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朝鮮半島

2021.05.02

バイデン政権の新北朝鮮政策

 バイデン政権が進めてきた対北朝鮮政策の見直しが完了した。これを発表したサキ米大統領報道官は、「バイデン政権の政策はトランプ政権のような『グランドバーゲン』を重視したり、オバマ政権のような『戦略的忍耐』に頼ったりすることはない」と説明したので「中間政策」と呼べるかもしれない。だが、内容については新味はない印象である。

 バイデン大統領は、中国については日本政府がアップアップするほど力強く対決姿勢を打ち出したが、これに比べ北朝鮮に対する政策の見直しがローキーになることは事前に予想された。バイデン氏にはトランプ氏のような金正恩総書記に対する個人的興味はない。バイデン氏にとって北朝鮮は中国のような危険な相手ではない。北朝鮮にはバイデン氏が重視する人権問題があるが、基本的には北朝鮮国内にとどまっており、またウイグルのようにイスラムを介した外の世界とのつながりはないので、実情を把握しにくく、追及困難だからである。

 バイデン政権は北朝鮮との関係改善をあきらめたわけではなく、今後も進めようとするだろうが、その手法は常識的、官僚的であろう。そうであれば、北朝鮮に対する制裁が解除あるいは緩和される可能性はそれだけ低くなる。

 一方、北朝鮮はバイデン政権の政策見直しの結果を注視してきたが、膠着状態はすぐには打開されないとなると、不満を募らせ、以前の核とミサイルによる挑発的姿勢に戻る危険性がある。これはバイデン政権にとっても看過できない問題になるので、今後の対北朝鮮政策においては、そのような状況にまで北朝鮮を追い込まないことが重要な目標となるだろうが、それだけでは北朝鮮と米国の関係も、東アジアの安全保障環境も大して変わらない。米朝交渉はかつての6者協議のようになって、会議は重ねるが進まないという結果になりかねない。

 米国のこのような対北朝鮮政策で一番困るのは、韓国の文在寅大統領であろう。文氏は今でも北との関係改善に熱意を抱き続けているようだが、客観情勢は韓国が一定に役割を果たした2018年とすでに大きく違っている。金総書記は、文大統領に米朝関係改善に関して役割を与えることに極めて消極的になっている。

 また東京オリンピックを、平昌オリンピックのように南北関係と米朝関係を進めるきっかけにすることは、今やだれが考えても無理である。文大統領の支持率低下の傾向に米朝関係が歯止めになることは考えられない状況になっているのである。

 日本にとってバイデン政権の「中間政策」はとくに都合が悪いわけでない。バイデン氏は、日本や韓国との協働を重視する考えであり、すでに実行し始めている。また拉致問題の解決にも協力を惜しまない姿勢である。

 しかし、そういうことだけで満足すべきでない。北朝鮮を含む東アジアの安全保障環境を改善する努力は常に求められており、北朝鮮が以前の挑発的な姿勢に戻ることは日本としても避けなければならない。日本は、米国が「中間政策」を実行していくのに積極的に協力すべきであり、連絡事務所の設置なども検討対象になるのではないか。

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