平和外交研究所

中国

2015.09.13

(短文)中国艦船の米領海通過

 中国海軍の艦船5隻が最近ベーリング海で米国の領海内を通過したと米紙が報道している。
 最近、南シナ海での中国の拡張的軍事行動について米中間でかなり激しい摩擦があった。また、9月3日に中国は強大な軍事力を誇示するパレードを北京で行なった。中国の艦船は8月末に日本海でロシア海軍と共同演習を行なった後の航行だった、などの事情からとくに注目されたようだ。
 中国艦船の航行は国際法に従って行われ、問題になる行動はなかったと米国防総省も認めているが、中国はかねてから米艦船の中国領海内での無害通航(国際法にのっとった通航)に抗議していたので、今回の行動は一貫しないという気持ちがあるのだろう。
 習近平主席が今月末に訪米する。なぜこのタイミングで中国海軍がこのような行動に出たのか、米側でも測りかねているように見受けられる。
2015.09.09

(案内)中国の今後の金融為替政策

 中国は最近人民元を切り下げた。膨大な外貨準備は減少傾向にある。中国人民銀行(中央銀行)は今後どのような政策運営を行なうか。「国際金融のトリレンマ」である「独立した金融政策」「自由な資本移動」「安定した為替相場」をいかにミックスしていくか。唐鎌大輔・みずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの「中国は「為替の安定」を放棄するか」(ロイターFX Forum | 2015年 09月 3日掲載のコラム)は示唆に富む論考であり、参考になった。
2015.09.08

(短文)抗日戦争記念と江沢民の扱い

 これは、いわゆるチャイナ・ウォッチング、しかも今や時代遅れになりつつある分析手法かもしれないが、参考になる。

 抗日戦争70年記念パレードで、江沢民、胡錦濤、曾慶紅ら現役を退いているかつての国家指導者が天安門上に姿を現した。
 胡錦濤は前国家主席。江沢民はさらにその前の国家主席。曾慶紅は江沢民の側近とも言われ、胡錦濤の下で国家副主席を務めた。習近平政権の反腐敗運動により石油閥が検挙されるのに関連して、規律検査委員会の追及が曾慶紅にも、さらには江沢民にも及ぶのではないかと噂され、とくに江沢民については、その名や顔写真を掲載したポスターや看板などが撤去され注目されたこともあった。

『多維新聞』9月4日付によれば、「時局眼(時代の目といったところか)」というツイッターサイトが軍事パレードの報道について次のように解説している。 
 今回の記念パレードの報道ぶりは、2009年10月1日の国慶節パレードと比べはっきりとした違いがある。2009年の時は、江沢民(すでに引退していたので現在と同じ立場)と9人の政治局常務委員は赤色の見出しで報道され、江沢民は胡錦濤のすぐ後、常務委員より先に並べられていたが、今回、江沢民は普通の黒色の小さい字で、しかも政治局常務委員の後に並べられていた。
 中国の報道では、指導者の序列ははっきり決まっている 第18回党全国代表大会後規則が変わり、新旧の指導者が同時に公の場に出る場合、前指導者であっても序列を現指導者のすぐ後にはしないこととなった たとえば、2013年1月21日の楊白冰の葬儀の際、江沢民は第12番目であった。7人の政治局常務委員がまず並び、その次に当時なお国家的指導者として活動していた胡錦濤、呉邦国、温家宝、賈慶林が並び、江沢民はその次に置かれた。
 1月22日の新華社電によると、そのような規則変更が行われたのは、第18回党大会後、江沢民が、国家の指導者とともに公の場に出る際、自分を特別扱いせず、他の老幹部と同じにしてほしいと中共中央に要請し、認められたからである。
 9月4日の人民日報は、それを実行し、以前のように国家的指導者の名前をいちいち列挙することはやめ、もっとも重要なことに報道の重点を絞っていた。

 以上、『多維新聞』および「時局眼」は、中国の報道方針についての変更を解説しているが、その中から、江沢民は立派な指導者であり、また謙譲の徳を備えた人物だとみなされていることも読み取るべきなのだろう。つまり、江沢民についてはかつて何回か追及の噂が出ていたが、問題はないと中央が判断し、今回それを示したのだ。

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