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2015.04.16

(短文)核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議

 4月27日から5月22日まで、国連本部において核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議が開催される。再検討会議は、同条約が1970年に発効して以来5年ごとに開かれる重要な会議であるが、うまくいったことがほとんどない。個人的な見解では、1995年と2000年の2回しか成功しなかった。「成功」とは、会議の開催目的が多少なりとも達成されたことを意味するとしておく。8回開催して2回しか成功しなかったというのはまことにひどい状況であるが、そうなるのは、扱う問題が核兵器の拡散の防止などきわめて特殊で、デリケートな問題だからであり、現実的に見ればやむをえないのかもしれない。

 さる4月11日、我が国の軍縮学会が開かれた。必ずしもNPT再検討会議の準備が主要議題ではなかったが、今後のことを展望するのに有益であった。
 一つの大きな問題は「核兵器禁止条約」である。現在はまだ構想の段階にあるが、歴史は古く1960年代、NPTが成立する以前からの経緯がある。
 内容的には、「核兵器の禁止」を直接目指すのがよいか、それとも、まず「核兵器の違法性」あるいは「核兵器の非人道性」あるいは「核兵器の一部禁止」に焦点を当てていくのがよいかという問題があり、それぞれに長所、短所がある。
 また、政治的なモメンタムをどのようにして作り出すかも難問である。1995年に少しでも前進できたのは、核兵器国が譲歩しなければ、条約の規定にしたがってNPTが消滅してしまうという問題があったからである。
 オバマ大統領が「核のない世界」を目指すことを打ち出した時も大きなモメンタムが生まれたが、どこまで実現に近づけたか、評価は分かれるだろう。ともかく、今、モメンタムはほとんど消滅している。だから、今年の会議の行く末が心配なのである。

2015.04.15

(短文)アジアインフラ投資銀行(AIIB)「海上のシルクロード」との関係など

○大公報(4月13日付)はシンガポールの中国語紙『聯合早報』を引用して、習近平主席がボアオ・アジアフォーラムで、「中国と周辺の国家が運命共同体の意識を樹立することが重要であると強調した」「一帯一路(海上シルクロード)戦略はそのための重要なブースターとなる」と述べたことを報道している。
 AIIBと「一帯一路」「海上のシルクロード」との関係は重要な問題である。当HPでは4月6,10日に指摘している。

○オバマ大統領はジェイコブ・ルー財務長官を2週間以内に再び中国へ派遣することにした(『多維新聞』4月13日付)。同長官は3月末に訪中しており、このように短期間のうちに再度訪問するのはきわめて異例である。これもAIIBとの関連があるのではないか注意しておく必要がある。

○台湾はAIIBの創設準備に加わる申請を3月31日に行なった。それ以来、台湾の資格と呼称について中国側と交渉が続けられていたところ、4月13日、中国の台湾事務弁公室は、台湾は創設準備メンバーになれないと発表した。
 これに対し、馬英九政権は申請を撤回すると応じ、体面を保とうとしているが、台湾では議論が起こっている。同政権に批判的な立場からは、呼称が問題になることは初めからわかっていたことであり、それを軽視して申請をした馬英九は自ら問題を招いたと言われている。
 中国側の立場については、王毅外相が3月末のボアオ・アジアフォーラムで「国際慣例に従う」と説明した経緯がある。そうすると、アジア開発銀行での取り扱いが参考例となり、台湾は「Taipei, China」、中国語では「中国台北」と表示されることになる恐れがある。
 この呼称は、1986年に中国が同銀行に加盟して以来使われているものである(それまで台湾は「中華民国」の名称であった)が、台湾としては、これは中国の主張そのものであり、再度使うことは何としてでも避けたいという考えが強く、「中華台北」とする線で交渉していたと思われる。しかし中国としては、すでに前例があるのにそれより後退することはできないと考え、今回の発表になったのであろう。

2015.04.14

(短文)中ロ武器取引

 中国はロシアから2つのハイテク兵器を購入する交渉を行なっている。中国が獲得すればその航空戦闘・防御能力は一段と向上し、尖閣諸島に対する潜在的脅威は増大すると言われている。
 1つは、「スホイ35(Su-35)」戦闘機である。2012年から交渉しているが、価格が折り合わずまだ結論が出ていない。中国が、以前導入したスホイ27をコピーしたことがあったので交渉が複雑化しているとも言われている。
 もう1つは、S-400地対空ミサイルで、性能は米軍のパトリオットに匹敵するので各国から購入希望が寄せられているが、これまでどこへも輸出されていなかった。中国との交渉も難航していたが、最近プーチンの指示があって進み始め、中国がS-400を獲得する可能性が大きくなったと米国に本部がある『多維新聞』が報道している(4月13日付)。

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