2015 - 平和外交研究所 - Page 47
2015.04.15
AIIBと「一帯一路」「海上のシルクロード」との関係は重要な問題である。当HPでは4月6,10日に指摘している。
○オバマ大統領はジェイコブ・ルー財務長官を2週間以内に再び中国へ派遣することにした(『多維新聞』4月13日付)。同長官は3月末に訪中しており、このように短期間のうちに再度訪問するのはきわめて異例である。これもAIIBとの関連があるのではないか注意しておく必要がある。
○台湾はAIIBの創設準備に加わる申請を3月31日に行なった。それ以来、台湾の資格と呼称について中国側と交渉が続けられていたところ、4月13日、中国の台湾事務弁公室は、台湾は創設準備メンバーになれないと発表した。
これに対し、馬英九政権は申請を撤回すると応じ、体面を保とうとしているが、台湾では議論が起こっている。同政権に批判的な立場からは、呼称が問題になることは初めからわかっていたことであり、それを軽視して申請をした馬英九は自ら問題を招いたと言われている。
中国側の立場については、王毅外相が3月末のボアオ・アジアフォーラムで「国際慣例に従う」と説明した経緯がある。そうすると、アジア開発銀行での取り扱いが参考例となり、台湾は「Taipei, China」、中国語では「中国台北」と表示されることになる恐れがある。
この呼称は、1986年に中国が同銀行に加盟して以来使われているものである(それまで台湾は「中華民国」の名称であった)が、台湾としては、これは中国の主張そのものであり、再度使うことは何としてでも避けたいという考えが強く、「中華台北」とする線で交渉していたと思われる。しかし中国としては、すでに前例があるのにそれより後退することはできないと考え、今回の発表になったのであろう。
(短文)アジアインフラ投資銀行(AIIB)「海上のシルクロード」との関係など
○大公報(4月13日付)はシンガポールの中国語紙『聯合早報』を引用して、習近平主席がボアオ・アジアフォーラムで、「中国と周辺の国家が運命共同体の意識を樹立することが重要であると強調した」「一帯一路(海上シルクロード)戦略はそのための重要なブースターとなる」と述べたことを報道している。AIIBと「一帯一路」「海上のシルクロード」との関係は重要な問題である。当HPでは4月6,10日に指摘している。
○オバマ大統領はジェイコブ・ルー財務長官を2週間以内に再び中国へ派遣することにした(『多維新聞』4月13日付)。同長官は3月末に訪中しており、このように短期間のうちに再度訪問するのはきわめて異例である。これもAIIBとの関連があるのではないか注意しておく必要がある。
○台湾はAIIBの創設準備に加わる申請を3月31日に行なった。それ以来、台湾の資格と呼称について中国側と交渉が続けられていたところ、4月13日、中国の台湾事務弁公室は、台湾は創設準備メンバーになれないと発表した。
これに対し、馬英九政権は申請を撤回すると応じ、体面を保とうとしているが、台湾では議論が起こっている。同政権に批判的な立場からは、呼称が問題になることは初めからわかっていたことであり、それを軽視して申請をした馬英九は自ら問題を招いたと言われている。
中国側の立場については、王毅外相が3月末のボアオ・アジアフォーラムで「国際慣例に従う」と説明した経緯がある。そうすると、アジア開発銀行での取り扱いが参考例となり、台湾は「Taipei, China」、中国語では「中国台北」と表示されることになる恐れがある。
この呼称は、1986年に中国が同銀行に加盟して以来使われているものである(それまで台湾は「中華民国」の名称であった)が、台湾としては、これは中国の主張そのものであり、再度使うことは何としてでも避けたいという考えが強く、「中華台北」とする線で交渉していたと思われる。しかし中国としては、すでに前例があるのにそれより後退することはできないと考え、今回の発表になったのであろう。
2015.04.14
1つは、「スホイ35(Su-35)」戦闘機である。2012年から交渉しているが、価格が折り合わずまだ結論が出ていない。中国が、以前導入したスホイ27をコピーしたことがあったので交渉が複雑化しているとも言われている。
もう1つは、S-400地対空ミサイルで、性能は米軍のパトリオットに匹敵するので各国から購入希望が寄せられているが、これまでどこへも輸出されていなかった。中国との交渉も難航していたが、最近プーチンの指示があって進み始め、中国がS-400を獲得する可能性が大きくなったと米国に本部がある『多維新聞』が報道している(4月13日付)。
(短文)中ロ武器取引
中国はロシアから2つのハイテク兵器を購入する交渉を行なっている。中国が獲得すればその航空戦闘・防御能力は一段と向上し、尖閣諸島に対する潜在的脅威は増大すると言われている。1つは、「スホイ35(Su-35)」戦闘機である。2012年から交渉しているが、価格が折り合わずまだ結論が出ていない。中国が、以前導入したスホイ27をコピーしたことがあったので交渉が複雑化しているとも言われている。
もう1つは、S-400地対空ミサイルで、性能は米軍のパトリオットに匹敵するので各国から購入希望が寄せられているが、これまでどこへも輸出されていなかった。中国との交渉も難航していたが、最近プーチンの指示があって進み始め、中国がS-400を獲得する可能性が大きくなったと米国に本部がある『多維新聞』が報道している(4月13日付)。
2015.04.13
きたる14日、5年ぶりに日本と韓国の安全保障対話が行なわれることになりました。これには両国の外務省と防衛省の担当局長などが参加します。
これとは別に、わが防衛省と韓国国防部の間の対話・交流があります。実は、日韓安保対話が開催されなかった5年間においても両国防衛省間の対話・交流は継続されており、たとえば、防衛次官級の会談は2014年3月、その前は13年11月とほぼ毎年行なわれていました。また、両国の防衛省は海上の安全維持(海難救助、捜索)、テロ対策、海賊対策、平和維持活動(PKO)などについて共通の関心を有しており、日韓両国と同盟関係にある米国を含め3カ国で共同訓練や演習を毎年行なっています。
一方、外交当局者と防衛当局者がともに参加する安全保障対話においては、より広い観点から、北朝鮮問題のような安全保障と密接に関連している外交・国際政治を含めて話し合いが行われます。東アジアの平和と安定に大きな責任を有する日韓両国はこのような対話を通して情勢を正しく分析・把握し、適切に対応していくことが必要です。両国間の関係が悪いからといってこのような努力を怠ると、お互いの理解、信頼関係が損なわれていく恐れがあります。
日韓両国間の安保対話は1998年に始められて以来毎年開催されてきましたが、慰安婦問題などを巡る両国関係悪化の影響を受け、2009年を最後に開かれなくなりました。
しかし、その間に中国の軍事力の大幅増強、ロシアではメドベージェフ首相による国後島訪問、北朝鮮で金正恩第1書記の登場など大きな変化が生じ、国際情勢は複雑化しており、日韓両国が緊密に連携し、協力して対処していかなければならないことが増大しています。
また、日韓両国は米国との同盟関係を維持するために情報の保護を強化する必要があり、そのための協定を2012年6月に締結する予定でしたが、直前になって韓国側から要請があり、延期されました。韓国国内で反対意見が強くなったためだと思われます。このような状況は一刻も早く是正する必要があります。
おりしも今年は日韓国交正常化50周年であり、両国間の関係を将来に向かってさらに発展させていくための基礎を固めるのに節目となる重要な年です。
これらの諸事情を背景に、さる3月に開かれた日韓外相会談で、安保対話の再開に向けて調整することが合意され、ソウルで外務・防衛両省の局長級対話が再開されることになったのです。また、その後には、日韓両国の防衛相会談が予定されていると報道されています。両国の指導者が、国内の消極的意見が強い中で冷静に、かつ積極的に行動した結果であり、非常に意義深いことと思われます。
再開される安保対話において、韓国側は、日本政府が現在進めている新しい安全保障関連の法案準備の状況や、日米両国が4月末に(27日とも言われています)改定する予定の「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)に強い関心を示し、日本側に説明を求めてくるものと思われます。
また、北朝鮮関係の諸問題も今回の安保対話の主要議題になるでしょう。北朝鮮の核・ミサイル問題は依然として解決しておらず、北朝鮮は最近も盛んにミサイルの発射実験を行なっています。米国は北朝鮮の脅威に備えるため、新たに高高度迎撃ミサイルシステムを韓国へ配備することを検討していると伝えられています。
日本側はこれら核・ミサイル問題や金正恩第1書記の指導体制の安定性について韓国側の見解を聴取し、また、日本側の考えを説明するでしょう。
さらに、日朝関係の現状と今後の対応方針なども説明するものと思われます。とくに韓国は、多数の家族が南北に分断されている関係もあり、日本の拉致問題に強い関心を抱いています。
日韓安保対話の再開
THEPAGEに13日掲載された。きたる14日、5年ぶりに日本と韓国の安全保障対話が行なわれることになりました。これには両国の外務省と防衛省の担当局長などが参加します。
これとは別に、わが防衛省と韓国国防部の間の対話・交流があります。実は、日韓安保対話が開催されなかった5年間においても両国防衛省間の対話・交流は継続されており、たとえば、防衛次官級の会談は2014年3月、その前は13年11月とほぼ毎年行なわれていました。また、両国の防衛省は海上の安全維持(海難救助、捜索)、テロ対策、海賊対策、平和維持活動(PKO)などについて共通の関心を有しており、日韓両国と同盟関係にある米国を含め3カ国で共同訓練や演習を毎年行なっています。
一方、外交当局者と防衛当局者がともに参加する安全保障対話においては、より広い観点から、北朝鮮問題のような安全保障と密接に関連している外交・国際政治を含めて話し合いが行われます。東アジアの平和と安定に大きな責任を有する日韓両国はこのような対話を通して情勢を正しく分析・把握し、適切に対応していくことが必要です。両国間の関係が悪いからといってこのような努力を怠ると、お互いの理解、信頼関係が損なわれていく恐れがあります。
日韓両国間の安保対話は1998年に始められて以来毎年開催されてきましたが、慰安婦問題などを巡る両国関係悪化の影響を受け、2009年を最後に開かれなくなりました。
しかし、その間に中国の軍事力の大幅増強、ロシアではメドベージェフ首相による国後島訪問、北朝鮮で金正恩第1書記の登場など大きな変化が生じ、国際情勢は複雑化しており、日韓両国が緊密に連携し、協力して対処していかなければならないことが増大しています。
また、日韓両国は米国との同盟関係を維持するために情報の保護を強化する必要があり、そのための協定を2012年6月に締結する予定でしたが、直前になって韓国側から要請があり、延期されました。韓国国内で反対意見が強くなったためだと思われます。このような状況は一刻も早く是正する必要があります。
おりしも今年は日韓国交正常化50周年であり、両国間の関係を将来に向かってさらに発展させていくための基礎を固めるのに節目となる重要な年です。
これらの諸事情を背景に、さる3月に開かれた日韓外相会談で、安保対話の再開に向けて調整することが合意され、ソウルで外務・防衛両省の局長級対話が再開されることになったのです。また、その後には、日韓両国の防衛相会談が予定されていると報道されています。両国の指導者が、国内の消極的意見が強い中で冷静に、かつ積極的に行動した結果であり、非常に意義深いことと思われます。
再開される安保対話において、韓国側は、日本政府が現在進めている新しい安全保障関連の法案準備の状況や、日米両国が4月末に(27日とも言われています)改定する予定の「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)に強い関心を示し、日本側に説明を求めてくるものと思われます。
また、北朝鮮関係の諸問題も今回の安保対話の主要議題になるでしょう。北朝鮮の核・ミサイル問題は依然として解決しておらず、北朝鮮は最近も盛んにミサイルの発射実験を行なっています。米国は北朝鮮の脅威に備えるため、新たに高高度迎撃ミサイルシステムを韓国へ配備することを検討していると伝えられています。
日本側はこれら核・ミサイル問題や金正恩第1書記の指導体制の安定性について韓国側の見解を聴取し、また、日本側の考えを説明するでしょう。
さらに、日朝関係の現状と今後の対応方針なども説明するものと思われます。とくに韓国は、多数の家族が南北に分断されている関係もあり、日本の拉致問題に強い関心を抱いています。
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