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朝鮮半島

2017.11.16

静かな(?)北朝鮮と米朝非公式対話

 北朝鮮は9月3日の核実験、15日の中距離弾道ミサイルの発射実験以来、核もミサイルも実験していない。その間も言論面では米国や日本を激しく批判しているが、実験はそれまで2週間に1回、あるいはそれ以上のぺ-スで行ってきたことを想起すると、北朝鮮がこのように静かにしているのは昨年来初めてのことである。実験をしないほうがよいのはもちろんであるが、すでに2カ月間実験をしないのはどのような事情によるのか、注意だけは必要だ。

 9月11日に国連安保理で採択された制裁決議が効いているのか。中国も本気になってきたと見られており、そのことは北朝鮮にとっても由々しい事態であろうが、制裁決議が本当に効果を発揮するとしても数カ月後になろうというのが大方の見方である。したがって、制裁決議だけでは説明困難だと思われる。

 この間、水面下で米朝が協議していることが判明している。それも1か所でなく、ニューヨークとモスクワの2か所であった。
 モスクワでは10月20,21日に核不拡散会議が開かれ、北朝鮮から出席する崔善姫(チェソンヒ)北米局長が開催の前夜、シャーマン元米国務次官と接触していた、ロシア紙によって報じられたことである。崔氏とシャーマン氏は、ともに体調悪化を理由に19日夜のレセプションを欠席したという。
 どのような話し合いが行われたか、判明していないが、崔氏は米国との関係を重視する姿勢であったと伝えられている。日本と韓国からの出席者も崔氏に接触したが、話し合いにはならなかったようだ。

 一方、ニューヨークでは、米国のジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表が北朝鮮側と非公式に接触していた。ユン氏は10月末に、北朝鮮が核・ミサイルの実験を60日間凍結すれば、米朝対話に応じる考えを示したと報じられた。ユン氏自身が10月30日に、米外交問題評議会でオフレコで語ったそうだ。
この接触はティラーソン国務長官の発言と平仄があっていた。
 北朝鮮が静かにしている期間はすでに60日になるので、ユン氏のことが頭をよぎるが、ユン氏の提案が北朝鮮の静けさをもたらしたとは言えないと思う。北朝鮮にとって米国との対話はかねてから望んできたことだが、あまりにも複雑化しているため、ユン氏の提案だけで簡単に動くはずはないからである。北朝鮮は米側の本気度をいつも気にしている。
 したがって、モスクワでもニューヨークでも非公式の接触は行われたが、現在関係国の首脳レベルで問題になっている米朝の対話とは区別されるもので、以前から行われてきた事務方による接触と同性質とみるべきだろう。

 ただこの間、トランプ大統領は奇妙な発言をしていた。11月12日の「金正恩氏と友人になる可能性はある」との発言だ。これは将来もトランプ氏の本心が問題になる際に引用されるだろうが、しかし、この発言から対話に進むというわけでもないだろう。

 ともかく、米側の姿勢にはかなり幅がある。公式な発言になると、「北朝鮮がまず非核化の意思を明確に示さないと対話に応じない」と従来からの立場を繰り返すが、それがすべてでなく、米国としては、少なくとも非公式の接触・対話は随時行う考えであると見られる。

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