平和外交研究所

オピニオン

2014.03.01

中台関係⑥

「中国とはなにか」

中台関係⑤までは、「中国」が1つか否かという問題を、いくつかの異なる角度から各国の立場を観察し、整理した結果である。

次に、「中国」とは何かを明確にしなければならない。これは、これまでほとんど、あるいはまったく疑問が呈されたことがなかった問題であろう。

「中国」は実在しているか。大いに疑問であると言わざるをえない。もし実在しているという人があれば、その「中国」を地図上で指し示してもらいたい。PRCは指し示せても「中国」ではない。
「清」「明」「唐」などは実在しても「中国」という名称の国は古今なかったのではないか。もっとも、古くなればなるほど国名の表記は現在と異なることが多くなるし、また外国がつける名称はまた違っていたことがある。たとえば、日本は「倭」と呼ばれたこともあるし、さらに古くは「邪馬台国」とも呼ばれたので、この問題は簡単に答えられないのかもしれない。中国の、あるいは第三国の古典のなかに、「中国」という名称の国家が説明されているかもしれない。
しかし、かりに「中国」という国名が見つかっても、その版図を示せるとは思えない。我々が知っている歴史上版図を持った「中国」などなかったはずである。だから「中国」という国家が実在したと思えない。
「中国」に比べ「中国人」ははるかに明確である。ただし、明確になるのは「中国語を話す」という共通項を備えているという意味であり、国籍ではない。国籍となると結局PRCなのか、「中国」なのかという問題になるであろう。
「中国人が支配している領域」が「中国」だとも言えない。シンガポールの例を見ればすぐ分かる。

では、「中国」をできるだけ常識から離れず、しかも正確に説明すれば、「中国」は、「東シナ海と中央アジアの間の大陸を統治してきた歴代の政権の総称」とでも言うべきか。これがよい説明か、人々に受け入れられるか心もとないが、他によい説明、あるいは定義があれば教えてもらいたい。

いずれにしても、「中国は1つ」と言ってもその意味が明確になるとは思えない。本中台関係シリーズの③で、米国は「台湾海峡の両側のすべての中国人が、中国はただ1つであり、台湾は中国の1部分であると主張していることを認識している。米国政府は、この立場に異論を唱えない」と応じたことを紹介し、米国も「中国」とはなにかよく分からないと思っていたかもしれないと説明した。
ともかく、「中国」が明確でなければ、「中国は1つ」と言っても明確になりえない。「台湾はPRCの一部である」など、いろいろなケースが考えられることはすでに見てきたが、それらおは別に、PRCも台湾も「中国は1つ」とみなしているのは興味ある事実である。



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