平和外交研究所

2013 - 平和外交研究所 - Page 30

2013.09.14

朱建栄氏の拘束

1986年以来日本に居住し、東洋学園大学の教授を務めている朱建栄氏が中国当局に拘束されている。7月中旬に上海へ到着して以来しばし行方が分からなくなっていたが、非公式に消息が伝えられるようになり、9月11日の記者会見では、中国外交部の報道官が、同氏が当局に拘束されていることを強く示唆する発言を行なった。
同氏は、日本の言論界でもっとも活躍している中国人学者の一人である一方、中国政府と密接な関係があるとも見られている。今回拘束されたことについて中国の報道官は、朱氏は中国人として法律を順守しなければならないなどと述べているようであるが、中国当局は法律にしたがって拘束していることをきちんと説明できるか。朱氏の人権を侵害していないかなど、問題はありそうだ。
今回中国当局がこのような挙に出た理由については、対日関係上の意図があったとする見方もある。それを否定するわけではないが、中国は思想工作面(この内容は非常に広く言論統制なども含む。薄熙来の問題とも関連する)で現在なかなか困難な状況にあり、インターネットに対するコントロールを強化し、当局が好ましくないと思う言説をネット上で流している人を相次いで逮捕している。今秋の中央委員会総会に向けて習近平主席としても難しいかじ取りを強いられており、中国内にはかなりの緊張があるようだ。このようなことは日本ではもとより、中国にいても外国人にはわかりにくい状況である。中国のことをよく知っている朱建栄氏も油断していたのかもしれない。国内が緊張状態にある場合、当局が過剰に反応する傾向があるのは過去にもみられたことである。朱建栄氏の拘束もそのような状況を背景に見ていく必要があるのではないか。

2013.09.13

北朝鮮の黒鉛減速炉再稼働?

北朝鮮は寧辺(ヨンビョン)にある黒鉛減速型原子炉を再稼働しているか、あるいはその準備を始めていると報道されている。米ジョンズ・ホプキンズ大学の北朝鮮研究グループの衛星写真分析結果に基づくものであり、韓国ではこれに対し、まだそうは言えない、わざとそう思わせているだけだという声もあるようだ。北朝鮮はさる4月に黒鉛減速炉を「再整備、再稼働する措置をとる」と表明していたから今回の報道が正しいと見るのではないが、核の問題に関する韓国の見方には甘いところがあると、私はかねてから思っている。
北朝鮮で起こっていることについては少々違った角度から疑問がある。4月の発表時にすでにあった問題であるが、北朝鮮は二〇〇九年に、従来から使用していた黒鉛減速炉の代わりに各国で使用されている軽水炉を自力で開発することにしたと訪朝した米人科学者に述べており、その際は二〇一二年までに軽水炉を完成させるとしていた経緯がある。しかし、それは少なくとも時間的に無理だというのが米人科学者の見方であったが、準備、とくに軽水炉に必要な濃縮ウランを製造する施設は当時すでにできており、訪問した人たちは「顎が外れるくらいに驚いた」そうである。米人の表現であり、日本語なら「腰が抜けるほど」と言ったところであろう。
二〇一三年四月の黒鉛減速炉再稼働の発表は、二〇〇九年の軽水炉計画とどのように関係していたのか、気になるが、今でもはっきりしていない。推測にすぎないが、軽水炉計画が遅れているので、とりあえず方針を一部修正して、黒鉛減速炉も再稼働させることとしたのかもしれない。
北朝鮮では、「人工衛星」発射実験、核実験、さらにその一連の流れのなかで行なった朝鮮戦争の休戦協定破棄宣言、さらには高級軍人の頻繁な人事異動など変化がかなり激しく起こっており、これらは金正恩第一書記の采配(口出し?)が原因ではないかと思っている。黒鉛減速炉についてもそのような面があるのかもしれない。

2013.09.10

人民解放軍との衝突もいとわない「城管」

9月4日午後、青島で「城管」と人民解放軍兵士が衝突した。「城管」の言葉の意味は「町の管理者」であるが、実態はその言葉の印象とはほど遠く、暴力沙汰を起こすこともしばしばで、露天商の女性が、取り締まりを受けたとはいえ、殴り倒され血みどろになって路上に放置されている姿がネットで流れたりしている。断わっておくが、「城管」は公務員であり、中国では誰よりも恐れられている。
青島で問題になったのは人民解放軍の監視塔で、当局より撤去を命じられたが聞き入れなかったらしく(ここまでは推測)、「城管」はブルドーザーでその強制撤去に取りかかったところ、それを阻止しようとする人民解放軍兵士数名と殴り合いになり、兵士は衆寡敵せず蹴散らされ、監視塔は撤去されてしまったという話である。一部始終が写真付きでネットに流れている(文匯網 これは香港ベース)。
人民解放軍は、中国内部の秩序維持を担う武装警察と密接な関係にあり、中国の現体制は人民解放軍や武装警察なくして維持できない。「城管」はそれと衝突するのもいとわないのである。

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