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2013.10.09

習近平は決意を固めたか

10月8日付の多維新聞(海外中国人の新聞 中国によく通じている)は、香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙(南華早報)を引用して、APECに出席のためバリ島に滞在中の習近平主席が、講演の中で「一挙に改革を深化させる。後ろ向きの道を歩む「転覆性過ち」が出てくるのを許さない」と語ったことを紹介した上、これは習近平が昨年11月に中共総書記に就任して以来、中国の改革の方向性について行ったもっとも重要な態度表明であると評している。
改革に前向きの表明を行なったことがよいことであるのは当然としても、この言葉がなぜそのように特別なのか。中国の外ではわかりにくい。習近平は革命路線重視か、改革のさらなる推進かという路線対立の真っ最中にあってどちらをより重視しているかよく分からない態度を取っているため、一部の人からは旗幟鮮明にすべきであると迫られていたのである。そのような背景とともにこの態度表明を聞けば、習近平がとうとう改革重視だと断言した、だから重要なのだということになりそうである。
しかし、この表明だけで路線対立の決着がついたか。ことは簡単でない。習近平は就任以来「大衆を尊重せよ」と呼びかけており、また数週間前には「毛沢東思想を大事にしなければ天下は大乱になる」と言っていた。今回の態度表明もどこまで実行されるか、まだよく分からない。

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2013.10.09

北朝鮮の大幅な人事異動

「金正恩は、北朝鮮の指導者となって以来、党政軍の幹部218人のうち97人を異動させるなど大幅な人事入れ替えを行なった」という趣旨の発表を韓国の統一院が10月8日に行なった。金正恩が高官の人事異動を頻繁に行なっていることはかねてから知られていたが、その激しさにあらためて印象づけられる。なかでも、金正日時代に任命されていた総参謀長の李英浩を玄永哲に代え,2013年5月には金格植に代え、さらに8月には李英吉に代えるなど立て続けに交代させている。総参謀長という軍のもっとも重要なポストをこれだけ頻繁に代えるのは異常であり、熟慮した人事とは思えず、金正恩の気まぐれによることかとも思われるが、金正恩が名実ともに北朝鮮の新しい指導者であることは軍によっても受け入れられているのであろう。
金正恩は若くて経験は浅いはずであるが、相当な実行力の持ち主であるようだ。しかし、これだけひどく人事に手をつけられると、軍が反発しても不思議でない。今後もこのような調子でやっていける保証はない。
この統一院の発表は大公網(香港の中国系『大公報』新聞のサイト)でも10月9日に掲載している。中国(の一部?)から見ても、金正恩の頻繁な人事異動は印象的なのであろう。

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2013.10.08

旭日旗に対する韓国の反発

2013年9月、競技場などで旭日旗を掲げた者に懲役刑や罰金刑を科す法案が韓国議会に提出された。旭日旗については最近韓国で、あるいは海外で韓国系の人たちによって問題視されることが多く、ナチス・ドイツのハーケン・クロイツと同様の政治的意味があるとか、日本のかつての「帝国主義」を象徴するとか、言われており、また、日韓間で問題になったケースはスポーツに限らず、文化的な催しにも広がっている。具体的な諸例はウィキペディアの「旭日旗」の項をご覧になることを勧めたい。
一方、太陽の光が周囲を照らしている状況を図柄にすることは日本に限らず、世界各地で昔から行なわれており、韓国人がそれをどのように嫌悪しようともなくならないであろう。また、韓国の主張が最近行われるようになったものであり、説得力に欠けるという指摘も行なわれている。しかし、日本側でも旭日旗を掲げて反韓デモの行進を行なっており、韓国人をいたずらに刺激している面もある。
全体の状況はかなり複雑であるが、このような問題に対して政府は冷静に対処すべきであり、国民の感情をあおるようなことは厳に慎むべきである。また、個人としては、理屈はともかく、韓国では旭日旗を嫌う傾向があるのも現実であることを忘れないほうが不必要な摩擦を避けるのに重要であろう。

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