オピニオン
2016.09.28
このような法律が制定されたのは社会に不正腐敗の弊が満ちているからだと言われている。いろいろ事情があるのだろう。
それにしても、この法律制定はずいぶん思い切ったものだと思う。日本ではできないことであり、このように思い切った措置をとれるのは韓国の特徴の一つだ。
かつて、IT化のために大規模投資をすることとした決定もやはり大胆なものだったが、これは成功し、韓国でのIT化は日本より数歩先に行っている。しかし、今回の措置がITのように積極的な効果を生み出すか、法律は定着するか、これからの推移を見ていく必要がありそうだ。
(短評)韓国の大胆な接待制限法
本日(9月28日)、韓国で公務員らに対する金品の授受や会食接待に厳しい制限を科す法律(正式名は「不正請託および金品授受の禁止関係法」)が施行される。会食は1回につき3万ウォン、日本円では3千円弱が上限となるので、これではビジネスランチくらいにしか招待できなくなる。それはとても「接待」と呼べるようなものではない。このような法律が制定されたのは社会に不正腐敗の弊が満ちているからだと言われている。いろいろ事情があるのだろう。
それにしても、この法律制定はずいぶん思い切ったものだと思う。日本ではできないことであり、このように思い切った措置をとれるのは韓国の特徴の一つだ。
かつて、IT化のために大規模投資をすることとした決定もやはり大胆なものだったが、これは成功し、韓国でのIT化は日本より数歩先に行っている。しかし、今回の措置がITのように積極的な効果を生み出すか、法律は定着するか、これからの推移を見ていく必要がありそうだ。
2016.09.26
その理由については、台湾の蔡英文政権が「一つの中国」という原則を認めないからだというのが中国の態度だ。中国と台湾の間では「一つの中国」を認めるか否かの論争がある。いわゆる「九二共識」の解釈であり、中国は、台湾側も「一つの中国」の原則を認めたと主張するのに対し、台湾は、国民党が中国に近い姿勢、民進党は、「九二共識」の解釈は中台それぞれにゆだねられている、との立場だ。
蔡英文はこの論争には深入りせず、中国との関係については「現状維持」を唱えている。「現状維持」とは何か不明だ、状況が変化していく中で「現状維持」はありえない、などと批判されても深入りせず、「現状維持」をお墨付きのように繰り返している。そして、そのような原則問題よりも、少しずつコンセンサスを積み重ねていく「民主的プロセス」を重視し、台湾人は「民主と自由を必要としている」と強調している。
中国は、蔡英文が「一つの中国」に関し逃げ回っていると見ているのだろうが、中国の言うようにしないかぎりICAOへの出席は認めないというのは、力づくで目的を達成しようとするパワーハラスメントに他ならない。中国と台湾の関係は日本が容喙すべきことでないが、巨大な国が弱小国を締め上げるのは世界にとっても問題だ。今回のことについて日本政府が「台湾の参加が認められることが望ましい」と表明したのは妥当だと思う。
類似のことがさる5月のWHO(世界保健機構)の年次総会でも起こった。この時は蔡英文総統の就任直後であり、招待状が送られてきたが、それには例年と異なり、「一つの中国」の原則を強調する特記事項が、45年前に国連で採択された決議の引用とともに記されていた。国連での中国の代表を「中華民国」から「中華人民共和国」に変更した決議である。しかし、それ以降も蔡英文総統の態度は変わらないので今回は招待状を送らなかったのだろう。
中国は何としてでも「一つの中国」原則を蔡英文に認めさせたいとあらゆる手段を講じているようだが、一つの問題は台湾人がそれにどのように反応するかだ。中国のパワーに震え上がって蔡英文に対する批判が強くなるか、それとも逆に中国のそのような振る舞いに反発するか。中国にやり方はどう見ても賢明と思えない。
(短評)ICAOから台湾を締め出す?
明27日に開催される国際民間航空機関(ICAO)の総会に台湾は招かれなかった。中国外交部の報道局長は「招かれないのは当然だ」と語っており、中国が台湾の出席に反対したので招待状が発出されなかったということなのだろう。現在ICAOの事務局長柳芳は中国人だ。その理由については、台湾の蔡英文政権が「一つの中国」という原則を認めないからだというのが中国の態度だ。中国と台湾の間では「一つの中国」を認めるか否かの論争がある。いわゆる「九二共識」の解釈であり、中国は、台湾側も「一つの中国」の原則を認めたと主張するのに対し、台湾は、国民党が中国に近い姿勢、民進党は、「九二共識」の解釈は中台それぞれにゆだねられている、との立場だ。
蔡英文はこの論争には深入りせず、中国との関係については「現状維持」を唱えている。「現状維持」とは何か不明だ、状況が変化していく中で「現状維持」はありえない、などと批判されても深入りせず、「現状維持」をお墨付きのように繰り返している。そして、そのような原則問題よりも、少しずつコンセンサスを積み重ねていく「民主的プロセス」を重視し、台湾人は「民主と自由を必要としている」と強調している。
中国は、蔡英文が「一つの中国」に関し逃げ回っていると見ているのだろうが、中国の言うようにしないかぎりICAOへの出席は認めないというのは、力づくで目的を達成しようとするパワーハラスメントに他ならない。中国と台湾の関係は日本が容喙すべきことでないが、巨大な国が弱小国を締め上げるのは世界にとっても問題だ。今回のことについて日本政府が「台湾の参加が認められることが望ましい」と表明したのは妥当だと思う。
類似のことがさる5月のWHO(世界保健機構)の年次総会でも起こった。この時は蔡英文総統の就任直後であり、招待状が送られてきたが、それには例年と異なり、「一つの中国」の原則を強調する特記事項が、45年前に国連で採択された決議の引用とともに記されていた。国連での中国の代表を「中華民国」から「中華人民共和国」に変更した決議である。しかし、それ以降も蔡英文総統の態度は変わらないので今回は招待状を送らなかったのだろう。
中国は何としてでも「一つの中国」原則を蔡英文に認めさせたいとあらゆる手段を講じているようだが、一つの問題は台湾人がそれにどのように反応するかだ。中国のパワーに震え上がって蔡英文に対する批判が強くなるか、それとも逆に中国のそのような振る舞いに反発するか。中国にやり方はどう見ても賢明と思えない。
2016.09.21
習近平政権の2本の鞭である反腐敗運動と言論統制の強化のうち、前者は激しい人事異動を実現する手段になっている。
言論統制が厳しいのは相変わらずだ。毛沢東のかつての秘書や趙紫陽の部下だった者など長老たちの意見を発表する場になっており、またそのため共産党からにらまれていた雑誌『炎黄春秋』は、さる7月に社長・編集者が罷免され、党の指導に従順な新しい体制に変更させられた。8月以降も雑誌は引き続き発行されているが、今後は党に対して注文を付けることはなくなるだろう。習近平は長老たちをも封じ込んでしまったのだ。
一方、習近平は党の宣伝部についても不満を抱いているようだ。『炎黄春秋』の扱いも生ぬるいと見ていた可能性がある。党大会へ向け宣伝部についても手を加えていくのではないか。
インターネットについても統制を厳しくしていこうとする姿勢が顕著だ。2014年5月に習近平はインターネット安全情報化指導小組を立ち上げ、自らその主任となって采配を振るっている。
共産主義青年団(共青団)の改革も目立っている。反腐敗運動を担当する規律検査委員会が調査をした結果、「機関化、行政化、貴族化、娯楽化」などの弊があると指摘した。ようするに、幹部の養成機関として実績を上げてきた共青団だが、堕落しているということだ。今後は予算も大幅に減らすらしい。
このような共青団に対する措置を見ても習近平主席は現在の中国の根幹を形成する諸機関に制度疲労が生じ、本来の機能を果たしていない、共産党体制を維持していくには大胆な外科手術が必要だと考えているのではないか。
共青団については、李克強首相や胡錦濤前主席など共青団出身者との権力闘争だという見方もあるが、習近平はこれらと争うために共青団を改革しようとしているのでなく、改革の結果彼らの立場が弱くなっても構わないという考えではないか。
(短評)中国情勢-習近平主席の思惑
習近平主席が激しい人事異動を行っていることは昨日書いたが、その他の面でも大胆な措置を講じており、同主席は現在の状況に強い不満を抱いていることがうかがわれる。習近平政権の2本の鞭である反腐敗運動と言論統制の強化のうち、前者は激しい人事異動を実現する手段になっている。
言論統制が厳しいのは相変わらずだ。毛沢東のかつての秘書や趙紫陽の部下だった者など長老たちの意見を発表する場になっており、またそのため共産党からにらまれていた雑誌『炎黄春秋』は、さる7月に社長・編集者が罷免され、党の指導に従順な新しい体制に変更させられた。8月以降も雑誌は引き続き発行されているが、今後は党に対して注文を付けることはなくなるだろう。習近平は長老たちをも封じ込んでしまったのだ。
一方、習近平は党の宣伝部についても不満を抱いているようだ。『炎黄春秋』の扱いも生ぬるいと見ていた可能性がある。党大会へ向け宣伝部についても手を加えていくのではないか。
インターネットについても統制を厳しくしていこうとする姿勢が顕著だ。2014年5月に習近平はインターネット安全情報化指導小組を立ち上げ、自らその主任となって采配を振るっている。
共産主義青年団(共青団)の改革も目立っている。反腐敗運動を担当する規律検査委員会が調査をした結果、「機関化、行政化、貴族化、娯楽化」などの弊があると指摘した。ようするに、幹部の養成機関として実績を上げてきた共青団だが、堕落しているということだ。今後は予算も大幅に減らすらしい。
このような共青団に対する措置を見ても習近平主席は現在の中国の根幹を形成する諸機関に制度疲労が生じ、本来の機能を果たしていない、共産党体制を維持していくには大胆な外科手術が必要だと考えているのではないか。
共青団については、李克強首相や胡錦濤前主席など共青団出身者との権力闘争だという見方もあるが、習近平はこれらと争うために共青団を改革しようとしているのでなく、改革の結果彼らの立場が弱くなっても構わないという考えではないか。
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