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中国

2014.12.22

永暑礁を拠点にする中国

軍事情報会社HIS Jane’sは2014年11月末、南沙諸島内の永暑礁(フィアリィ・クロス)の衛星写真を公開し、中国が全長3千メートル、幅200~300メートルの人工島を建設中であり、南沙諸島における中国初の滑走路になる可能性が高いと報道した。この岩礁は、1988年、中国がベトナムと戦い(スプラトリー諸島海戦)手中に収めた6つの岩礁の一つである。
南沙諸島全体では約18の小島や岩礁があり、台湾、フィリピン、ベトナム、マレーシア、中国が領有権を主張している。実効支配はいずれかの国が行なっており(複数の国が行動すると衝突となる)、南沙諸島で最大の太平島は台湾が支配し、軍用飛行場を建設している。
中国が実効支配している6つの岩礁は国別ではむしろ少数であり、中国ではかねてから、南沙諸島における中国の拠点は他国に比べ弱いとみなされていた。そして最近、中国は永暑礁を拠点として強化することを決定したのであろう。滑走路のほか、港湾や海洋観測所なども建設すると見られている。
このような中国の動きはベトナムやフィリピンを刺激する。しかし中国は、2013年10月、習近平主席がASEANを訪問した際建設を提案した「海上のシルクロード」構想(本HPには11月25日アップ)を掲げてこれらの国を牽制し、また、おりしもAPECやASEANの首脳会議が相ついだため、ベトナムやフィリピンは反発する機会がなかったとも言われている。
もちろんベトナムやフィリピンが納得したわけではないが、永暑礁だけであれば大きな問題に発展しないかもしれない。中国以外の国はそれぞれ実効支配している島、岩礁で中国以上の活動をしているからである。HISジェーンズなどは、南沙諸島に関する限り中国はこれで他国と対等になるとコメントしている。しかし、これは一面的な見方である。問題は、滑走路が完成し、観測所なども建設された後に中国がどのような行動に出るか、つまり、中国の海洋戦略いかんである。

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