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2015.11.09

日本が提出し、米国が棄権した核軍縮決議案

 国連の第1委員会で11月2日、日本が提出した核軍縮決議案が採択されたが、昨年は日本案を積極的に支持し、共同提案国にもなった米国や英国は今年棄権した。フランスは昨年共同提案国にはならなかったものの賛成したが、今年は米英と同様棄権した。
 
 核兵器の廃絶を求める決議案は日本だけが提出しているのではなく、他の国(グループであることが多い)も同じ目的のために毎年独自の案を提出しているが、内容はまちまちだ。
 日本の決議案は例年最も広範な支持を取り付けているが、急進的な国からは「ぬるま湯的だ」とみなされることがある。しかし、肝心の核兵器保有国がそっぽを向いてしまうのでは、どんなにパンチ力がある決議案でも自己満足にすぎないという見方も成り立つ。どの程度の内容にするかは悩ましい問題である。
 
 日本は1994年以来ほぼ同様の内容の決議案を提出してきたが、今年は、世界の指導者に被爆地を訪問することを促す一文を追加した。この提案は最近日本が力を入れているものであり、半年前の核兵器不拡散条約(NPT)の再検討会議でも同様の提案を行なった。その目的は、核兵器の非人道性について世界の指導者が被ばくの現地で理解を深めてもらうことにあるが、中国はNPT再検討会議の際も、また今回の第1委員会においてもこの提案に激しく反対した。
 中国のこの立場は特異なものであるが、これはさておき、米英仏などが昨年と違って棄権したのは、この追加文のためであろう。その背景には、過去2年来、核兵器の非人道性を確立しようとする動きが各国間で広がっており、核兵器国は警戒心を高めていたという事情がある。日本の新しい提案は非人道性を認識させる有力な方法なのだ。
 核兵器国も「核兵器は非人道的だ」ということを正面から否定するのではないが、恐れているのは、核兵器が違法であり、したがってまたその使用を禁止されることだ。分かりやすく言えば、核兵器国も核兵器は廃絶すべきであるという点では非核兵器国と基本的には同じ考えだが、今直ちに使用を禁止されるのは困るということだ。

 今年の国連総会で日本は健闘した。今後はどうするか、とくに来年の国連総会第1委員会でどのように臨むべきか。
 世界の指導者が被爆地を訪問することは極めて重要なことであり、その考えは米国などが刺激されているからと言ってひっこめてはならないと思う。核兵器の非人道性を確立することは世界のためだ。日本では、核兵器の惨禍は体験で知っていることであり、説明する必要などないが、世界の人たちは同じでない。核兵器は他の兵器と変わらない、爆発の規模が大きいだけだと思っている人が少なくないのが現実だ。

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