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2014.02.16

南北離散家族の面会

2月14日、韓国と北朝鮮とのハイレベル協議で、離散家族の面会を同月20日から25日にかけ行なうことが合意された。その時点では、恒例の米韓合同軍事演習が予定されており、北朝鮮はこれまで面会実現の条件として演習の中止を要求していたが、結局譲歩してそれを条件とはしないこととしたので離散家族の面会が実現するそうである。
米韓の合同軍事演習は毎年この時期に行なわれる。しかし、ちょうどその時に別件について南北間で話し合いが行われることが多く、北朝鮮側は必ずその中止を要求するが、韓国側は応じないので話し合いは中断してしまうというパターンを繰り返していた。
今回北朝鮮側がほんとうに譲歩したのか、途中で考えが変わることはないか。最近の北朝鮮の変化の速さを見ていると、面会が実現するまで注意が必要である。これはただ北朝鮮を信用していないから言うのではない。北朝鮮が米韓軍事演習を非難し、その中止を要求するのも、また、途中で考えを変えるのも理由がないことではなかったのであり、今回離散家族の面会が本当に実現すれば北朝鮮をめぐる情勢についても、また北朝鮮の対応についてもこれまでとは違った見方をしなければならないからである。

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2014.02.14

人民解放軍の出張規則など

2014年2月11日付の京華時报は、軍内の新規則について報道している。軍という大きな組織のなかの小さな部分に過ぎないが、人民解放軍について知られていることは少ないので紹介しておく。

○「軍の総後勤部(中央の総参謀部とならぶ部署で、いわゆるロジスティックスを担当)は、最近軍人の旅費に関する規定を改訂し、交通費、宿泊代、食費などに関する手当ての標準限度額を「調整」した」。調整とは、文脈からして下方調整、つまり減額のことかと思うが、疑義がないわけではない。
「軍人の出張は合理的な理由がなければならない」。当然だが、日本の役所でも同様の問題があるかもしれない。
「師団級以下の幹部(団職以下幹部)のホテルについては、標準部屋は2人用とし、シングルで1人とするか標準部屋にするかは調整可能とする(調整為住単間或標準間)。軍区級幹部については正副ともレギュラー・スウィートに調整する。義務兵などは(ただし原文は「義務兵和供給制学員」)は高速鉄道あるいは「動車組列車」を利用してよい」
「既定の限度を超える場合は超過分を各自が負担する。また、乱用の目的いかんにより罰金を追加される。また、状況に応じて、通報あるいは批判の対象とし、当該年度に得られる賞与から罰金を控除する」。
これらの規則が問題にしている行為の概要は見当がつくが、その詳細については不明確なところがある。このような細かい注意が必要なのは乱用の危険が実際にあるからであろう。習近平は政権成立直後からいわゆる「八項注意」として①調査・研究の改良、②会議活動の簡素化、③書類・説明の簡素化、④訪問活動の規範化、⑤警備業務の簡素化、⑥ニュース・報道の改善、⑦草稿発表の厳格化、⑧勤勉倹約の励行の8項目を指示ししており、今回の軍内の規則改訂もその一環であろう。

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2014.02.13

茅于軾氏の講演

2月12日、キヤノングローバル戦略研究所で茅于軾氏の講演会があった。
茅于軾氏は、中国の著名な改革派経済学者であり、歯に衣着せず発言することで知られている。日本では、「中国の現状への最もラディカルな批判者」と評する人もいる。茅于軾氏は昨年春、自らのブログで「毛沢東をただの人間に戻そう」と題する長編の文章を発表し、中国の内外で波紋が広がった経緯もある。
今回の講演もひとことで言えば毛沢東批判であった。
「毛沢東は中華人民共和国の成立以来多数の人間を死なせており、餓死者も含めその数は4500万人ないし5000万に上る。国民党軍も多数殺害した。」
「戦争に負けた日本が繁栄し、戦争に勝ったはずの中国が貧しいままでいるのは毛沢東が間違っていたからである。中国の党政府は重要な事実を国民に知らせていない。」
「毛沢東による混乱が頂点に達したのが文化大革命である。約300万人もの死者が出た。」
「鄧小平は毛沢東と文革の過ちを正したが、1989年の天安門事件では過ちを犯した。」
「毛沢東は公平、造反、闘争、権力などを好む。公平自体は結構だが、それは指導者の自己満足になる。経済的に考えれば、効率を重視しなければならない。公平にこだわると経済効率を上げるのに障害となる。」
「現在の経済状況には多くの問題がある。不動産関係、金融関係などの問題は深刻である。高層の住宅を建てても空き家だらけだ。その比率は30~40%に上る。」
「現在成長率は7%台に落ちているが、9%くらいに戻すのは困難でない。しかし、それには経済改革を進めなければならない。」
「次の改革は急務である。第1に司法の独立。第2に、国有企業改革。現在の国有企業は企業でなく、政府の一部である。第3に、7人の政治局常務委員がすべてを決めるのでなく、国民の意思をもっと吸い上げるようにしなければならない。」

茅于軾氏の率直な発言に聴衆は強く印象付けられたようであり、「そのような発言をして中国内で問題にならないのか」という質問も出た。これに対し、茅于軾氏は、「発言はできる。しかし、大学の教授などは問題になるであろう。」という答えであった。ちなみに茅于軾氏は現在85歳であり、いわゆる長老である。現役の人たちには同氏のような自由はないだろう。

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