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2014.03.29

烏坎村事件と党の反撃

烏坎村事件で村民委員会の委員として共産党支部と戦った庄烈宏は今次全国人民代表大会の選挙前、米国で政治亡命を求めた。同人を取材した香港のメディアに対し、同人は当局の報復が恐ろしいので帰国できないと語った。烏坎村では3月31日、当時やはり抗議事件に参加した2名の村民委員が襲撃に遭っている(3月27日付多维新闻)。
 烏坎村事件は2011年秋、広東省の烏坎村で起きた。共産党支部と当時の村民委員会の幹部が住民の同意をえないまま土地を開発業者に不正に売却し、村民にはごくわずかな補償金しか払われなかった。村民は何回も陳情を繰り返したが、どうしても聞き入れてもらえなかったので実力でバリケードをはり、対抗した。事件はその後広東省党委員会にまで上げられ、その時は党側が折れる形で解決した。
この事件は、中国で1年間に数万件発生しているいわゆる「群体性突発事件」の代表的な例として、また、村民側が党支部の圧力を跳ね返し、方針を変えさせた例として注目された事件であるが、この報道のような仕返しが行われているとすれば、烏坎村事件のみならず群体性突発事件についての認識を改めなければならなくなる。

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2014.03.27

中国不動産市場の過熱

中国各地で建造しても入居者がいないマンションや建築が中断されている建物が問題となっている。英デーリー・テレグラフ紙は17日、中国の『経済日報』に基づき、寧波の不動産開発業者、浙江興潤不動産購入投資会社が5.7億元の負債をかかえ倒産の危機に瀕していることを報道している。野村証券の張智威によれば、「これは近年破産の危機に瀕した最大の不動産開発業者だ。不動産市場の激烈な調整は中国のシステム危機に発展する恐れがある。三四線(北京と上海は一線、天津は二線)の都市で特に危険が大きい。これらの都市での住宅建設は、2013年に全国の67%を占めている」「入居者がいない、あるいは建築が途中で中断している「鬼城」はオルドス(内蒙古)、温州からさらに8つの都市に広がっている。遼東半島の営口の不動産開発業者3社は半分建てただけで放棄し、外地へ逃れている。冀州と銅川も同様である」(多維新聞3月19日付)

「鬼城」については新華社など政府系メディアも報道している。問題はその程度であり、このアナリストの見方は、それが今後さらに悪化し、中国のシステム危機に発展する恐れがあるというものである。そこまで悪化するとは言えないにしても、不動産問題は地方政府の財政収入、農民の生活手段の喪失などの危険を伴う、現中国経済の主要問題の一つである。

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2014.03.26

日米韓首脳会談

25日(ハーグ現地時間)、日米韓の首脳会談が実現したことは積極的な第1歩である。しかし、これが日韓首脳会談につながるか疑問がある。今回の3ヵ国首脳会談では、東アジアの安全や北朝鮮の問題など3カ国共通の話題について議論することは会談前から決まっていたらしく、メディアなどにもそのことが伝わっていた。しかし、日韓間の懸案が解決に向け進んだのではないのである。
今後日韓首脳会談は実現するか。安倍首相はいつでも首脳会談に応じると言っているし、今後もそうであろう。朴槿恵大統領がどのような態度に出るかが問題であるが、同大統領が考えを変えたとは思われない。今回は米国の顔を立てたが、その背景には4月に予定されているオバマ大統領の日韓両国などへの訪問がある。米国は韓国だけでないが、日本に対しても日韓関係の改善を希望し、アジアの安定にとって両国の果たす役割は大きいと期待している。今回の3ヵ国首脳会議はそのような考え、枠組みの下で開催された。
朴槿恵大統領は、日本の指導者が歴史問題を直視し解決することを求めている。これは信念であり今後も変わらないであろう。両国の局長級協議が開催されることになっており、これで結論が出れば首脳会談も実現するだろうが、簡単でない。鍵は日韓両国政府が慰安婦問題の解決に合意することになるかであり、日本政府だけが義務を負うという形であれば合意は困難だと思う。
一方、両国政府で合意するにしても困難がすぐに出てくるであろう。日本としては当然慰安婦問題以外は協議の対象としないし、そのことについて韓国政府が承諾することを求めるであろう。しかし、韓国政府は慰安婦以外の問題、たとえば徴用工(強制連行と言われることもある)については今後も問題にしないと言えるか。非常に疑問であり、韓国政府が立ち往生する危険さえあるのではないかと思われる。
この問題の根底には、日韓両国の司法当局の判断が食い違っているという事実があり、局長級協議では必ずこの問題が出てくる。韓国側だけがその法的主張をあらためるべきであるとは言えないが、韓国側としても日本政府は司法の判断に拘束されることを尊重してもらわなければならない。

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