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2014.07.21
中国は非アラブ諸国の中で最初にパレスチナを承認し、北京の代表事務所に外交使節としての待遇を認めた。かつていわゆる第三世界に属していた時のことであり、今となっては昔話である。
中国はパレスチナとイスラエルの関係が緩和したことを背景に、1992年、イスラエルと外交関係を結び、それ以降、中国はイスラエルとパレスチナに対する姿勢を徐々に修正してきた。
中国とイスラエルの関係は着実に進展し、経済面では中国はイスラエルにとって主要な貿易相手国となっている。とくに、兵器の面では双方向の取引が増大している。中国は、米国や欧州諸国から入手できないハイテク武器をイスラエルから購入しているという疑惑がもたれている。かつて中国が早期警戒システムのファルコンをイスラエルから購入しようとして米国が待ったをかけたことがあった。
中国・イスラエル関係で最も顕著なのは軍事面での交流であり、閉鎖的な中国としてはめずらしくよく付き合っており、そのレベルと頻度はロシアとの関係を除けば随一ではないかと思われる。イスラエルは、以前台湾との関係が緊密であったが、最近は手控えている。
ただし、パレスチナ問題については、中国はイスラエルを非難する決議に賛成を続けており、ヨルダン川西岸へのイスラエルの入植を非難する決議にも賛成している。国連がパレスチナにオブザーバーの資格を認めた際には賛成した。
中国は、2014年の6月、パレスチナの統一国家を承認した。中国が特使を派遣したのはこの関係であろう。
米国にとってイスラエルとの関係は他の国には見られない特殊性があるが、パレスチナ問題については米国こそが和解に貢献できるというという自負は最近の状況にかんがみるとしぼみがちかもしれない。それでもほかの国が米国に代わって中東和平で双方の仲を取り持つようなことは考えられない。しかし、今のような状況を続くと中国がある日パレスチナ和平の仲介者として出てくるかもしれない。
(さらに…)
中国のイスラエル・パレスチナ政策
中国政府は特使をイスラエルとパレスチナに派遣した。「最近」だそうだ。双方の緊張緩和を探り、イスラエルがパレスチナ問題についてさらに積極的な役割を果たすよう働きかけることが目的だと台湾の新聞『旺報』7月19日付が論評している。中国は非アラブ諸国の中で最初にパレスチナを承認し、北京の代表事務所に外交使節としての待遇を認めた。かつていわゆる第三世界に属していた時のことであり、今となっては昔話である。
中国はパレスチナとイスラエルの関係が緩和したことを背景に、1992年、イスラエルと外交関係を結び、それ以降、中国はイスラエルとパレスチナに対する姿勢を徐々に修正してきた。
中国とイスラエルの関係は着実に進展し、経済面では中国はイスラエルにとって主要な貿易相手国となっている。とくに、兵器の面では双方向の取引が増大している。中国は、米国や欧州諸国から入手できないハイテク武器をイスラエルから購入しているという疑惑がもたれている。かつて中国が早期警戒システムのファルコンをイスラエルから購入しようとして米国が待ったをかけたことがあった。
中国・イスラエル関係で最も顕著なのは軍事面での交流であり、閉鎖的な中国としてはめずらしくよく付き合っており、そのレベルと頻度はロシアとの関係を除けば随一ではないかと思われる。イスラエルは、以前台湾との関係が緊密であったが、最近は手控えている。
ただし、パレスチナ問題については、中国はイスラエルを非難する決議に賛成を続けており、ヨルダン川西岸へのイスラエルの入植を非難する決議にも賛成している。国連がパレスチナにオブザーバーの資格を認めた際には賛成した。
中国は、2014年の6月、パレスチナの統一国家を承認した。中国が特使を派遣したのはこの関係であろう。
米国にとってイスラエルとの関係は他の国には見られない特殊性があるが、パレスチナ問題については米国こそが和解に貢献できるというという自負は最近の状況にかんがみるとしぼみがちかもしれない。それでもほかの国が米国に代わって中東和平で双方の仲を取り持つようなことは考えられない。しかし、今のような状況を続くと中国がある日パレスチナ和平の仲介者として出てくるかもしれない。
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2014.07.20
第1に、事実関係の究明である。マレーシア機を撃墜したのはロシア製のミサイル「ブク」(S11)、その操作は高度な技術が必要、ミサイルはウクライナ領内から発射された、「ブク」がウクライナからロシア領へ運び出された、ロシアはそれを否定した、など基本的なことについて事実確認が必要であるが、これがスムーズに運ぶか。
墜落現場での調査が妨害なく行われるか。すでに、OSCE(欧州安全保障協力機構)の調査団が現地入りしたが、親ロシア派の兵士に止められ、退去せざるをえなかった。兵士は遺体の収容・移動を始めている。ウクライナ政府はハリコフに遺体の安置のためセンターを設置し、列車で300キロ移送する計画である。このセンターは受け入れも行なう。これらのことを含め現地での緊急措置と調査のために必要な現状の保存をどうするか。ウクライナ政府、OSCE、EUなどは目下対応を協議しているだろうが、どうなるか。
ロシアは国際的に批判的な目で見られている。今回の撃墜事件以前からロシアは親ロシア派に有形・無形の支援をしており、それをやめるべきだという圧力を受けていた。米欧とロシアの間には政治的な要素、白黒で判定できない要素もあろうが、ロシアが対応を迫られることが多いのは否定できない。ロシアは10項目の質問状をウクライナに出したそうだが、それは物事を進めるうえで有効か分からない。プーチン大統領は事件後対話の再開を呼びかけたそうだが、対話はウクライナ政府が呼びかけ、親ロシア派から対応がないままになっているのではないか。このような経緯はともかく、ロシアの言うように対話を再開するのも一案かもしれないが、その後の展開はどうなるか分からない。
ロシアが親ロシア派の扱いに手を焼いている可能性もあるが、「ロシアは公正な立場、親ロシア派は血縁関係を頼りにわがままを言い放題」という可能性は低い。ロシアはやはり力に頼って紛争を有利に導こうとする傾向が強いのではないか。ウクライナの国境付近にロシア軍を展開させていたことに関しても、国家の内部でどこに軍を置こうと主権の問題であり、外国からとやかく言われる筋合いのことではないという考えがロシアの内部にあった。エネルギーの代価を支払わないのはウクライナが悪いのは間違いないが、だからと言ってそれを止めてしまうのは人道上の観点からも問題である。
ロシアに対する風当たりは確実に強くなっている。米欧は制裁を強化する方針だし、11月にオーストラリアで開催予定のG20にも予定を変えて招待すべきでないという声が上がっている。このような国際社会の流れをロシアはどのように読み、どのように対応しようとしているのか。まさか冷戦時代と同じように、西側と対抗するのに力に頼るのが上策と考えているとは思いたくないが、ロシアから出てくる反応は、根拠を示せないままウクライナや西側を非難することが多いのではないか。
中国はウクライナ問題ではロシアと立場を異にしているが、それでもロシアをできる限り応援しようとしている。中国もまた力に頼る傾向があるが、政治的にはロシアよりはるかに巧妙である。経済的にも、ロシアのように資源依存傾向の強い経済でなく、多彩である。BRICsは最近開発銀行を設立することに合意した。その際も中国の積極的な振る舞いに比べ、ロシアの影は薄かったのではないか。
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マレーシア機撃墜事件
6月17日、ウクライナ上空でマレーシア航空機が撃墜されたことについていくつか懸念されることがある。第1に、事実関係の究明である。マレーシア機を撃墜したのはロシア製のミサイル「ブク」(S11)、その操作は高度な技術が必要、ミサイルはウクライナ領内から発射された、「ブク」がウクライナからロシア領へ運び出された、ロシアはそれを否定した、など基本的なことについて事実確認が必要であるが、これがスムーズに運ぶか。
墜落現場での調査が妨害なく行われるか。すでに、OSCE(欧州安全保障協力機構)の調査団が現地入りしたが、親ロシア派の兵士に止められ、退去せざるをえなかった。兵士は遺体の収容・移動を始めている。ウクライナ政府はハリコフに遺体の安置のためセンターを設置し、列車で300キロ移送する計画である。このセンターは受け入れも行なう。これらのことを含め現地での緊急措置と調査のために必要な現状の保存をどうするか。ウクライナ政府、OSCE、EUなどは目下対応を協議しているだろうが、どうなるか。
ロシアは国際的に批判的な目で見られている。今回の撃墜事件以前からロシアは親ロシア派に有形・無形の支援をしており、それをやめるべきだという圧力を受けていた。米欧とロシアの間には政治的な要素、白黒で判定できない要素もあろうが、ロシアが対応を迫られることが多いのは否定できない。ロシアは10項目の質問状をウクライナに出したそうだが、それは物事を進めるうえで有効か分からない。プーチン大統領は事件後対話の再開を呼びかけたそうだが、対話はウクライナ政府が呼びかけ、親ロシア派から対応がないままになっているのではないか。このような経緯はともかく、ロシアの言うように対話を再開するのも一案かもしれないが、その後の展開はどうなるか分からない。
ロシアが親ロシア派の扱いに手を焼いている可能性もあるが、「ロシアは公正な立場、親ロシア派は血縁関係を頼りにわがままを言い放題」という可能性は低い。ロシアはやはり力に頼って紛争を有利に導こうとする傾向が強いのではないか。ウクライナの国境付近にロシア軍を展開させていたことに関しても、国家の内部でどこに軍を置こうと主権の問題であり、外国からとやかく言われる筋合いのことではないという考えがロシアの内部にあった。エネルギーの代価を支払わないのはウクライナが悪いのは間違いないが、だからと言ってそれを止めてしまうのは人道上の観点からも問題である。
ロシアに対する風当たりは確実に強くなっている。米欧は制裁を強化する方針だし、11月にオーストラリアで開催予定のG20にも予定を変えて招待すべきでないという声が上がっている。このような国際社会の流れをロシアはどのように読み、どのように対応しようとしているのか。まさか冷戦時代と同じように、西側と対抗するのに力に頼るのが上策と考えているとは思いたくないが、ロシアから出てくる反応は、根拠を示せないままウクライナや西側を非難することが多いのではないか。
中国はウクライナ問題ではロシアと立場を異にしているが、それでもロシアをできる限り応援しようとしている。中国もまた力に頼る傾向があるが、政治的にはロシアよりはるかに巧妙である。経済的にも、ロシアのように資源依存傾向の強い経済でなく、多彩である。BRICsは最近開発銀行を設立することに合意した。その際も中国の積極的な振る舞いに比べ、ロシアの影は薄かったのではないか。
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2014.07.16
一つは、西沙諸島で去る5月から石油の試掘を行なっていた中国が15日で試掘作業を終えたことである。今後サンプルの分析などを行ない開発計画を策定するそうだ。この問題をめぐって中国と争っていたベトナムは、結局抗議を無視されたのであるが、一息ついているのだろうか。中国は石油の掘削を放棄したわけでなく、問題は解決していないのでベトナムとしては安心できないだろうが、何か反応を示すのか注目される。
もう一つは、16日、中国青年報の会社正面前で、男性5人と女性2人が液体を飲んで口から泡を吹いて倒れる事件が起こった。中国青年報は中国共産主義青年団中央委員会の機関紙で、これらの男女は党や政府に抗議するため集団で服毒自殺した可能性があると見られている。中国青年報のブログ(同紙のサイトではない)でニュースが流れている。背景など分からないまま推測を重ねるのは控えるべきだが、本当のことはなかなかわからないだろう。格差問題、相も変わらずはびこっている官僚の汚職、民族問題、などの原因が考えられる。
さらにもう一つ、2014年4~6月期のGDP伸び率が前年同期比7・5%で、1~3月期を0・1ポイント上回った。成長率がプラスになったのは3四半期ぶりである。政府はかなり下支えの努力をしたと言われており、中国経済が自律的に回復に向かっているかどうかまだ判断は困難なようである。中国政府は2014年の成長率を7・5%前後としていたので、それに照らすとまずまずの数字かもしれない。政府の対策の重点は、鉄道建設の加速、住宅の建て替え、などであり、固定資産投資は4~6期に17・2%増であった。消費も前期は12・0%増、4~6期はそれより0・3ポイントのプラスであった。
一方不動産市場は変調であり、住宅価格が値下がりしている。これはかねてから注目されてきたことであり、今後の中国経済は楽観視できないようである。
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中国雑記ー7月16日
本日(16日)、中国関係で3件の報道が注目された。一つは、西沙諸島で去る5月から石油の試掘を行なっていた中国が15日で試掘作業を終えたことである。今後サンプルの分析などを行ない開発計画を策定するそうだ。この問題をめぐって中国と争っていたベトナムは、結局抗議を無視されたのであるが、一息ついているのだろうか。中国は石油の掘削を放棄したわけでなく、問題は解決していないのでベトナムとしては安心できないだろうが、何か反応を示すのか注目される。
もう一つは、16日、中国青年報の会社正面前で、男性5人と女性2人が液体を飲んで口から泡を吹いて倒れる事件が起こった。中国青年報は中国共産主義青年団中央委員会の機関紙で、これらの男女は党や政府に抗議するため集団で服毒自殺した可能性があると見られている。中国青年報のブログ(同紙のサイトではない)でニュースが流れている。背景など分からないまま推測を重ねるのは控えるべきだが、本当のことはなかなかわからないだろう。格差問題、相も変わらずはびこっている官僚の汚職、民族問題、などの原因が考えられる。
さらにもう一つ、2014年4~6月期のGDP伸び率が前年同期比7・5%で、1~3月期を0・1ポイント上回った。成長率がプラスになったのは3四半期ぶりである。政府はかなり下支えの努力をしたと言われており、中国経済が自律的に回復に向かっているかどうかまだ判断は困難なようである。中国政府は2014年の成長率を7・5%前後としていたので、それに照らすとまずまずの数字かもしれない。政府の対策の重点は、鉄道建設の加速、住宅の建て替え、などであり、固定資産投資は4~6期に17・2%増であった。消費も前期は12・0%増、4~6期はそれより0・3ポイントのプラスであった。
一方不動産市場は変調であり、住宅価格が値下がりしている。これはかねてから注目されてきたことであり、今後の中国経済は楽観視できないようである。
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