平和外交研究所

中国

2018.08.10

「くまのプーさん」の上映禁止

 中国当局は、米ディズニー映画「くまのプーさん」の中国における上映を禁止したそうだ。

 その理由を中国当局は説明していないが、「くまのプーさん」が反政府的な人たちによって利用されるのを嫌ったためではないかとみられている。

 おそらくそんなところだろうとわたくしも思うが、さらに、「くまのプーさん」は特定の人に対する悪意に満ちているわけではなく、中国当局の上映禁止措置は安易に過ぎる、しかも、政府の過剰な懸念を一方的におしつけているのではないかと思われる。

中国では、現在、一方で習近平主席について偶像崇拝することを戒めているが、逆にすこしでも貶めてはいけないというのか。指導者のイメージを強権的に操作しようとしている点で両者は共通しているのではないか。

2018.07.31

中国における「個人崇拝」問題

 最近、中国では、習近平主席に対する批判が起こっていると一部のメディアが指摘している。とくに問題視されているのは「個人崇拝」の傾向である。中国では毎夏指導者が河北省北戴河で非公式の協議をする習わしがあり、そこでも話題になっているという。

 在米の中国語新聞『多維新聞』7月16日付は要旨次のように論評している。

〇米中間の貿易戦争を背景に、北戴河避暑の直前から、「個人崇拝」に関する議論が突然沸き起こってきた。

〇最近、習氏の写真やポスターを即刻撤去するよう警察が指示したとする文書がインターネット上で拡散した。今月初めには、上海で董瑶琼という名前の女性が「独裁、暴政に反対する」と叫びながら、習氏の写真に墨汁をかける事件が起こった。

〇政府も習近平の宣伝頻度を下げている。人民日報7月9日付は、1面の見出しの中に習氏の名前を出さなかった。

〇政治状況に詳しいある人物は「政変」はあり得ないと言いつつ、「個人崇拝」を生み出す原因に注目すべきだと述べている。

〇中国では、毛沢東の「個人崇拝」から文化革命がおこった苦い経験から、「個人崇拝」を排除し、集団指導によることにした。

〇しかし、胡錦涛の時代、またもや「船頭多くして船進まず」や「中南海から指示が出ない」現象が現れた。

〇そこで第18回党大会の前後、党の集中統一的指導を強化し、内政・外交両面で現れていた問題を克服する試みが行われた。

〇しかし、この時の調整にも問題があった。諸団体の活力を抑制したため、個人崇拝の傾向を復活させたのだ。

〇個人崇拝は中国政治において周期的に現れる問題である。中央が「政治意識」「大局的意識」「核心意識」「右に倣う意識」を強調すると、上から下への統制が強化され、結果、本来細かいことでも大きな事にし、厳しい罰を課すようになる。また、下から上へお世辞を言うようになる。

〇西側の政治と中国の政治は違う。前者においては意見の集約が困難なためそれだけ能率が悪くなる。中国はその逆であるが、中国政治においては階層、官民の区別と対立が重要な問題になる。中国型の権力集中型政治は体制の硬化を惹起しやすく、西側の政治より早く老化する。

2018.06.20

中国によるJALとANAに対する台湾の表示変更要求

 さる6月6日に、中国が外国航空会社に台湾の呼称を改めるよう要求していることに関する一文をアップし、その末尾に「日本の場合は、日本航空も全日本空輸も、日本政府と同様「台湾」と表示している。中国は日本の航空会社に対しても同様の要求をしてくるか、今のところ不明であるが、このような政治的な問題に日本の企業を巻き込まないよう願いたいものだ」と記載していたが、その願いは一部かなわなかった。
 日本の航空会社も中国の要求を容れ、12日から、中国向けの中国語簡体字サイトと香港向けの繁体字サイトで、目的地を検索する画面などで「中国台湾」という表記に変更した。日本語や英語サイト、台湾向けの繁体字サイトは従来の「台湾」のままにしている。
 今回の対応について、両社の広報部は共に「中国側、台湾側、それぞれの利用者が閲覧する画面において、分かりやすく、受け入れやすい表示に切り替えた」と説明しているという。

 台湾の外交部は18日、JALとANAがこの変更を行ったことに抗議しつつ、国際社会に対して、「中国の無理な要求を拒む道徳と勇気を発揮してほしい」と呼びかけた。
 
 日本政府も、外交ルートを通じて中国側に懸念を伝えた。日本政府関係者は、「最終的な対応は各社の判断だが、罰則を設けて民間企業を脅すようなやり方は好ましくない」と話したと伝えられている。
 
 当研究所としては、あらためて6日の論評を繰り返すことはしないが、台湾は中国の統治下にないことは紛れもない事実であり、中国はその事実を尊重すべきだ。
 中国が台湾の地位についてどのような主張をしようと、国際社会はそれに異を唱えることはできないが、中国がその政治主張を貫くために力にものを言わせて圧力を加えることは慎むべきだと考えているのではないか。
 

このページのトップへ

Copyright©平和外交研究所 All Rights Reserved.