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2015.12.16

日印関係強化の先にあるハードル インドと中国、なぜ経済に大差が付いたのか

 安倍首相が訪印し、モディ首相とインドの鉄道への新幹線による協力、原発の輸出の前提となる日印原子力協定の締結など重要な合意に達した。後者については議論があるが、ここでは論じない。

 インドはこれからどんどん発展していくか。可能性は中国に劣らず高いが、我が国では、インドという国は中国よりもさらに知られていない。そこで約3千字の短い論考だが、インドの特徴を大づかみに描写してみた。
 印象に過ぎないが、インドの政治を論じた著作は複雑な内容のものが多い。中央の政党だけでなく地方の政党もインド連邦の政治に影響力があるなどインドの政治が複雑だからそうなるのだが、このこともインドをわかりにくくしている原因の一つだと思う。

 東洋経済オンライン12月16日に「日印関係強化の先にあるハードル インドと中国、なぜ経済に大差が付いたのか」を寄稿しました。
 この件名で直接、あるいは「東洋経済オンライン」「経済・政治」で検索できます。
2015.12.10

(短評)韓国人の逮捕

 靖国神社のトイレで爆発物を仕掛けた容疑がかかっていた韓国人、全昶漢(チョンチャンハン)が逃れていた韓国から自発的に日本へ戻ってきて、即警視庁に逮捕された。
 誰が見ても不思議なことだが、日本と韓国の警察が協力した結果だと思う。日本と韓国の間には、捜査に関して協力し合う仕組み(捜査共助)があり、それに基づいて両国の警察が協力し合ったのだ。これはいわゆる「犯罪人引き渡し」とは異なる。「犯罪人」は、日本でも韓国でも、裁判により決定され、捜査の段階では、対象となっている人物が「犯罪人」かどうか、明確になっていない。要するに、容疑がかかっているだけだ。したがって、「犯罪人」の引き渡しには当たらないが、国境を越えた捜査についてはまた別に協力の仕組みが作られており、そのために条約が結ばれている。
 もっとも、韓国では靖国神社がらみの事件は「政治犯」として日本に協力しないことがありうるが、これは韓国にとっていわば最後の手段であり、いつもこれを持ち出すわけにはいかない。日本で事件を起こした容疑で捜査の対象となっている外国人で韓国へ逃れる者は1年間に50人くらいおり、両国の警察は頻繁に連絡を取り合っている。その中で両国の警察間には持ちつ持たれつの関係ができているはずだ。
 今回、韓国警察は、細かいことは分からない、一種の取引だったかもしれないが、日本の警察に協力するほうがよいと判断し、この韓国人を日本へ戻るよう説得したのだと思う。
 日韓関係がよくない今日、協力関係が機能していることに光が当たりにくいが、今回のケースは協力することがお互いに利益になることを示唆していると思う。

2015.12.09

(短文)核廃絶に関する日本提出決議の採択

 12月8日、国連総会において我が国が107カ国の共同提案国を代表して提出した核廃絶決議案が採択された。我が国は毎年この決議案を提出しているが、今年は一つの特徴があった。
 世界の指導者に被爆地訪問を促していることだ。目的は、被爆地を訪問することにより、核兵器がいかに恐ろしい、非人道的な兵器であるかを理解してもらうことにある。
 日本ではなかなかわかりにくいことだが、世界の人たちは、核兵器が非人道的だということを必ずしも理解していない。軍縮に携わっていても分かっていない人がいる。何回も繰り返して恐縮だが、わたくしは軍縮大使時代、核の非人道性を分かっていない欧州のある主要国の大使と激論を交わしたことがある。

 さる5月、NPT(核兵器不拡散条約)の、5年に1回の重要会議(「再検討会議」と言う)で、日本は同じ文言を会議の結論に入れようと努めたが、中国が猛反対したため成功しなかった。
 しかし、日本政府はそれであきらめることなく、今回の国連総会でふたたび試み、成功した。粘り強い努力のたまものだったと言えるだろう。

 この被爆地訪問と同じく核兵器の非人道性を確認・確立しようという動きが、この決議とは別に過去2年来続けられてきた。非人道性確認国を拡大する運動であり、こちらも賛同国が増加し、また核兵器国も米英仏などはNGOの強い後押しを受けて拒絶反応を示さなくなっていたが、
 他方、運動に参加する国が増加していくと核兵器の使用禁止に発展する恐れがあると警戒心を高めていた。
 国連総会で我が国が主導した決議案に、昨年まで米英仏などは賛成していたが、今回は「棄権」した。半歩後退である。そのように態度を変えたのは、やはり非人道性確立運動に警戒していたからである。
 

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