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2013.10.14
中央規律検査委員会のような公的機関はまだ動き出していない。少なくとも表面的にはそのように見えるが、実際に李小琳に対する追及が始まると、習近平の力を入れてきた反腐敗闘争の新たな成果となるであろう。李小琳は、すでに調査を開始されている中国最高人民検察院検察長(院長 同院党組書記)の曹建明や国有資産監督管理委員会主任(大臣クラス)の蒋潔敏および中国石油天然ガス集団公司(CNPC)の幹部4名(蒋潔敏はCNPCの前会長であった)などと並ぶ大物である。
さらに大物の周永康前政治局常務委員の処遇が残っており、習近平がこれについても追及の決定を行なえば、権力闘争の様相を一段と強めることになる。もっとも、周永康はあまりに大物過ぎてお茶を濁す程度で終わらせるかもしれないとも言われており、事態はまだ不明確である。習近平としては、他の政治問題ではあまり成果が上がっているとは言えないなかで、反腐敗闘争だけは成果を誇らなければならないが、周永康の追及はほどほどにしつつ、曹建明や蒋潔敏への調査決定で、さらに李小琳も含めるとしても、足りるか、微妙なところであろう。
李小琳は李鵬元首相の娘であり、太子党がまたやったか、という感じである。太子党の関係では、今夏、鄧樸方(鄧小平の息子。文革中の迫害が原因で障碍者となった)と三女の鄧榕(「鄧蓉」とも書く)がオーストラリアなどへ出国したことが想起される。鄧樸方は大金を持ち出しての出国であり、中国政府は行方を追っているそうである。
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李小琳の収賄容疑
李小琳中国電力国際公司社長がスイスの保険会社の中国市場への参入に便宜を与えた代わりに賄賂を受け取ったと、10月13日の新華社電が外国の新聞を引用して伝えている。李小琳は、「悪意に満ちた卑劣な中傷だ」と言っていることも紹介し、中立を装っているが、公的な通信機関である新華社が外国の報道を引用したことに意味があるのは当然であり、新華社は認めたも同然である。外国の新聞とはどれか明示していないが、英紙デーリー・テレグラフである。中央規律検査委員会のような公的機関はまだ動き出していない。少なくとも表面的にはそのように見えるが、実際に李小琳に対する追及が始まると、習近平の力を入れてきた反腐敗闘争の新たな成果となるであろう。李小琳は、すでに調査を開始されている中国最高人民検察院検察長(院長 同院党組書記)の曹建明や国有資産監督管理委員会主任(大臣クラス)の蒋潔敏および中国石油天然ガス集団公司(CNPC)の幹部4名(蒋潔敏はCNPCの前会長であった)などと並ぶ大物である。
さらに大物の周永康前政治局常務委員の処遇が残っており、習近平がこれについても追及の決定を行なえば、権力闘争の様相を一段と強めることになる。もっとも、周永康はあまりに大物過ぎてお茶を濁す程度で終わらせるかもしれないとも言われており、事態はまだ不明確である。習近平としては、他の政治問題ではあまり成果が上がっているとは言えないなかで、反腐敗闘争だけは成果を誇らなければならないが、周永康の追及はほどほどにしつつ、曹建明や蒋潔敏への調査決定で、さらに李小琳も含めるとしても、足りるか、微妙なところであろう。
李小琳は李鵬元首相の娘であり、太子党がまたやったか、という感じである。太子党の関係では、今夏、鄧樸方(鄧小平の息子。文革中の迫害が原因で障碍者となった)と三女の鄧榕(「鄧蓉」とも書く)がオーストラリアなどへ出国したことが想起される。鄧樸方は大金を持ち出しての出国であり、中国政府は行方を追っているそうである。
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2013.10.13
これら諸国に共通の関心事の一つは、南シナ海における平和と安定の維持、また紛争を避けるための行動規範である。中国は同国とASEAN以外の国を域外国とみなし、両者の間での行動規範に関する話し合いに関与すべきでないと主張し、排除しようとしているが、域外の諸国にとっても南シナ海での船舶航行の安全確保は重要な問題であり、行動規範の成り行きに強い関心を抱いている。
米国は例年のASEANとの首脳会議の際にこの問題に関する米国としての関心を表明しており、そのため中国とは対立する結果になっている。クリントン米前国務長官は何回か率直な発言をしており、昨年の会合では、中国の参加者が”Well, we could claim Hawaii.”と発言したので、 “Well, go ahead, and we’ll go to arbitration and prove we own it. That’s what we want you to do.”と応じたそうである(2012年11月29日、ワシントン市内The Newseumにおける演説後の質疑応答。米国務省HP掲載の記録。なお、クリントン長官は明言こそしなかったが、このやり取りがあったのは東アジアサミットあるいは、その前後の会議であったことを示す説明をしていた)。
中国のこの粗野な発言には驚かされるが、今年は、米国で予算が成立せず危機的な状況に陥ったためオバマ大統領は出席できず、米中の首脳が意見を異にしてあからさまに対立する場面はなかった。
一方、ASEANと日中韓との首脳会議は3国の首脳が一堂に会する初めての機会となったが、かねてからの関係悪化のため、3国首脳は対話もしないという異常な事態となった。もっとも、そのこと自体は、やはりそうなのかと思うことであった。
中韓両国の国内事情にも注目しておく必要がある。中国は来月、習近平政権にとっての一大行事である中国共産党第18期中央委員会の第3全体会議を控え、国内は緊張している。
また、韓国は経済状況が悪化していることも原因であるが、朴槿恵大統領の立場は決して楽なものでない。歴史問題に関する主張を抑えるべきだと朴槿恵大統領に期待するのではないが、日韓両国は協力し合う必要があるのは明らかであり、歴史問題についての日本の指導者の姿勢が改善するまで会わないというのは賢明でないと思う。
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東アジアサミット2013
ASEANは10月9日からその首脳会議を開催したのにはじまり、以後順に中国、日本、韓国、インド、米国それぞれとの首脳会議、日中韓3国との首脳会議、そして最後に(10日)この3国の他米国、豪州、ニュージーランド、ロシアおよびインドを含めた東アジアサミットを行なった。これら諸国に共通の関心事の一つは、南シナ海における平和と安定の維持、また紛争を避けるための行動規範である。中国は同国とASEAN以外の国を域外国とみなし、両者の間での行動規範に関する話し合いに関与すべきでないと主張し、排除しようとしているが、域外の諸国にとっても南シナ海での船舶航行の安全確保は重要な問題であり、行動規範の成り行きに強い関心を抱いている。
米国は例年のASEANとの首脳会議の際にこの問題に関する米国としての関心を表明しており、そのため中国とは対立する結果になっている。クリントン米前国務長官は何回か率直な発言をしており、昨年の会合では、中国の参加者が”Well, we could claim Hawaii.”と発言したので、 “Well, go ahead, and we’ll go to arbitration and prove we own it. That’s what we want you to do.”と応じたそうである(2012年11月29日、ワシントン市内The Newseumにおける演説後の質疑応答。米国務省HP掲載の記録。なお、クリントン長官は明言こそしなかったが、このやり取りがあったのは東アジアサミットあるいは、その前後の会議であったことを示す説明をしていた)。
中国のこの粗野な発言には驚かされるが、今年は、米国で予算が成立せず危機的な状況に陥ったためオバマ大統領は出席できず、米中の首脳が意見を異にしてあからさまに対立する場面はなかった。
一方、ASEANと日中韓との首脳会議は3国の首脳が一堂に会する初めての機会となったが、かねてからの関係悪化のため、3国首脳は対話もしないという異常な事態となった。もっとも、そのこと自体は、やはりそうなのかと思うことであった。
中韓両国の国内事情にも注目しておく必要がある。中国は来月、習近平政権にとっての一大行事である中国共産党第18期中央委員会の第3全体会議を控え、国内は緊張している。
また、韓国は経済状況が悪化していることも原因であるが、朴槿恵大統領の立場は決して楽なものでない。歴史問題に関する主張を抑えるべきだと朴槿恵大統領に期待するのではないが、日韓両国は協力し合う必要があるのは明らかであり、歴史問題についての日本の指導者の姿勢が改善するまで会わないというのは賢明でないと思う。
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2013.10.12
ミャンマーの民主化と対外開放はおおむね順調である。2008年に新憲法が制定され、2010年11月、総選挙が行われ、軍事政権下の統治機構であった国家法秩序回復評議会 (SLORC)は解散し、2011年3月、テイン・セイン大統領が選出され、民主的な政府が成立した。また、これと前後して、アウンサンスーチー氏は長年の軟禁から解除され、新体制の下で政治活動を再開した。
経済面では以前のかたくなな閉鎖体制から一変して対外開放し、日本をはじめ各国は競って投資を始めている。ミャンマーは最後のフロンティアだそうだ。また、かねてからの欧米諸国による経済制裁は撤廃される傾向にある。
ミャンマーの民主化については、しかし、まだ問題が残っている。軍人の政治における影響力がまだ一掃されていないことであり、憲法は連邦議会の上下両院とも4分の1は国軍司令官が任命することとしている。新憲法下で最初の選挙では、候補者の大多数が軍の翼賛政党(USDP)員という異常な事態となり、選挙の結果、約8割が同党員で占められた。
テイン・セイン大統領はすでに軍籍を離脱しているが、元軍人であり、また閣僚の多数は軍人である。
収監されていた政治囚は新政権によって6千人以上が釈放されたが、まだかなりの数が残っており、その実態の公表と釈放が求められている。
テイン・セイン政権は軍の影響力を色濃く残しながらも、基本的な民主化は実現し、また、対外的には各国と急速に経済関係を深めるとともに、ASEANにおいてもその政治改革は認められているのである。今後、さらなる民主化、とくに軍の影響力の排除が進むか、問題であるが、民主化を進める積極的な要因としては、ミャンマー政府を長年悩ましてきた反乱軍との休戦・和解が進展しており、なかでも問題であったカチンとの停戦も近々実現すると大統領が言明するなど、展望は明るくなっているようである。ミャンマー政治において軍を優遇しなければならない最大の理由は国内の反乱軍の存在であり、この状況が変化し国内の治安が改善されると、軍を優遇しなければならない理由がなくなる。
また、経済成長が進めば、国内を合理的な制度に変えていかなければならなくなる。
一方、新政権下で軍の影響力はこれまでのところ、極端な優遇制度とは対照的に、意外なほど抑えられているが、歴史的に虐げられてきた国民民主同盟(NLD)の動向いかんでは軍と民主化勢力との対決が先鋭化する危険もある。
2012年4月には、連邦議会で補欠選挙が行われ選挙対象となった46議席に対してNLDは44人の候補を立て、43人が当選するという圧勝を収めた。その結果、NLDとUSDPは鋭く対立する様相を見せたが、テイン・セイン大統領は、選挙はうまくいったと表明して対立は収められた。しかし、NLDのこのような優勢が今後さらに継続・発展すれば、軍の利益を代弁するUSDPとしても反発を強め、民主化に逆行する動きを見せる恐れがないとは言えないかもしれない。次回の総選挙は2015年に行なわれる予定である。
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ミャンマーの民主化は進むか
ミャンマーは明年、ASEANの議長国になる。2006年に議長国になる順番であったが、その時は軍事政権で、民主化運動を弾圧していたので辞退を余儀なくされた。今回は、ミャンマーの民主化がすでに進展しており、予定通り議長国になる。今年の議長国であるブルネイから議長職の引き継ぎもすでに完了した。ミャンマーの民主化と対外開放はおおむね順調である。2008年に新憲法が制定され、2010年11月、総選挙が行われ、軍事政権下の統治機構であった国家法秩序回復評議会 (SLORC)は解散し、2011年3月、テイン・セイン大統領が選出され、民主的な政府が成立した。また、これと前後して、アウンサンスーチー氏は長年の軟禁から解除され、新体制の下で政治活動を再開した。
経済面では以前のかたくなな閉鎖体制から一変して対外開放し、日本をはじめ各国は競って投資を始めている。ミャンマーは最後のフロンティアだそうだ。また、かねてからの欧米諸国による経済制裁は撤廃される傾向にある。
ミャンマーの民主化については、しかし、まだ問題が残っている。軍人の政治における影響力がまだ一掃されていないことであり、憲法は連邦議会の上下両院とも4分の1は国軍司令官が任命することとしている。新憲法下で最初の選挙では、候補者の大多数が軍の翼賛政党(USDP)員という異常な事態となり、選挙の結果、約8割が同党員で占められた。
テイン・セイン大統領はすでに軍籍を離脱しているが、元軍人であり、また閣僚の多数は軍人である。
収監されていた政治囚は新政権によって6千人以上が釈放されたが、まだかなりの数が残っており、その実態の公表と釈放が求められている。
テイン・セイン政権は軍の影響力を色濃く残しながらも、基本的な民主化は実現し、また、対外的には各国と急速に経済関係を深めるとともに、ASEANにおいてもその政治改革は認められているのである。今後、さらなる民主化、とくに軍の影響力の排除が進むか、問題であるが、民主化を進める積極的な要因としては、ミャンマー政府を長年悩ましてきた反乱軍との休戦・和解が進展しており、なかでも問題であったカチンとの停戦も近々実現すると大統領が言明するなど、展望は明るくなっているようである。ミャンマー政治において軍を優遇しなければならない最大の理由は国内の反乱軍の存在であり、この状況が変化し国内の治安が改善されると、軍を優遇しなければならない理由がなくなる。
また、経済成長が進めば、国内を合理的な制度に変えていかなければならなくなる。
一方、新政権下で軍の影響力はこれまでのところ、極端な優遇制度とは対照的に、意外なほど抑えられているが、歴史的に虐げられてきた国民民主同盟(NLD)の動向いかんでは軍と民主化勢力との対決が先鋭化する危険もある。
2012年4月には、連邦議会で補欠選挙が行われ選挙対象となった46議席に対してNLDは44人の候補を立て、43人が当選するという圧勝を収めた。その結果、NLDとUSDPは鋭く対立する様相を見せたが、テイン・セイン大統領は、選挙はうまくいったと表明して対立は収められた。しかし、NLDのこのような優勢が今後さらに継続・発展すれば、軍の利益を代弁するUSDPとしても反発を強め、民主化に逆行する動きを見せる恐れがないとは言えないかもしれない。次回の総選挙は2015年に行なわれる予定である。
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