平和外交研究所

中国

2014.02.03

国家安全委員会の位置づけなど

昨年秋の三中全会で設置が決定された国家安全委員会に関する新華社電や中国各紙の報道および評論の要点。

○同じく三中全会で設置が決定された全面深化改革領導小組(深改小組)は中国共産党の一機構であることが明確である一方、国家安全委員会(国安会)は共産党の機関か国家機関かはっきりしていなかったが、最近これは共産党にも国家にも置かれる機関であることが明らかになった。前者は三中全会ですでに決定済みであるが、後者はこの春の全国人民代表大会で設立される。国安会は中央軍事委員会と同様、「二つの顔を持つ一つのグループ(両塊牌子、一套班子)」となるであろう。
○国安会は、前身の中央国家安全領導小組と同様諸機関間の調整を行なうが、政策決定を行なう点は違っている。
○国安会の主席は習近平、2名の副主席は李国強と張徳江である。
○国安会と深改小組の両方のメンバーとなっているのは習近平と李国強だけである。その他の政治局常務委員5名は、2名が深改小組、1名が国安会に属し、残りの2名(俞正声と王岐山)はいずれにも参加していないことになる。(注 習近平が権力を一身に集中させているのに対し、李国強が重視されて異なことが注目を浴びているが、政治局常務委員のなかでは首席格primus inter paresとなっているようである)
○国安会は中央外事領導小組および中央海洋権益工作小組と一体となっており、「三つの顔を持つ一つのグループ(三塊牌子、一套班子)」である。外事小組にはすでに事務局が設置されており、国安会の事務局がどのように構成されるか注目される。

2014.01.31

国有企業幹部の転職

中国の国有企業の幹部が民間に転職して、高給取りになることについて、1月28日付の『企業観察報』が報道している。主要点を拾って見た。

報道のきっかけとなったのは「中国联通(中国聯合通信有限公司 通信業者)」の李剛副総裁が「華翔联信(携帯電話会社)」に移ったことであった。
このような場合「転職代(転会費)」を払うのが一般的である(注 野球のポスティングに似ており、それを受け取るのは国有企業である)。
2013年に「山東黄金集団公司」の会長兼党委書記であった王建華は「紫金鉱業」へ移って年収500万元余(8500万円余)を得た。
過去2年の間に、500人以上の国有企業の幹部が民間に移った。安徽省だけでも2013年中に70人が移っている。
民間が国有企業の幹部を受け入れるのは、専門的知識の他、人的関係が広いためである。
中国人民大学公共管理学院院長助理,組織与人力资源研究所の劉昕教授によれば、国有企業の幹部が転身する原因は5つある。
第1に、国有企業の発展性が乏しいことであり、副社長はなかなか正社長になれない。
第2に、国有企業では内部の問題で消耗し、政治が多過ぎる。経営の腕を発揮できず、いやになることが多い。
第3に、個人として政府に対し就職に関する要望を提出できない。
第4に、高収入の誘惑である。
第5に、一部の幹部が国有企業において不正を働いたことが発覚するのを恐れ、事前に離職する場合がある。

2014.01.29

習近平の外交部人事

多維新聞(1月26日)は、外交部関係の一大人事異動について次のように報道している。

香港の雑誌報道によれば、楊潔篪前外相・国務委員は任期中職員の汚職を放任し、外交部内で規律違反がしばしば発生したことを問われ、引責辞職した由。李克強首相は外交部党委員会拡大生活会(注 「生活会」は批判・自己批判する会)に出席し、外交部に対し各方面から責任を問う声が上がっていることを明らかにし、「当面の問題を解決しなければならない。外交に関係する条件(注 外交人員のことか)、施設、保証(注 待遇のことか)は最も優れているが、政治素質、プロ素質、作風修養方面では問題が少なくない云々」と手厳しい発言をしたそうである。
また、広東の週刊誌『南方周末』は1月23日、次のような記事を掲載した。
「外交部の数百人に上る退職・休職幹部が、ここ十年来、非合法の投資案件に関わった。外交部の老幹部から成る顧問団はリベートや高額の利息の誘惑に負け、「緑源公司」に外交部の職員から1.5億元に上る資金を集めさせた。顧問団には局長級以上の元職員が含まれている」
「江沢民は総書記になって以来一貫して外交部を掌握してきた。銭其琛、唐家璇、李肇星、楊潔篪など歴代の外相は全員江沢民派である」
「最近、外交部内の江沢民派の勢力は弱体化している。外交部内は大幅に入れ替えられた。2014年1月9日発布されたマンパワー・社会保障部が発出した国務院工作人員の任免に関する通知によれば、王超商務部副部長(次官)が外交部副部長に転出、外交部部長助理の張明が副部長に昇格し、宋涛副部長は解任となる。王超は外交部で欧州関係、翻訳および文書事務を担当する。翟隽は駐仏大使に転出(注 すでに着任している)前駐仏大使の孔泉は党中央外事弁公室の副主任となる」
「従来外交部は特別で外交官だけで人事が行われていたが、一連の新人事は、他と交わらせ(掺沙子)、「近親繁殖」は許さないという習近平の考えによるものである」

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