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2015.11.21

(短評)今年のAPEC首脳会議と中国

 マニラで開催されていたAPEC首脳会議は、19日、宣言を採択して閉幕した。今回の会議では、南シナ海問題がどのように扱われるか、関心が持たれていたが、議題になることはなかった。
 南シナ海の問題には排他的経済水域や資源の開発などに関係があり、APECで議論されても場違いというわけではなかったが、政治問題に深入りするのはAPECとして好ましいことでなかっただろう。
 しかし、オバマ大統領にとって今次会議は南シナ海問題をめぐってアジア・太平洋の諸国との連帯を強化する格好の場であり、とくに議長国のフィリピンを支持する姿勢をアピールした。東南アジア諸国の対応については、19日に当研究所のHPにアップした「オバマ大統領はシンガポールを訪問すべきだ」を参照願いたい。

 今回の会議が南シナ海問題を取り上げるのではないかと注目された一つの理由は、中国が会議の開催前から警戒心を高め、事前に議長のフィリピンに対し王毅外相が取り上げないよう働きかけていたからである。もし、会議で議論されれば中国による埋め立てなどが批判の対象となり、下手をすると中国にとって四面楚歌のような状況になりかねなかった。
 中国は、一方で各国の抗議を無視して拡張的行動をとりながら、他方では、中国がどのように各国から見られ、どのように扱われるか非常に気にしている。もし評判が気になるなら、国際法に従ってふるまえばよかった。そうしておれば中国の声望はさらに上がったであろうが、そうしはしない。

 APECの今次首脳会議がテロを強く非難し、国際社会の結束強化を呼びかけ、テロ対策に万全を期すよう呼びかけたのは当然だ。
 おりしも会議開催中に、中国人がISによって殺害されたことが判明し、習近平主席は19日、「テロは人類共通の敵だ。中国はあらゆる形式のテロに断固反対し、たたきのめす」と強く非難する談話を発表した。
 ISの野蛮な行為は中国にも及ぶようになったのだ。中国は、新疆自治区のウイグル族の処遇をめぐってISから敵視されており、テロ対策は中国にとっても喫緊の課題になっている。

 APEC首脳会議は、昨年は、日中関係が改善されるきっかけとなるかに注目が集まった。今年は南シナ海問題に焦点が当てられそうになった。いずれもこの会議が招いたことでないのはもちろんだが、今後も政治問題の影響を強く受ける傾向は続くと思われる。

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