ブログ記事一覧
2019.07.13
〇日本などのタンカーへの攻撃。6月13日発生。
米国は攻撃の責任はイランにあると非難し、革命防衛隊が関与したとする動画や写真といった「物証」を提示した。
イランは同日、「米国の根拠なき主張を断固として認めない」として、米側の主張を真っ向から否定する声明を発表した。動画と写真については、イラン側は「いつ撮影されたものかもわからず、証拠にならない」などとして関与を否定。
菅義偉官房長官は14日午前の閣議後会見で「背景も含めて、予断をもって発言することは控えたい」と言及を避けた。
日本とドイツはイランの犯行である証拠について更なる調査を求めたとの報道もあったが未確認である。
英国は米国に同調したが、国際的な支持は広がらなかったともいわれている。
〇6月20日、革命防衛隊が米海軍の無人偵察機「グローバルホーク」を撃墜。
撃墜の場所について、イランは「領空侵犯をされた」とした。
米国は「公海上空だった」と主張した。
互いに「証拠」を出し合うも、議論は平行線のままだという。
〇イラン革命行動隊が英国のタンカーを拿捕しようとした?
米CNNテレビは10日、米当局者の話として、中東のホルムズ海峡でイランの最高指導者直属の精鋭部隊「イスラム革命防衛隊」の武装したボート5隻が同日、英国のタンカーを拿捕(だほ)しようとしたが、英海軍の艦艇が阻止して未遂に終わったと伝えた。
イランのボートはタンカーに近づくと、航路を変更し、イランの領海付近で止まるよう要求。後方でタンカーの護衛にあたっていた英海軍のフリゲート艦が艦上で威嚇のために銃口を向け、口頭で警告すると、ボートは立ち去った。現場上空を飛んでいた米航空機がその様子をビデオで撮影していたという。
今月4日にはイランからシリアへ原油を輸送していたとみられるタンカーが英領ジブラルタル沖で見つかり、ジブラルタル自治政府が英海兵隊員らと拿捕した。英国側は対シリア制裁に基づく行動で、イランを標的にしたものではないとしたが、イラン側は英国のタンカーを拿捕して報復することも辞さない構えを見せていた。
英政府報道官は11日、同国の商業船をホルムズ海峡で、「3隻のイラン船が航路を妨害しようとした」と説明。大筋では報道と一致したものの、船の数が異なるほか、拿捕の意図までは踏み込んでいない。
イラン側は報道や英国政府の主張を完全に否定。現地メディアによると、ザリフ外相が11日、テヘランでの会合で「革命防衛隊が否定すべきことではあるが、英国の主張はくだらないものだ」と強調。革命防衛隊の海軍部門も、「24時間以内に外国船舶に遭遇した事実はない」と発表した。
(疑問点)
英国の発表では、イランのボートは近くに英軍艦がいるのに英国のタンカーに近づいたというが、もしそれだけであれば、イラン革命行動隊の行動はあまりにも幼稚ではないか。敵方の軍艦が近くにいるのに拿捕などしようとするか。
イラン包囲網を築こうとしている中、イランが事件を起こせばますます国際社会に敵を増やすことになる。この点からもイランがタンカーの拿捕(だほ)を狙ったと断定するのは無理があろう。
ホルムズ海峡をめぐる米・イランの非難合戦
ホルムズ海峡をめぐって米国とイランの主張が食い違っており、真相はやぶの中であるが、将来自衛隊のホルムズ海峡への派遣問題にも発展する可能性がある、現段階で伝えられている情報を整理しておく。〇日本などのタンカーへの攻撃。6月13日発生。
米国は攻撃の責任はイランにあると非難し、革命防衛隊が関与したとする動画や写真といった「物証」を提示した。
イランは同日、「米国の根拠なき主張を断固として認めない」として、米側の主張を真っ向から否定する声明を発表した。動画と写真については、イラン側は「いつ撮影されたものかもわからず、証拠にならない」などとして関与を否定。
菅義偉官房長官は14日午前の閣議後会見で「背景も含めて、予断をもって発言することは控えたい」と言及を避けた。
日本とドイツはイランの犯行である証拠について更なる調査を求めたとの報道もあったが未確認である。
英国は米国に同調したが、国際的な支持は広がらなかったともいわれている。
〇6月20日、革命防衛隊が米海軍の無人偵察機「グローバルホーク」を撃墜。
撃墜の場所について、イランは「領空侵犯をされた」とした。
米国は「公海上空だった」と主張した。
互いに「証拠」を出し合うも、議論は平行線のままだという。
〇イラン革命行動隊が英国のタンカーを拿捕しようとした?
米CNNテレビは10日、米当局者の話として、中東のホルムズ海峡でイランの最高指導者直属の精鋭部隊「イスラム革命防衛隊」の武装したボート5隻が同日、英国のタンカーを拿捕(だほ)しようとしたが、英海軍の艦艇が阻止して未遂に終わったと伝えた。
イランのボートはタンカーに近づくと、航路を変更し、イランの領海付近で止まるよう要求。後方でタンカーの護衛にあたっていた英海軍のフリゲート艦が艦上で威嚇のために銃口を向け、口頭で警告すると、ボートは立ち去った。現場上空を飛んでいた米航空機がその様子をビデオで撮影していたという。
今月4日にはイランからシリアへ原油を輸送していたとみられるタンカーが英領ジブラルタル沖で見つかり、ジブラルタル自治政府が英海兵隊員らと拿捕した。英国側は対シリア制裁に基づく行動で、イランを標的にしたものではないとしたが、イラン側は英国のタンカーを拿捕して報復することも辞さない構えを見せていた。
英政府報道官は11日、同国の商業船をホルムズ海峡で、「3隻のイラン船が航路を妨害しようとした」と説明。大筋では報道と一致したものの、船の数が異なるほか、拿捕の意図までは踏み込んでいない。
イラン側は報道や英国政府の主張を完全に否定。現地メディアによると、ザリフ外相が11日、テヘランでの会合で「革命防衛隊が否定すべきことではあるが、英国の主張はくだらないものだ」と強調。革命防衛隊の海軍部門も、「24時間以内に外国船舶に遭遇した事実はない」と発表した。
(疑問点)
英国の発表では、イランのボートは近くに英軍艦がいるのに英国のタンカーに近づいたというが、もしそれだけであれば、イラン革命行動隊の行動はあまりにも幼稚ではないか。敵方の軍艦が近くにいるのに拿捕などしようとするか。
イラン包囲網を築こうとしている中、イランが事件を起こせばますます国際社会に敵を増やすことになる。この点からもイランがタンカーの拿捕(だほ)を狙ったと断定するのは無理があろう。
2019.07.10
中国外務省の耿爽副報道局長は3日の会見で、実験へ直接の言及はしなかったが、「南シナ海に空母を派遣しているのは米国だ。誰が南シナ海の軍事化を進めて、波風を立てているのかは明らかだ」と述べ、米国を批判したという。
ミサイルの発射実験については、2つの問題がある。
1つは、発射実験は軍事目的であることだ。中国は南シナ海で陸地の造成や飛行場などの建設を進めた際、軍事目的でないと繰り返し説明していたが、そのような説明は真実でなかったことを今回のミサイル発射実験が証明したのである。
もう1つの問題は、中国が政治的な意図から発射実験を行った可能性である。
この点では、さらに2つの問題があり、第1は米国による台湾への武器供与との関連である。米政府は7月8日、台湾にM1A2エイブラムス戦車108両など22億ドル(約2400億円)相当の武器を売却することを承認し、米議会に通知した。
台湾がかねてから強く欲しがっていた新型のF16V戦闘機についても、トランプ大統領は、非公式ではあるが、すでに売却を承認したという。これが事実ならば、戦車とは比較にならないほど大きな軍事戦略的な意義がある決定が行われたことになる。
このような米国の動きに中国は強く反発した。中国外務省の耿爽副報道局長は9日の定例会見で「強烈な不満と断固たる反対を米側に伝えた。「主権と領土を守り抜く(中国の)決意を過小評価すべきではない」と発言している。
第2は、香港で「犯罪人引渡条例案」に関し6月9日以降続いている激しいデモとの関連である。中国は不満であり、必要になれば強い態度で鎮圧することも辞さないことを武力をちらつかせながら香港に示そうとしたのではないか。
台湾への武器供与も香港での激しいデモもミサイル発射実験とは別問題であるが、関連があるのではないかという仮説を立てることは必要だと思う。中国は1990年代の中葉、台湾の総統選挙の直前、台湾近海にミサイルを発射したことがあった。そのときも総統選とミサイル発射は関連していたのではないかと推測された。それ以来20年以上が経過したが、その推測が誤りであったこと示すものはない。中国が選挙結果を左右留守為発射実験を行ったことは今や常識になっている。今回も同様のケースではないかと考えるのは無理のないことであると思う。
中国は大国であり、その軍事行動のもたらす影響力は大きい。中国は余計なお世話だと反発するかもしれないが、その行動には慎重であってほしい。
中国軍による南シナ海でのミサイル発射実験
中国海軍は7月初め、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島周辺の人口施設からミサイルを発射した。米国防総省が提供した情報に基づき、3日の米メディアが報道した。中国政府はそのことを発表していないが、6月29日から7月3日にかけ、同諸島の北側海域で軍事訓練を行うとし、付近の船舶航行を禁じる通知を出していたので発射実験はその間に行ったとみられる。中国外務省の耿爽副報道局長は3日の会見で、実験へ直接の言及はしなかったが、「南シナ海に空母を派遣しているのは米国だ。誰が南シナ海の軍事化を進めて、波風を立てているのかは明らかだ」と述べ、米国を批判したという。
ミサイルの発射実験については、2つの問題がある。
1つは、発射実験は軍事目的であることだ。中国は南シナ海で陸地の造成や飛行場などの建設を進めた際、軍事目的でないと繰り返し説明していたが、そのような説明は真実でなかったことを今回のミサイル発射実験が証明したのである。
もう1つの問題は、中国が政治的な意図から発射実験を行った可能性である。
この点では、さらに2つの問題があり、第1は米国による台湾への武器供与との関連である。米政府は7月8日、台湾にM1A2エイブラムス戦車108両など22億ドル(約2400億円)相当の武器を売却することを承認し、米議会に通知した。
台湾がかねてから強く欲しがっていた新型のF16V戦闘機についても、トランプ大統領は、非公式ではあるが、すでに売却を承認したという。これが事実ならば、戦車とは比較にならないほど大きな軍事戦略的な意義がある決定が行われたことになる。
このような米国の動きに中国は強く反発した。中国外務省の耿爽副報道局長は9日の定例会見で「強烈な不満と断固たる反対を米側に伝えた。「主権と領土を守り抜く(中国の)決意を過小評価すべきではない」と発言している。
第2は、香港で「犯罪人引渡条例案」に関し6月9日以降続いている激しいデモとの関連である。中国は不満であり、必要になれば強い態度で鎮圧することも辞さないことを武力をちらつかせながら香港に示そうとしたのではないか。
台湾への武器供与も香港での激しいデモもミサイル発射実験とは別問題であるが、関連があるのではないかという仮説を立てることは必要だと思う。中国は1990年代の中葉、台湾の総統選挙の直前、台湾近海にミサイルを発射したことがあった。そのときも総統選とミサイル発射は関連していたのではないかと推測された。それ以来20年以上が経過したが、その推測が誤りであったこと示すものはない。中国が選挙結果を左右留守為発射実験を行ったことは今や常識になっている。今回も同様のケースではないかと考えるのは無理のないことであると思う。
中国は大国であり、その軍事行動のもたらす影響力は大きい。中国は余計なお世話だと反発するかもしれないが、その行動には慎重であってほしい。
2019.07.05
会談後の記者会見におけるプーチン大統領の北方領土問題についての発言。
「もちろん、安倍首相と平和条約問題に関する話をしました。外相同士の、簡単ではなく、センシティブな問題に関する対話も軌道に乗せたことを確認しました。その対話は続いていきますし、これからは露日関係を質的に新しいレベルにするために地道な作業を進めます。(以下はその作業の説明であり、省略)」
安倍首相の発言
「私とプーチン大統領は2018年11月にシンガポールで共に表明した1956年共同宣言を基礎として、平和条約交渉を加速させるとの決意の下で精力的に平和条約交渉が行われていることを歓迎し、引き続き交渉を進めていくことで一致しました。
(中略)本日は私とプーチン大統領との間で、こうした交渉の経過や今後の展望を含め、率直に議論を行いました。戦後70年以上残された困難な問題について、立場の隔たりを克服するのは簡単ではありません。しかし乗り越えるべき課題の輪郭は明確になってきています。私とプーチン大統領は、日露関係強化の戦略的重要性と平和条約締結が、それを大きく後押しすることを誰よりも深く理解しています。そのために着実に歩みを進めていかなければなりません。それを可能にするのは、私とプーチン大統領の強い決意です。そのことを本日、プーチン大統領との間で確認しました。日露両国は、私とプーチン大統領との間で引き続き着実に前進していくことができると信じています。ありがとうございました。スパシーバ。」
両者の発言から何を読み取るべきか。両首脳ともに、今次会談で平和条約交渉が進んだとは一言も言わなかった。安倍首相は「引き続き交渉を進めていくことで一致した」とか、「乗り越えるべき課題の輪郭は明確になってきている」とかは述べたが、これらは体裁を繕った発言に過ぎない。進展があればそのことを間違いなく説明しただろう。進展があったにもかかわらずそう言わないのはありえないことである。今回の会談で平和条約交渉が進まなかったのは明らかだ。
関連する諸事実にも注意が必要である。
プーチン氏は、日本に北方領土を引き渡す考えはないことを、今次首脳会談のわずか1週間前にロシア国内で発言していた。
6月20日にはロシア軍の爆撃機が日本の領空を侵犯した。
にもかかわらず、安倍氏は国会や記者会見などで「北方四島」「日本固有の領土」といった、ロシアが嫌がる表現を使わないようにしてきた。
しかも、ロシア軍の爆撃機による日本領空の侵犯については、いつも行っている抗議をしなかった。プーチン氏との会談を間近に控えていたためではなかったか。
これら関連の諸状況をも併せ考えると、日露両国の平和条約交渉(北方領土問題を含む)は、常識的にはあり得ないひどい状況にあると考えざるを得ない。
日本政府には、先人の努力を無視せず、また、功を焦ることなく堂々と交渉し、北方領土問題を解決していただきたい。
安倍プーチン大阪会談
2019年6月29日、G20大阪サミット終了後に行われた安倍首相とプーチン大統領の会談について、今後、参照することもあり得るので主要点を記しておく。会談後の記者会見におけるプーチン大統領の北方領土問題についての発言。
「もちろん、安倍首相と平和条約問題に関する話をしました。外相同士の、簡単ではなく、センシティブな問題に関する対話も軌道に乗せたことを確認しました。その対話は続いていきますし、これからは露日関係を質的に新しいレベルにするために地道な作業を進めます。(以下はその作業の説明であり、省略)」
安倍首相の発言
「私とプーチン大統領は2018年11月にシンガポールで共に表明した1956年共同宣言を基礎として、平和条約交渉を加速させるとの決意の下で精力的に平和条約交渉が行われていることを歓迎し、引き続き交渉を進めていくことで一致しました。
(中略)本日は私とプーチン大統領との間で、こうした交渉の経過や今後の展望を含め、率直に議論を行いました。戦後70年以上残された困難な問題について、立場の隔たりを克服するのは簡単ではありません。しかし乗り越えるべき課題の輪郭は明確になってきています。私とプーチン大統領は、日露関係強化の戦略的重要性と平和条約締結が、それを大きく後押しすることを誰よりも深く理解しています。そのために着実に歩みを進めていかなければなりません。それを可能にするのは、私とプーチン大統領の強い決意です。そのことを本日、プーチン大統領との間で確認しました。日露両国は、私とプーチン大統領との間で引き続き着実に前進していくことができると信じています。ありがとうございました。スパシーバ。」
両者の発言から何を読み取るべきか。両首脳ともに、今次会談で平和条約交渉が進んだとは一言も言わなかった。安倍首相は「引き続き交渉を進めていくことで一致した」とか、「乗り越えるべき課題の輪郭は明確になってきている」とかは述べたが、これらは体裁を繕った発言に過ぎない。進展があればそのことを間違いなく説明しただろう。進展があったにもかかわらずそう言わないのはありえないことである。今回の会談で平和条約交渉が進まなかったのは明らかだ。
関連する諸事実にも注意が必要である。
プーチン氏は、日本に北方領土を引き渡す考えはないことを、今次首脳会談のわずか1週間前にロシア国内で発言していた。
6月20日にはロシア軍の爆撃機が日本の領空を侵犯した。
にもかかわらず、安倍氏は国会や記者会見などで「北方四島」「日本固有の領土」といった、ロシアが嫌がる表現を使わないようにしてきた。
しかも、ロシア軍の爆撃機による日本領空の侵犯については、いつも行っている抗議をしなかった。プーチン氏との会談を間近に控えていたためではなかったか。
これら関連の諸状況をも併せ考えると、日露両国の平和条約交渉(北方領土問題を含む)は、常識的にはあり得ないひどい状況にあると考えざるを得ない。
日本政府には、先人の努力を無視せず、また、功を焦ることなく堂々と交渉し、北方領土問題を解決していただきたい。
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