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2019.08.15

慰安婦問題

慰安婦問題をまとめました。日本国内と国際社会では温度差があります。
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2019.08.05

韓国に対する輸出管理厳格化と米国の姿勢

 韓国に対する輸出管理厳格化措置を米国はどのように見ているか、また、日韓両国の間に立って仲介を試みる考えはあるか。関連の報道や説明は注意深く聞く必要がある。

 7月31日の共同通信はロイター通信を引用しつつ、「米政府高官は30日、日本による対韓輸出規制強化など一連の日韓対立を巡り、現状を維持し新たな措置は取らない状態で交渉する協定への署名を求める仲介案を提示したと明らかにした」と伝え、また、「ポンペオ国務長官は8月1日にタイ・バンコクで予定する日米韓外相会談で、河野太郎外相と韓国の康京和外相と仲介案について協議する見通しだ」と報道した。

 しかし、31日午前、菅義偉官房長官は記者会見で、米政府高官が日韓に仲介案を提示したとの一部報道について「そのような事実はない」と述べた。

 共同通信は「仲介案」があったとし、菅官房長官はそれはなかったとしたので、両者の説明は、この点では矛盾している印象があるが、実は、みかけほど異なっていない面もある。
 米国は今回の規制強化措置について米国の考えを日韓両国に示していたことである。日本と韓国は米国にとって重要な同盟国であり、東アジアの安全保障戦略にとって両国の協力が不可欠でり、米国としては日韓両国が仲たがいをしてもらっては困る、一刻も早く関係を改善してもらいたいと考えており、米国がそうしたのは当然であった。

 このことについて菅氏の説明はよほど注意して聞かないとわからない。記者会見では「米国との間では、わが国の一貫した立場や考えを累次伝達し、常日頃から緊密に連携している」、「今後もわが国の立場に対し、正しい理解が得られるように努める」とだけ語ったからであるが、その中に、米国は「仲介する用意がある」という態度を示したことは言及されていなかったが、含まれていたと思う。

 一方、韓国の文在寅大統領は、米国が「仲介の用意がある」という姿勢を見せたと明言した。文氏は2日午後、臨時の閣僚会議を開き、安倍政権が輸出手続きを簡略化できる「ホワイト国」のリストから韓国を外す政令改正を決めたことについて、「とても無謀な決定であり、深い遺憾を表明する」と語ったうえ、「米国が状況をこれ以上悪化させないよう交渉する時間を持つよう求めた提案に、日本は応えることはなかったと非難した」のである。
 「米国が状況をこれ以上悪化させないよう交渉する時間を持つよう求めた」との言及が米国の姿勢を示していた。しかも、文氏は「日本はその提案に応えることはなかった」とまで語ったことは見逃せない。

 韓国の大統領が発言したことがいつも正しいわけではない。しかし、この発言は事実を反映していたと思う。もし、文氏が日本政府の対応について誤った言及をしたのであれば、日米両国から抗議され、是正を求められるからである。

 要するに、米国は日韓両国に対して、関係改善のためともに努めるよう求めたのであり、そのことについてわが官房長官は、文氏が具体的ま表現で説明したのとちがって、ごく一般的な形で触れただけであったのだ。

 ちなみに、2日、バンコクで行われた河野太郎外相、ポンペオ米国務長官、韓国の康京和(カンギョンファ)外相間の会談についても、日本政府は米国が仲介する用意があるという趣旨の発言はなかったと説明した。河野外相は記者から、「ポンペオ長官のご発言について,両国で話し合いをして問題解決に向けて努力してほしいということなのですが,これはポンペオ長官が間に入って何か仲介をするというものでは・・」と問われたのに対し、「違います。別に仲介とかなんとかということではなくて,両国の問題は両国で話し合って解決してください,ということでした。」と述べている。

 要するに、日本政府の口からは、輸出規制強化措置に関して、米国政府が日韓関係を心配しているようなことは一切出ないのであるが、それでも日本政府の姿勢には危惧を覚えてならない。

 理由の一つは、かりに米国と日本の考えや立場が違っていても、日本政府はそのような違いを国民に説明してくれるか安心できないからである。

 もう一つの理由は、日本政府が2日に第二弾の規制強化措置を取った後、米国から強い懸念を示す声が聞こえてきたからである。米国務省当局者の共同通信に対する、「日韓対立について双方が関係改善に責任がある。ここ数カ月間に2国間の信頼を傷つけた政治的決断には反省が必要だ。日韓関係が悪化すれば、双方が結果に苦しむことになる。米国はこの問題に関与し続け、両国の対話を支援する用意がある」との発言である(3日の共同通信)。

 この発言は、米国の日韓両国の態度についての見解を率直に語っているだけでなく、日本政府に対する非難めいた言及も含んでいたと思う。もちろん、共同通信のこの報道が完全に正しいか、検証は必要である。
 
 ともかく、今回の規制措置強化を機に著しく悪化した日韓関係を両政府はどのように改善する考えなのか。韓国政府は措置の撤回を求めているのに対し、日本政府はどう応えるのかが問われるが、残念ながらどちらからも対応策は見えてこない。

 かりに、日韓関係が今のような状態を続ければ、米国が不満を募らせるのは不可避であろう。
2019.07.30

対韓輸出規制強化を契機とする北朝鮮による対日非難

 20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)および韓国に対する輸出規制の強化を契機に北朝鮮による対日非難が顕著に増加している。以下に引用した報道(非難と区別できないほど一体になっており、本稿では両者を単に「報道」と呼ぶ)は、特に断らない限り「朝鮮中央通信」によるものであり、鉤カッコ内は同通信からの直接の引用である。
 内容的には日本政府の発表や説明と異なる部分が少なくない。当研究所としては、北朝鮮の報道に賛同するのではないが、無視すべきでもないと考える。
 ともかく、日本と北朝鮮の関係は、日韓関係と並行して悪化したと思われる。

 6月28日、日本政府は「米軍特殊偵察機RC135Sの在日米軍基地への追加配備を許容したのに続いて、いわゆる独自の早期警戒衛星保有についてまでうんぬんしている。」

 7月6日、「日本は対朝鮮制裁・圧迫の孤独な「曲調」をうんざりするほど吹いている。」 また、この報道ではG20での安倍主張の発言を非難した。

 18日、「先日、南朝鮮では日本の戦犯企業は強制徴用被害者に賠償すべきだという法院の判決が下された。
これに服従せず日本当局は、戦後賠償問題が「完全で、最終的に解決された」「対抗措置を講じるべきだ」と怏々としたあげく、ごう慢にも南朝鮮に対する輸出規制措置を断行した。」

 23日、「1894年7月23日、日本侵略者は数多くの武力を動員して朝鮮王宮を包囲した。」(注 当研究所HP2019.07.25 「1894年7月23日の日本軍の行動」を参照願いたい)

 28日、(「わが民族同士」)日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は韓国の朴槿恵前政権と安倍晋三政権による「犯罪的共謀と結託の産物で、戦争協定である」とし、破棄を韓国に要求した。

 28日、「過去の罪悪に対する謝罪と賠償はおろか、それに対する認定も必死に回避していた日本の反動層が、強制徴用被害者賠償問題を巡って「信頼関係毀損(きそん)」だの、「国際法違反」だのと言って片意地を張りながら、南朝鮮に対して輸出規制という経済報復の刃物をむやみに振り回している。」
(労働新聞)「日本の今回の輸出規制措置は本質上、南朝鮮を経済的に併呑して新植民地に作ろうとする凶悪非道な侵略行為だ。」

 29日、「1905年7月29日、当時、日本首相の桂太郎と米陸軍長官のタフトは不法で白昼強盗さながらの「桂・タフト協定」をつくり上げたと明らかにした。(中略)一言で言って、「桂・タフト協定」は日帝による朝鮮占領の決定的前提を与えたし、その保証となった。」

 29日、「過去、日帝は朝鮮を武力で占領し、暴悪非道な植民地ファッショ暴圧統治を実施して民族抹殺政策を悪らつに追求した。ここで主に掲げた目標がまさに、朝鮮民族を精神的に抹殺することであった。その実践の一つとして、1930年代末から朝鮮民族固有の姓と名前を強制的に奪う「創氏改名運動」を強行した。」

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