平和外交研究所

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2014.02.19

中国雑記 2月19日まで

○腐敗取締関係
海南省副省長の冀文林が調査を受けている(人民網0218)。
陝西省政治協商会議(非共産党系諸党派や団体をふくめる民意代表会議)副主席の祝作利も調査されている(新華網0219)。
なお、副部長(大臣)級以上で調査の対象になっている者はこの他にもいる可能性が大きい。
○年末から年初にかけ、北京、済南、瀋陽、南京、成都、蘭州各軍区、さらに海軍、第二砲兵隊(ミサイル部隊)、などでも大幅な人事異動があった(新京報2月18日など)。
○同じ頃、党中央でも組織部(人事を担当)、中央弁公庁(わが官房にあたる)、中央党校、中央党史研究室、中央文献研究室、中央编訳局(マルクス主義の研究や翻訳をつかさどる)などでも大幅な人事異動があった(大公網0213)
○1953-54年に起こった高崗事件について、最近出版された張明遠の『我的回憶』は今でも隠されてきたことを伝えているが、この事件について分かっていることは氷山の一角に過ぎない(共識網0214)。
○曽慶紅の息子曽偉はオーストラリアで巨額の投資をし、移民のビザを取得した。

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2014.02.18

金生恩の権力確立

北朝鮮の平壌で「2月中旬」に労働党の「第8回思想労働者大会」が開催される。このことに関連して、2月10日付の多維新聞は、これは重要な会議であるとしつつ、北朝鮮の政治情勢を分析しており、参考になる。

○この会議は「党の思想建設上重要な意義があり、政治思想をもって千万の(注 「多数の」という意味であろう)軍民を闘争に参加させ、先軍(注 金正日が確立した軍事優先主義)の朝鮮が繁栄する時代を開く」と朝鮮中央通信は報道している。この会議が前回開かれたのは2004年2月であった。
○金正恩は2012年4月15日、著作を発表し、朝鮮労働党の指導思想を「金日成―金正日主義」とし、全社会を「金日成―金正日化」することを最高の綱領とすることを提起した。今回の思想労働者大会は全国人民に指導思想が変わったことを教え、また新しい指導者が金正恩であることを確認する。
○1974年2月、労働党代表者会議は金正日を金日成の後継者として承認するとともに、同人の弟の金英柱に対する批判を行なった。金正日はそれ以来金日成主義の権威を高める手を打ちながら、種々の口実を設けて多数の反対者を粛清した。金英柱は副総理に降格、外国へ放逐し、1993年になってやっと帰国を許した。
○金正日の異母弟、金平日を支持していた南日(かつて副総理)は1976年2月、化学プラントを視察中であったが、平壌に車で平壌に急行(注 きっかけは不詳)する途中に、軍用車に衝突された。事情通によると、当時金日成の後継者をめぐる競争は激烈であり、金正日は信頼する「護衛二局」に殺害させたそうである。
○1977年、金正日に反対していた、労働党中央書記兼国家副主席の金東奎とその支持者は、「党唯一の思想体系である十大綱領を害した」とされて党籍をはく奪され、政治犯収容所に収監された。生死は不明である。
○金正恩は当時の金正日より年若く、実力もまだついていない。これまでに粛清したハイレベル高官は軍の李英浩と党の張成沢だけである。金正日のひつぎに寄り添った者はすべて片づけたが、これでは完全に権力を掌握するには程遠い。今回の思想労働者大会は金正恩による粛清の開幕を告げるものであり(標識着)、今後金正恩は金日成-金正日主義を持ち上げつつ、金ファミリーに不満を持つ者を追い落としていく可能性がある。
○2013年9月、北朝鮮は憲法よりも、また労働党規約よりも高位の「党の唯一の思想体系を樹立する十大原則(十大原則と略称)」を39年ぶりに改訂し、「白頭山血統、すなわち金正恩一家の政権世襲制を明文化した。改訂後の「十大原則」は、北朝鮮で今後粛清が継続することを示している。

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2014.02.17

核兵器の非人道性に関するメキシコ会議

核兵器の非人道性について議論する会議が2月13~14日、メキシコ西部のヌエボバジャルタで開催された。メキシコの議長が核廃絶についてかなり踏み込んだ発言をしたこと、次回会議を2014年中に開催するオーストリアからの参加者も非常に積極的に取り組む姿勢を見せていることなどが報道されている。日本から出席した外務省の軍縮課長はかなり困難な立場に置かれたそうで、次回参加するかどうかあらためて検討するという趣旨のことを述べたので、被爆者やNGOから不満の声が出たらしい。
今回のメキシコ会議についてはいくつか思うことがある。
第1に、メキシコ会議のテーマは「核兵器の非人道性」でなかったか。このテーマに関して2012年から何回か国際会議が開かれ、昨年の国連総会第1委員会(軍縮担当)では、日本も同意できる内容となり、声明に参加した。日本政府の関係者の努力に私もささやかながら賛意を表明した経緯がある。
第2に、今回のメキシコ会議ではその声明を単に繰り返すだけではすまず、さらに一歩進めようとしたのであろう。どの方向に進めようとしたのかが問題であり、大きく言って3つの方向が考えられる。1つは、議長が強調したように、核廃絶の方向に進むことである。「核兵器の非人道性」から「核廃絶」に関心が拡大するのはある意味で自然なことであるが、日本政府としてはこのような方向に議論が拡大することに困惑したのだろうか。しかし、日本は毎年の国連総会で核軍縮決議を成立させる推進役となっている。他にも類似の核軍縮決議はあるが、日本が進めているのは賛成国がもっとも多い。そうであれば、議論が核軍縮に拡大しても、待ってましたと歓迎するというとやや悪のりの感じになるが、少なくとも困らないのではないか。
第3に、核兵器の人道性について、当初は「核兵器の違法性」をテーマとしており、後に「非人道性」に手直しされてきたが、両者は密接に関連し合っている。1996年に国際司法裁判所はその勧告のなかで、「一般的には核兵器は非人道的」であり、「原則違法(これは私の表現で、実際にはもっと複雑な文章である)」と明記した。非人道性会議も声明のなかでこのことを明言すべきである。
第4に、非人道性については、被爆者の体験をどのようにこの一般的な命題につなげていくか。これは簡単でない。世界には、被爆者に対して面と向かっては言わないが、被爆者だけが非人道的な攻撃を受けたのではないと考えている人がいる。私は軍縮大使時代、そのような考えの某国大使と大激論をしたことがある。
第5に、今や米国の駐日大使が広島と長崎を訪問する時代になっており、オバマ大統領の訪問も実現するかもしれない。その場合、米国として核兵器の非人道性の問題をどのように認識するのであろうか。ちなみに、米国には原爆投下を命令したトルーマン大統領の時代から核兵器の非人道性を認識し、指摘していた政治家がいたことは周知の事実である。

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