平和外交研究所

中国

2014.01.22

中国雑記 1月22日まで

○渤海の海底を横切り山東省烟台と大連を結ぶトンネルを建設する計画が進んでいる。近く、国務院の批准を求める予定である。計画では2020年に工事着工、6年でトンネルを開削、10年で完工となっている。完成すれば烟台と大連は40分でつながる由。両地点間の直線距離は170キロであり、現在は海路で6~8時間かかる。陸路では鉄道で1500キロ、高速道路で1600キロの道のりである。(大公報1月22日)
○上海自由貿易区に続いて各地が名乗り上げており、すでに12の地域が国務院の批准を得ている。(大公報 1月22日)
○元中央軍事委員会副主席の徐才厚について、逮捕、投獄はしないが、公の場面に出ることは原則禁止という処分がすでに下されたようである。(多維新聞 1月21日)
○習近平主席が進めてきた「十項規定」(節約の指示)を軍内でも徹底するよう指示されている。軍用車の買い替えに際しても豪華な車を購入してはならない。(多維新聞 1月17日)
○汚職関連報道は現在も引き続き日常的に行なわれている。最近調査を受けたらしい大物としては、海南省副書記兼省長の蒋定之、携帯電話の「中国移動」広東支社前会長兼総経理の徐龍など。徐龍は前政治局常務委員の周永康と関係が深いと言われている。この他、温家宝夫人の問題も時折報道されている。

2014.01.11

中国の巨大さ

中国が大国であることをあらためて見せつける事実が最近立て続けに起こっている。

○2013年の中国の貿易総額は米国を抜いて世界第1位になったことが、2014年1月10日発表された中国貿易統計から明らかとなった。前年比7.6%増で、4兆1603億ドルになったということである。米国の統計は未発表であるが、増加傾向から判断して中国に追い抜かれたのはほぼ確実だそうである。中国の貿易総額が日本を抜いたのが約10年前、中国がWTOに加盟した2001年の時点では、貿易総額は約5千億ドルで米国の4分の1であった。
○安倍首相は1月9日日本を出発し、オマーン、コートジボワール、モザンビーク、エチオピアの4カ国を歴訪中である(11日現在)。これに外国のメディアが注目しており、そのなかに中国の影響力との比較が出てくる。もちろん東アジア情勢を考慮しての評論家らしいコメントであるが、中国はすでにアフリカ諸国に進出してそのプレゼンスは巨大なものとなっており、日本の首相が歴訪しても効果は上がらないのではないかというようなことを言っている。
効果があるかどうかはもっと広い観点から見なければならず、首相の中東・アフリカ訪問は有意義であると思うが、中国の存在が日本や欧米諸国と比較にならないくらい大きくなっているのは事実である。たとえば、アフリカでは万の台の中国人が居留している国が多いが、日本はそれより二けた少ない百の台であり、旧宗主国の仏英などは日本より多少多いかもしれないが大した差ではない。これは居留民の数であるが、一事が万事。アフリカ諸国では、各国の大使がよるとさわると中国のことが話題になるそうである。
○済州島に移住した外国人は、2013年9436人から1万1935人と、26.5%増加した。済州島の人口は約55万人だから、まだ2%程度であるが、伸び率は高いので目につく。こうなったのは、済州島が2010年から投資目的の移民を受け入れるようになり、5億ウォン(約4600万円)以上の不動産を済州島で購入し、5年間売却しなければ永久居民権が得られるようになったからである。
なかでも中国人の移住者は急増しており、2013年の増加率は46.1%で4968人となった。ダントツである。当然中国人のプレゼンスが目立つようになり、島のあちこちに中国語の文字が現れている。
これに対して、環境破壊の観点からと、済州島固有の文化が影響され、消えてしまうのではないかという懸念からの反対が起こり、政府に対して投資移民受け入れ政策を再考するよう求める声が出ているが、政府当局は中国資本による経済効果は大きいと反論している。
○中国の人と資本による大規模な進出は他の地域でも起こっており、太平洋諸島などにも、またアイスランドにも中国パワーが押し寄せている。ほっておくと飲み込まれてしまうので、アイスランドは土地の売却を拒否した。
シベリアと中国の東北部が接する沿海地方では中国人が国境を越えてロシア領に入り、農業などに従事している。資本進出はまだ多くないようだが、いずれ増加してくるであろう。この一帯ではロシア側では人口希薄、中国側では労働力が豊富なるので、そのような傾向が出てくるのは合理的でもあるが、モスクワでは中国脅威論が高まっている。
土地を知的サービスに置き換えてみても、同様の傾向がうかがわれる。たとえばハーバード大学で多数の中国人留学生が学んでおり、「まるで中国共産党幹部養成の分校になっている」と揶揄されることもある。
医療サービスの面では、米国への出産ツアーが注目される。裕福な中国人女性が医療設備のよい米国の病院で出産すれば、米国籍も獲得できるので二重のメリットがあるということだ。まだ絶対数は小さいが、やはり急増しているようである。

2014.01.09

中国雑記 2014年1月9日まで

○2013年12月26日は毛沢東生誕120周年記念日。「ネット上で毛支持派と否定派が激しく論争している。今年の記念日は異常である。外国のメディアが「毛誕節(中国語でクリスマスは「聖誕節」これをもじった言葉)」と呼んだことについても両派は賛否両論を戦わしている」(環球網12月23日)。言うまでもないが、最近の毛思想見直しの傾向を反映している。
○『21世紀経済報道』紙(比較的独立傾向の「財新」グループの1つ)が1月2日、李克強首相でなく劉雲山(政治局常務委員、宣伝工作が長かった)が「深化改革小組」の第1副組長になることを示唆する報道。これだけで李国強に問題が発生していると断定するのは早すぎるが、見過ごすべきでない一事実。
○大公報(12月24日)など各紙、1人っ子政策を修正する三中全会での決定にしたがい、「单独两孩政策(夫婦のどちらかが1人っ子の場合、2人までの子供を持つことが認められる)」が検討されていることを報道。
○12月29日、広東省警察は武装警察と協力し、麻薬製造の一大拠点となっている陸豊市博社村を急襲。18の麻薬販売組織を摘発、容疑者182人を逮捕し、覚せい剤3トン弱、原料23トンを押収した(各紙)。この村は悪名高い麻薬関係組織で、過去何回か政府は取締りに失敗したと言われている。
○昨年の9月30日に徐才厚(総政治部主任、中国共産党中央政治局委員、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席を歴任。最終階級は上将)が1年ぶりに姿を現したという報道を2014年1月2日の大公報が報道した。何の意味があるのか?
○新華網1月2日、四川省政治協商会議主席の李崇禧が汚職容疑で職務を解任されたことを報道。汚職摘発に関しては多数の事件が報道されている。これは比較的ハイレベル。

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