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2013.10.19

中国学者の冷静な日本経済観

財経網(信頼性の高いサイト)が趙暁北京科技大学管理学院教授の「日本の産業の実力は中国のはるか上にある」と題する冷静な論評を掲載している(2012.11.07)。趙教授はこれを問いかけのように扱い、「その答えは明らかに否定的である」と言いながら所説を展開しているが、実際には日本のほうが進んでいることをるる述べている。筆者の最初の否定は、狂信的な批判をかわすためのまじないであろう。
一つは、日本円の対ドルレート上昇に関する記述であり、「ドルで測れば日本の不動産価格も株価も下落していない。輸入の面では有利になったし、海外投資は増加した」などと分析している。
その他、次のような記述もある。
「日本は成熟した工業化の段階にあり、中国は工業化している途中である」「日本ではもはや財の蓄積を追及するのではなく、生活の質の向上を求めている」「中国はまだ社会主義の初級段階にあり、小康社会の全面的実現のため努力している」「日本の工業の基礎は堅実で、すぐれた産業構造と穏健な実体経済を擁している。中小企業は細かい分業体制になっており、これらはいずれも我々が短期間に及ぶところでない」「日本経済は、国内循環の面でも国際循環の面でも優れている。ハイテクのみならず、農業、食品加工、日用品などローテク分野でも良好な自給体制を実現しており、同時に、輸出需要にも応じている。」
一部、日本人として恥じ入りたくなるようなほめ言葉も含まれているが、中国にはいろんな人がいることを忘れないためにここに掲げた。

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2013.10.18

革命派と既得権益のせめぎあいか

三中全会を来月に控え、革命路線をめぐるせめぎあいか。
(革命路線重視派)
○最近、「群衆路線教育実践活動領導小組」は「習近平が行なった重要講話をよく学習し、民主生活会を立派に開催することに関する通知」を発出した(新華網 10月4日)。批判・自己批判をよくし、形式主義、官僚主義、享楽主義および浪費・贅沢の四問題の解決を促し、「民主集中制」を強調、すなわち党の方針にしたがうことを要求するなど厳しい革命路線重視である。
○独立の学者、高瑜によれば、薄熙来の裁判は左派のなかで強烈な反発を生み、同人に対する支持はさらに強まるであろう。いわゆる普遍的価値、新聞の自由、公民社会、公民の権利、中共の歴史における誤り、「権貴ブルジョワ」および司法の独立を話してはならないとする「七不講」は毛沢東時代の「革命化を歌う」ことに戻ることである(明報20130923)。
○「普遍的価値」を主張する者は、マルクス主義をマージナライズし、既得権益集団に各種の方法を用いて利益を得させようとしている(新浪微博20130904)。
○鄧力群の自叙伝の出版。胡耀邦との関係、恩怨を論じている。左派の代表である鄧力群の擁護か(多维历史)
○周恩來の研究者、高文谦が海外で出版した『晚年周恩来』には問題があるとして毛沢東を擁護。
○毛沢東の『反对本本主義』の原名は『調査工作』で、毛沢東は教条主義に反対し、調査の重要性を説いていたと論じるもの。
○習近平の8・19講話で宣伝工作の在り方についてしばしば言及、批判し、指導幹部はいくつかの「ハケ」を持っていなければならない(色を変えて塗ること、つまり、いくつかの顔を持つことか。)、群衆を信服させることも、「中国の夢」を「概念化」することも「通俗化(庸俗化)」することも批判しなければならないと述べた(多维新闻20131006)

(革命路線批判派)
○習仲勳と胡耀邦との密接な関係を描いた『文史参考』の出版。
○習仲勳の生誕百周年記念に同人の開放改革への功績をたたえた論文。

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2013.10.17

三中全会の経済問題

11月に開催予定の三中全会では次の6つの経済問題が焦点となる。ずれもデリケートな問題である(法輪功グループの『大纪元』2013年10月11日付)。

構造問題
中国経済は投資に依存しており、地方政府はGDPを上げるために投資と借り入れを増加してきたが、経済水準が上昇し通貨の流通量が増大し、物価が上昇するに伴い中央政府は緊縮策を余儀なくされている。こうすると、地方政府の財政収入は減少し、債務負担が重荷になるので、投資を再度喚起しなければならない。中国経済は大幅な上昇と下降を繰り返すことになる。

マクロ・コントロール
大都市の例では、この10年来43の住宅用不動産についてマクロ・コントロールを行なってきた。しかし、この10年に価格は10倍に上昇した。

金融改革
金融改革が進まず、経済が危機的な状況に陥ったことを背景に、元来三中全会で準備を始める予定であった上海貿易区を繰り上げて9月29日に発足させた。李克强首相が力を入れたこの経済改革は一つの試験であるが、既得権益陣営から抵抗を受けている。この貿易区の成立式典に中央から誰も参加しなかった。

土地改革
土地の確保は改革の重点である。しかし、これをいじると地方政府の「ミルク」を取り上げることになり、各地方政府は激烈に反対するであろう。

都市化・戸籍改革
この問題は特権階級の利益にかかわる。現在、2.6億人の「農民工」が都市で働いている。もし彼らに都市住民と同様の福利厚生を認めれば、すでに巨大な財政赤字に苦しんでいる地方政府はさらに大きな財政圧力を受けることになる。したがって、この改革は最終的には大幅に後退させられる可能性がある。

财税改革
中央政府と地方政府の利益をバランスさせることは大変困難だ。「分税制」が導入(1994年)されて以来地方政府の税収は減少している。地方政府は財政需要を満たすため、もろもろの手段で収入増を図っている。

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