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2013.12.10

ノーベル平和賞受賞と秋山一郎氏

今年のノーベル平和賞は化学兵器禁止機関(OPCW)に与えられる。本10日、ノルウェーの首都オスロで行なわれる授賞式に。同機関の元査察局長であった秋山一郎氏(元自衛官)が代表の一人として招かれ出席する。秋山氏にとってはもちろん、すべての日本人にとっても大変名誉なことである。
OPCWに平和賞が与えられたのは、激しい内戦が続き多数の人が化学兵器の犠牲になったシリアにおいて、それを除去するという困難極まる任務を成功裏に遂行したことが直接の理由であるが、そこへ至るまで同機関が積み上げてきた実績があり、それが平和賞授賞の背景となっている。
OPCWは数ある軍縮スキームのなかで効果的な検証メカニズムを備えていることで知られている。検証は軍縮に関する国際合意が真に実行されることを担保する重要なメカニズムであり、これが不十分であるといくら合意されてもただの紙の上での約束になってしまう。
OPCWのなかで検証をつかさどる局の長に、しかも初代の局長に秋山氏が就任し、10年間査察業務を率いてきた。査察は、対象国に乗り込み、その国の政府が申告していることが本当かどうか確かめるので、嫌われることが少なくない。そんなことはあってはならないのであるが、現実は違っている。また、化学兵器の査察は一つ間違えば、自ら被害を受ける恐れのある危険なことである。査察局長としてはそのような困難を跳ね返して査察を実行しなければならない。
国際機関の内部でも苦労は絶えない。激しい競争があるのは当然であるが、フェアプレーばかりでなく、誹謗中傷にさらされることも珍しくない。OPCWのなかでも最も重要な局の長を10年も勤めることは異例であり、その人物に傑出した能力と適性がなければとてもできないことである。
秋山氏は4年前に退職していたが、今回のノーベル平和賞受賞にあたって秋山氏の貢献を忘れなかったOPCWの見識を讃えたい。

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2013.12.09

中国雑記11月初め~12月9日

○最近,人民日报出版社が『从红小鬼到总书记——胡耀邦』を出版。12月初め報道。
○12月3日、政治局会議で2014年経済工作を「分析研究」、全国土地調査結果を聴取。
○改革計画策定のための会議が12月9日の週に開催。非公開。12月7日、人民網
○11月末から12月初めにかけ、法輪功関連サイトは周永康と家族(特に息子)の逮捕が近いことを報道。台湾の聯合報、多維新聞も。
○中央組織部、『关于进一步规范党政领导干部在企业兼职(任职)问题的意见』を通知。新华网10月30日。
○「最近、国防大学、総政治部保衛部、総参謀三部、社会科学院、中国現代関係研究所が合同で推薦していた反米ビデオ「較量無声」は国内ですでにアクセスできなくなった」「同ビデオはソ連の解体の過程において米国は鍵となる役割を果たした」「このビデオは米国による反中国姿勢を表している」11月1日、多维新闻。 

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2013.12.08

習近平の政治姿勢

最近、習近平の政治傾向を論じる評論が散見される。12月3日の多維新聞、6日の何清漣論文(『文摘』への寄稿)などもその例である。
何清漣は、「習近平政権は成立して1年を超えた。その政治的傾向はしだいに明確になっており、中国の政治に幻想を抱く外国の人たちはそのことを直視しなければならない」という書き出しで、「習近平は強圧的な人物(強勢人物)である」「国内ではお世辞が多く、実際には使われないが、「専制、独裁」が鍵であり、すべての評論はこの二語をめぐって組み立てられており、習近平を毛沢東および鄧小平と対比している」「諸外国では、先入観から離れられずに中国も政治改革、民主化に向かう、問題はいつ実現するかに過ぎないと思っているが、習近平には政治改革を実行する意思など少しもない」「習近平は権力基盤が安定するのを待ち障害を除去した後政治改革に取り掛かるという見方が中国の内外にあるが、そのような見方は減少する一方である。習近平は、中国共産党はあくまで中国の特色ある社会主義の道を歩むということを世界に示している。前任の江沢民や胡錦涛に比べ習近平が態度で示したことはより大きな自信であり、政治手腕はより強勢的である」などと論じている。
多維新聞などは、習近平を祭り上げようとする傾向に注目し、「習近平を擁護し、信じ、支持することが必要とし、共産党の指導を失えば天下は大乱となる(注 習近平自身の言葉)ことなどを強調しており、「習近平を信ずれば、これからも大丈夫(得永生)」といっている感がある」「「祖国が亡くなれば何もかもダメになる(没有了祖国你将什么都不是)」と言うが、これは海外にいる子弟が偉大な祖国を思う言葉に過ぎない」「新華社電のみならず、国内の諸メディアがそのような安っぽい文章を頻々と流しているのを見ると、心配になる。中共内部でまた新しい「造神運動」でもあるまいし(难道中共党内又开始了新一波“造神运动)」。
この他、中国では「天命論」「公僕論」と呼ばれる議論もあるそうだ。前者は社会主義中国を天命とし、後者は官僚は公僕であることを強調するもので、いずれも習近平あるいはその取り巻きが重視することを揶揄っているようにも解される。

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