平和外交研究所

中国

2013.10.17

三中全会の経済問題

11月に開催予定の三中全会では次の6つの経済問題が焦点となる。ずれもデリケートな問題である(法輪功グループの『大纪元』2013年10月11日付)。

構造問題
中国経済は投資に依存しており、地方政府はGDPを上げるために投資と借り入れを増加してきたが、経済水準が上昇し通貨の流通量が増大し、物価が上昇するに伴い中央政府は緊縮策を余儀なくされている。こうすると、地方政府の財政収入は減少し、債務負担が重荷になるので、投資を再度喚起しなければならない。中国経済は大幅な上昇と下降を繰り返すことになる。

マクロ・コントロール
大都市の例では、この10年来43の住宅用不動産についてマクロ・コントロールを行なってきた。しかし、この10年に価格は10倍に上昇した。

金融改革
金融改革が進まず、経済が危機的な状況に陥ったことを背景に、元来三中全会で準備を始める予定であった上海貿易区を繰り上げて9月29日に発足させた。李克强首相が力を入れたこの経済改革は一つの試験であるが、既得権益陣営から抵抗を受けている。この貿易区の成立式典に中央から誰も参加しなかった。

土地改革
土地の確保は改革の重点である。しかし、これをいじると地方政府の「ミルク」を取り上げることになり、各地方政府は激烈に反対するであろう。

都市化・戸籍改革
この問題は特権階級の利益にかかわる。現在、2.6億人の「農民工」が都市で働いている。もし彼らに都市住民と同様の福利厚生を認めれば、すでに巨大な財政赤字に苦しんでいる地方政府はさらに大きな財政圧力を受けることになる。したがって、この改革は最終的には大幅に後退させられる可能性がある。

财税改革
中央政府と地方政府の利益をバランスさせることは大変困難だ。「分税制」が導入(1994年)されて以来地方政府の税収は減少している。地方政府は財政需要を満たすため、もろもろの手段で収入増を図っている。

2013.10.15

「民主生活会」-革命路線の重視か

習近平主席は最近河北省党常務委員会が主催した「民主生活会」に出席し重要講話を行なった。「民主生活会」とは中国革命の早期から行われてきた、批判と自己批判を行なう場であり、河北省の「民主生活会」では、各人は「自分を見直し、衣冠を正し、体を清め、病を治す」ことに努め、形式主義、官僚主義、享楽主義および浪費傾向を排する「四風」の原則に合致しているかを点検・批判した。
批判・自己批判は文化大革命でしばしば行われた、悪名高いことであり、「民主生活会」の強調は左傾化を示すことと受け止められている。とくに、さらなる経済成長が必要であり、そのためには一層の開放、改革が必要と考える勢力から強く警戒されている。
この会議は4日半も続いたが、習近平は全期間出席したらしい。薄熙来事件を契機に革命路線の重要性が再認識されているだけに、このような習近平の姿勢には強い関心が寄せられている。
「民主生活会」は全国の約3分の2の省レベルで行われており、今後さらに増える可能性がある。
現在、中国では、さらなる改革が必要であると主張する意見もあり、一種の論争となっている。

2013.10.14

李小琳の収賄容疑

李小琳中国電力国際公司社長がスイスの保険会社の中国市場への参入に便宜を与えた代わりに賄賂を受け取ったと、10月13日の新華社電が外国の新聞を引用して伝えている。李小琳は、「悪意に満ちた卑劣な中傷だ」と言っていることも紹介し、中立を装っているが、公的な通信機関である新華社が外国の報道を引用したことに意味があるのは当然であり、新華社は認めたも同然である。外国の新聞とはどれか明示していないが、英紙デーリー・テレグラフである。
中央規律検査委員会のような公的機関はまだ動き出していない。少なくとも表面的にはそのように見えるが、実際に李小琳に対する追及が始まると、習近平の力を入れてきた反腐敗闘争の新たな成果となるであろう。李小琳は、すでに調査を開始されている中国最高人民検察院検察長(院長 同院党組書記)の曹建明や国有資産監督管理委員会主任(大臣クラス)の蒋潔敏および中国石油天然ガス集団公司(CNPC)の幹部4名(蒋潔敏はCNPCの前会長であった)などと並ぶ大物である。
さらに大物の周永康前政治局常務委員の処遇が残っており、習近平がこれについても追及の決定を行なえば、権力闘争の様相を一段と強めることになる。もっとも、周永康はあまりに大物過ぎてお茶を濁す程度で終わらせるかもしれないとも言われており、事態はまだ不明確である。習近平としては、他の政治問題ではあまり成果が上がっているとは言えないなかで、反腐敗闘争だけは成果を誇らなければならないが、周永康の追及はほどほどにしつつ、曹建明や蒋潔敏への調査決定で、さらに李小琳も含めるとしても、足りるか、微妙なところであろう。
李小琳は李鵬元首相の娘であり、太子党がまたやったか、という感じである。太子党の関係では、今夏、鄧樸方(鄧小平の息子。文革中の迫害が原因で障碍者となった)と三女の鄧榕(「鄧蓉」とも書く)がオーストラリアなどへ出国したことが想起される。鄧樸方は大金を持ち出しての出国であり、中国政府は行方を追っているそうである。

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