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2013.09.04

武力攻撃と議会での事前承認

オバマ大統領はシリアに対する攻撃に踏み切る考えを8月31日に発表したが、攻撃を開始する前に議会の承認を求める方針であることも表明した。いくつかの注目点がある。
○武力行使について国連決議による承認がない場合、あるいは明確でない場合、各国においては行政府限りで武力行使することが可能であっても、議会の承認をあらかじめ得ておかないと国内的に困難な状況に立ち至ることが傾向として出てきているのかもしれない。過去には湾岸戦争やイラク戦争の場合も米国では議会の承認を得ていた。リビア攻撃の際は議会での事前承認なし。ただし、この場合米軍はNATOの一員として行動したので単純に比較すべきでない。
○イラク戦争が苦い経験となって残っており、今回のシリアの場合、各国の対応は非常に慎重になっている。イラク戦争の際には、国連決議の有無が議論の的になり、米英は、既存の決議で十分であり新たな決議は必要ないという立場で攻撃に踏み切った。作戦開始後武力行使を明確に認める決議が成立したので全体としては国連決議の問題は解決したが、今後、武力行使に踏み切る時点で国連決議があるか否かはもっと厳格に見るようになるであろう。そうなった原因はイラク戦争である。
○米国政府は、かねてよりシリア政府軍が化学兵器を使用したら攻撃すると明言していたこともあり、もし議会がシリア攻撃を認めないと困難な立場に置かれることとなる。米国はこれまで、内政不干渉の原則や国際社会の常識に少々反してでも行動を起こすことがあったが、このようなことも今後はより困難になるだろう。
○シリア攻撃についての各国の世論は、化学兵器の使用を止めさせる必要があることについてはコンセンサスがあるが、そのための手段については武力公使がどうしても必要か、米英仏とも賛否が拮抗ないし反対が多くなっている。
○シリア政府の立場に理解を示してきたロシアと中国は、攻撃する方針を示している米国は好戦的であるという印象を国際世論に植え付けようとしてきた。米英仏で議会の承認が必要となったことは、結果的にはこれら両国の立場を強くする可能性がある。



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