中国
2014.11.25
「海上のシルクロード」構想は2013年10月、習近平主席がASEANを訪問した際建設を提案したものであり、これとこのルートにつながる経済地域は「一帯一路」と呼ばれている。この建設により中国は海運面でのヨーロッパ依存を軽減し、中国の貨物が米国海軍の支配するルートにさらされるのを少なくする目的もあると見られている(例、BBC中国語サイト)。
中国は「海上シルクロード銀行」を設立し、400億ドル出資する考えであり、現在、この設立準備が中国政府の関係部局で進められている。この銀行は政府出資だけでなく、民間の資本も受け入れ公的色彩を薄めることが予定されている。
「海上のシルクロード」とフィリピン、ベトナムへの影響
11月23日付の旺報(旺旺グループの台湾紙 大陸関係の報道が比較的多い)は、「先のAPEC会議の際、中国は南シナ海で反中的姿勢を見せているフィリピンを「海上のシルクロード(海上絲綢之路)」構想から外す噂を流し、フィリピンを緊張させた。そのためフィリピンは南シナ海での反中的傾向を緩和するのではないかと見られている。また、フィリピンと同じく反中的傾向が強いベトナムも同様の圧力を受けている」と報道した。「海上のシルクロード」構想は2013年10月、習近平主席がASEANを訪問した際建設を提案したものであり、これとこのルートにつながる経済地域は「一帯一路」と呼ばれている。この建設により中国は海運面でのヨーロッパ依存を軽減し、中国の貨物が米国海軍の支配するルートにさらされるのを少なくする目的もあると見られている(例、BBC中国語サイト)。
中国は「海上シルクロード銀行」を設立し、400億ドル出資する考えであり、現在、この設立準備が中国政府の関係部局で進められている。この銀行は政府出資だけでなく、民間の資本も受け入れ公的色彩を薄めることが予定されている。
2014.11.15
米中両国は艦船や航空機による衝突を回避するための協定(MMCA Military Maritime Consultative Agreement)を1998年に締結した。2014年、APEC首脳会議終了後のオバマ大統領訪中の際には、信頼醸成のために新たに2つの合意が達成された。1つは重要な軍事活動を一方が行なう場合、他方に通報することである、もう1つは、艦船あるいは航空機が接近した場合の行動規範についての合意である。これらの合意によって、米中両国は今後誤解を少なくし、予測可能性を高め、危機に陥る危険を少なくできる
両方の合意とも2013年に習近平主席が訪米した際、オバマ大統領に提案したものである。
主要が軍事活動には、防衛報告と軍事演習が含まれる。米国はDefense Strategic Guidance、Quadrennial Defense Reviewおよび毎年の議会に対する報告などを中国に通報する。一方、中国は防衛白書などを発表する場合に米国に通報する。両国とも防衛政策を変更する場合通報する。
両国の軍はアジア太平洋で軍事演習をする場合通報するが、そのタイミングはそれぞれの国が決定する。将来は事前の通報に進むことが期待されている。
米側はまた、弾道ミサイルや宇宙へのロケット打ち上げについても通報するようにしたいが、中国側はそれに応じていない。中国とロシアは互いに相手国の方向へ向かって戦略ミサイルを発射する場合通報することに2012年12月合意している。
海上での行動規範には、両国の艦船が接近した場合の行動のガイドラインが含まれている。このガイドラインは1972 Convention on the International Regulations for Preventing Collisions at Sea (COLREGS)および Code of Unplanned Encounters at Sea (CUES)に基づいている。今後の米中間交渉では航空機同士、および航空機と艦船が接近した場合の行動規範についても合意することが期待されている。
中国はこのような行動規範について合意することを長年拒んできた。2001年に米国の偵察機と中国の戦闘機が衝突する事件が起こった後も、中国は、そのような合意を結ぶと中国の近辺で活動する米国機の行動を認めることになるという理由で拒んできた。しかし、習近平の下で中国は事故を回避すること、米軍とより協力的な関係を築くことが「新しい大国関係」のために望ましいと考えているという姿勢を見せるようになった。習近平は人民解放軍に米軍と協力するよう説得したのであろう。
今回米中間で合意された信頼醸成措置は積極的な意義があるが、実行されることが重要である。また、現在の合意は履行が任意的となっているが、将来義務的にするべきである。また、履行状況を検討するために定期的に会合を開くことが望まれる。
米中間新信頼醸成措置
オバマ大統領の訪中に際し合意された両国軍の間の信頼醸成措置に関する米国の諸報道から要点を抽出した。米中両国は艦船や航空機による衝突を回避するための協定(MMCA Military Maritime Consultative Agreement)を1998年に締結した。2014年、APEC首脳会議終了後のオバマ大統領訪中の際には、信頼醸成のために新たに2つの合意が達成された。1つは重要な軍事活動を一方が行なう場合、他方に通報することである、もう1つは、艦船あるいは航空機が接近した場合の行動規範についての合意である。これらの合意によって、米中両国は今後誤解を少なくし、予測可能性を高め、危機に陥る危険を少なくできる
両方の合意とも2013年に習近平主席が訪米した際、オバマ大統領に提案したものである。
主要が軍事活動には、防衛報告と軍事演習が含まれる。米国はDefense Strategic Guidance、Quadrennial Defense Reviewおよび毎年の議会に対する報告などを中国に通報する。一方、中国は防衛白書などを発表する場合に米国に通報する。両国とも防衛政策を変更する場合通報する。
両国の軍はアジア太平洋で軍事演習をする場合通報するが、そのタイミングはそれぞれの国が決定する。将来は事前の通報に進むことが期待されている。
米側はまた、弾道ミサイルや宇宙へのロケット打ち上げについても通報するようにしたいが、中国側はそれに応じていない。中国とロシアは互いに相手国の方向へ向かって戦略ミサイルを発射する場合通報することに2012年12月合意している。
海上での行動規範には、両国の艦船が接近した場合の行動のガイドラインが含まれている。このガイドラインは1972 Convention on the International Regulations for Preventing Collisions at Sea (COLREGS)および Code of Unplanned Encounters at Sea (CUES)に基づいている。今後の米中間交渉では航空機同士、および航空機と艦船が接近した場合の行動規範についても合意することが期待されている。
中国はこのような行動規範について合意することを長年拒んできた。2001年に米国の偵察機と中国の戦闘機が衝突する事件が起こった後も、中国は、そのような合意を結ぶと中国の近辺で活動する米国機の行動を認めることになるという理由で拒んできた。しかし、習近平の下で中国は事故を回避すること、米軍とより協力的な関係を築くことが「新しい大国関係」のために望ましいと考えているという姿勢を見せるようになった。習近平は人民解放軍に米軍と協力するよう説得したのであろう。
今回米中間で合意された信頼醸成措置は積極的な意義があるが、実行されることが重要である。また、現在の合意は履行が任意的となっているが、将来義務的にするべきである。また、履行状況を検討するために定期的に会合を開くことが望まれる。
2014.11.12
「中国漁船による小笠原諸島周辺海域でのサンゴ密猟が大問題になっています。その数は10月の23日には100隻くらいでしたが、それから急増し、30日には212隻になったと報道されています。中国漁船はさらに伊豆諸島付近にも数十隻現れたようです。あまりに船の数が多く、また、サンゴ採取方法が乱暴なために、直接的に被害を受ける小笠原諸島や伊豆諸島の漁民のみならず住民も強い不安を覚えています。サンゴ礁が破壊されると生態系に深刻な影響が生じます。
中国漁船は日本の領海内ではもちろん、排他的経済水域内でも操業できませんが、違法に赤サンゴなどを取っています。中国国内で非常に高値で売れることが理由のようですが、それにしても200隻以上もの漁船がこの海域に殺到するのは異常なことであり、これは漁船だけの判断でなく、何らかの政治的背景があるかもしれません。中国側は、この海域で豊富に埋蔵されている、将来のエネルギー源として有望なメタンハイドレードを狙って漁船をサンゴ漁の名目で派遣してきた、今回は一種の前哨戦であった可能性も考えられないではありません。
政治的な背景はともかく、日本としては中国漁船による違法操業に対し法令に従って厳正に対処する必要があります。海上保安庁は11月に入ってすでに5人の中国人船長を逮捕しましたが、取り締まりの対象となる漁船の数は膨大です。太田国土交通相は4日の閣議後の記者会見で、海上保安庁の巡視船を小笠原諸島周辺の海域に追加派遣したことを明らかにしました。巡視船の数などの具体的な配備状況は警備上の理由から公表れていません。
かねてから海上保安庁は尖閣諸島付近海域の警備を重点的に実施してきましたが、今回の小笠原諸島海域での問題発生により、いわば2正面作戦を強いられる結果となっています。菅義偉官房長官は5日の記者会見で、「海上保安庁では大型巡視船、航空機を集中的に投入し、特別態勢を取っている。やりくりして対応しているが、非常に無理があるのは事実だ」「限られた中で懸命の努力をしている」とも語っています。
海上保安庁は現在全部で400隻余りの巡視船・巡視艇・特殊警備救難艇を保有していますが、それではとても対応できず、新しい巡視船を建造中です。しかし、船を建造するにはかなりの時間がかかります。この夏には新型の巡視船が2隻完成し海上保安庁に引き渡されましたが、残りの数隻についても早期の完成が待たれます。
一方、このよう多数の漁船によるサンゴ捕獲は法律が想定していないことであり、船長を逮捕しても軽い罰金で釈放されます。早急に罰則の強化、採取したサンゴの没収などのための立法を行なうことが必要です。
日本のメディアは現在この問題に強い関心を向け、大々的に報道していますが、今後も引き続き状況を密に報道してもらいたく思います。約30年前にも台湾漁船によるサンゴ密漁がありましたが、小笠原諸島海域で密漁している中国漁船の数は異常です。日本としては法令にしたがって対処すべきことは当然ですが、そのためにも海上の警備体制を早急に増強する必要があります。」
中国漁船によるサンゴ密漁
THEPAGEに11月8日掲載されたもの。「中国漁船による小笠原諸島周辺海域でのサンゴ密猟が大問題になっています。その数は10月の23日には100隻くらいでしたが、それから急増し、30日には212隻になったと報道されています。中国漁船はさらに伊豆諸島付近にも数十隻現れたようです。あまりに船の数が多く、また、サンゴ採取方法が乱暴なために、直接的に被害を受ける小笠原諸島や伊豆諸島の漁民のみならず住民も強い不安を覚えています。サンゴ礁が破壊されると生態系に深刻な影響が生じます。
中国漁船は日本の領海内ではもちろん、排他的経済水域内でも操業できませんが、違法に赤サンゴなどを取っています。中国国内で非常に高値で売れることが理由のようですが、それにしても200隻以上もの漁船がこの海域に殺到するのは異常なことであり、これは漁船だけの判断でなく、何らかの政治的背景があるかもしれません。中国側は、この海域で豊富に埋蔵されている、将来のエネルギー源として有望なメタンハイドレードを狙って漁船をサンゴ漁の名目で派遣してきた、今回は一種の前哨戦であった可能性も考えられないではありません。
政治的な背景はともかく、日本としては中国漁船による違法操業に対し法令に従って厳正に対処する必要があります。海上保安庁は11月に入ってすでに5人の中国人船長を逮捕しましたが、取り締まりの対象となる漁船の数は膨大です。太田国土交通相は4日の閣議後の記者会見で、海上保安庁の巡視船を小笠原諸島周辺の海域に追加派遣したことを明らかにしました。巡視船の数などの具体的な配備状況は警備上の理由から公表れていません。
かねてから海上保安庁は尖閣諸島付近海域の警備を重点的に実施してきましたが、今回の小笠原諸島海域での問題発生により、いわば2正面作戦を強いられる結果となっています。菅義偉官房長官は5日の記者会見で、「海上保安庁では大型巡視船、航空機を集中的に投入し、特別態勢を取っている。やりくりして対応しているが、非常に無理があるのは事実だ」「限られた中で懸命の努力をしている」とも語っています。
海上保安庁は現在全部で400隻余りの巡視船・巡視艇・特殊警備救難艇を保有していますが、それではとても対応できず、新しい巡視船を建造中です。しかし、船を建造するにはかなりの時間がかかります。この夏には新型の巡視船が2隻完成し海上保安庁に引き渡されましたが、残りの数隻についても早期の完成が待たれます。
一方、このよう多数の漁船によるサンゴ捕獲は法律が想定していないことであり、船長を逮捕しても軽い罰金で釈放されます。早急に罰則の強化、採取したサンゴの没収などのための立法を行なうことが必要です。
日本のメディアは現在この問題に強い関心を向け、大々的に報道していますが、今後も引き続き状況を密に報道してもらいたく思います。約30年前にも台湾漁船によるサンゴ密漁がありましたが、小笠原諸島海域で密漁している中国漁船の数は異常です。日本としては法令にしたがって対処すべきことは当然ですが、そのためにも海上の警備体制を早急に増強する必要があります。」
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