平和外交研究所

中国

2013.09.17

米英の「香港介入」

米国と英国が香港で民主化運動をあおっていると同地の明報が報道している(9月17日)。
最近着任した米国のクリフォード・ハート総領事はしばしば街中に出向いて問題人物と接触しており、香港政府が警告を発しても聞き入れないそうである。8月27日に中国政府・外交部の宋哲香港「特派員」が「香港の内政干渉をしないように」と警告し、香港のメディアは「異例なメッセージだ」と報じていた。
英国はヒューゴ・スワイアー外務英連邦相が香港の民主派に向けて、「必要ならいつでも支援する」などのメッセージを当地の新聞に寄稿しており、香港政府にとってはこちらの方が米国総領事の活動より問題だそうだ。「支援する」とはどうすることだ、とかみついている。
かねてから北京による香港返還後の扱いに不満であった両国が逸脱した行動を取っているのか必ずしも明らかでないが、現在中国は民主派を締め付け、逮捕するなどしていることと関連があるか懸念される。

2013.09.14

朱建栄氏の拘束

1986年以来日本に居住し、東洋学園大学の教授を務めている朱建栄氏が中国当局に拘束されている。7月中旬に上海へ到着して以来しばし行方が分からなくなっていたが、非公式に消息が伝えられるようになり、9月11日の記者会見では、中国外交部の報道官が、同氏が当局に拘束されていることを強く示唆する発言を行なった。
同氏は、日本の言論界でもっとも活躍している中国人学者の一人である一方、中国政府と密接な関係があるとも見られている。今回拘束されたことについて中国の報道官は、朱氏は中国人として法律を順守しなければならないなどと述べているようであるが、中国当局は法律にしたがって拘束していることをきちんと説明できるか。朱氏の人権を侵害していないかなど、問題はありそうだ。
今回中国当局がこのような挙に出た理由については、対日関係上の意図があったとする見方もある。それを否定するわけではないが、中国は思想工作面(この内容は非常に広く言論統制なども含む。薄熙来の問題とも関連する)で現在なかなか困難な状況にあり、インターネットに対するコントロールを強化し、当局が好ましくないと思う言説をネット上で流している人を相次いで逮捕している。今秋の中央委員会総会に向けて習近平主席としても難しいかじ取りを強いられており、中国内にはかなりの緊張があるようだ。このようなことは日本ではもとより、中国にいても外国人にはわかりにくい状況である。中国のことをよく知っている朱建栄氏も油断していたのかもしれない。国内が緊張状態にある場合、当局が過剰に反応する傾向があるのは過去にもみられたことである。朱建栄氏の拘束もそのような状況を背景に見ていく必要があるのではないか。

2013.09.10

人民解放軍との衝突もいとわない「城管」

9月4日午後、青島で「城管」と人民解放軍兵士が衝突した。「城管」の言葉の意味は「町の管理者」であるが、実態はその言葉の印象とはほど遠く、暴力沙汰を起こすこともしばしばで、露天商の女性が、取り締まりを受けたとはいえ、殴り倒され血みどろになって路上に放置されている姿がネットで流れたりしている。断わっておくが、「城管」は公務員であり、中国では誰よりも恐れられている。
青島で問題になったのは人民解放軍の監視塔で、当局より撤去を命じられたが聞き入れなかったらしく(ここまでは推測)、「城管」はブルドーザーでその強制撤去に取りかかったところ、それを阻止しようとする人民解放軍兵士数名と殴り合いになり、兵士は衆寡敵せず蹴散らされ、監視塔は撤去されてしまったという話である。一部始終が写真付きでネットに流れている(文匯網 これは香港ベース)。
人民解放軍は、中国内部の秩序維持を担う武装警察と密接な関係にあり、中国の現体制は人民解放軍や武装警察なくして維持できない。「城管」はそれと衝突するのもいとわないのである。

アーカイブ

検索

このページのトップへ

Copyright©平和外交研究所 All Rights Reserved.