平和外交研究所

2013 - 平和外交研究所 - Page 32

2013.09.05

中国最高人民検察院のトップが調査の対象か

中国最高人民検察院検察長(院長 同院党組書記)の曹建明に対して規律検査委員会は調査を開始する予定であると「外国のメディア」が報道していると多維新聞が9月4日報道。込み入った報道の仕方である。
曹建明はベルギーのケント大学で博士号を取得し、一貫して中国の司法畑を歩んできた人物。2013年3月に再任されたばかり。5か月の間に何が変化したのか。
これは習近平の言う「虎」のなかでも大物である。

2013.09.04

武力攻撃と議会での事前承認

オバマ大統領はシリアに対する攻撃に踏み切る考えを8月31日に発表したが、攻撃を開始する前に議会の承認を求める方針であることも表明した。いくつかの注目点がある。
○武力行使について国連決議による承認がない場合、あるいは明確でない場合、各国においては行政府限りで武力行使することが可能であっても、議会の承認をあらかじめ得ておかないと国内的に困難な状況に立ち至ることが傾向として出てきているのかもしれない。過去には湾岸戦争やイラク戦争の場合も米国では議会の承認を得ていた。リビア攻撃の際は議会での事前承認なし。ただし、この場合米軍はNATOの一員として行動したので単純に比較すべきでない。
○イラク戦争が苦い経験となって残っており、今回のシリアの場合、各国の対応は非常に慎重になっている。イラク戦争の際には、国連決議の有無が議論の的になり、米英は、既存の決議で十分であり新たな決議は必要ないという立場で攻撃に踏み切った。作戦開始後武力行使を明確に認める決議が成立したので全体としては国連決議の問題は解決したが、今後、武力行使に踏み切る時点で国連決議があるか否かはもっと厳格に見るようになるであろう。そうなった原因はイラク戦争である。
○米国政府は、かねてよりシリア政府軍が化学兵器を使用したら攻撃すると明言していたこともあり、もし議会がシリア攻撃を認めないと困難な立場に置かれることとなる。米国はこれまで、内政不干渉の原則や国際社会の常識に少々反してでも行動を起こすことがあったが、このようなことも今後はより困難になるだろう。
○シリア攻撃についての各国の世論は、化学兵器の使用を止めさせる必要があることについてはコンセンサスがあるが、そのための手段については武力公使がどうしても必要か、米英仏とも賛否が拮抗ないし反対が多くなっている。
○シリア政府の立場に理解を示してきたロシアと中国は、攻撃する方針を示している米国は好戦的であるという印象を国際世論に植え付けようとしてきた。米英仏で議会の承認が必要となったことは、結果的にはこれら両国の立場を強くする可能性がある。

2013.09.04

反腐敗闘争における習近平の本気度

9月2日付の多維新聞(海外に拠点がある中国語新聞)は社説で次の諸点を述べている。
○反腐敗闘争をどこまで徹底できるか、習近平の意思と決意のほどが問われている。
○前鉄道部長の劉志軍に対する判決(執行猶予付きの死刑。一定期間強制労働に服し、問題なければ無期懲役となるのが一般的)は軽過ぎて、巷では批判が満ち溢れている。
○薄熙来も妻の谷開来と同様、執行猶予付きの死刑であろう。
○前発展改革委員会副主任(次官クラス)の劉鉄男が極刑になる可能性はほとんどない。
○前政治局常務委員の周永康は巨額の腐敗を疑われているが、内部処理でお茶を濁すことになるのではないか。
○このような状況は中国の発展を願うわれらとしてまことに憂慮すべき問題である。
○中共は常識にとらわれず、時期を外さず即時に対処し(操刀必割)、重罰をもって臨むことにより初めて腐敗と戦う意思を鮮明にすることができる。

多維新聞の社説が出た翌日、明報は、国有資産監督管理委員会主任(大臣クラス)の蒋潔敏および中国石油天然ガス集団公司(CNPC)の幹部4名(蒋潔敏はCNPCの前会長であった)に対する取り調べが開始したことに焦点を当て、これは習近平が宣言していた「ハエだけでなく、虎もたたく」の虎であるとし、利権にまみれた石油業界での反腐敗闘争は現政権にとって試金石になると論じている。CNPCが世界でトップクラスのスーパー企業であるのは周知のことである。

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