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2014.11.26
イランの核問題に関する協議はイランの前政権時代から断続的に行なわれており、その時の経緯を含めると延期の回数はもっと多くなる。それだけに今後、はたして予定通り進むか疑問を抱かれても仕方がない面はあるが、イランのロハニ大統領が2013年8月に就任し西側と協力する姿勢を取るようになってから核協議をめぐる雰囲気は大きく変化しており、また交渉は2回目の中断となったが、米国などはイランがため込んでいた核物質の処理が順調に進展していることを確認しており、言葉だけでなく実質的な内容も伴っているようである。
イランは、欧米諸国が課している制裁が解除されると経済的に大きな利益を回復することとなるので、イランの政権が合理的であれば制裁解除については強い関心を抱くのは当然である。今回の共同声明によると、6月末までは昨年11月に結んだ「第1段階の合意」を継続し、イランはウラン濃縮活動を制限し、その見返りとして、米欧はイランの凍結資産を毎月7億ドル(約827億円)解除することになっている。
しかるに、今回最終合意にこぎつけられなかったのはなぜか。イランも米国も相互の不信感が最終合意の妨げになっていることを指摘している。イランは、原子力エネルギーの平和利用はすべての国の権利であり、核兵器不拡散条約(NPT)でもそのことは明記されているが、米欧はそれを認めない、という立場である。これに対し米欧がイランに不信感を抱くのは、イランが平和利用に徹していることを確認する査察にこれまで何回も協力しなかったからである。一方、イランが米欧やIAEAの言うなりにならない背景には、1979年のイラン革命以来の米国、とくにCIAの地下工作などに起因する不信感がある。このように両国関係はこじれているので交渉は困難であり、それだけにロハニ大統領が協調路線で臨んでいることに米欧が大きな期待を抱くのは当然である。
さらに、過激派組織「イスラム国」との関係においてもイランは米欧にとって頼れる存在となりつつある。イランはシーア派が圧倒的に多数であり、スンニ派の「イスラム国」とは基本的な違いがあり、またイランの現政権は「イスラム国」の残忍な手法に反対して反「イスラム国」勢力に物的支援のみならず人的にも貢献している。このような状況が米国の対イラン政策に影響を与えると断定するのは過早かもしれないが、注目すべき状況になっていることは事実であろう。
日本の役割もある。すべての非核保有国は武器への転用がないか、IAEAが査察を行なうのであるが、1回調べれば分かるというわけにはいかない。日本は約30年間IAEAの査察に忠実に協力し、2014年になって初めて、日本には転用の危険がないという判断を下してもらった。それほど時間がかかることなのである。しかるにイランも含め、そのようなことには理解がなく、2~3年協力すれば十分だと思っている国が多い。専門家は分かっていても国全体の理解がないと長期間にわたる持続的協力は困難である。イランと協議している6カ国のうち5カ国は核保有国であり、独のみが非核保有国であるが、同国は脱原子力を決定しているので同じ状況にない。だから日本の経験が重要であり、イランに対しても同じ非核保有国として、かつIAEAからお墨付きを得た経験に基づきアドバイスが可能である。
(さらに…)
イランの核協議延期
イランと米英独仏中ロの6カ国による核協議は11月24日までに終了させる予定であったが、再度延期され(ロハニ・イラン大統領の下では2回目)、4か月以内に大枠について「枠組み合意」し、6月末までに最終合意を達成することとなったという共同声明を発表した。イランの核問題に関する協議はイランの前政権時代から断続的に行なわれており、その時の経緯を含めると延期の回数はもっと多くなる。それだけに今後、はたして予定通り進むか疑問を抱かれても仕方がない面はあるが、イランのロハニ大統領が2013年8月に就任し西側と協力する姿勢を取るようになってから核協議をめぐる雰囲気は大きく変化しており、また交渉は2回目の中断となったが、米国などはイランがため込んでいた核物質の処理が順調に進展していることを確認しており、言葉だけでなく実質的な内容も伴っているようである。
イランは、欧米諸国が課している制裁が解除されると経済的に大きな利益を回復することとなるので、イランの政権が合理的であれば制裁解除については強い関心を抱くのは当然である。今回の共同声明によると、6月末までは昨年11月に結んだ「第1段階の合意」を継続し、イランはウラン濃縮活動を制限し、その見返りとして、米欧はイランの凍結資産を毎月7億ドル(約827億円)解除することになっている。
しかるに、今回最終合意にこぎつけられなかったのはなぜか。イランも米国も相互の不信感が最終合意の妨げになっていることを指摘している。イランは、原子力エネルギーの平和利用はすべての国の権利であり、核兵器不拡散条約(NPT)でもそのことは明記されているが、米欧はそれを認めない、という立場である。これに対し米欧がイランに不信感を抱くのは、イランが平和利用に徹していることを確認する査察にこれまで何回も協力しなかったからである。一方、イランが米欧やIAEAの言うなりにならない背景には、1979年のイラン革命以来の米国、とくにCIAの地下工作などに起因する不信感がある。このように両国関係はこじれているので交渉は困難であり、それだけにロハニ大統領が協調路線で臨んでいることに米欧が大きな期待を抱くのは当然である。
さらに、過激派組織「イスラム国」との関係においてもイランは米欧にとって頼れる存在となりつつある。イランはシーア派が圧倒的に多数であり、スンニ派の「イスラム国」とは基本的な違いがあり、またイランの現政権は「イスラム国」の残忍な手法に反対して反「イスラム国」勢力に物的支援のみならず人的にも貢献している。このような状況が米国の対イラン政策に影響を与えると断定するのは過早かもしれないが、注目すべき状況になっていることは事実であろう。
日本の役割もある。すべての非核保有国は武器への転用がないか、IAEAが査察を行なうのであるが、1回調べれば分かるというわけにはいかない。日本は約30年間IAEAの査察に忠実に協力し、2014年になって初めて、日本には転用の危険がないという判断を下してもらった。それほど時間がかかることなのである。しかるにイランも含め、そのようなことには理解がなく、2~3年協力すれば十分だと思っている国が多い。専門家は分かっていても国全体の理解がないと長期間にわたる持続的協力は困難である。イランと協議している6カ国のうち5カ国は核保有国であり、独のみが非核保有国であるが、同国は脱原子力を決定しているので同じ状況にない。だから日本の経験が重要であり、イランに対しても同じ非核保有国として、かつIAEAからお墨付きを得た経験に基づきアドバイスが可能である。
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2014.11.25
「海上のシルクロード」構想は2013年10月、習近平主席がASEANを訪問した際建設を提案したものであり、これとこのルートにつながる経済地域は「一帯一路」と呼ばれている。この建設により中国は海運面でのヨーロッパ依存を軽減し、中国の貨物が米国海軍の支配するルートにさらされるのを少なくする目的もあると見られている(例、BBC中国語サイト)。
中国は「海上シルクロード銀行」を設立し、400億ドル出資する考えであり、現在、この設立準備が中国政府の関係部局で進められている。この銀行は政府出資だけでなく、民間の資本も受け入れ公的色彩を薄めることが予定されている。
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「海上のシルクロード」とフィリピン、ベトナムへの影響
11月23日付の旺報(旺旺グループの台湾紙 大陸関係の報道が比較的多い)は、「先のAPEC会議の際、中国は南シナ海で反中的姿勢を見せているフィリピンを「海上のシルクロード(海上絲綢之路)」構想から外す噂を流し、フィリピンを緊張させた。そのためフィリピンは南シナ海での反中的傾向を緩和するのではないかと見られている。また、フィリピンと同じく反中的傾向が強いベトナムも同様の圧力を受けている」と報道した。「海上のシルクロード」構想は2013年10月、習近平主席がASEANを訪問した際建設を提案したものであり、これとこのルートにつながる経済地域は「一帯一路」と呼ばれている。この建設により中国は海運面でのヨーロッパ依存を軽減し、中国の貨物が米国海軍の支配するルートにさらされるのを少なくする目的もあると見られている(例、BBC中国語サイト)。
中国は「海上シルクロード銀行」を設立し、400億ドル出資する考えであり、現在、この設立準備が中国政府の関係部局で進められている。この銀行は政府出資だけでなく、民間の資本も受け入れ公的色彩を薄めることが予定されている。
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2014.11.24
同施設は核燃料(ウラン燃料)を製造する施設で、年間約100トンのウラン燃料製造能力がある。核兵器製造に使われる可能性があるため、6者協議と米国との交渉により、2007年に運転が中止されたが、その後北朝鮮は再稼働していたと見られていた。今回の「38 NORTH」の発表は次のような内容であるが、北朝鮮による再稼働を確認する意味もある。
ヨンビョンの黒鉛炉の運転は10週間停止しているが、再処理施設は稼働し続けている。黒鉛炉の運転停止は通常の点検としては長すぎる。冷却塔から蒸気が上がっていること、トラックの動きが激しいこと、灰色の物質が積み上げられていることなどから、可能性としては、冷却システムに問題が発生した、あるいは燃料棒を何らかの理由で一部取り出した、あるいは炉心を入れ替えたことなどが考えられる。
また、原子炉の冷却塔から川に続いていたパイプラインに替わって他の場所に続くパイプラインが建設されており、今までのように温排水をモニターして操業状況を察知するのがむずかしくなるかもしれない。
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北朝鮮の核施設の再稼働
ジョンズ・ホプキンス大学のSAIS(高等国際関係大学院)の北朝鮮関係サイト「38 NORTH」は11月19日、北朝鮮のヨンビョン(寧辺)黒鉛炉は停止しているが、再処理施設は稼働していることに関する分析を発表して注目されている。同施設は核燃料(ウラン燃料)を製造する施設で、年間約100トンのウラン燃料製造能力がある。核兵器製造に使われる可能性があるため、6者協議と米国との交渉により、2007年に運転が中止されたが、その後北朝鮮は再稼働していたと見られていた。今回の「38 NORTH」の発表は次のような内容であるが、北朝鮮による再稼働を確認する意味もある。
ヨンビョンの黒鉛炉の運転は10週間停止しているが、再処理施設は稼働し続けている。黒鉛炉の運転停止は通常の点検としては長すぎる。冷却塔から蒸気が上がっていること、トラックの動きが激しいこと、灰色の物質が積み上げられていることなどから、可能性としては、冷却システムに問題が発生した、あるいは燃料棒を何らかの理由で一部取り出した、あるいは炉心を入れ替えたことなどが考えられる。
また、原子炉の冷却塔から川に続いていたパイプラインに替わって他の場所に続くパイプラインが建設されており、今までのように温排水をモニターして操業状況を察知するのがむずかしくなるかもしれない。
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