2017 - 平和外交研究所 - Page 40
2017.02.20
中国では、「座談会」と言っても日本語とは語感がかなり違っており、政治的に重要な問題が議論され、新しい方針が示されることもある。日本では、政府の指導者、たとえば首相が主催する「座談会」などまずないだろう。
また、日本では座談会と言えば「文芸座談会」的なことが想像されるが、中国では「国家の安全」について座談会が開かれる。
「国家の安全」とは具体的にどういう意味か。中国はなぜ今、このような会議を開いたのか。日本で国家の安全に関する会議が開かれるのは北朝鮮による核・ミサイルの実験ぐらいであるが、中国の今回の座談会はさる2月12日のミサイル実験について協議することが目的ではなかったと思う。北朝鮮への言及はなかったようだし、そもそも、中国は北朝鮮の核・ミサイルの実験を嫌っていても、脅威に思っていない。
南シナ海問題は開催理由の一つだったかもしれないが、それについてもとくにとくに手掛かりはない。
習近平主席は「国家安全委員会主席」の肩書で今次座談会に出席し、会議を主催し、講話を行った。そのなかで、習近平主席は「国際秩序の大変革」「世界の多極化」「グローバル化」などに言及し、また、「国際社会をリードして公正合理的な世界の新秩序を作り上げなければならない」などとも言っているが、講話の背景として述べている印象である。
座談会には習近平主席、李克強首相のほか、公安部長の郭声琨、新疆维ウイグル自治区党委員会書記(同自治区のナンバーワン)の陳全国などが出席した。外交部からは同部党委員会書記の張業遂次官が出席した。
新疆自治区からは「安全工作」つまり、安全確保のために自治区政府が行った業務を報告した。
范長龍中央軍事委員会副主席は他の部門からの出席者と同列に紹介されているだけである。南シナ海問題が主要テーマであれば、そのような扱いにならないと思う。
今回の座談会の趣旨は、国内の安全について意見交換し、また習近平から注意を促し、かつ檄を飛ばすことにあったとみられる。
習近平主席は安全工作をしっかりとするように指示しているのだが、その中で「国際情勢がどのように変化しようと」とか、「心を乱されず、自信をもって、粘り強く」とか、「踏み越えてはならない線についてしっかりとした考えをもって」などと気になる発言もしている。これらが具体的にどのような状況や方針を指しているのか明らかでないが、習近平主席が現在の治安状況に懸念を抱き、関係部門の対応に満足していないことが示されている。
さらに言えば、テロ攻撃や民主化運動の激化を警戒しているのであろう。中国政府は人権派と言われる人たちに対する締め付けを緩めていない。強化している面もある。
今回の座談会で話し合われたことは国内の各種の不満、民主化運動、テロ攻撃などとともに今後も注目していくべきだと思う。
(短文)中国の安全を確保しなければならない?
2月17日、中国で「国家安全工作座談会」が開かれた。座談会が1回開かれたことに何の意味があるのかと疑問に思われる読者も少なくないだろうが、これは重要な会議だったと思う。中国では、「座談会」と言っても日本語とは語感がかなり違っており、政治的に重要な問題が議論され、新しい方針が示されることもある。日本では、政府の指導者、たとえば首相が主催する「座談会」などまずないだろう。
また、日本では座談会と言えば「文芸座談会」的なことが想像されるが、中国では「国家の安全」について座談会が開かれる。
「国家の安全」とは具体的にどういう意味か。中国はなぜ今、このような会議を開いたのか。日本で国家の安全に関する会議が開かれるのは北朝鮮による核・ミサイルの実験ぐらいであるが、中国の今回の座談会はさる2月12日のミサイル実験について協議することが目的ではなかったと思う。北朝鮮への言及はなかったようだし、そもそも、中国は北朝鮮の核・ミサイルの実験を嫌っていても、脅威に思っていない。
南シナ海問題は開催理由の一つだったかもしれないが、それについてもとくにとくに手掛かりはない。
習近平主席は「国家安全委員会主席」の肩書で今次座談会に出席し、会議を主催し、講話を行った。そのなかで、習近平主席は「国際秩序の大変革」「世界の多極化」「グローバル化」などに言及し、また、「国際社会をリードして公正合理的な世界の新秩序を作り上げなければならない」などとも言っているが、講話の背景として述べている印象である。
座談会には習近平主席、李克強首相のほか、公安部長の郭声琨、新疆维ウイグル自治区党委員会書記(同自治区のナンバーワン)の陳全国などが出席した。外交部からは同部党委員会書記の張業遂次官が出席した。
新疆自治区からは「安全工作」つまり、安全確保のために自治区政府が行った業務を報告した。
范長龍中央軍事委員会副主席は他の部門からの出席者と同列に紹介されているだけである。南シナ海問題が主要テーマであれば、そのような扱いにならないと思う。
今回の座談会の趣旨は、国内の安全について意見交換し、また習近平から注意を促し、かつ檄を飛ばすことにあったとみられる。
習近平主席は安全工作をしっかりとするように指示しているのだが、その中で「国際情勢がどのように変化しようと」とか、「心を乱されず、自信をもって、粘り強く」とか、「踏み越えてはならない線についてしっかりとした考えをもって」などと気になる発言もしている。これらが具体的にどのような状況や方針を指しているのか明らかでないが、習近平主席が現在の治安状況に懸念を抱き、関係部門の対応に満足していないことが示されている。
さらに言えば、テロ攻撃や民主化運動の激化を警戒しているのであろう。中国政府は人権派と言われる人たちに対する締め付けを緩めていない。強化している面もある。
今回の座談会で話し合われたことは国内の各種の不満、民主化運動、テロ攻撃などとともに今後も注目していくべきだと思う。
2017.02.14
中国では経済統計の水増しがかなり広範に行われているらしい。40年前の文化革命時でなく、現在のことである。
文化大革命のときは、工業でも農業でも生産量が水増しされ、誇大に報告されることは日常的に行われていた。それも数%のことでなく、何倍にもなっていた。
1980年代以降、すなわち改革開放政策が実施されて以降、状況は大きく改善され、とくに中国が2001年にWTO(世界貿易機構)に加盟してからは統計の水増しは基本的に解消されたと思われていた。
しかし、実際の状況は複雑で、近年経済成長が一けた台に落ち込んでからはまたぞろ水増し報告が行われるようになったらしい。
米国に本拠がある『多維新聞』2月6日付が報道している状況は概略以下のとおりである。
「山東省の郭樹清省長は2月6日、省政府活動報告の中で虚偽の数字を報告してはならないと呼びかけた。
遼寧省の陳求発省長は今年の1月、同省の人民代表大会(議会)で、同省の市、県で2011年から14年の間に虚偽の財政数字が使われ、しかもその数字は官庁から出たものであったことを指摘した。これは地方の人民代表大会で公になった初の虚偽統計である。
報道では、遼寧省の虚偽報告は金融危機が起こった2008年以前から行われており、2009年と2010年の同省統計公報ではこの2年間の輸出入データは消失したことになっている。実際にはマイナスだったためだ。しかし、この2年間のGDP成長率はそれぞれ13.1%、14.1%になっていた。
2012年に開催された中国共産党第18回全国代表大会(18全大会)では、中国のGDPと都市住民の一人当たり収入を2010年水準から2020年に倍増することが目標とされた。しかし、このような水増しした数字を使えば、達成はさらに困難になる。
中国国家統計局長は、中国の統計は全般的には正確だと言っている。しかし、虚偽報告は他の省でも行われている。東北地区ではすべての省に問題があることを政府系新聞でさえ報道している。
2016年1月、腐敗取り締まりのため巡視組が遼寧省に派遣された時、数字をごまかして私腹を肥やしている例があると指摘された。
武漢市でも同様の汚職事件が起こっている。
2016年10月、中央深化改革小組(政治改革の推進母体)は「統計の管理体制の改革を進め、統計の真実性を高めるための意見」を採択した。これに基づき、国家統計局長は具体的な措置に関する通達を行った。統計数字の虚偽報告は全国的な問題だ。」
(短文)中国の経済統計は信頼できない?
中国では経済統計の水増しがかなり広範に行われているらしい。40年前の文化革命時でなく、現在のことである。
文化大革命のときは、工業でも農業でも生産量が水増しされ、誇大に報告されることは日常的に行われていた。それも数%のことでなく、何倍にもなっていた。
1980年代以降、すなわち改革開放政策が実施されて以降、状況は大きく改善され、とくに中国が2001年にWTO(世界貿易機構)に加盟してからは統計の水増しは基本的に解消されたと思われていた。
しかし、実際の状況は複雑で、近年経済成長が一けた台に落ち込んでからはまたぞろ水増し報告が行われるようになったらしい。
米国に本拠がある『多維新聞』2月6日付が報道している状況は概略以下のとおりである。
「山東省の郭樹清省長は2月6日、省政府活動報告の中で虚偽の数字を報告してはならないと呼びかけた。
遼寧省の陳求発省長は今年の1月、同省の人民代表大会(議会)で、同省の市、県で2011年から14年の間に虚偽の財政数字が使われ、しかもその数字は官庁から出たものであったことを指摘した。これは地方の人民代表大会で公になった初の虚偽統計である。
報道では、遼寧省の虚偽報告は金融危機が起こった2008年以前から行われており、2009年と2010年の同省統計公報ではこの2年間の輸出入データは消失したことになっている。実際にはマイナスだったためだ。しかし、この2年間のGDP成長率はそれぞれ13.1%、14.1%になっていた。
2012年に開催された中国共産党第18回全国代表大会(18全大会)では、中国のGDPと都市住民の一人当たり収入を2010年水準から2020年に倍増することが目標とされた。しかし、このような水増しした数字を使えば、達成はさらに困難になる。
中国国家統計局長は、中国の統計は全般的には正確だと言っている。しかし、虚偽報告は他の省でも行われている。東北地区ではすべての省に問題があることを政府系新聞でさえ報道している。
2016年1月、腐敗取り締まりのため巡視組が遼寧省に派遣された時、数字をごまかして私腹を肥やしている例があると指摘された。
武漢市でも同様の汚職事件が起こっている。
2016年10月、中央深化改革小組(政治改革の推進母体)は「統計の管理体制の改革を進め、統計の真実性を高めるための意見」を採択した。これに基づき、国家統計局長は具体的な措置に関する通達を行った。統計数字の虚偽報告は全国的な問題だ。」
2017.02.13
なお、その中では触れていませんが、北朝鮮によるミサイル発射について両首脳は特別の記者会見でそろって抗議・非難しました。その時にも思ったのですが、トランプ大統領は安倍首相のいうことは何でも聞くという方針ではないかと思われます。そうであれば、米国として北朝鮮政策を見直すよう日本からアドバイスする絶好の機会です。
「2月10日、安倍首相はトランプ大統領と初めての首脳会談を行いました。トランプ大統領は今回の首脳会談でどのような出方を見せるか、懸念を持って見守っていた人は少なくなかったでしょう。
しかし、安倍首相と会談したトランプ大統領は、一言で言えば、我々日本人が心に描く理想的な大統領であり、今回は日本に対する無理な要求はしませんでした。
両首脳の会談は約40分間でした。その後に約1時間のワーキングランチがありましたが、重要な話し合いは40分の間に行われたはずです。かりに両首脳が同じ長さの発言をしたならば、各20分、しかも通訳がつきますから一人の発言時間はそれぞれ10分強でした。この持ち時間で話せることは最重要問題だけで、しかも原則的なことしか説明できないでしょう。外務省は会談の概要(以下単に「概要」)を発表していますが、おそらく会談のほとんどすべてがそれに含まれていると思います。
今次会談終了後両首脳は共同記者会見を行いました。さらに日米両国の共同声明も発表されました。共同会見はどの首脳会談でも行われますが、共同声明が発表されるのは時と場合によりまちまちです。傾向としては重要な会談では共同声明が発表されることが多いでしょう。
今回の共同声明の内容はこれから述べるように申し分のないものですが、いちじるしく官僚的であり、細かいことも含んでいます。両首脳はもちろんその内容を承知し、了承しているでしょうが、彼ら自身の議論を反映しているか疑問です。それより「概要」の方が実際の会談内容と雰囲気をよく表していると思います。
会談の内容については、まず経済面では、安倍首相は日本企業の米国における投資や雇用の創出について実情をよく説明しました。このことは「概要」にも共同声明にも明確に反映されています。一方、トランプ大統領は日本企業が米国の雇用を奪っていることなどの持論を封印しました。
また、安倍首相が米国へ向け出発する前、日本企業による米国での投資と雇用創出に関するパッケージ案を持参するとのうわさが流れたことがあり、米国でも期待感が生まれていましたが、パッケージ案の提示はなかったようです。両首脳が合意した「麻生副総理とペンス副大統領の下での経済対話」で今後協議が行われていくものと思われます。
政治・安全保障面では、両首脳は東シナ海・南シナ海での拡張的行動や北朝鮮による核・ミサイルの開発を取り上げて議論し、「懸念を共有」しました。また、両首脳は日米安保条約と在日米軍の役割を再確認しました。
尖閣諸島については安保条約が適用されることをとくに確認し、また「同諸島に対する 日本の施政を損なおうとするいかなる一方的行動にも反対する(共同声明)」ことが合意されました。
今回の首脳会談は日本側の主張をほぼ全面的に受け入れたと見てよいでしょうが、米国、特にトランプ大統領が日本と関係をどう見ているか、どのような期待を抱いているかにも注意が必要です。
トランプ大統領がかねてからの持論を封印したことは繰り返しませんが、同大統領にとって重要なことは、国内外から批判を受けて孤立気味になっている中で、「馬が合う」安倍首相をひきつけ日本を米国の最良の味方にすることだったと思います。首脳会談が終わってからなお2日間、ゴルフや会食で共に過ごすことは前代未聞ですが、トランプ大統領はかねてからゴルフ場で親しくなることを重視しており、今回の接待はまさにトランプ氏らしいものです。
これに対し、安倍首相が積極的に応えることは当然とも考えられますが、トランプ大統領はあまりにも予測困難です。移民制限の大統領令など米国内でトランプ氏の政策に強く批判、反対する人が多いことも問題ですが、対外面の問題もあります。トランプ大統領は、日本に異例の好意的姿勢をみせつつ、中国の習近平主席に書簡を送り、また電話でも会談し、中国が問題視していた「一つの中国」に縛られないという発言も封印しました。トランプ大統領は全般的に中国に非常に批判的ですが、日本と中国とのバランスにも気配りをしています。
経済面では、今後の成り行きいかんではトランプ氏の持論が表面に出てきて貿易などで譲歩を迫ってくる可能性があります。麻生副首相とペンス副大統領の話し合いを建設的に進めることが必要です。
安倍首相とトランプ大統領は初めて会ってから短い時間ですが、ハグを繰り返し、また長い握手をするなどどの国の首脳も真似できない親密な関係を築いたようです。しかし、最初がよすぎるとそれを維持していくのは大変だということもあります。安倍首相が強烈な個性のトランプ大統領との間で、今後も積極的かつ慎重に日米関係を発展させていくことが期待されます。
米新政権として初の日米首脳会談
安倍首相とトランプ大統領の会談に関する評価をザ・ページに寄稿しました。以下の通りです。なお、その中では触れていませんが、北朝鮮によるミサイル発射について両首脳は特別の記者会見でそろって抗議・非難しました。その時にも思ったのですが、トランプ大統領は安倍首相のいうことは何でも聞くという方針ではないかと思われます。そうであれば、米国として北朝鮮政策を見直すよう日本からアドバイスする絶好の機会です。
「2月10日、安倍首相はトランプ大統領と初めての首脳会談を行いました。トランプ大統領は今回の首脳会談でどのような出方を見せるか、懸念を持って見守っていた人は少なくなかったでしょう。
しかし、安倍首相と会談したトランプ大統領は、一言で言えば、我々日本人が心に描く理想的な大統領であり、今回は日本に対する無理な要求はしませんでした。
両首脳の会談は約40分間でした。その後に約1時間のワーキングランチがありましたが、重要な話し合いは40分の間に行われたはずです。かりに両首脳が同じ長さの発言をしたならば、各20分、しかも通訳がつきますから一人の発言時間はそれぞれ10分強でした。この持ち時間で話せることは最重要問題だけで、しかも原則的なことしか説明できないでしょう。外務省は会談の概要(以下単に「概要」)を発表していますが、おそらく会談のほとんどすべてがそれに含まれていると思います。
今次会談終了後両首脳は共同記者会見を行いました。さらに日米両国の共同声明も発表されました。共同会見はどの首脳会談でも行われますが、共同声明が発表されるのは時と場合によりまちまちです。傾向としては重要な会談では共同声明が発表されることが多いでしょう。
今回の共同声明の内容はこれから述べるように申し分のないものですが、いちじるしく官僚的であり、細かいことも含んでいます。両首脳はもちろんその内容を承知し、了承しているでしょうが、彼ら自身の議論を反映しているか疑問です。それより「概要」の方が実際の会談内容と雰囲気をよく表していると思います。
会談の内容については、まず経済面では、安倍首相は日本企業の米国における投資や雇用の創出について実情をよく説明しました。このことは「概要」にも共同声明にも明確に反映されています。一方、トランプ大統領は日本企業が米国の雇用を奪っていることなどの持論を封印しました。
また、安倍首相が米国へ向け出発する前、日本企業による米国での投資と雇用創出に関するパッケージ案を持参するとのうわさが流れたことがあり、米国でも期待感が生まれていましたが、パッケージ案の提示はなかったようです。両首脳が合意した「麻生副総理とペンス副大統領の下での経済対話」で今後協議が行われていくものと思われます。
政治・安全保障面では、両首脳は東シナ海・南シナ海での拡張的行動や北朝鮮による核・ミサイルの開発を取り上げて議論し、「懸念を共有」しました。また、両首脳は日米安保条約と在日米軍の役割を再確認しました。
尖閣諸島については安保条約が適用されることをとくに確認し、また「同諸島に対する 日本の施政を損なおうとするいかなる一方的行動にも反対する(共同声明)」ことが合意されました。
今回の首脳会談は日本側の主張をほぼ全面的に受け入れたと見てよいでしょうが、米国、特にトランプ大統領が日本と関係をどう見ているか、どのような期待を抱いているかにも注意が必要です。
トランプ大統領がかねてからの持論を封印したことは繰り返しませんが、同大統領にとって重要なことは、国内外から批判を受けて孤立気味になっている中で、「馬が合う」安倍首相をひきつけ日本を米国の最良の味方にすることだったと思います。首脳会談が終わってからなお2日間、ゴルフや会食で共に過ごすことは前代未聞ですが、トランプ大統領はかねてからゴルフ場で親しくなることを重視しており、今回の接待はまさにトランプ氏らしいものです。
これに対し、安倍首相が積極的に応えることは当然とも考えられますが、トランプ大統領はあまりにも予測困難です。移民制限の大統領令など米国内でトランプ氏の政策に強く批判、反対する人が多いことも問題ですが、対外面の問題もあります。トランプ大統領は、日本に異例の好意的姿勢をみせつつ、中国の習近平主席に書簡を送り、また電話でも会談し、中国が問題視していた「一つの中国」に縛られないという発言も封印しました。トランプ大統領は全般的に中国に非常に批判的ですが、日本と中国とのバランスにも気配りをしています。
経済面では、今後の成り行きいかんではトランプ氏の持論が表面に出てきて貿易などで譲歩を迫ってくる可能性があります。麻生副首相とペンス副大統領の話し合いを建設的に進めることが必要です。
安倍首相とトランプ大統領は初めて会ってから短い時間ですが、ハグを繰り返し、また長い握手をするなどどの国の首脳も真似できない親密な関係を築いたようです。しかし、最初がよすぎるとそれを維持していくのは大変だということもあります。安倍首相が強烈な個性のトランプ大統領との間で、今後も積極的かつ慎重に日米関係を発展させていくことが期待されます。
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