平和外交研究所

中国

2014.03.04

習近平の権力集中

「中央ネット安全情報化指導小組」が2月28日第1回会議を開催したことが報道され、このような組織が作られていること、習近平がこの小組の組長、李克強と劉雲山が副組長となっていることが判明した。(大公網、同日)
習近平は、2012年11月に中国共産党第18回全国代表大会で中央委員会総書記に選出され、翌年3月には国家主席に就任。また軍事面においても事実上新政権の発足と同時に党と国家の中央軍事委員会主席に就任するなど順調に滑り出していた。
そして党大会から1年後の第3回中央委員会全体会議(3中全会)で新設された「全面深化改革領導小組(深改小組)」の組長に就任した。
さらに、同じく新設の「国家安全委員会(国安会)」の主席も兼ねることとなった。国安会は対外的な問題にも関わるが、国内秩序の維持をつかさどる武装警察や公安機関の元締めとなる。関係諸機関間の調整を行なう点では以前からあった中央国家安全領導小組と同様であるが、政策決定も行なう。
かくして習近平は、党総書記・国家主席であると同時に、新設の国政改革を進める機関と内外の安全を確保する機関の長となるなど権力を一身に集めた。
しかるに、今回の「中央ネット安全情報化指導小組」組長就任はさらなる権力集中である。習近平は昨(2013)年来、言論統制の強化を基本方針の一つとして取り組んできており、この小組の新設もそのためである。

2014.02.19

中国雑記 2月19日まで

○腐敗取締関係
海南省副省長の冀文林が調査を受けている(人民網0218)。
陝西省政治協商会議(非共産党系諸党派や団体をふくめる民意代表会議)副主席の祝作利も調査されている(新華網0219)。
なお、副部長(大臣)級以上で調査の対象になっている者はこの他にもいる可能性が大きい。
○年末から年初にかけ、北京、済南、瀋陽、南京、成都、蘭州各軍区、さらに海軍、第二砲兵隊(ミサイル部隊)、などでも大幅な人事異動があった(新京報2月18日など)。
○同じ頃、党中央でも組織部(人事を担当)、中央弁公庁(わが官房にあたる)、中央党校、中央党史研究室、中央文献研究室、中央编訳局(マルクス主義の研究や翻訳をつかさどる)などでも大幅な人事異動があった(大公網0213)
○1953-54年に起こった高崗事件について、最近出版された張明遠の『我的回憶』は今でも隠されてきたことを伝えているが、この事件について分かっていることは氷山の一角に過ぎない(共識網0214)。
○曽慶紅の息子曽偉はオーストラリアで巨額の投資をし、移民のビザを取得した。

2014.02.14

人民解放軍の出張規則など

2014年2月11日付の京華時报は、軍内の新規則について報道している。軍という大きな組織のなかの小さな部分に過ぎないが、人民解放軍について知られていることは少ないので紹介しておく。

○「軍の総後勤部(中央の総参謀部とならぶ部署で、いわゆるロジスティックスを担当)は、最近軍人の旅費に関する規定を改訂し、交通費、宿泊代、食費などに関する手当ての標準限度額を「調整」した」。調整とは、文脈からして下方調整、つまり減額のことかと思うが、疑義がないわけではない。
「軍人の出張は合理的な理由がなければならない」。当然だが、日本の役所でも同様の問題があるかもしれない。
「師団級以下の幹部(団職以下幹部)のホテルについては、標準部屋は2人用とし、シングルで1人とするか標準部屋にするかは調整可能とする(調整為住単間或標準間)。軍区級幹部については正副ともレギュラー・スウィートに調整する。義務兵などは(ただし原文は「義務兵和供給制学員」)は高速鉄道あるいは「動車組列車」を利用してよい」
「既定の限度を超える場合は超過分を各自が負担する。また、乱用の目的いかんにより罰金を追加される。また、状況に応じて、通報あるいは批判の対象とし、当該年度に得られる賞与から罰金を控除する」。
これらの規則が問題にしている行為の概要は見当がつくが、その詳細については不明確なところがある。このような細かい注意が必要なのは乱用の危険が実際にあるからであろう。習近平は政権成立直後からいわゆる「八項注意」として①調査・研究の改良、②会議活動の簡素化、③書類・説明の簡素化、④訪問活動の規範化、⑤警備業務の簡素化、⑥ニュース・報道の改善、⑦草稿発表の厳格化、⑧勤勉倹約の励行の8項目を指示ししており、今回の軍内の規則改訂もその一環であろう。

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