ブログ記事一覧
2013.10.29
中国各地で大小の事件が頻発しており、いわゆる「群体性事件」のように多数の人が参加するケースから個人の焼身自殺や爆破のような事件まで多種多様であるが、いずれも中央・地方の政府に対する抗議行動であることはほぼ間違いない。
天安門広場ではこれまで1989年の事件のように大規模なデモが起こっており、北京の当局は対応に慣れている。今回の事件も、現場での処理活動はもちろん、被疑者の身元や、「違法な容疑車両」を追っていることを手際よく発表している。
しかし、中国政府はどのような気持ちで見ているのだろうか。11月に開催される中共の三中全会ではいくつかの問題が取り上げられる、あるいは取り上げられるべきであると指摘されているが、そのなかで、個人や集団の抗議事件に直接かかわりうる問題としては、不動産の価格などに関係する「マクロコントロール」、工業用地の確保など土地問題、都市住民と差別されている農民の戸籍、村民を犠牲にする地方政府の歳入確保などの諸問題がある。つまり、三中全会での主要議題と目されていることの多くが抗議事件と関係があるのだ。
しかるに、今回の事件がウイグル族のような少数民族によって引き起こされたとなれば、民族問題が原因であるという印象が強くなり、その分だけ、中国で広く存在する内政問題であるという性格がかすんでくる。
中国政府がこのようなことを認識していたか否か、もとより知る由はないが、一般論としては、政府は、重要会議を控えて政治状況が不安定であるという印象を国民に与えないよう努めるであろうし、また、抗議する側としては、まさにそのために事件を起こしたのかもしれない。いたずらに想像を重ねることは控えなければならないが、中国の政治には日本などでは想像もできないような不安定性がある。
(さらに…)
天安門広場での車の炎上事故
昨日(28日)、北京の天安門広場で四輪駆動車が歩道に突っ込み、巻き添えになった者を含め5人が死亡した。乗っていた人が旗を振りながら暴走していたことが目撃されており、単なる事故ではなかったらしい。中国当局も事故でなくウイグル族により引き起こされた事件であったとの見方である。中国各地で大小の事件が頻発しており、いわゆる「群体性事件」のように多数の人が参加するケースから個人の焼身自殺や爆破のような事件まで多種多様であるが、いずれも中央・地方の政府に対する抗議行動であることはほぼ間違いない。
天安門広場ではこれまで1989年の事件のように大規模なデモが起こっており、北京の当局は対応に慣れている。今回の事件も、現場での処理活動はもちろん、被疑者の身元や、「違法な容疑車両」を追っていることを手際よく発表している。
しかし、中国政府はどのような気持ちで見ているのだろうか。11月に開催される中共の三中全会ではいくつかの問題が取り上げられる、あるいは取り上げられるべきであると指摘されているが、そのなかで、個人や集団の抗議事件に直接かかわりうる問題としては、不動産の価格などに関係する「マクロコントロール」、工業用地の確保など土地問題、都市住民と差別されている農民の戸籍、村民を犠牲にする地方政府の歳入確保などの諸問題がある。つまり、三中全会での主要議題と目されていることの多くが抗議事件と関係があるのだ。
しかるに、今回の事件がウイグル族のような少数民族によって引き起こされたとなれば、民族問題が原因であるという印象が強くなり、その分だけ、中国で広く存在する内政問題であるという性格がかすんでくる。
中国政府がこのようなことを認識していたか否か、もとより知る由はないが、一般論としては、政府は、重要会議を控えて政治状況が不安定であるという印象を国民に与えないよう努めるであろうし、また、抗議する側としては、まさにそのために事件を起こしたのかもしれない。いたずらに想像を重ねることは控えなければならないが、中国の政治には日本などでは想像もできないような不安定性がある。
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2013.10.28
それはともかくとして、同会議で取り上げられるべき重要な問題について、国務院のシンクタンク、「発展研究中心」は以下のような意見書「383改革法案」を発表した。項目だけであるが、参考になる。
○三つの改革を打ち出すことが鍵となる。意見書は「三位一体改革」と呼んでいるが、その言葉を使うことには異論があるかもしれないので、書き換えた。「市場経済の改善(原文は「市場体系の完善」)」「政府機能の改革」「新しい企業体制の創設」である。中国の経済は今なお計画経済と諸々の規制が残っており、市場の機能が著しく制約されていること、政府の権限があまりにも大きすぎるのを改革する必要があること、国有企業の優遇をあらため、民営企業中心にする必要があることなどを指摘しているのである。
○そのために次の8つの改革を行なわなければならない。
‐法律に依拠した行政、政府の許可権限の大幅縮小
‐独占の排除、競争の促進
‐権利の平等などを尊重した土地制度改革
‐金融業への参入条件を低くし、利子率と為替を市場に委ねるなどの金融改革
‐財政制度改革
‐国有資産の資本化など国有資産管理体制の改革
‐環境にやさしい発展
‐対外経済体制の改革
○以上に関連する3つの改革
‐参入規制の緩和、外国資本の導入、競争の強化
‐社会保障制度の改革
‐土地制度、取引の改革
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383改革法案
11月に開催される三中全会は、改革開放の大方針を決めた1978年末の三中全会(第11期。今回のは第18期)にも比肩しうる重要な中共中央委員会全体会議であると期待感を込めて語る人もいるようである。それはともかくとして、同会議で取り上げられるべき重要な問題について、国務院のシンクタンク、「発展研究中心」は以下のような意見書「383改革法案」を発表した。項目だけであるが、参考になる。
○三つの改革を打ち出すことが鍵となる。意見書は「三位一体改革」と呼んでいるが、その言葉を使うことには異論があるかもしれないので、書き換えた。「市場経済の改善(原文は「市場体系の完善」)」「政府機能の改革」「新しい企業体制の創設」である。中国の経済は今なお計画経済と諸々の規制が残っており、市場の機能が著しく制約されていること、政府の権限があまりにも大きすぎるのを改革する必要があること、国有企業の優遇をあらため、民営企業中心にする必要があることなどを指摘しているのである。
○そのために次の8つの改革を行なわなければならない。
‐法律に依拠した行政、政府の許可権限の大幅縮小
‐独占の排除、競争の促進
‐権利の平等などを尊重した土地制度改革
‐金融業への参入条件を低くし、利子率と為替を市場に委ねるなどの金融改革
‐財政制度改革
‐国有資産の資本化など国有資産管理体制の改革
‐環境にやさしい発展
‐対外経済体制の改革
○以上に関連する3つの改革
‐参入規制の緩和、外国資本の導入、競争の強化
‐社会保障制度の改革
‐土地制度、取引の改革
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2013.10.27
「特定秘密」に指定される基準が不明確である、一度指定されるとなかなか解除されない、国民の知る権利を阻害する、特定秘密にかかわる可能性のある公務員に対する適性評価(身元調査)の問題、など論点は少なくない。
とくに、つぎの諸点が気になる。
「特定秘密」として指定すべきか否か、問題が現実に発生する以前には明確でないことが多いので、自信が持てないときには指定をしてしまう。指定をしなかったことが後日問題になることはあろうが、し過ぎたために責任を追及されることはまずないので、そのような心理が働くことになる。このような例は霞が関に現実に存在し、各省庁ともその対策に頭を悩ませてきた。つまりそのような過剰指定はよくないと判断し、その対策を講じようとしてきたが、効果的な対策は打てないでいる。
もう一つは、米国から日本の秘密保護は不十分だと言われたのでこの法律を作ることになったのではないか。これは推測にすぎないが、どうもそう思える。しかし、米国自身がWikileaksやSnowdenにより情報漏えいで問題を起こしているのではないか。Wikileaksについては、表向き米国政府はコメントしないという立場であり、日本政府もそれに倣っているが、情報の管理については本音で語らなければならない。米国の情報管理に対する感覚には疑問を覚えることがある。イラク戦争の際の大量破壊兵器に関する情報の内容も、その伝達についても問題があったのではないか。米国がテロの標的になることが多いのは事実であり、それだけ対応に苦慮しているのはまことに同情すべきであるが、情報収拾についても問題がある。第二次大戦での敵国の暗号解読や、冷戦中のソ連のスパイに関する情報収集のように成功した例もあるが、どうもおかしいと思うこともある。最たる例が、メルケル首相の携帯電話盗聴である。同首相はオバマ大統領に「友人の電話を盗聴すべきでない」と抗議したそうである。国務省のスポークスマンは、現在および今後盗聴はないと言っているが、これまでしたかどうかについては口を閉ざしていたのではないか。
要するに、米国の情報収集と管理には米国のやり方があるが、同じ方法が日本に向いているとは思えない。内閣府は日本での情報漏えいのケースを具体的にあげているが、尖閣諸島海域での中国漁船の行動に関する映像をリークしたことにはメリットもあったのではないか。少なくとも、「特定秘密」に指定して国民が知る道を閉ざしてしまうのがよいケースであったか疑問である。
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特定秘密保護法案
安倍政権が力を入れている秘密保護法案は閣議決定を経て国会へ提出された。「特定秘密」に指定される基準が不明確である、一度指定されるとなかなか解除されない、国民の知る権利を阻害する、特定秘密にかかわる可能性のある公務員に対する適性評価(身元調査)の問題、など論点は少なくない。
とくに、つぎの諸点が気になる。
「特定秘密」として指定すべきか否か、問題が現実に発生する以前には明確でないことが多いので、自信が持てないときには指定をしてしまう。指定をしなかったことが後日問題になることはあろうが、し過ぎたために責任を追及されることはまずないので、そのような心理が働くことになる。このような例は霞が関に現実に存在し、各省庁ともその対策に頭を悩ませてきた。つまりそのような過剰指定はよくないと判断し、その対策を講じようとしてきたが、効果的な対策は打てないでいる。
もう一つは、米国から日本の秘密保護は不十分だと言われたのでこの法律を作ることになったのではないか。これは推測にすぎないが、どうもそう思える。しかし、米国自身がWikileaksやSnowdenにより情報漏えいで問題を起こしているのではないか。Wikileaksについては、表向き米国政府はコメントしないという立場であり、日本政府もそれに倣っているが、情報の管理については本音で語らなければならない。米国の情報管理に対する感覚には疑問を覚えることがある。イラク戦争の際の大量破壊兵器に関する情報の内容も、その伝達についても問題があったのではないか。米国がテロの標的になることが多いのは事実であり、それだけ対応に苦慮しているのはまことに同情すべきであるが、情報収拾についても問題がある。第二次大戦での敵国の暗号解読や、冷戦中のソ連のスパイに関する情報収集のように成功した例もあるが、どうもおかしいと思うこともある。最たる例が、メルケル首相の携帯電話盗聴である。同首相はオバマ大統領に「友人の電話を盗聴すべきでない」と抗議したそうである。国務省のスポークスマンは、現在および今後盗聴はないと言っているが、これまでしたかどうかについては口を閉ざしていたのではないか。
要するに、米国の情報収集と管理には米国のやり方があるが、同じ方法が日本に向いているとは思えない。内閣府は日本での情報漏えいのケースを具体的にあげているが、尖閣諸島海域での中国漁船の行動に関する映像をリークしたことにはメリットもあったのではないか。少なくとも、「特定秘密」に指定して国民が知る道を閉ざしてしまうのがよいケースであったか疑問である。
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