ブログ記事一覧
2014.11.24
同施設は核燃料(ウラン燃料)を製造する施設で、年間約100トンのウラン燃料製造能力がある。核兵器製造に使われる可能性があるため、6者協議と米国との交渉により、2007年に運転が中止されたが、その後北朝鮮は再稼働していたと見られていた。今回の「38 NORTH」の発表は次のような内容であるが、北朝鮮による再稼働を確認する意味もある。
ヨンビョンの黒鉛炉の運転は10週間停止しているが、再処理施設は稼働し続けている。黒鉛炉の運転停止は通常の点検としては長すぎる。冷却塔から蒸気が上がっていること、トラックの動きが激しいこと、灰色の物質が積み上げられていることなどから、可能性としては、冷却システムに問題が発生した、あるいは燃料棒を何らかの理由で一部取り出した、あるいは炉心を入れ替えたことなどが考えられる。
また、原子炉の冷却塔から川に続いていたパイプラインに替わって他の場所に続くパイプラインが建設されており、今までのように温排水をモニターして操業状況を察知するのがむずかしくなるかもしれない。
(さらに…)
北朝鮮の核施設の再稼働
ジョンズ・ホプキンス大学のSAIS(高等国際関係大学院)の北朝鮮関係サイト「38 NORTH」は11月19日、北朝鮮のヨンビョン(寧辺)黒鉛炉は停止しているが、再処理施設は稼働していることに関する分析を発表して注目されている。同施設は核燃料(ウラン燃料)を製造する施設で、年間約100トンのウラン燃料製造能力がある。核兵器製造に使われる可能性があるため、6者協議と米国との交渉により、2007年に運転が中止されたが、その後北朝鮮は再稼働していたと見られていた。今回の「38 NORTH」の発表は次のような内容であるが、北朝鮮による再稼働を確認する意味もある。
ヨンビョンの黒鉛炉の運転は10週間停止しているが、再処理施設は稼働し続けている。黒鉛炉の運転停止は通常の点検としては長すぎる。冷却塔から蒸気が上がっていること、トラックの動きが激しいこと、灰色の物質が積み上げられていることなどから、可能性としては、冷却システムに問題が発生した、あるいは燃料棒を何らかの理由で一部取り出した、あるいは炉心を入れ替えたことなどが考えられる。
また、原子炉の冷却塔から川に続いていたパイプラインに替わって他の場所に続くパイプラインが建設されており、今までのように温排水をモニターして操業状況を察知するのがむずかしくなるかもしれない。
(さらに…)
2014.11.22
かねてから北朝鮮関係の問題をよく扱っている香港の『大公報』紙(11月14日付)は、次の諸点を報じている。
○金正恩はロシアとの関係改善に意欲的であり、部分的にはすでに金日成や金正日時代よりも進んでいる。
○朝露間でハイレベルの相互訪問が進んでいる。中国との間ではまさにそのことが欠けている。
○ロシアの副首相兼在極東連邦管区大統領代表のトルトネフが4月に訪朝し、以前はチャン・ソンテク(張成沢)派と目されていた対外貿易担当の副首相と会談した。これに先立つ2013年9月、ロシアの鉄道部門の責任者が訪朝し、ロシアの国境都市ハサンから北朝鮮側の羅津にいたる54キロの路線開通のテープカットをした(注 この路線は2011年秋にはほぼ完成していた)。
○2014年9月にはリ・スヨン(李洙墉)外相が訪ロ。11日間もかけてロシア各地を視察した。
○チェ・リョンヘ特使は金正恩第1書記の親書あるいは口頭のメッセージをロシア側に伝えた。2013年、北朝鮮が中国の漁船を拿捕し、中国が不満を唱えた際もチェ・リョンヘは特使として中国へ赴き、習近平に会って金正恩が中朝関係を進展させることを希望していると伝え、中朝関係はいったん緩和した経緯がある。
○北朝鮮が受けている援助の大部分は中国からであり、最近のロシアへの接近は援助の多角化を図るものであろう。
(さらに…)
北朝鮮とロシアの関係が活発化
金正恩第1書記の腹心の部下の一人であるチェ・リョンヘ(崔竜海 労働党中央書記)が金正恩の特使としてロシアを訪問した。そのことを朝鮮中央通信が報道したが、訪問の日時は発表されなかった。かねてから北朝鮮関係の問題をよく扱っている香港の『大公報』紙(11月14日付)は、次の諸点を報じている。
○金正恩はロシアとの関係改善に意欲的であり、部分的にはすでに金日成や金正日時代よりも進んでいる。
○朝露間でハイレベルの相互訪問が進んでいる。中国との間ではまさにそのことが欠けている。
○ロシアの副首相兼在極東連邦管区大統領代表のトルトネフが4月に訪朝し、以前はチャン・ソンテク(張成沢)派と目されていた対外貿易担当の副首相と会談した。これに先立つ2013年9月、ロシアの鉄道部門の責任者が訪朝し、ロシアの国境都市ハサンから北朝鮮側の羅津にいたる54キロの路線開通のテープカットをした(注 この路線は2011年秋にはほぼ完成していた)。
○2014年9月にはリ・スヨン(李洙墉)外相が訪ロ。11日間もかけてロシア各地を視察した。
○チェ・リョンヘ特使は金正恩第1書記の親書あるいは口頭のメッセージをロシア側に伝えた。2013年、北朝鮮が中国の漁船を拿捕し、中国が不満を唱えた際もチェ・リョンヘは特使として中国へ赴き、習近平に会って金正恩が中朝関係を進展させることを希望していると伝え、中朝関係はいったん緩和した経緯がある。
○北朝鮮が受けている援助の大部分は中国からであり、最近のロシアへの接近は援助の多角化を図るものであろう。
(さらに…)
2014.11.19
オバマの「平和で、繁栄し、安定し、かつ世界において責任ある役割を演じる中国を歓迎する」というのは中国が聞きたいことであり、多維がこれを報道したのは当然であるが、それだけでなく、「アジアの安全保障は力や強制や大国による小国のいじめの上に立てられてはならない。相互の安全保障、国際法と確立されている国際規範、および紛争の平和的解決原則に基づかなければならない」「われわれは中国に、他の諸国と同じルールを尊重するよう促している」など中国として歓迎できないことも報道した。客観的であろうとする多維の姿勢を表している。
しかし、香港での民主化要求に関するオバマ大統領の発言については、多維は不快感をあからさまに示し、「オバマ大統領はAPECの際に約束(原文は「承諾」)したことをがらりと変え、香港の中心地の占拠について勝手な(大肆)議論を展開した」という刺激的な見出しにした。この問題は北京での米中首脳会談後の記者会見でも取り上げられ、その時オバマは「米国は香港のデモに関与していない。ただ、米国は表現の自由については主張し続ける。香港の(行政長官を選ぶ)選挙については透明、公平かつ人々の考えを反映したものであることを促す」と述べていた。この発言とブリスベンでの「「香港の人々は普遍的な権利を求めて声をあげている。このアジアでも、世界のどこでも米国は自由で公正な選挙を支持している」「われわれは、タイでもそうしているが、民主的な統治(civilian rule)に早く戻るべきだと促している(注 誰が戻るべきだと言っているかは明示していなかったが、言わずとも明らかであろう)。われわれは集会の自由、言論の自由、プレスの自由、自由でオープンなインターネットを支持している」という発言は、我々が聞くと趣旨は変わらないようにも思われるが、多維、したがってまた中国人からするとかなり違うらしい。多維はオバマが二枚舌を使っていると言わんばかりであった。
多維の報道ぶりは中国人の受け止め方を表していると単純に見るべきでない。多維は、中国外交部のスポークスマン秦剛が、「中国はオバマ大統領が平和で、安定し、発展する中国を歓迎すると述べたことを注目している。中米両首脳が北京会談で達成した合意によれば、両国は多方面にわたって努力を行ない、協調と共同を強化し、相違点と敏感な問題を適切に管理・コントロールし、相互に尊重し、共同でwin winの原則にのっとり、米中間の新型大国関係の建設を進めることに合意している」と述べたことも報道した。中国外交部はやはり、「新型大国関係」について合意がなくてもいかにも合意したかのように言いたいのは別としても、不満を漏らすのは北京会談の成果を自ら否定することになる恐れがあるので差し控えたのであろう。そうであれば、多維の報道ぶりと外交部スポークスマンの発言は矛盾しないものと思われる。
(さらに…)
オバマ演説を中国はどのように受け止めたか
多維新聞(本稿では以下「多維」)は米国に本拠がある中国語の新聞であり、中国内部に人脈を持ち中国の政治によく通じている。中共中央宣伝部の統制下にはないので、比較的自由に報道できるので、中国でも台湾でも読まれている新聞である。11月16日付の多維はオバマ大統領の演説を、論評を交えつつ報道した。オバマの「平和で、繁栄し、安定し、かつ世界において責任ある役割を演じる中国を歓迎する」というのは中国が聞きたいことであり、多維がこれを報道したのは当然であるが、それだけでなく、「アジアの安全保障は力や強制や大国による小国のいじめの上に立てられてはならない。相互の安全保障、国際法と確立されている国際規範、および紛争の平和的解決原則に基づかなければならない」「われわれは中国に、他の諸国と同じルールを尊重するよう促している」など中国として歓迎できないことも報道した。客観的であろうとする多維の姿勢を表している。
しかし、香港での民主化要求に関するオバマ大統領の発言については、多維は不快感をあからさまに示し、「オバマ大統領はAPECの際に約束(原文は「承諾」)したことをがらりと変え、香港の中心地の占拠について勝手な(大肆)議論を展開した」という刺激的な見出しにした。この問題は北京での米中首脳会談後の記者会見でも取り上げられ、その時オバマは「米国は香港のデモに関与していない。ただ、米国は表現の自由については主張し続ける。香港の(行政長官を選ぶ)選挙については透明、公平かつ人々の考えを反映したものであることを促す」と述べていた。この発言とブリスベンでの「「香港の人々は普遍的な権利を求めて声をあげている。このアジアでも、世界のどこでも米国は自由で公正な選挙を支持している」「われわれは、タイでもそうしているが、民主的な統治(civilian rule)に早く戻るべきだと促している(注 誰が戻るべきだと言っているかは明示していなかったが、言わずとも明らかであろう)。われわれは集会の自由、言論の自由、プレスの自由、自由でオープンなインターネットを支持している」という発言は、我々が聞くと趣旨は変わらないようにも思われるが、多維、したがってまた中国人からするとかなり違うらしい。多維はオバマが二枚舌を使っていると言わんばかりであった。
多維の報道ぶりは中国人の受け止め方を表していると単純に見るべきでない。多維は、中国外交部のスポークスマン秦剛が、「中国はオバマ大統領が平和で、安定し、発展する中国を歓迎すると述べたことを注目している。中米両首脳が北京会談で達成した合意によれば、両国は多方面にわたって努力を行ない、協調と共同を強化し、相違点と敏感な問題を適切に管理・コントロールし、相互に尊重し、共同でwin winの原則にのっとり、米中間の新型大国関係の建設を進めることに合意している」と述べたことも報道した。中国外交部はやはり、「新型大国関係」について合意がなくてもいかにも合意したかのように言いたいのは別としても、不満を漏らすのは北京会談の成果を自ら否定することになる恐れがあるので差し控えたのであろう。そうであれば、多維の報道ぶりと外交部スポークスマンの発言は矛盾しないものと思われる。
(さらに…)
最近の投稿
アーカイブ
- 2024年10月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月