の購入を増加させ、資源開発について協力することを約している。それは中国が快く思わないことであるにもかかわらずである。しかし、戦略的拠点であるカムラン湾については、ロシアは利用したいが、すでに米軍に利用させているベトナムは首を縦に振らないらしい(5月7日の本HP「南シナ海でのロシアと中国の不一致」を参照願いたい)。

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