オピニオン
2019.08.05
7月31日の共同通信はロイター通信を引用しつつ、「米政府高官は30日、日本による対韓輸出規制強化など一連の日韓対立を巡り、現状を維持し新たな措置は取らない状態で交渉する協定への署名を求める仲介案を提示したと明らかにした」と伝え、また、「ポンペオ国務長官は8月1日にタイ・バンコクで予定する日米韓外相会談で、河野太郎外相と韓国の康京和外相と仲介案について協議する見通しだ」と報道した。
しかし、31日午前、菅義偉官房長官は記者会見で、米政府高官が日韓に仲介案を提示したとの一部報道について「そのような事実はない」と述べた。
共同通信は「仲介案」があったとし、菅官房長官はそれはなかったとしたので、両者の説明は、この点では矛盾している印象があるが、実は、みかけほど異なっていない面もある。
米国は今回の規制強化措置について米国の考えを日韓両国に示していたことである。日本と韓国は米国にとって重要な同盟国であり、東アジアの安全保障戦略にとって両国の協力が不可欠でり、米国としては日韓両国が仲たがいをしてもらっては困る、一刻も早く関係を改善してもらいたいと考えており、米国がそうしたのは当然であった。
このことについて菅氏の説明はよほど注意して聞かないとわからない。記者会見では「米国との間では、わが国の一貫した立場や考えを累次伝達し、常日頃から緊密に連携している」、「今後もわが国の立場に対し、正しい理解が得られるように努める」とだけ語ったからであるが、その中に、米国は「仲介する用意がある」という態度を示したことは言及されていなかったが、含まれていたと思う。
一方、韓国の文在寅大統領は、米国が「仲介の用意がある」という姿勢を見せたと明言した。文氏は2日午後、臨時の閣僚会議を開き、安倍政権が輸出手続きを簡略化できる「ホワイト国」のリストから韓国を外す政令改正を決めたことについて、「とても無謀な決定であり、深い遺憾を表明する」と語ったうえ、「米国が状況をこれ以上悪化させないよう交渉する時間を持つよう求めた提案に、日本は応えることはなかったと非難した」のである。
「米国が状況をこれ以上悪化させないよう交渉する時間を持つよう求めた」との言及が米国の姿勢を示していた。しかも、文氏は「日本はその提案に応えることはなかった」とまで語ったことは見逃せない。
韓国の大統領が発言したことがいつも正しいわけではない。しかし、この発言は事実を反映していたと思う。もし、文氏が日本政府の対応について誤った言及をしたのであれば、日米両国から抗議され、是正を求められるからである。
要するに、米国は日韓両国に対して、関係改善のためともに努めるよう求めたのであり、そのことについてわが官房長官は、文氏が具体的ま表現で説明したのとちがって、ごく一般的な形で触れただけであったのだ。
ちなみに、2日、バンコクで行われた河野太郎外相、ポンペオ米国務長官、韓国の康京和(カンギョンファ)外相間の会談についても、日本政府は米国が仲介する用意があるという趣旨の発言はなかったと説明した。河野外相は記者から、「ポンペオ長官のご発言について,両国で話し合いをして問題解決に向けて努力してほしいということなのですが,これはポンペオ長官が間に入って何か仲介をするというものでは・・」と問われたのに対し、「違います。別に仲介とかなんとかということではなくて,両国の問題は両国で話し合って解決してください,ということでした。」と述べている。
要するに、日本政府の口からは、輸出規制強化措置に関して、米国政府が日韓関係を心配しているようなことは一切出ないのであるが、それでも日本政府の姿勢には危惧を覚えてならない。
理由の一つは、かりに米国と日本の考えや立場が違っていても、日本政府はそのような違いを国民に説明してくれるか安心できないからである。
もう一つの理由は、日本政府が2日に第二弾の規制強化措置を取った後、米国から強い懸念を示す声が聞こえてきたからである。米国務省当局者の共同通信に対する、「日韓対立について双方が関係改善に責任がある。ここ数カ月間に2国間の信頼を傷つけた政治的決断には反省が必要だ。日韓関係が悪化すれば、双方が結果に苦しむことになる。米国はこの問題に関与し続け、両国の対話を支援する用意がある」との発言である(3日の共同通信)。
この発言は、米国の日韓両国の態度についての見解を率直に語っているだけでなく、日本政府に対する非難めいた言及も含んでいたと思う。もちろん、共同通信のこの報道が完全に正しいか、検証は必要である。
ともかく、今回の規制措置強化を機に著しく悪化した日韓関係を両政府はどのように改善する考えなのか。韓国政府は措置の撤回を求めているのに対し、日本政府はどう応えるのかが問われるが、残念ながらどちらからも対応策は見えてこない。
かりに、日韓関係が今のような状態を続ければ、米国が不満を募らせるのは不可避であろう。
韓国に対する輸出管理厳格化と米国の姿勢
韓国に対する輸出管理厳格化措置を米国はどのように見ているか、また、日韓両国の間に立って仲介を試みる考えはあるか。関連の報道や説明は注意深く聞く必要がある。7月31日の共同通信はロイター通信を引用しつつ、「米政府高官は30日、日本による対韓輸出規制強化など一連の日韓対立を巡り、現状を維持し新たな措置は取らない状態で交渉する協定への署名を求める仲介案を提示したと明らかにした」と伝え、また、「ポンペオ国務長官は8月1日にタイ・バンコクで予定する日米韓外相会談で、河野太郎外相と韓国の康京和外相と仲介案について協議する見通しだ」と報道した。
しかし、31日午前、菅義偉官房長官は記者会見で、米政府高官が日韓に仲介案を提示したとの一部報道について「そのような事実はない」と述べた。
共同通信は「仲介案」があったとし、菅官房長官はそれはなかったとしたので、両者の説明は、この点では矛盾している印象があるが、実は、みかけほど異なっていない面もある。
米国は今回の規制強化措置について米国の考えを日韓両国に示していたことである。日本と韓国は米国にとって重要な同盟国であり、東アジアの安全保障戦略にとって両国の協力が不可欠でり、米国としては日韓両国が仲たがいをしてもらっては困る、一刻も早く関係を改善してもらいたいと考えており、米国がそうしたのは当然であった。
このことについて菅氏の説明はよほど注意して聞かないとわからない。記者会見では「米国との間では、わが国の一貫した立場や考えを累次伝達し、常日頃から緊密に連携している」、「今後もわが国の立場に対し、正しい理解が得られるように努める」とだけ語ったからであるが、その中に、米国は「仲介する用意がある」という態度を示したことは言及されていなかったが、含まれていたと思う。
一方、韓国の文在寅大統領は、米国が「仲介の用意がある」という姿勢を見せたと明言した。文氏は2日午後、臨時の閣僚会議を開き、安倍政権が輸出手続きを簡略化できる「ホワイト国」のリストから韓国を外す政令改正を決めたことについて、「とても無謀な決定であり、深い遺憾を表明する」と語ったうえ、「米国が状況をこれ以上悪化させないよう交渉する時間を持つよう求めた提案に、日本は応えることはなかったと非難した」のである。
「米国が状況をこれ以上悪化させないよう交渉する時間を持つよう求めた」との言及が米国の姿勢を示していた。しかも、文氏は「日本はその提案に応えることはなかった」とまで語ったことは見逃せない。
韓国の大統領が発言したことがいつも正しいわけではない。しかし、この発言は事実を反映していたと思う。もし、文氏が日本政府の対応について誤った言及をしたのであれば、日米両国から抗議され、是正を求められるからである。
要するに、米国は日韓両国に対して、関係改善のためともに努めるよう求めたのであり、そのことについてわが官房長官は、文氏が具体的ま表現で説明したのとちがって、ごく一般的な形で触れただけであったのだ。
ちなみに、2日、バンコクで行われた河野太郎外相、ポンペオ米国務長官、韓国の康京和(カンギョンファ)外相間の会談についても、日本政府は米国が仲介する用意があるという趣旨の発言はなかったと説明した。河野外相は記者から、「ポンペオ長官のご発言について,両国で話し合いをして問題解決に向けて努力してほしいということなのですが,これはポンペオ長官が間に入って何か仲介をするというものでは・・」と問われたのに対し、「違います。別に仲介とかなんとかということではなくて,両国の問題は両国で話し合って解決してください,ということでした。」と述べている。
要するに、日本政府の口からは、輸出規制強化措置に関して、米国政府が日韓関係を心配しているようなことは一切出ないのであるが、それでも日本政府の姿勢には危惧を覚えてならない。
理由の一つは、かりに米国と日本の考えや立場が違っていても、日本政府はそのような違いを国民に説明してくれるか安心できないからである。
もう一つの理由は、日本政府が2日に第二弾の規制強化措置を取った後、米国から強い懸念を示す声が聞こえてきたからである。米国務省当局者の共同通信に対する、「日韓対立について双方が関係改善に責任がある。ここ数カ月間に2国間の信頼を傷つけた政治的決断には反省が必要だ。日韓関係が悪化すれば、双方が結果に苦しむことになる。米国はこの問題に関与し続け、両国の対話を支援する用意がある」との発言である(3日の共同通信)。
この発言は、米国の日韓両国の態度についての見解を率直に語っているだけでなく、日本政府に対する非難めいた言及も含んでいたと思う。もちろん、共同通信のこの報道が完全に正しいか、検証は必要である。
ともかく、今回の規制措置強化を機に著しく悪化した日韓関係を両政府はどのように改善する考えなのか。韓国政府は措置の撤回を求めているのに対し、日本政府はどう応えるのかが問われるが、残念ながらどちらからも対応策は見えてこない。
かりに、日韓関係が今のような状態を続ければ、米国が不満を募らせるのは不可避であろう。
2019.07.26
「声明」を発表しました。賛同者募集も準備中です。
この声明は、昨今の日韓関係の悪化を憂慮する有志が執筆し、インターネットを通じて、日本の市民に賛同を求めるものです。75名の呼びかけをもって発信します。呼びかけ人の中には多少の意見の違いもありますが、基本的な部分で一致しています。
ご賛同いただける方は、下記サイトの賛同フォームにてご署名ください。
第一次の締め切りは、8月15日といたします。状況の推移を見ながら、次の行動を考えたいと思います。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/a466957e630362
日韓関係はいま、悪循環に陥っています。いま、ここで悪循環を止め、深く息を吸って頭を冷やし、冷静な心を取り戻さなければなりません。本来、対立や紛争には、双方に問題があることが多いものです。今回も、日韓政府の双方に問題があると、私たちは思います。しかし、私たちは、日本の市民ですから、まずは、私たちに責任のある日本政府の問題を指摘したいと思います。韓国政府の問題は、韓国の市民たちが批判することでしょう。
双方の自己批判の間に、対話の空間が生まれます。その対話の中にこそ、この地域の平和と繁栄を生み出す可能性があります。
「声明 韓国は「敵」なのか」世話人一同
2019年7月25日
——————————————
このホームページのURLは、https://peace3appeal.jimdo.com/ です。お広め下さい
連絡先eメールは asia3peace@yahoo.co.jp
<声明> 韓国は「敵」なのか
はじめに
私たちは、7月初め、日本政府が表明した、韓国に対する輸出規制に反対し、即時撤回を求めるものです。半導体製造が韓国経済にとってもつ重要な意義を思えば、この措置が韓国経済に致命的な打撃をあたえかねない、敵対的な行為であることは明らかです。
日本政府の措置が出された当初は、昨年の「徴用工」判決とその後の韓国政府の対応に対する報復であると受けとめられましたが、自由貿易の原則に反するとの批判が高まると、日本政府は安全保障上の信頼性が失われたためにとられた措置であると説明しはじめました。これに対して文在寅大統領は7月15日に、「南北関係の発展と朝鮮半島の平和のために力を尽くす韓国政府に対する重大な挑戦だ」とはげしく反論するにいたりました。
1、韓国は「敵」なのか
国と国のあいだには衝突もおこるし、不利益措置がとられることがあります。しかし、相手国のとった措置が気にいらないからといって、対抗措置をとれば、相手を刺激して、逆効果になる場合があります。
特別な歴史的過去をもつ日本と韓国の場合は、対立するにしても、特別慎重な配慮が必要になります。それは、かつて日本がこの国を侵略し、植民地支配をした歴史があるからです。日本の圧力に「屈した」と見られれば、いかなる政権も、国民から見放されます。日本の報復が韓国の報復を招けば、その連鎖反応の結果は、泥沼です。両国のナショナリズムは、しばらくの間、収拾がつかなくなる可能性があります。このような事態に陥ることは、絶対に避けなければなりません。
すでに多くの指摘があるように、このたびの措置自身、日本が多大な恩恵を受けてきた自由貿易の原則に反するものですし、日本経済にも大きなマイナスになるものです。しかも来年は「東京オリンピック・パラリンピック」の年です。普通なら、周辺でごたごたが起きてほしくないと考えるのが主催国でしょう。それが、主催国自身が周辺と摩擦を引き起こしてどうするのでしょうか。
今回の措置で、両国関係はこじれるだけで、日本にとって得るものはまったくないという結果に終わるでしょう。問題の解決には、感情的でなく、冷静で合理的な対話以外にありえないのです。
思い出されるのは、安倍晋三総理が、本年初めの国会での施政方針演説で、中国、ロシアとの関係改善について述べ、北朝鮮についてさえ「相互不信の殻を破り」、「私自身が金正恩委員長と直接向き合い」、「あらゆるチャンスを逃すことなく」、交渉をしたいと述べた一方で、日韓関係については一言もふれなかったことです。まるで韓国を「相手にせず」という姿勢を誇示したようにみえました。そして、六月末の大阪でのG20の会議のさいには、出席した各国首脳と個別にも会談したのに、韓国の文在寅大統領だけは完全に無視し、立ち話さえもしなかったのです。その上でのこのたびの措置なのです。
これでは、まるで韓国を「敵」のように扱う措置になっていますが、とんでもない誤りです。韓国は、自由と民主主義を基調とし、東アジアの平和と繁栄をともに築いていく大切な隣人です。
2、日韓は未来志向のパートナー
1998年10月、金大中韓国大統領が来日しました。金大中大統領は、日本の国会で演説し、戦後の日本は議会制民主主義のもと、経済成長を遂げ、アジアへの援助国となると同時に、平和主義を守ってきた、と評価しました。そして日本国民には過去を直視し、歴史をおそれる勇気を、また韓国国民には、戦後大きく変わった日本の姿を評価し、ともに未来に向けて歩もうと呼びかけたのです。日本の国会議員たちも、大きく拍手してこの呼びかけに答えました。軍事政権に何度も殺されそうになった金大中氏を、戦後民主主義の中で育った日本の政治家や市民たちが支援し、救ったということもありました。また日本の多くの人々も、金大中氏が軍事政権の弾圧の中で信念を守り、民主主義のために戦ったことを知っていました。この相互の敬意が、小渕恵三首相と金大中大統領の「日韓パートナーシップ宣言」の基礎となったのです。
金大中大統領は、なお韓国の国民には日本に対する疑念と不信が強いけれど、日本が戦前の歴史を直視し、また戦後の憲法と民主主義を守って進むならば、ともに未来に向かうことは出来るだろうと大いなる希望を述べたのでした。そして、それまで韓国で禁じられていた日本の大衆文化の開放に踏み切ったのです。
3、日韓条約、請求権協定で問題は解決していない
元徴用工問題について、安倍政権は国際法、国際約束に違反していると繰り返し、述べています。それは1965年に締結された「日韓基本条約」とそれに基づいた「日韓請求権協定」のことを指しています。
日韓基本条約の第2条は、1910年の韓国併合条約の無効を宣言していますが、韓国と日本ではこの第2条の解釈が対立したままです。というのは、韓国側の解釈では、併合条約は本来無効であり、日本の植民地支配は韓国の同意に基づくものでなく、韓国民に強制されたものであったとなりますが、日本側の解釈では、併合条約は1948年の大韓民国の建国時までは有効であり、両国の合意により日本は韓国を併合したので、植民地支配に対する反省も、謝罪もおこなうつもりがない、ということになっているのです。
しかし、それから半世紀以上が経ち、日本政府も国民も、変わっていきました。植民地支配が韓国人に損害と苦痛をあたえたことを認め、それは謝罪し、反省すべきことだというのが、大方の日本国民の共通認識になりました。1995年の村山富市首相談話の歴史認識は、1998年の「日韓パートナーシップ宣言」、そして2002年の「日朝平壌宣言」の基礎になっています。この認識を基礎にして、2010年、韓国併合100年の菅直人首相談話をもとりいれて、日本政府が韓国と向き合うならば、現れてくる問題を協力して解決していくことができるはずです。
問題になっている元徴用工たちの訴訟は民事訴訟であり、被告は日本企業です。まずは被告企業が判決に対して、どう対応するかが問われるはずなのに、はじめから日本政府が飛び出してきたことで、事態を混乱させ、国対国の争いになってしまいました。元徴用工問題と同様な中国人強制連行・強制労働問題では1972年の日中共同声明による中国政府の戦争賠償の放棄後も、2000年花岡(鹿島建設和解)、2009年西松建設和解、2016年三菱マテリアル和解がなされていますが、その際、日本政府は、民間同士のことだからとして、一切口を挟みませんでした。
日韓基本条約・日韓請求権協定は両国関係の基礎として、存在していますから、尊重されるべきです。しかし、安倍政権が常套句のように繰り返す「解決済み」では決してないのです。日本政府自身、一貫して個人による補償請求の権利を否定していません。この半世紀の間、サハリンの残留韓国人の帰国支援、被爆した韓国人への支援など、植民地支配に起因する個人の被害に対して、日本政府は、工夫しながら補償に代わる措置も行ってきましたし、安倍政権が朴槿恵政権と2015年末に合意した「日韓慰安婦合意」(この評価は様々であり、また、すでに財団は解散していますが)も、韓国側の財団を通じて、日本政府が被害者個人に国費10億円を差し出した事例に他なりません。一方、韓国も、盧武鉉政権時代、植民地被害者に対し法律を制定して個人への補償を行っています。こうした事例を踏まえるならば、議論し、双方が納得する妥協点を見出すことは可能だと思います。
現在、仲裁委員会の設置をめぐって「対立」していますが、日韓請求権協定第3条にいう仲裁委員会による解決に最初に着目したのは、2011年8月の「慰安婦問題」に関する韓国憲法裁判所の決定でした。その時は、日本側は仲裁委員会の設置に応じていません。こうした経緯を踏まえて、解決のための誠実な対応が求められています。
おわりに
私たちは、日本政府が韓国に対する輸出規制をただちに撤回し、韓国政府との間で、冷静な対話・議論を開始することを求めるものです。
いまや1998年の「日韓パートナーシップ宣言」がひらいた日韓の文化交流、市民交流は途方もない規模で展開しています。BTS(防弾少年団)の人気は圧倒的です。テレビの取材にこたえて、「(日本の)女子高生は韓国で生きている」と公然と語っています。300万人が日本から韓国へ旅行して、700万人が韓国から日本を訪問しています。ネトウヨやヘイトスピーチ派がどんなに叫ぼうと、日本と韓国は大切な隣国同士であり、韓国と日本を切り離すことはできないのです。
安倍首相は、日本国民と韓国国民の仲を裂き、両国民を対立反目させるようなことはやめてください。意見が違えば、手を握ったまま、討論をつづければいいではないですか。
2019年7月25日
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呼びかけ人
<呼びかけ>(*は世話人) 2019年7月25日 現在75名
青木有加(弁護士)
秋林こずえ(同志社大学教授)
浅井基文(元外務省職員)
庵逧由香(立命館大学教授)
石川亮太(立命館大学教員)
石坂浩一(立教大学教員)*
岩崎稔(東京外国語大学教授)
殷勇基(弁護士)
内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)*
内田雅敏(弁護士)*
内橋克人(評論家)
梅林宏道(ピースデポ特別顧問)
大沢真理(元東京大学教授)
太田修(同志社大学教授)
大森典子(弁護士)
岡田充(共同通信客員論説委員)*
岡本厚(元「世界」編集長)*
岡野八代(同志社大学教員)
荻野富士夫(小樽商科大学名誉教授)
小田川興(元朝日新聞ソウル支局長)
大貫康雄(元NHKヨーロッパ総局長)
勝守真(元秋田大学教員)
勝村誠 (立命館大学教授)
桂島宣弘(立命館大学名誉教授)
金子勝(慶応大学名誉教授)
我部政明(琉球大学教授)
鎌田慧(作家)
香山リカ(精神科医)
川上詩朗(弁護士)
川崎哲(ピースボート共同代表)
小林久公(強制動員真相究明ネットワーク事務局次長)
小森陽一(東京大学名誉教授)
在間秀和(弁護士)
佐川亜紀(詩人)
佐藤学(学習院大学特任教授)
佐藤学(沖縄国際大学教授)
佐藤久(翻訳家)
佐野通夫(こども教育宝仙大学教員)
島袋純(琉球大学教授)
宋 基燦(立命館大学准教授)
高田健(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会共同代表)
髙村竜平(秋田大学教育文化学部)
高橋哲哉(東京大学教授)
田島泰彦(早稲田大学非常勤講師、元上智大学教授)
田中宏(一橋大学名誉教授)*
高嶺朝一(琉球新報元社長)
谷口誠(元国連大使)
外村大(東京大学教授)
中島岳志(東京工業大学教授)
永田浩三(武蔵大学教授)
中野晃一(上智大学教授)
成田龍一(日本女子大学教授)
西谷修(哲学者)
波佐場清(立命館大学コリア研究センター上席研究員)
花房恵美子(関釜裁判支援の会)
花房敏雄(関釜裁判支援の会元事務局長)
羽場久美子(青山学院大学教授)
広渡清吾(東京大学名誉教授)
飛田雄一(神戸学生青年センター館長)
藤石貴代(新潟大学)
古川美佳(朝鮮美術文化研究者)
星川淳(作家・翻訳家)
星野英一(琉球大学名誉教授)
布袋敏博(早稲田大学教授・朝鮮文学研究)
前田哲男(評論家)
三浦まり(上智大学教授)
三島憲一(大阪大学名誉教授)
美根慶樹(元日朝国交正常化交渉日本政府代表)
宮内勝典(作家)
矢野秀喜(朝鮮人強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動事務局長)
山口二郎(法政大学教授)
山田貴夫(フェリス女学院大学・法政大学非常勤講師、ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク事務局)
山本晴太(弁護士)
和田春樹(東京大学名誉教授)
「声明」 韓国は「敵」なのか
「声明」を発表しました。賛同者募集も準備中です。
この声明は、昨今の日韓関係の悪化を憂慮する有志が執筆し、インターネットを通じて、日本の市民に賛同を求めるものです。75名の呼びかけをもって発信します。呼びかけ人の中には多少の意見の違いもありますが、基本的な部分で一致しています。
ご賛同いただける方は、下記サイトの賛同フォームにてご署名ください。
第一次の締め切りは、8月15日といたします。状況の推移を見ながら、次の行動を考えたいと思います。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/a466957e630362
日韓関係はいま、悪循環に陥っています。いま、ここで悪循環を止め、深く息を吸って頭を冷やし、冷静な心を取り戻さなければなりません。本来、対立や紛争には、双方に問題があることが多いものです。今回も、日韓政府の双方に問題があると、私たちは思います。しかし、私たちは、日本の市民ですから、まずは、私たちに責任のある日本政府の問題を指摘したいと思います。韓国政府の問題は、韓国の市民たちが批判することでしょう。
双方の自己批判の間に、対話の空間が生まれます。その対話の中にこそ、この地域の平和と繁栄を生み出す可能性があります。
「声明 韓国は「敵」なのか」世話人一同
2019年7月25日
——————————————
このホームページのURLは、https://peace3appeal.jimdo.com/ です。お広め下さい
連絡先eメールは asia3peace@yahoo.co.jp
<声明> 韓国は「敵」なのか
はじめに
私たちは、7月初め、日本政府が表明した、韓国に対する輸出規制に反対し、即時撤回を求めるものです。半導体製造が韓国経済にとってもつ重要な意義を思えば、この措置が韓国経済に致命的な打撃をあたえかねない、敵対的な行為であることは明らかです。
日本政府の措置が出された当初は、昨年の「徴用工」判決とその後の韓国政府の対応に対する報復であると受けとめられましたが、自由貿易の原則に反するとの批判が高まると、日本政府は安全保障上の信頼性が失われたためにとられた措置であると説明しはじめました。これに対して文在寅大統領は7月15日に、「南北関係の発展と朝鮮半島の平和のために力を尽くす韓国政府に対する重大な挑戦だ」とはげしく反論するにいたりました。
1、韓国は「敵」なのか
国と国のあいだには衝突もおこるし、不利益措置がとられることがあります。しかし、相手国のとった措置が気にいらないからといって、対抗措置をとれば、相手を刺激して、逆効果になる場合があります。
特別な歴史的過去をもつ日本と韓国の場合は、対立するにしても、特別慎重な配慮が必要になります。それは、かつて日本がこの国を侵略し、植民地支配をした歴史があるからです。日本の圧力に「屈した」と見られれば、いかなる政権も、国民から見放されます。日本の報復が韓国の報復を招けば、その連鎖反応の結果は、泥沼です。両国のナショナリズムは、しばらくの間、収拾がつかなくなる可能性があります。このような事態に陥ることは、絶対に避けなければなりません。
すでに多くの指摘があるように、このたびの措置自身、日本が多大な恩恵を受けてきた自由貿易の原則に反するものですし、日本経済にも大きなマイナスになるものです。しかも来年は「東京オリンピック・パラリンピック」の年です。普通なら、周辺でごたごたが起きてほしくないと考えるのが主催国でしょう。それが、主催国自身が周辺と摩擦を引き起こしてどうするのでしょうか。
今回の措置で、両国関係はこじれるだけで、日本にとって得るものはまったくないという結果に終わるでしょう。問題の解決には、感情的でなく、冷静で合理的な対話以外にありえないのです。
思い出されるのは、安倍晋三総理が、本年初めの国会での施政方針演説で、中国、ロシアとの関係改善について述べ、北朝鮮についてさえ「相互不信の殻を破り」、「私自身が金正恩委員長と直接向き合い」、「あらゆるチャンスを逃すことなく」、交渉をしたいと述べた一方で、日韓関係については一言もふれなかったことです。まるで韓国を「相手にせず」という姿勢を誇示したようにみえました。そして、六月末の大阪でのG20の会議のさいには、出席した各国首脳と個別にも会談したのに、韓国の文在寅大統領だけは完全に無視し、立ち話さえもしなかったのです。その上でのこのたびの措置なのです。
これでは、まるで韓国を「敵」のように扱う措置になっていますが、とんでもない誤りです。韓国は、自由と民主主義を基調とし、東アジアの平和と繁栄をともに築いていく大切な隣人です。
2、日韓は未来志向のパートナー
1998年10月、金大中韓国大統領が来日しました。金大中大統領は、日本の国会で演説し、戦後の日本は議会制民主主義のもと、経済成長を遂げ、アジアへの援助国となると同時に、平和主義を守ってきた、と評価しました。そして日本国民には過去を直視し、歴史をおそれる勇気を、また韓国国民には、戦後大きく変わった日本の姿を評価し、ともに未来に向けて歩もうと呼びかけたのです。日本の国会議員たちも、大きく拍手してこの呼びかけに答えました。軍事政権に何度も殺されそうになった金大中氏を、戦後民主主義の中で育った日本の政治家や市民たちが支援し、救ったということもありました。また日本の多くの人々も、金大中氏が軍事政権の弾圧の中で信念を守り、民主主義のために戦ったことを知っていました。この相互の敬意が、小渕恵三首相と金大中大統領の「日韓パートナーシップ宣言」の基礎となったのです。
金大中大統領は、なお韓国の国民には日本に対する疑念と不信が強いけれど、日本が戦前の歴史を直視し、また戦後の憲法と民主主義を守って進むならば、ともに未来に向かうことは出来るだろうと大いなる希望を述べたのでした。そして、それまで韓国で禁じられていた日本の大衆文化の開放に踏み切ったのです。
3、日韓条約、請求権協定で問題は解決していない
元徴用工問題について、安倍政権は国際法、国際約束に違反していると繰り返し、述べています。それは1965年に締結された「日韓基本条約」とそれに基づいた「日韓請求権協定」のことを指しています。
日韓基本条約の第2条は、1910年の韓国併合条約の無効を宣言していますが、韓国と日本ではこの第2条の解釈が対立したままです。というのは、韓国側の解釈では、併合条約は本来無効であり、日本の植民地支配は韓国の同意に基づくものでなく、韓国民に強制されたものであったとなりますが、日本側の解釈では、併合条約は1948年の大韓民国の建国時までは有効であり、両国の合意により日本は韓国を併合したので、植民地支配に対する反省も、謝罪もおこなうつもりがない、ということになっているのです。
しかし、それから半世紀以上が経ち、日本政府も国民も、変わっていきました。植民地支配が韓国人に損害と苦痛をあたえたことを認め、それは謝罪し、反省すべきことだというのが、大方の日本国民の共通認識になりました。1995年の村山富市首相談話の歴史認識は、1998年の「日韓パートナーシップ宣言」、そして2002年の「日朝平壌宣言」の基礎になっています。この認識を基礎にして、2010年、韓国併合100年の菅直人首相談話をもとりいれて、日本政府が韓国と向き合うならば、現れてくる問題を協力して解決していくことができるはずです。
問題になっている元徴用工たちの訴訟は民事訴訟であり、被告は日本企業です。まずは被告企業が判決に対して、どう対応するかが問われるはずなのに、はじめから日本政府が飛び出してきたことで、事態を混乱させ、国対国の争いになってしまいました。元徴用工問題と同様な中国人強制連行・強制労働問題では1972年の日中共同声明による中国政府の戦争賠償の放棄後も、2000年花岡(鹿島建設和解)、2009年西松建設和解、2016年三菱マテリアル和解がなされていますが、その際、日本政府は、民間同士のことだからとして、一切口を挟みませんでした。
日韓基本条約・日韓請求権協定は両国関係の基礎として、存在していますから、尊重されるべきです。しかし、安倍政権が常套句のように繰り返す「解決済み」では決してないのです。日本政府自身、一貫して個人による補償請求の権利を否定していません。この半世紀の間、サハリンの残留韓国人の帰国支援、被爆した韓国人への支援など、植民地支配に起因する個人の被害に対して、日本政府は、工夫しながら補償に代わる措置も行ってきましたし、安倍政権が朴槿恵政権と2015年末に合意した「日韓慰安婦合意」(この評価は様々であり、また、すでに財団は解散していますが)も、韓国側の財団を通じて、日本政府が被害者個人に国費10億円を差し出した事例に他なりません。一方、韓国も、盧武鉉政権時代、植民地被害者に対し法律を制定して個人への補償を行っています。こうした事例を踏まえるならば、議論し、双方が納得する妥協点を見出すことは可能だと思います。
現在、仲裁委員会の設置をめぐって「対立」していますが、日韓請求権協定第3条にいう仲裁委員会による解決に最初に着目したのは、2011年8月の「慰安婦問題」に関する韓国憲法裁判所の決定でした。その時は、日本側は仲裁委員会の設置に応じていません。こうした経緯を踏まえて、解決のための誠実な対応が求められています。
おわりに
私たちは、日本政府が韓国に対する輸出規制をただちに撤回し、韓国政府との間で、冷静な対話・議論を開始することを求めるものです。
いまや1998年の「日韓パートナーシップ宣言」がひらいた日韓の文化交流、市民交流は途方もない規模で展開しています。BTS(防弾少年団)の人気は圧倒的です。テレビの取材にこたえて、「(日本の)女子高生は韓国で生きている」と公然と語っています。300万人が日本から韓国へ旅行して、700万人が韓国から日本を訪問しています。ネトウヨやヘイトスピーチ派がどんなに叫ぼうと、日本と韓国は大切な隣国同士であり、韓国と日本を切り離すことはできないのです。
安倍首相は、日本国民と韓国国民の仲を裂き、両国民を対立反目させるようなことはやめてください。意見が違えば、手を握ったまま、討論をつづければいいではないですか。
2019年7月25日
——————————————
呼びかけ人
<呼びかけ>(*は世話人) 2019年7月25日 現在75名
青木有加(弁護士)
秋林こずえ(同志社大学教授)
浅井基文(元外務省職員)
庵逧由香(立命館大学教授)
石川亮太(立命館大学教員)
石坂浩一(立教大学教員)*
岩崎稔(東京外国語大学教授)
殷勇基(弁護士)
内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)*
内田雅敏(弁護士)*
内橋克人(評論家)
梅林宏道(ピースデポ特別顧問)
大沢真理(元東京大学教授)
太田修(同志社大学教授)
大森典子(弁護士)
岡田充(共同通信客員論説委員)*
岡本厚(元「世界」編集長)*
岡野八代(同志社大学教員)
荻野富士夫(小樽商科大学名誉教授)
小田川興(元朝日新聞ソウル支局長)
大貫康雄(元NHKヨーロッパ総局長)
勝守真(元秋田大学教員)
勝村誠 (立命館大学教授)
桂島宣弘(立命館大学名誉教授)
金子勝(慶応大学名誉教授)
我部政明(琉球大学教授)
鎌田慧(作家)
香山リカ(精神科医)
川上詩朗(弁護士)
川崎哲(ピースボート共同代表)
小林久公(強制動員真相究明ネットワーク事務局次長)
小森陽一(東京大学名誉教授)
在間秀和(弁護士)
佐川亜紀(詩人)
佐藤学(学習院大学特任教授)
佐藤学(沖縄国際大学教授)
佐藤久(翻訳家)
佐野通夫(こども教育宝仙大学教員)
島袋純(琉球大学教授)
宋 基燦(立命館大学准教授)
高田健(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会共同代表)
髙村竜平(秋田大学教育文化学部)
高橋哲哉(東京大学教授)
田島泰彦(早稲田大学非常勤講師、元上智大学教授)
田中宏(一橋大学名誉教授)*
高嶺朝一(琉球新報元社長)
谷口誠(元国連大使)
外村大(東京大学教授)
中島岳志(東京工業大学教授)
永田浩三(武蔵大学教授)
中野晃一(上智大学教授)
成田龍一(日本女子大学教授)
西谷修(哲学者)
波佐場清(立命館大学コリア研究センター上席研究員)
花房恵美子(関釜裁判支援の会)
花房敏雄(関釜裁判支援の会元事務局長)
羽場久美子(青山学院大学教授)
広渡清吾(東京大学名誉教授)
飛田雄一(神戸学生青年センター館長)
藤石貴代(新潟大学)
古川美佳(朝鮮美術文化研究者)
星川淳(作家・翻訳家)
星野英一(琉球大学名誉教授)
布袋敏博(早稲田大学教授・朝鮮文学研究)
前田哲男(評論家)
三浦まり(上智大学教授)
三島憲一(大阪大学名誉教授)
美根慶樹(元日朝国交正常化交渉日本政府代表)
宮内勝典(作家)
矢野秀喜(朝鮮人強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動事務局長)
山口二郎(法政大学教授)
山田貴夫(フェリス女学院大学・法政大学非常勤講師、ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク事務局)
山本晴太(弁護士)
和田春樹(東京大学名誉教授)
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