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2014.07.14
ポロシェンコ・ウクライナ新大統領は、5月下旬の大統領選で見事に当選し、翌月にはノルマンディー上陸記念式典の際プーチン大統領と握手を交わすなど順調に滑り出し、今回はかねてから懸案のEUとの連合協定署名を終え、さらに一歩を進めた。
一方、東部ウクライナで政府系建物の占拠を続けている親ロシア派過激分子に対してポロシェンコ大統領は回答期限を延期するなどかなりの忍耐強さを見せていたが、度重なる呼びかけに親ロシア派が応じないので実力での排除に踏み切った。その結果7月11日には、23人のウクライナ兵が殺害された。親ロシア派の損害は不明であるが、かなり激しい戦闘であったようだ。
その際、ウクライナ政府軍が打った砲弾が国境を越えてドネツク村に落ち、ロシア人1人が死亡、1人が負傷するという事件が起こった。ロシアの外務省はウクライナ軍に責任があるとし、「回復できない結果(irreversible consequences)」を招来し、「当然、この行動には相応する反応がある」と非難した。たんなる非難にとどまらず、報復の意思表示のようにも聞こえる。コワーイ人の足を踏んづけたので睨まれたような感じだったのかもしれない。
ウクライナの新政権はロシアとの関係改善をこれまで比較的順調に進めてきたが、EUとの連合協定署名と親ロシア派の強制的排除は最大の山場である。
ウクライナとEUとの連合協定など
6月27日、ウクライナがグルジアとモルドバとともにEUと連合協定に署名した。この連合協定は、そもそもヤヌコビッチ前大統領が署名を拒否したため失脚する原因となったもので、ウクライナは今年の3月に一部署名していたが、これで協定全体について署名が完了した。ロシアはいずれそうなることを予想できたのではないかとも思われるが、面白くないだろう。グルジアとモルドバも同時にEUと署名しただけになおさらである。ポロシェンコ・ウクライナ新大統領は、5月下旬の大統領選で見事に当選し、翌月にはノルマンディー上陸記念式典の際プーチン大統領と握手を交わすなど順調に滑り出し、今回はかねてから懸案のEUとの連合協定署名を終え、さらに一歩を進めた。
一方、東部ウクライナで政府系建物の占拠を続けている親ロシア派過激分子に対してポロシェンコ大統領は回答期限を延期するなどかなりの忍耐強さを見せていたが、度重なる呼びかけに親ロシア派が応じないので実力での排除に踏み切った。その結果7月11日には、23人のウクライナ兵が殺害された。親ロシア派の損害は不明であるが、かなり激しい戦闘であったようだ。
その際、ウクライナ政府軍が打った砲弾が国境を越えてドネツク村に落ち、ロシア人1人が死亡、1人が負傷するという事件が起こった。ロシアの外務省はウクライナ軍に責任があるとし、「回復できない結果(irreversible consequences)」を招来し、「当然、この行動には相応する反応がある」と非難した。たんなる非難にとどまらず、報復の意思表示のようにも聞こえる。コワーイ人の足を踏んづけたので睨まれたような感じだったのかもしれない。
ウクライナの新政権はロシアとの関係改善をこれまで比較的順調に進めてきたが、EUとの連合協定署名と親ロシア派の強制的排除は最大の山場である。
2014.07.13
また、対話終了後の記者会見で楊潔篪国務委員は、東・南シナ海の領有権をめぐって中国が周辺国と対立を深めていることについて、「中国は今後も領土主権と海洋権益を断固として守る。米国に対し客観的で公正な立場を取るよう求めた」と言明し、さらに「中国は当事国と交渉する」とし、米国を排除する方針を改めて強調した。
習近平主席も楊潔篪国務委員も新しいことを言ったのではなく、従来からの主張を繰り返したに過ぎない。「太平洋は広大で、米中両大国を受け入れる十分な空間がある」とは「太平洋、とくに西太平洋を東半分は米国の勢力圏として残してもよいが、西半分は中国の支配権としたい」という中国の願望を表現したものである。太平洋を分け米中がそれぞれ管理するという考えは、2008年3月の米上院の軍事委員会で、米太平洋軍司令官のキーティング提督が中国の軍人からそのような発言があったと証言している。
残念ながら、中国はこのような主張を今後も繰り返すのだろう。中国がその海洋大国化戦略で拡張を続ける限り、米国を含め近隣諸国との矛盾は避けがたい。この米中対話とほぼ同じときに米国のラッセル国務次官補は、米国の考えは中国と違っていることを明言している。また、米議会では中国の姿勢を問題視する声が(ふたたび)高まっていると伝えられている。
米中戦略経済対話
北京で7月9-10日開催された米中戦略経済対話で、中国の海洋への進出、東シナ海・南シナ海での緊張の増大などについて米中双方がどのような発言をするか注目された。対話の中での発言は公表されていないが、冒頭の演説で習近平主席は、「新型の大国関係」を9回も強調しつつ、「太平洋は広大で、米中両大国を受け入れる十分な空間がある」「自国のモデルを相手に押しつけてはならない」と発言した。また、対話終了後の記者会見で楊潔篪国務委員は、東・南シナ海の領有権をめぐって中国が周辺国と対立を深めていることについて、「中国は今後も領土主権と海洋権益を断固として守る。米国に対し客観的で公正な立場を取るよう求めた」と言明し、さらに「中国は当事国と交渉する」とし、米国を排除する方針を改めて強調した。
習近平主席も楊潔篪国務委員も新しいことを言ったのではなく、従来からの主張を繰り返したに過ぎない。「太平洋は広大で、米中両大国を受け入れる十分な空間がある」とは「太平洋、とくに西太平洋を東半分は米国の勢力圏として残してもよいが、西半分は中国の支配権としたい」という中国の願望を表現したものである。太平洋を分け米中がそれぞれ管理するという考えは、2008年3月の米上院の軍事委員会で、米太平洋軍司令官のキーティング提督が中国の軍人からそのような発言があったと証言している。
残念ながら、中国はこのような主張を今後も繰り返すのだろう。中国がその海洋大国化戦略で拡張を続ける限り、米国を含め近隣諸国との矛盾は避けがたい。この米中対話とほぼ同じときに米国のラッセル国務次官補は、米国の考えは中国と違っていることを明言している。また、米議会では中国の姿勢を問題視する声が(ふたたび)高まっていると伝えられている。
2014.07.10
ロハニ政権の下で核問題に関するP5+ドイツとの協議がかなり程度進展していることも、イランと米欧諸国との間の雰囲気を改善するのに役立っている。
オバマ大統領は2009年の就任直後イランとも直接対話する用意があることを示していたが、実際には進展しなかった。一つの理由は、アフマディネジャド前大統領時代核協議が進まなかったためである。またイスラエルはいたずらに時間が経過していくことに苛立ち、イランに対して強硬な姿勢で臨むよう米国に圧力をかけており、その意味では米国の動ける余地が限られていた。また、オバマ政権はシリア問題への対応が原因で内外から批判を受けていたところに、今度はイラクでスンニ派の攻勢を受け、また、イラクのマリキ首相は米軍の撤退後米国の期待した挙国体制の確立とは逆にシーア派のみを重用するなどしたためスンニ派との対立を激化させる結果となり、そうなるとイラク戦争以来の米国の姿勢を問われる結果にもなり、オバマ政権はますます困難な立場に陥っている感がある。
イランのロハニ大統領やラフサンジャニ元大統領はそのような苦境にある米国と関係改善を図るよい機会とみなして対米協調的発言を行なったのであろう。
もっともイラン国内も複雑で対米強硬外交を好む勢力も少なくないので、ロハニ政権としても対米友好ばかりを強調するわけにもいかず、自ずと動ける限度はあろう。
また、イスラエルはまたもやパレスチナとの対立を深めており、双方で攻撃を再開している。米国は例によってイスラエルを擁護しているが、パレスチナ問題を解決に向けて前進させたい気持ちは強く、ケリー国務長官は就任以来2014年1月までに10回もイスラエルを訪問しているが、ネタニヤフ首相とはうまくいっていないようで、両者の間の険悪な雰囲気を伝える声が聞こえてくる。それに7月に入ってからパレスチナ人少年の殺害を機に双方が攻撃を再開した。米国の、ケリー長官の努力は今のところなんら実を結んでいないと言われても反論できないであろう。
イランのロハニ政権が示している外交姿勢は、イラクでもパレスチナ問題でも有効な手を打てない米国にとって積極的な要素であるのは間違いないが、イラン革命以来の米国とイスラエルに対抗するイランという大きな図式を変更する力があるか、そう簡単にはいかない。しかし、イランとイスラエルはもともと国交があり、イラン革命以後のイスラム復興、さらにはアフマディネジャド政権下で関係が悪化したのであり、状況が変化すればイラン・イスラエル関係が変わってくることもありうる。実際に動き出すには米国でもイスラエルでも次の政権になるまで待たなければならないかもしれないが、イランは一足早くこれまでと違った外交姿勢を取る用意ができつつあるようにも思われる。
以上、基本的な観点からの考察に過ぎないが。
イラン指導者の対米積極発言
イランのラフサンジャニ元大統領が、緊迫しているイラク情勢に関連して、「米国とは問題点を共有している。必要になればイランは協力する」と述べたと報道されている。ロハニ大統領もさる6月、米国との協力を積極的に考慮する用意があることを示唆する発言を行なっていた。ラフサンジャニはアフマディネジャド前大統領時代には政治の表に立つことはなかったが、ロハニ大統領と近いと言われており、今回の発言もそのような環境変化が背景にある。ロハニ政権の下で核問題に関するP5+ドイツとの協議がかなり程度進展していることも、イランと米欧諸国との間の雰囲気を改善するのに役立っている。
オバマ大統領は2009年の就任直後イランとも直接対話する用意があることを示していたが、実際には進展しなかった。一つの理由は、アフマディネジャド前大統領時代核協議が進まなかったためである。またイスラエルはいたずらに時間が経過していくことに苛立ち、イランに対して強硬な姿勢で臨むよう米国に圧力をかけており、その意味では米国の動ける余地が限られていた。また、オバマ政権はシリア問題への対応が原因で内外から批判を受けていたところに、今度はイラクでスンニ派の攻勢を受け、また、イラクのマリキ首相は米軍の撤退後米国の期待した挙国体制の確立とは逆にシーア派のみを重用するなどしたためスンニ派との対立を激化させる結果となり、そうなるとイラク戦争以来の米国の姿勢を問われる結果にもなり、オバマ政権はますます困難な立場に陥っている感がある。
イランのロハニ大統領やラフサンジャニ元大統領はそのような苦境にある米国と関係改善を図るよい機会とみなして対米協調的発言を行なったのであろう。
もっともイラン国内も複雑で対米強硬外交を好む勢力も少なくないので、ロハニ政権としても対米友好ばかりを強調するわけにもいかず、自ずと動ける限度はあろう。
また、イスラエルはまたもやパレスチナとの対立を深めており、双方で攻撃を再開している。米国は例によってイスラエルを擁護しているが、パレスチナ問題を解決に向けて前進させたい気持ちは強く、ケリー国務長官は就任以来2014年1月までに10回もイスラエルを訪問しているが、ネタニヤフ首相とはうまくいっていないようで、両者の間の険悪な雰囲気を伝える声が聞こえてくる。それに7月に入ってからパレスチナ人少年の殺害を機に双方が攻撃を再開した。米国の、ケリー長官の努力は今のところなんら実を結んでいないと言われても反論できないであろう。
イランのロハニ政権が示している外交姿勢は、イラクでもパレスチナ問題でも有効な手を打てない米国にとって積極的な要素であるのは間違いないが、イラン革命以来の米国とイスラエルに対抗するイランという大きな図式を変更する力があるか、そう簡単にはいかない。しかし、イランとイスラエルはもともと国交があり、イラン革命以後のイスラム復興、さらにはアフマディネジャド政権下で関係が悪化したのであり、状況が変化すればイラン・イスラエル関係が変わってくることもありうる。実際に動き出すには米国でもイスラエルでも次の政権になるまで待たなければならないかもしれないが、イランは一足早くこれまでと違った外交姿勢を取る用意ができつつあるようにも思われる。
以上、基本的な観点からの考察に過ぎないが。
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