中国
2015.09.09
(案内)中国の今後の金融為替政策
中国は最近人民元を切り下げた。膨大な外貨準備は減少傾向にある。中国人民銀行(中央銀行)は今後どのような政策運営を行なうか。「国際金融のトリレンマ」である「独立した金融政策」「自由な資本移動」「安定した為替相場」をいかにミックスしていくか。唐鎌大輔・みずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの「中国は「為替の安定」を放棄するか」(ロイターFX Forum | 2015年 09月 3日掲載のコラム)は示唆に富む論考であり、参考になった。
2015.09.08
抗日戦争70年記念パレードで、江沢民、胡錦濤、曾慶紅ら現役を退いているかつての国家指導者が天安門上に姿を現した。
胡錦濤は前国家主席。江沢民はさらにその前の国家主席。曾慶紅は江沢民の側近とも言われ、胡錦濤の下で国家副主席を務めた。習近平政権の反腐敗運動により石油閥が検挙されるのに関連して、規律検査委員会の追及が曾慶紅にも、さらには江沢民にも及ぶのではないかと噂され、とくに江沢民については、その名や顔写真を掲載したポスターや看板などが撤去され注目されたこともあった。
『多維新聞』9月4日付によれば、「時局眼(時代の目といったところか)」というツイッターサイトが軍事パレードの報道について次のように解説している。
今回の記念パレードの報道ぶりは、2009年10月1日の国慶節パレードと比べはっきりとした違いがある。2009年の時は、江沢民(すでに引退していたので現在と同じ立場)と9人の政治局常務委員は赤色の見出しで報道され、江沢民は胡錦濤のすぐ後、常務委員より先に並べられていたが、今回、江沢民は普通の黒色の小さい字で、しかも政治局常務委員の後に並べられていた。
中国の報道では、指導者の序列ははっきり決まっている 第18回党全国代表大会後規則が変わり、新旧の指導者が同時に公の場に出る場合、前指導者であっても序列を現指導者のすぐ後にはしないこととなった たとえば、2013年1月21日の楊白冰の葬儀の際、江沢民は第12番目であった。7人の政治局常務委員がまず並び、その次に当時なお国家的指導者として活動していた胡錦濤、呉邦国、温家宝、賈慶林が並び、江沢民はその次に置かれた。
1月22日の新華社電によると、そのような規則変更が行われたのは、第18回党大会後、江沢民が、国家の指導者とともに公の場に出る際、自分を特別扱いせず、他の老幹部と同じにしてほしいと中共中央に要請し、認められたからである。
9月4日の人民日報は、それを実行し、以前のように国家的指導者の名前をいちいち列挙することはやめ、もっとも重要なことに報道の重点を絞っていた。
以上、『多維新聞』および「時局眼」は、中国の報道方針についての変更を解説しているが、その中から、江沢民は立派な指導者であり、また謙譲の徳を備えた人物だとみなされていることも読み取るべきなのだろう。つまり、江沢民についてはかつて何回か追及の噂が出ていたが、問題はないと中央が判断し、今回それを示したのだ。
(短文)抗日戦争記念と江沢民の扱い
これは、いわゆるチャイナ・ウォッチング、しかも今や時代遅れになりつつある分析手法かもしれないが、参考になる。抗日戦争70年記念パレードで、江沢民、胡錦濤、曾慶紅ら現役を退いているかつての国家指導者が天安門上に姿を現した。
胡錦濤は前国家主席。江沢民はさらにその前の国家主席。曾慶紅は江沢民の側近とも言われ、胡錦濤の下で国家副主席を務めた。習近平政権の反腐敗運動により石油閥が検挙されるのに関連して、規律検査委員会の追及が曾慶紅にも、さらには江沢民にも及ぶのではないかと噂され、とくに江沢民については、その名や顔写真を掲載したポスターや看板などが撤去され注目されたこともあった。
『多維新聞』9月4日付によれば、「時局眼(時代の目といったところか)」というツイッターサイトが軍事パレードの報道について次のように解説している。
今回の記念パレードの報道ぶりは、2009年10月1日の国慶節パレードと比べはっきりとした違いがある。2009年の時は、江沢民(すでに引退していたので現在と同じ立場)と9人の政治局常務委員は赤色の見出しで報道され、江沢民は胡錦濤のすぐ後、常務委員より先に並べられていたが、今回、江沢民は普通の黒色の小さい字で、しかも政治局常務委員の後に並べられていた。
中国の報道では、指導者の序列ははっきり決まっている 第18回党全国代表大会後規則が変わり、新旧の指導者が同時に公の場に出る場合、前指導者であっても序列を現指導者のすぐ後にはしないこととなった たとえば、2013年1月21日の楊白冰の葬儀の際、江沢民は第12番目であった。7人の政治局常務委員がまず並び、その次に当時なお国家的指導者として活動していた胡錦濤、呉邦国、温家宝、賈慶林が並び、江沢民はその次に置かれた。
1月22日の新華社電によると、そのような規則変更が行われたのは、第18回党大会後、江沢民が、国家の指導者とともに公の場に出る際、自分を特別扱いせず、他の老幹部と同じにしてほしいと中共中央に要請し、認められたからである。
9月4日の人民日報は、それを実行し、以前のように国家的指導者の名前をいちいち列挙することはやめ、もっとも重要なことに報道の重点を絞っていた。
以上、『多維新聞』および「時局眼」は、中国の報道方針についての変更を解説しているが、その中から、江沢民は立派な指導者であり、また謙譲の徳を備えた人物だとみなされていることも読み取るべきなのだろう。つまり、江沢民についてはかつて何回か追及の噂が出ていたが、問題はないと中央が判断し、今回それを示したのだ。
2015.09.01
この基地は契約上今後10年近く使用可能であるが、ジブチ政府は中国のジブチ進出を歓迎する一方、米国にはつれなくしており、米軍基地の機能が維持できるか危ぶまれる状況になっている。ジブチにおける米中の確執は南シナ海よりも激しい面がある。
本稿は、本HP8月1日の「アフリカにおける米中の角逐」の続きであるが、内容は英紙『ザ・テレグラフ』7月21日付の評論に依拠している。今や本件は、欧米では広く報道されており、また、『多維新聞』8月24日付も同趣旨の報道を行なっている。
ジブチのOmar Guelleh大統領は中国と1.85億ドルに上る経済協力協定を結んだ。同大統領が中国の接近を許した背景には、米議会で同大統領の専制政治に対する批判が強くなったことがある。Guelleh大統領は中国に傾倒し、米軍の別の基地Obock military baseを米軍から取り上げ、中国に使わせる意向だとも言われている。
それだけではない。港湾を運営する業者は世界最大のDP Worldであったが、Guelleh大統領は同社との契約を今年初めに解除し、4億ドルで港湾設備の改善をオファーした中国の業者と新たな契約を結んだ。ジブチの米国からの独立性を高めるためである。これも米軍にとって厄介な問題となり、デリケートな作業を継続するためにはジブチ以外の他の場所を探すことが必要になっている。
先月のジブチの独立記念日パレードでは中国製の対戦車ミサイルが登場した。同大統領は中国を「新しい友人」と呼び大事にしなければならないと強調している。
Lemonnier基地は契約が最近更新されたばかりであり、あと10年は維持できるが、中国の基地が完成すると、米軍基地での情報収集が妨げられると米軍は憂慮している。Guelleh大統領は米軍の基地利用についても、兵員の出入りや基地からの攻撃部隊の出撃に制限を課す恐れが出てきた。そうなるとアルカイダやISに関する情報収集にますます大きな支障が出る。米国だけの問題でなく、西側諸国全体にとって影響は大きい。
来年にはジブチの大統領選が予定されている。Guellehは1999年以来大統領職にあり、 法的には出馬できないはずであるが、どうなるか注目されている。米国の大使館は出馬阻止に努めている。
(短文)ジブチの米軍基地が中国の進出のあおりを受けて危ない
ジブチにあるLemonnier基地は米国がアフリカに置いている最大の基地で、アルカイダや過激派組織ISに関する情報収集の一大拠点であり、同時に、イエメンやソマリアに飛ばしている無人機の基地である。約4500人の米軍兵士が常駐し、現在、14億ドルで改修工事中だ。この基地は契約上今後10年近く使用可能であるが、ジブチ政府は中国のジブチ進出を歓迎する一方、米国にはつれなくしており、米軍基地の機能が維持できるか危ぶまれる状況になっている。ジブチにおける米中の確執は南シナ海よりも激しい面がある。
本稿は、本HP8月1日の「アフリカにおける米中の角逐」の続きであるが、内容は英紙『ザ・テレグラフ』7月21日付の評論に依拠している。今や本件は、欧米では広く報道されており、また、『多維新聞』8月24日付も同趣旨の報道を行なっている。
ジブチのOmar Guelleh大統領は中国と1.85億ドルに上る経済協力協定を結んだ。同大統領が中国の接近を許した背景には、米議会で同大統領の専制政治に対する批判が強くなったことがある。Guelleh大統領は中国に傾倒し、米軍の別の基地Obock military baseを米軍から取り上げ、中国に使わせる意向だとも言われている。
それだけではない。港湾を運営する業者は世界最大のDP Worldであったが、Guelleh大統領は同社との契約を今年初めに解除し、4億ドルで港湾設備の改善をオファーした中国の業者と新たな契約を結んだ。ジブチの米国からの独立性を高めるためである。これも米軍にとって厄介な問題となり、デリケートな作業を継続するためにはジブチ以外の他の場所を探すことが必要になっている。
先月のジブチの独立記念日パレードでは中国製の対戦車ミサイルが登場した。同大統領は中国を「新しい友人」と呼び大事にしなければならないと強調している。
Lemonnier基地は契約が最近更新されたばかりであり、あと10年は維持できるが、中国の基地が完成すると、米軍基地での情報収集が妨げられると米軍は憂慮している。Guelleh大統領は米軍の基地利用についても、兵員の出入りや基地からの攻撃部隊の出撃に制限を課す恐れが出てきた。そうなるとアルカイダやISに関する情報収集にますます大きな支障が出る。米国だけの問題でなく、西側諸国全体にとって影響は大きい。
来年にはジブチの大統領選が予定されている。Guellehは1999年以来大統領職にあり、 法的には出馬できないはずであるが、どうなるか注目されている。米国の大使館は出馬阻止に努めている。
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